【完結】フィリアの見聞録〜どんな時でも楽しまないとね!だって私にはペンダントがあるもの〜

まりぃべる

文字の大きさ
上 下
20 / 34

述懐

しおりを挟む
洗濯物をしまっていると、森の方から一人の男性が走ってきた。よく見ると
おじさまだった。
「ああ。フィリア。大丈夫だったかい?」
「おじさま!ご心配かけましたか?ええ。もっと平原の奥から聞こえたもの。ここからじゃ何かわからないわ。もちろんここも変わりないわ。」
相変わらず、心配性ね。

「そうか。フィリア。本当は、いつ言おうか迷っていたんだが…フィリア。ここに座って話を聞いてもらえないだろうか?」
おじさまがそう改まって言うものだから、私は自然と緊張してしまう。けれど、洗濯物を干す場所にあるベンチに2人で腰掛けた。

「あ、あのお2人は?」
「いいんだ。洗濯物を中へ持っていってくれるだろう。フィリア。これからとても大事な事を言うよ。」
そう言って、おじさまは立ち上がり、私の目の前に膝を地面について話し出した。

「フィリア。いや、フィリア王女様。あなたは、今は無きアルフェンス国の王女様なのだよ。そして、私の名前はユリエル=バルベルト。アルフェンス国があった頃はあなたのお父様である国王陛下の側近をしていたのです。」
そう言って、一度言葉を切った。きっと、私が言葉を飲み込む時間を与えてくれたのだろう。
今は無き…そうだ。おじさまは、この国や周辺国の話を教えてくれる時に言っていた。15年前に、アルフェンス国はバルグェン国に滅ぼされたと言っていた。

「そうだったの…いきなりでかなり驚いたけれど…たくさん聞きたい事はあるけれど。おじさまは、なぜ今話そうとしたの?」
「いきなりで混乱するのは良く分かる。だが、その首に掛かっているペンダント。それはあなたの本当のお姿の髪の色と、瞳の色なのだよ。そして、三日月はアルフェンス国の国の象徴だ。」
首に掛かっているペンダント。これは落とさないよういつも服の中へしまっている。それを取り出して改めて見てみる。
銀色の紐に、三日月の形をした青い宝石が1つ付いている。

「あなたの本当の髪の色は銀色なのだよ。あなたのお父様が、民衆に紛れ込めるよう今の色にしてくれた。その内元の色へ戻るだろう。そして、ここからが本題だ。いきなりで驚くだろうが、アルフェンス国を建て直して欲しい。私と共に、国民の生き残りが森で暮らしいている。他の地区で暮らしている者もいる。あなたの一声で、動く手筈になっている。」
え!?そんな…いきなり出生を聞いたと思ったら、国を建て直してって…。

「バルグェン国が、この国へ戦争を仕掛けようとしている。先ほどの音も、恐らく爆発音だろう。威嚇しているんだ。あと、幾日かでこの国の国王陛下が代替えする。今の第一王子が国王となるのだ。その時に、バルグェン国は攻めてきて、自分が国王となろうとするらしい。だから、我々もこの国に手を貸し、バルグェン国を共に討ち取りましょう!」

無理でしょ!?私はこの教会の孤児院に住んでる一般人よ。世の中も知らないのよ!おじさま!ああ…私どうすればいいの!?こんなんで、楽しめるのかしら?
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

【完結】婚約破棄寸前の悪役令嬢は7年前の姿をしている

五色ひわ
恋愛
 ドラード王国の第二王女、クラウディア・ドラードは正体不明の相手に襲撃されて子供の姿に変えられてしまった。何とか逃げのびたクラウディアは、年齢を偽って孤児院に隠れて暮らしている。  初めて経験する貧しい暮らしに疲れ果てた頃、目の前に現れたのは婚約破棄寸前の婚約者アルフレートだった。

島流しされた悪役令嬢は、ゆるい監視の元で自由を満喫します♪

鼻血の親分
恋愛
罪を着せられ島流しされたアニエスは、幼馴染で初恋の相手である島の領主、ジェラール王子とすれ違いの日々を過ごす。しかし思ったよりも緩い監視と特別待遇、そしてあたたかい島民に囲まれて、囚人島でも自由気ままに生きていく。 王都よりよっぽどいいっ! アニエスはそう感じていた。…が、やがて運命が動き出す。

亡国の公女の恋

小ろく
恋愛
「俺は姫様ただひとりに忠誠を誓った僕です。どんなことがあっても命にかえてもお守りします」 戦争によって国を失った公女スヴェトラーナは、兵士のルカと共に隣国へ亡命の旅に出る。 たった数日間の旅で芽生えた愛にすべてを捧げようとするスヴェトラーナ。 愛を信じて貫こうとする公女と孤独で自尊心の低い兵士の恋のお話。

【完結】悪役令嬢が可愛すぎる!!

