【完結】フィリアの見聞録〜どんな時でも楽しまないとね!だって私にはペンダントがあるもの〜

まりぃべる

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レクラス視点 8 フィリア

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フィリアが旧アルフェンス国の王女だったとは…。

初めて会ったときから懐かしい感じがしたんだ。母上の祖国もアルフェンス国だったから、通ずるものがあったのかもしれない。
母上は、旧アルフェンス国王の妹だったからな。皆が生きていれば、家族ぐるみで会っていたかもしれない…。

母上が遠い昔、アルフェンス国が滅ぼされた時、王女の行方をひっそりと探していた。それが、教会の孤児院にいたなんて。生きていてよかったけれど、母上は『せめて姪である王女だけでも生きていてくれたら…』と言っていた。会わせてやりたかったな…。

フィリアの力になってやりたい。そう思うのは、どんな気持ちからなのか。自分でも、はっきりしない。
だが国境近くで爆発音がした時も気が気じゃなくて無意識の内にフィリアの元へ走り出していた。



俺はどうしたらいいんだろう。今まで、血は繋がらなくとも義兄上が国王になって、その手助けが出来ればと思っていた。

…でも、違う未来があるのかもしれない。
フィリアがもし、国を建て直すのなら、俺も傍にいてはだめだろうか。
ニックもいてくれたら心強いが、そこまで望んではいけないだろうな。


フィリアに、明日また会いに行こう。
…だがこれで、最後になるかもしれないな。

明後日は即位式。

義兄上を見たいが、国境近くで備えておかねばならない。騎士団の第四部隊と第五部隊が国境警備に行くが、第三部隊の俺もきっと駆り出されるかもしれない。

戦争さえ起きなければ、フィリアの元にずっといられるのにな。





☆★☆★☆★
ニックと共に教会に着くと、洗濯物を干しているフィリアを見つけた。
「フィリア!」

「あら!また来てくれたの?でもせっかくだけどもう騎士団に入れそうな子はいないわよ。」
と、フィリアに言われてしまった。

「はは!フィリアちゃん。こいつは君に会いに来たんだよ。」

「え!?そうだったの?レクラスさんなんでまた…。」

「すぐに来れなくてごめん。立て込んでたんだ。フィリアは、アルフェンス国をどうしたい?ユリエルについていくの?」

「んー…迷ってるの。でも実感はないけれど、王族の私が生きている事が心の支えになっているのなら、力になってあげたいとは思うわ。」
そうだろうな。フィリアは、いつだって自分より人のために動いていた。

「ここをいつ去るとか決めているのか?」

「そんな…分からない。」

「フィリア。あなたは十分ここで頑張ってくれました。」
そう声がしたのでフィリアが後ろを振り返ると、シスターが立っていた。

「あなたがここに来たときの事を今でも覚えていますよ。ユリエル様が涙ながらに語ってくれ、あなたが立派な大人になるまでここに置いて欲しいと。旅立ちが今なら、行くべきです。今まで、ありがとうフィリア。ここは本当のあなたの居場所ではありません。求められるべき所に帰りなさい。」
シスターはそう言って、フィリアを抱き締めた。

「シスター!だけど!私がいなくて大丈夫なんですか?」
「あら。私は本当は料理が上手なのよ。最近やってないから腕が鈍ってるかもしれないけれど。メルサも良くやってくれるわ。他の子もいるし全然大丈夫よ。いってらっしゃい。」
そう言われ、目に涙を溜めていたフィリアは吹っ切れた様子だ。

「明日、ユリエルおじさまが来る予定なの。そこで話すわ。」
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