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メフィス側妃視点 3 言い逃れ
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「ちょっと!私に触れていいと思っているの!?いい加減離しなさいよ!!」
食堂からずっと私の両隣に一人ずつ衛兵が腕をがっしりと掴んで離さない。
いい加減腕に痣が付いてしまうわ!
私の白い、陶器のような滑らかな腕に痕が残ったらどうするのよ!!
「さぁお入り下さい。」
私の前を歩いていた衛兵が、私の部屋の扉を開けて恭しく腰を曲げて言った。
「言われなくても入るわよ!自分の部屋よ!あんたたち、早く出て行って!!」
「それは出来ません。先ほども国王陛下が仰っていましたよね。後ほどこちらに来られます。」
「ええ、言っていたわね。だから着替えるのよ!」
「その必要はございません。あちらのソファにお座りになりますか?」
「はぁ?何であんたに言われないといけないのよ!いいから出て行きなさいよ!!」
「申し訳ありませんが、それは出来ません。さぁどうぞ。」
もう!なんなのよ!!
腕を離されて、ソファに座らされた。
私は自分の部屋なのに衛兵が出て行かない事にイライラしながら考えていた。
すると、少しして開いていた扉からダンティス国王陛下が、人を引き連れて入ってきた。
「さて続きを話そうかの。」
続き?
陛下は、私の向かいのソファに座って言った。
「あの毒は、どうやって手に入れた?」
「知らないわ。」
「知らない?お前が葉をすり潰せと命じたのにか?」
「な、何の事です?」
「これに見覚えはないかな?」
陛下は、近くにいた側近のトーマスに目配せして、何かを持って来させた。
テーブルの上に置かれたのは、布に包まれたすり鉢と乳棒だった。
「何よそれは。」
「見覚えないとはおかしいな。このマークは知らないとは言わせないぞ。」
乳棒には、持ち手の所にダリアの花が細かく描かれていた。
すり鉢も、裏返すと底にダリアの花が描かれていた。
私は、それを見せられて驚き、思い出した。
サルビア正妃を毒殺する前に、毒葉を侍女にすり潰してもらったんだったわ。多分、それかしら。そういえば、侍女をすぐ辞めさせたから回収してなかったわね…。
「この、ダリアの花は、お前が好きな花だろう?自分が欲したものには特注でダリアの花を彫らせたり、刺繍させたりしていたよな。そして、そのすり鉢と乳棒は毒葉をすり潰させたな?まぁ、しらばっくれても構わんぞ。それに、その毒葉はどこから手に入れた?バルグェン国の宝石商か?」
え!気づいてたのかしら!?ま、まぁ認めなければ罪には問われないわよね。
「…。」
「ふん。無言に決め込んだか。じゃあ仕方ないの。連れてこい。」
また、陛下がトーマスに目配せし、部屋から出て行った。
今度は何かしら。ちょっと心臓がバクバクしているわ…。言い逃れできるかしら。昨日のうちに逃げておいたほうがよかったかもしれないわね。
「お連れしました。」
廊下にすでにいたのか、すぐに部屋に戻ってきた。一人の男を連れて。
「カドラン!?」
それは、バルグェン国の宝石商だった。
「なぜいるの!?」
「メフィス、すまん。もうすべてばれちゃったんじゃないか?言い逃れ、出来そうにないかもな。」
何を言っているの!?
「バルグェン国の宝石商よ、私の側妃とずいぶん仲が良いようだな。」
と、陛下が言った。
「あ!いや…その…ど、同郷だからですよ。」
カドランがどもりながら答えた。あまり変な事言わないで欲しいわ。
「カドラン!」
もう無駄に話さないで!
「もう隠し立ては無理そうだよ。バルグェン国の国王よりよっぽど頭がいいじゃないか。あの国王は簡単に言いくるめれるが、この国王様は無理だ。諦めよう。メフィス。だからあの時帰ろうって言ったのによ。」
カドラン何言っているのよ。
「しょうがないじゃない!戦争がもっと早く始まれば良かったのよ!そうすれば国がゴタゴタするからその隙に行けたのに!」
「そんな事言ったってよ…」
「何でもっと、早く事を起こさせなかったのよ!」
「準備があったんだろ。即位式に攻め入るって言ったじゃないか。忘れたのか?待ってなくてあの時逃げれば良かったんだよ。そうすればこんな所に…」
「何泣いてんのよ!どうにかしなさいよ!」
「もう良い!!」
陛下が強めの声で言うので思わず身を縮めてしまった。
この人がこんな怖いと思ったのは初めてだわ…。いつも寡黙で、何を考えているか分からなかったのに…。
「同郷というだけで、互いの名をそのように呼び合えるとはよほど親しくないと出来るものではないぞ。メフィスは、周りの者の名前を覚えて呼ぶ事をしていないじゃないか。侍女の名前を呼んでいるか?してないよな?」
た、確かに私は、侍女の名前をいちいち呼んでいない。ちょっと、と言えばすぐに寄ってくるから事足りるもの。
「そ、それは侍女だからよ!」
「ほう。毎日顔を合わせるものより、ほんのたまに部屋に呼び寄せる宝石商の方がお前の中では格が上であるというのか?」
「…。」
「もうよいわ。追って沙汰を出す。それまで己と向き合っておれ。これは今から私の妃ではないわ。一人のメフィスという女として扱うが良い。二人を地下牢に連れて行け!」
「ちょ、お待ちください!なぜいきなりそんな!!陛下!!」
「では行きましょう。」
また、衛兵が二人寄ってきて両脇を抱え込んだ。
「ちょっと触らないで!ねぇ陛下!なんでよ!私は何も悪くないわ!そうよ!カドランが唆したのよ!!私は何も悪くないわ!!聞いてちょうだい!陛下-!!」
食堂からずっと私の両隣に一人ずつ衛兵が腕をがっしりと掴んで離さない。
いい加減腕に痣が付いてしまうわ!
