【完結】フィリアの見聞録〜どんな時でも楽しまないとね!だって私にはペンダントがあるもの〜

まりぃべる

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レクラス視点 3 義兄上と義母。

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俺には義理の兄がいる。
その義兄上の名は、マナクル。マナクル=ラッセルブラウン。
この国の第一王子で、義理の母はメフィス側妃。

俺は義兄上と仲良くしたいのだか、立場上仲良く出来ない。
メフィス側妃が、俺の母親である、サルビア正妃を殺したかもしれないという疑惑があるからだ。
義兄上が関係しているわけがない。だが、踏み込むには勇気がいる。だから俺は、王宮から騎士団へと逃げ込んだ。


この国は、20歳になると国王陛下の長男が即位する。

それまでにもう少し関係が修復できるといいのだが。
義兄上の役に立つよう、騎士団でそれなりの地位まで上り詰めたのだから。


しかし、メフィス側妃とは全く相容れない。
元は踊り子だったらしい。
なのに、母上が亡くなったのをいいことに、でかい顔をしてやりたい放題。何も学んでない癖に。
学校に行ってないのもそうだが、国王の妻なのだからもっと妃教育に精を出して欲しい。
けれど国の為ではなく自分のために、自分の感情だけで動く側妃は、全くもって…義兄上の邪魔だ。

…だが、今はまだ、機は熟していない。膿を出し切るまで、監視しておかないと。

本当は疑惑ではなく、母上を殺したと思っている。
母上は、5年前に亡くなった。食事に毒が仕込まれていたらしい。毒見役もいたはずなのに。
毒見役が食べた時は何もなかった。それ故毒見役が犯人と思われ、残念ながら処罰された。その人は違うと最期まで否認していたのに。
そして、メフィス側妃はドレスを買い集めるようになった。

だが実際は何か見落としがあったのではないだろうか?

俺は隠れて、証拠集めをしていた。あまり大っぴらに動くと、ばれて証拠を消されても困るから、なかなか証拠が見つからなかった。


バルグェン国の宝石商と名乗る奴が、王都によく滞在するようで、情報によれば側妃が尋ねてきてこそこそと何かやっているようだ。
そういえば5年前にも王宮に来たようだったな。

バルグェン国は好戦的だ。わが国にも領土に度々侵入して意味なく挑発してきているし。
それなのに、宝石商とはいえ、緊張状態が続いているバルグェン国の奴と仲良くするなどあり得ない!

何か、証拠さえ上がれば捕まえられるのに…。
と、思ってしまうのは、俺は非情なのだろうか。単なる勘でしかないのに。この国にとって、義兄上にとっても毒でしかないような気がするのだ。

次から次へドレスを作り、贅を尽くしてもいて国庫を圧迫しないでもらいたい。

父上はどう思っているのだろう。なぜ野放しにしているのだろうか。


 踊り子だったメフィス。
18歳の頃王宮に踊りを、自ら売り込みに来たらしい。
初めは門前払いだったのだが、それでもめげずに王都に居座り民衆の前で踊りまくって見事、王宮に呼んでもらえ、そこで誘うように妖艶に踊ったのだとか。まだ母上と婚約期間だったのに一夜、そのたった一夜共にしたばかりに義兄上が授かったのはまさに執念とも言える。
翌日、王宮を追い出されたが、その後自ら王宮に来て国王に話があると言ったその態度には感服する。『陛下との子が授かったので、妃にしてくださいませ。』と直談判したそうだ。

さすがだな。

母上との婚約は、大々的に知らされていたはずなのに…。

しかし義兄上はそんながめつさは一切ない。義兄上が国王になったら、さぞ素晴らしい国になるだろう。
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