【完結】フィリアの見聞録〜どんな時でも楽しまないとね!だって私にはペンダントがあるもの〜

まりぃべる

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話していると、ザッザッと誰かが歩いてくる音がした。

顔を向けると、ニックさんとレクラスさんだった。
「込み入った話をしているようだが…先ほどの音が心配になって来てみたんだ。大丈夫だったか。」
今日はニックさんじゃなく、レクラスさんが話し掛けてきた。

「はい。ご心配ありがとうございます。もう少し奥の平原からの音だったから、ここは大丈夫でした。」
と返事をする。

「良かった!それで…俺らにも聞かせてくれないか。もしよかったら、力になれるかもしれない。」
「レクラス!」
「ニック!分かるだろ。ここで無視は出来ん。」

「願ってもない話ですな。ただ、あなた自身にはまだなにも力が無いはずだ。それでも何か出来るとでも?」
とおじさまがレクラスさんに話し掛けた。
「う…。確かに図星だ。だが、流れによっては、俺が後押ししてやる。」
「ほう。国を捨てるとでも?」
「いや…相手がどう出られるかによる。」
「いいでしょう。ただし、裏切るなんてないでしょうな。フィリアがどう思うか…。」
「それはわかってるよ!フィリアのやりたいようにさせるさ。嫌われる事はしない。」
「なるほど…見立て通りかな?ではこちらへ。」
なんだか知らない内に話が付いたみたいね。
と、レクラスさんとニックは私が座っているベンチの対面に、地面に直接手を後ろに伸ばして座った。
え、私だけベンチ?地面に座ろうかしら。と腰を浮かせると、
「フィリアはベンチに座っててね。」
と、レクラスさんがすかさず言ってきた。

「それで?最初から話してもらえる?全部聞こえたわけじゃないんだ。フィリアがアルフェンス国の王女様っていうのであってる?」
「まぁ、それだけわかっていればいいでしょう。」
「そう?国を潰すとか言ってなかった?」
「はは。そこも聞こえてたのですか。とんだ地獄耳だ。」
「いや。うちの国は魔法は発達してないんでね。このヤドカリの貝を耳にはめると、遠くまで音が聞こえるんだ。あ、ヤドカリがいなくなった後の貝ね。」
と言って、レクラスさんは耳からヤドカリの貝を出して見せた。
「どっかの誰かさんがあるお嬢さんを心配して、これを付け出したんだよ。」
ニックさんはそう言った。レクラスさん、誰かを心配しているって事かしら?あら、誰だろうって考えるとなんだかモヤモヤするわ。なぜ?

「止めろよ!」
「ははは。そうですよ。分かりにくいと、フィリアには通じませんよ。して…あなたたちは正体明かしてくれないのですかな?」
え?正体!?騎士団の人じゃなかったの!?

「今、必要か?」
「少なくとも、信用に値するでしょうな。」
「すべて知っているんじゃないのか?」
「自らの口で言うからこその信用でしょう。」
「レクラス、言うのか?」
「仕方ない。別に隠していたわけじゃないし。フィリア。俺はこの国の第二王子だ。だから、俺が、何か手助け出来るかもしれない。確かに、今は何の力も無いけれど。旧アルフェンス国を建て直したいんだろ。おっさん。これでいいか?」
「まぁ、上出来だ。ちなみに私ユリエル=バルベルトと言うんだ。以後、お見知りおきを。」
とおじさまは立ち上がり、恭しくお辞儀をした。

「よく言うよ!」
「言わせたくせに。」
とレクラスさんとニックさんは言って、苦笑いをした。

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