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複雑な心境
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「俺はこの国の第二王子だ。」
そう言われて、またも驚いた。
王子様って、こんな風にフラフラ出歩いてるものなの?
「えっ…と、騎士団の人じゃなかったの?あ、ですか?」
私は、慌てて丁寧な言葉に直す。でも慌てていたせいで、おざなりな形となった。
「言葉遣いはそのままでいいよ。いきなり変えられる方がつらい。それから騎士団は5年前から所属しているよ。最近今の第三騎士団の団長になったから、ここへ見習いの審査をしに来たんだ。決して嘘は何一つ付いてないよ。」
そうなのね…誠実ではあるわよね。接していて、気遣いもしてくれたし。
「え?でも王子様なのに騎士団に入るの?危なくないの?」
「まぁ、俺は母上が亡くなってすぐに騎士団へ逃げ込んだんだ。ちょっと義理の母…第一王子の母がとち狂った奴でさ。多分俺の母上を殺した。だから、俺は殺される前に逃げた。騎士団には、寮もあるからさ。義兄上は騎士団には入ってないな。まぁもうすぐ国王陛下になるし、危ない事は出来ないよね。」
な、なんだかさらりと危なげな事を話したわね。そんな壮絶な過去があったなんて…。多分って証拠がないのね。悪い事をしたら、罰せられるのが当たり前よね。犯人がきちんと裁かれないのはおかしいわ。わかって、レクラスさんの心も晴れますように…。
私は知らず知らずの内に、服の上に出していたペンダントを握り締めてそう思っていた。
「レクラスさん…。壮絶な過去があったのね。犯人が早く見つかって、落ち着けるといいわね。」
そう言うと、ペンダントが気持ち、熱を持ったような気がした。
「あ!フィリア王女様…」
と、おじさまの呟く声がした。
「何?おじさま。あ、私いつまでもおじさまって呼んでいいのかしら?えっと…」
「いいのです。私は、今もずっと自問しております。なぜこうなったのか。自分がもっとどうにか出来たのではないか。あの時から名前は捨てたのです。今はあなたの為に在ります。ここまで大きくなられて…本当に…。」
と、おじさまは泣きはじめてしまった。
「おじさま…。でもそれならなおさら名前で呼ぶわ!言い慣れないけど。だって、詳しくは分からないけれど連れてきてくれたのでしょう?ユリエルおじさま。長生きしなければダメよ。」
「そんな…。はい…はい。ではどうぞユリエルとお呼び下さい。もうそう呼んで下さる方はおりません。そうだ。ペンダントは国王陛下と王妃様がお生まれになった時に下さったものですが、魔力が入っているかもしれません。もしくは、フィリア様の魔力が多くて反応されているのかも。現に、今淡く光ったような…。ペンダントを握り締めて、思いを述べるともしかしたら魔法が発動するかもしれませんので、みだりにされませんように。」
そ、そうなのね。咄嗟にレクラスさんの事を思ってしまったのだけど、あまり良くないかしら。
「分かったわ。」
「ユリエル、アルフェンス国は、魔法がよく使われるのか?」
「あなたも呼ばれるのですか。フフ。まぁ、それなりには。魔力がある者が、物質に魔力を込めると魔法が使えますし。フィリア様はもしかしたら魔力もお持ちかもしれませんな。対してこの国はほとんど使われておりませんね。」
と、ニコニコと嬉しそうに笑いながらユリエルおじさまが言った。
「そうだな。魔法があれば、我が国もバルグェン国に勝てるのにな。あの国は好戦的だからな…。あ、フィリアがいるのに済まない。こんな話をして。」
そう言ってレクラスさんが私に対して謝ってくれた。
「え?なぜ謝るの?私は今まで、教会や孤児院に関する事しか知らなかったわ。だから、なんでも教えて下さい!」
と私は言った。
今まで、私は甘えていたのよね。13歳で教会を出て行くかどうかの時も、シスターから引き止めてもらって残ってしまったものね。今のシスターは料理が壊滅的に出来ないからってそれに救われズルズルと教会に居座ってしまったもの。
アルフェンス国を建て直すかどうかはまだ、答えが出せないけれど、これから、ここ以外の世界を見ていくのも大事かもしれないわ。
どんな生活をする事になっても、楽しんでいかないとね!