私の白い、陶器のような滑らかな腕に痕が残ったらどうするのよ!!
「さぁお入り下さい。」
私の前を歩いていた衛兵が、私の部屋の扉を開けて恭しく腰を曲げて言った。
「言われなくても入るわよ!自分の部屋よ!あんたたち、早く出て行って!!」
「それは出来ません。先ほども国王陛下が仰っていましたよね。後ほどこちらに来られます。」
「ええ、言っていたわね。だから着替えるのよ!」
「その必要はございません。あちらのソファにお座りになりますか?」
「はぁ?何であんたに言われないといけないのよ!いいから出て行きなさいよ!!」
「申し訳ありませんが、それは出来ません。さぁどうぞ。」
もう!なんなのよ!!
腕を離されて、ソファに座らされた。
私は自分の部屋なのに衛兵が出て行かない事にイライラしながら考えていた。
すると、少しして開いていた扉からダンティス国王陛下が、人を引き連れて入ってきた。
「さて続きを話そうかの。」
続き?
陛下は、私の向かいのソファに座って言った。
「あの毒は、どうやって手に入れた?」
「知らないわ。」
「知らない?お前が葉をすり潰せと命じたのにか?」
「な、何の事です?」
「これに見覚えはないかな?」
陛下は、近くにいた側近のトーマスに目配せして、何かを持って来させた。
テーブルの上に置かれたのは、布に包まれたすり鉢と乳棒だった。
「何よそれは。」
「見覚えないとはおかしいな。このマークは知らないとは言わせないぞ。」
乳棒には、持ち手の所にダリアの花が細かく描かれていた。
すり鉢も、裏返すと底にダリアの花が描かれていた。
私は、それを見せられて驚き、思い出した。
サルビア正妃を毒殺する前に、毒葉を侍女にすり潰してもらったんだったわ。多分、それかしら。そういえば、侍女をすぐ辞めさせたから回収してなかったわね…。
「この、ダリアの花は、お前が好きな花だろう?自分が欲したものには特注でダリアの花を彫らせたり、刺繍させたりしていたよな。そして、そのすり鉢と乳棒は毒葉をすり潰させたな?まぁ、しらばっくれても構わんぞ。それに、その毒葉はどこから手に入れた?バルグェン国の宝石商か?」
え!気づいてたのかしら!?ま、まぁ認めなければ罪には問われないわよね。
「…。」
「ふん。無言に決め込んだか。じゃあ仕方ないの。連れてこい。」
また、陛下がトーマスに目配せし、部屋から出て行った。
今度は何かしら。ちょっと心臓がバクバクしているわ…。言い逃れできるかしら。昨日のうちに逃げておいたほうがよかったかもしれないわね。
「お連れしました。」
廊下にすでにいたのか、すぐに部屋に戻ってきた。一人の男を連れて。
「カドラン!?」
それは、バルグェン国の宝石商だった。
「なぜいるの!?」
「メフィス、すまん。もうすべてばれちゃったんじゃないか?言い逃れ、出来そうにないかもな。」
何を言っているの!?
「バルグェン国の宝石商よ、私の側妃とずいぶん仲が良いようだな。」
と、陛下が言った。
「あ!いや…その…ど、同郷だからですよ。」
カドランがどもりながら答えた。あまり変な事言わないで欲しいわ。
「カドラン!」
もう無駄に話さないで!
「もう隠し立ては無理そうだよ。バルグェン国の国王よりよっぽど頭がいいじゃないか。あの国王は簡単に言いくるめれるが、この国王様は無理だ。諦めよう。メフィス。だからあの時帰ろうって言ったのによ。」
カドラン何言っているのよ。
「しょうがないじゃない!戦争がもっと早く始まれば良かったのよ!そうすれば国がゴタゴタするからその隙に行けたのに!」
「そんな事言ったってよ…」
「何でもっと、早く事を起こさせなかったのよ!」
「準備があったんだろ。即位式に攻め入るって言ったじゃないか。忘れたのか?待ってなくてあの時逃げれば良かったんだよ。そうすればこんな所に…」
「何泣いてんのよ!どうにかしなさいよ!」
「もう良い!!」
陛下が強めの声で言うので思わず身を縮めてしまった。
この人がこんな怖いと思ったのは初めてだわ…。いつも寡黙で、何を考えているか分からなかったのに…。
「同郷というだけで、互いの名をそのように呼び合えるとはよほど親しくないと出来るものではないぞ。メフィスは、周りの者の名前を覚えて呼ぶ事をしていないじゃないか。侍女の名前を呼んでいるか?してないよな?」
た、確かに私は、侍女の名前をいちいち呼んでいない。ちょっと、と言えばすぐに寄ってくるから事足りるもの。
「そ、それは侍女だからよ!」
「ほう。毎日顔を合わせるものより、ほんのたまに部屋に呼び寄せる宝石商の方がお前の中では格が上であるというのか?」
「…。」
「もうよいわ。追って沙汰を出す。それまで己と向き合っておれ。これは今から私の妃ではないわ。一人のメフィスという女として扱うが良い。二人を地下牢に連れて行け!」
「ちょ、お待ちください!なぜいきなりそんな!!陛下!!」
「では行きましょう。」
また、衛兵が二人寄ってきて両脇を抱え込んだ。
「ちょっと触らないで!ねぇ陛下!なんでよ!私は何も悪くないわ!そうよ!カドランが唆したのよ!!私は何も悪くないわ!!聞いてちょうだい!陛下-!!」
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