佐倉穂波
ファンタジー
 ある日、自分が恋愛小説のヒロインに転生していることに気がついたアイラ。  学園に入学すると、悪役令嬢であるはずのプリシラが、小説とは全く違う性格をしており、「もしかして、同姓同名の子が居るのでは?」と思ったアイラだったが…….。 三話完結。 ヒロインが悪役令嬢を「可愛い!」と萌えているだけの物語。 2023.10.15 プリシラ視点投稿。

【完結】長い眠りのその後で

maruko
恋愛
伯爵令嬢のアディルは王宮魔術師団の副団長サンディル・メイナードと結婚しました。 でも婚約してから婚姻まで一度も会えず、婚姻式でも、新居に向かう馬車の中でも目も合わせない旦那様。 いくら政略結婚でも幸せになりたいって思ってもいいでしょう? このまま幸せになれるのかしらと思ってたら⋯⋯アレッ?旦那様が2人!! どうして旦那様はずっと眠ってるの? 唖然としたけど強制的に旦那様の為に動かないと行けないみたい。 しょうがないアディル頑張りまーす!! 複雑な家庭環境で育って、醒めた目で世間を見ているアディルが幸せになるまでの物語です 全50話(2話分は登場人物と時系列の整理含む) ※他サイトでも投稿しております ご都合主義、誤字脱字、未熟者ですが優しい目線で読んで頂けますと幸いです

悪役令嬢に仕立て上げたいなら、ご注意を。

ファンタジー
幼くして辺境伯の地位を継いだレナータは、女性であるがゆえに舐められがちであった。そんな折、社交場で伯爵令嬢にいわれのない罪を着せられてしまう。そんな彼女に隣国皇子カールハインツが手を差し伸べた──かと思いきや、ほとんど初対面で婚姻を申し込み、暇さえあれば口説き、しかもやたらレナータのことを知っている。怪しいほど親切なカールハインツと共に、レナータは事態の収拾方法を模索し、やがて伯爵一家への復讐を決意する。

どうも、死んだはずの悪役令嬢です。

西藤島 みや
ファンタジー
ある夏の夜。公爵令嬢のアシュレイは王宮殿の舞踏会で、婚約者のルディ皇子にいつも通り罵声を浴びせられていた。 皇子の罵声のせいで、男にだらしなく浪費家と思われて王宮殿の使用人どころか通っている学園でも遠巻きにされているアシュレイ。 アシュレイの誕生日だというのに、エスコートすら放棄して、皇子づきのメイドのミュシャに気を遣うよう求めてくる皇子と取り巻き達に、呆れるばかり。 「幼馴染みだかなんだかしらないけれど、もう限界だわ。あの人達に罰があたればいいのに」 こっそり呟いた瞬間、 《願いを聞き届けてあげるよ!》 何故か全くの別人になってしまっていたアシュレイ。目の前で、アシュレイが倒れて意識不明になるのを見ることになる。 「よくも、義妹にこんなことを!皇子、婚約はなかったことにしてもらいます!」 義父と義兄はアシュレイが状況を理解する前に、アシュレイの体を持ち去ってしまう。 今までミュシャを崇めてアシュレイを冷遇してきた取り巻き達は、次々と不幸に巻き込まれてゆき…ついには、ミュシャや皇子まで… ひたすら一人づつざまあされていくのを、呆然と見守ることになってしまった公爵令嬢と、怒り心頭の義父と義兄の物語。 はたしてアシュレイは元に戻れるのか? 剣と魔法と妖精の住む世界の、まあまあよくあるざまあメインの物語です。 ざまあが書きたかった。それだけです。

【完結】光の魔法って、最弱じゃなくて最強だったのですね!生きている価値があって良かった。

まりぃべる
恋愛
クロベルン家は、辺境の地。裏には〝闇の森〟があり、そこから来る魔力を纏った〝闇の獣〟から領地を護っている。 ミーティア=クロベルンは、魔力はそこそこあるのに、一般的な魔法はなぜか使えなかった。しかし珍しい光魔法だけは使えた。それでも、皆が使える魔法が使えないので自分は落ちこぼれと思っていた。 でも、そこで…。

処理中です...