そう言われて、またも驚いた。
王子様って、こんな風にフラフラ出歩いてるものなの?
「えっ…と、騎士団の人じゃなかったの?あ、ですか?」
私は、慌てて丁寧な言葉に直す。でも慌てていたせいで、おざなりな形となった。
「言葉遣いはそのままでいいよ。いきなり変えられる方がつらい。それから騎士団は5年前から所属しているよ。最近今の第三騎士団の団長になったから、ここへ見習いの審査をしに来たんだ。決して嘘は何一つ付いてないよ。」
そうなのね…誠実ではあるわよね。接していて、気遣いもしてくれたし。
「え?でも王子様なのに騎士団に入るの?危なくないの?」
「まぁ、俺は母上が亡くなってすぐに騎士団へ逃げ込んだんだ。ちょっと義理の母…第一王子の母がとち狂った奴でさ。多分俺の母上を殺した。だから、俺は殺される前に逃げた。騎士団には、寮もあるからさ。義兄上は騎士団には入ってないな。まぁもうすぐ国王陛下になるし、危ない事は出来ないよね。」
な、なんだかさらりと危なげな事を話したわね。そんな壮絶な過去があったなんて…。多分って証拠がないのね。悪い事をしたら、罰せられるのが当たり前よね。犯人がきちんと裁かれないのはおかしいわ。わかって、レクラスさんの心も晴れますように…。
私は知らず知らずの内に、服の上に出していたペンダントを握り締めてそう思っていた。
「レクラスさん…。壮絶な過去があったのね。犯人が早く見つかって、落ち着けるといいわね。」
そう言うと、ペンダントが気持ち、熱を持ったような気がした。
「あ!フィリア王女様…」
と、おじさまの呟く声がした。
「何?おじさま。あ、私いつまでもおじさまって呼んでいいのかしら?えっと…」
「いいのです。私は、今もずっと自問しております。なぜこうなったのか。自分がもっとどうにか出来たのではないか。あの時から名前は捨てたのです。今はあなたの為に在ります。ここまで大きくなられて…本当に…。」
と、おじさまは泣きはじめてしまった。
「おじさま…。でもそれならなおさら名前で呼ぶわ!言い慣れないけど。だって、詳しくは分からないけれど連れてきてくれたのでしょう?ユリエルおじさま。長生きしなければダメよ。」
「そんな…。はい…はい。ではどうぞユリエルとお呼び下さい。もうそう呼んで下さる方はおりません。そうだ。ペンダントは国王陛下と王妃様がお生まれになった時に下さったものですが、魔力が入っているかもしれません。もしくは、フィリア様の魔力が多くて反応されているのかも。現に、今淡く光ったような…。ペンダントを握り締めて、思いを述べるともしかしたら魔法が発動するかもしれませんので、みだりにされませんように。」
そ、そうなのね。咄嗟にレクラスさんの事を思ってしまったのだけど、あまり良くないかしら。
「分かったわ。」
「ユリエル、アルフェンス国は、魔法がよく使われるのか?」
「あなたも呼ばれるのですか。フフ。まぁ、それなりには。魔力がある者が、物質に魔力を込めると魔法が使えますし。フィリア様はもしかしたら魔力もお持ちかもしれませんな。対してこの国はほとんど使われておりませんね。」
と、ニコニコと嬉しそうに笑いながらユリエルおじさまが言った。
「そうだな。魔法があれば、我が国もバルグェン国に勝てるのにな。あの国は好戦的だからな…。あ、フィリアがいるのに済まない。こんな話をして。」
そう言ってレクラスさんが私に対して謝ってくれた。
「え?なぜ謝るの?私は今まで、教会や孤児院に関する事しか知らなかったわ。だから、なんでも教えて下さい!」
と私は言った。
今まで、私は甘えていたのよね。13歳で教会を出て行くかどうかの時も、シスターから引き止めてもらって残ってしまったものね。今のシスターは料理が壊滅的に出来ないからってそれに救われズルズルと教会に居座ってしまったもの。
アルフェンス国を建て直すかどうかはまだ、答えが出せないけれど、これから、ここ以外の世界を見ていくのも大事かもしれないわ。
どんな生活をする事になっても、楽しんでいかないとね!
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