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おじさま視点
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私は、ユリエル=バルベルド。40歳。
旧アルフェンス国の側近、だった。
だが、バルグェン国が理不尽にも攻めて来た事により、王女様を連れて隣のラッセルブラウン国へ逃げてきた。
ここは、旧アルフェンス国の国王陛下の妹君様の嫁ぎ先。生きていれば…だがもう亡くなっている為妹君様には頼れない。
あの日。
国からできるだけ急いで離れ、ラッセルブラウン国へと続く森へ入れた時はいくらかホッとした。
だが、森には獣もいるため、慎重に動かなければならない。なので、自分と魔法で眠らされていた王女様に気配消しの魔法が付与された指輪を擦った。側近である証の指輪でもあるそれは、本当に便利だ。
すぐに私達全体に膜が張られたようになり、気配を悟られないようになった。
私が育てようかとも思ったが、悩んだ末に森からすぐの教会に預ける事にした。人との触れ合いも大事だと思ったからだ。
教会へ行き、シスターに話をした。包み隠さず話して、定期的に寄付をする事を約束した。国王陛下から頂いた金貨があるからだ。そして、私の存在、王女様の身分は隠してもらうように頼んだ。状況がどうなるかは分からないが、万が一バルグェン国が追って来た時、身の上を知らない方が関わらなくて済むと思えるからだ。
私は近くの森に住む事にした。
そして、旧アルフェンス国へ行き、生き残りがいないか探した。
意外にも、たくさんいたので一緒に森で住む者、少し離れたところに住む者と散り散りになったが、連絡は密に取ろうと約束した。
王女様が大きくなったら、全てを話そうと思う。そして、出来れば国を復興してもらいたい。
それまでに、私達も力を蓄えなければ。
宝石が取れる炭坑で、不審な男がいた。私達は総出で出来うる限りの魔法を使い、目眩ましをした。宝石がただの石に見えるようにしたのだ。炭坑全体に掛けるのは大変であったが、これは旧アルフェンス国の遺産。他の国に取られてはならないと皆気持ちは一緒だった。
ある時、耳に付けているピアスが熱を持った。これは、忠誠を誓っているという証でもあるが同時に彼らに危険が及ぶと耳が引きちぎれる位に熱くなる。
国を出る時、国王陛下と王妃様のピアスは外されたので、王女様のだけをつけていた。だから慌てて教会へ行った。熱を持ったと言っても、ジンワリだったので大丈夫だとは思ったが念のため。
ピアスは、忠誠を誓うお方の瞳と髪の色の宝石で作られている。その方が手を触れて初めて、危険が察知できる効力が発揮される。王女様がお生まれになった時に、私達側近にもこのピアスが配られた。まだ幼かったため、寝ている時にピアスを触れさせてから手渡して下さった。
教会へ行くと、王女様が倒れたと聞いた。王女様、と言っても、今はフィリアと呼ばないといけない。本人にも周りにも、まだ悟られないようにしなければ。
フィリアの部屋に行くと、見慣れない男が2人、いた。聞けば騎士団所属だという。今日が騎士団見習いの審査日だったのか?こんな若造が。
いや…しかしうまくいけば使えるかもしれないな。少し、様子を見るか。調べてもみよう。
教会の男手が減るな。そろそろ顔合わせをさせていくか。旧国民で森で生活している奴らを、教会に行かせるか。
そろそろ、バルグェン国が戦争を仕掛けるというから、ごたつくだろう。あと少しで、機は熟すだろう。
旧アルフェンス国の側近、だった。
だが、バルグェン国が理不尽にも攻めて来た事により、王女様を連れて隣のラッセルブラウン国へ逃げてきた。
ここは、旧アルフェンス国の国王陛下の妹君様の嫁ぎ先。生きていれば…だがもう亡くなっている為妹君様には頼れない。
あの日。
国からできるだけ急いで離れ、ラッセルブラウン国へと続く森へ入れた時はいくらかホッとした。
だが、森には獣もいるため、慎重に動かなければならない。なので、自分と魔法で眠らされていた王女様に気配消しの魔法が付与された指輪を擦った。側近である証の指輪でもあるそれは、本当に便利だ。
すぐに私達全体に膜が張られたようになり、気配を悟られないようになった。
私が育てようかとも思ったが、悩んだ末に森からすぐの教会に預ける事にした。人との触れ合いも大事だと思ったからだ。
教会へ行き、シスターに話をした。包み隠さず話して、定期的に寄付をする事を約束した。国王陛下から頂いた金貨があるからだ。そして、私の存在、王女様の身分は隠してもらうように頼んだ。状況がどうなるかは分からないが、万が一バルグェン国が追って来た時、身の上を知らない方が関わらなくて済むと思えるからだ。
私は近くの森に住む事にした。
そして、旧アルフェンス国へ行き、生き残りがいないか探した。
意外にも、たくさんいたので一緒に森で住む者、少し離れたところに住む者と散り散りになったが、連絡は密に取ろうと約束した。
王女様が大きくなったら、全てを話そうと思う。そして、出来れば国を復興してもらいたい。
それまでに、私達も力を蓄えなければ。
宝石が取れる炭坑で、不審な男がいた。私達は総出で出来うる限りの魔法を使い、目眩ましをした。宝石がただの石に見えるようにしたのだ。炭坑全体に掛けるのは大変であったが、これは旧アルフェンス国の遺産。他の国に取られてはならないと皆気持ちは一緒だった。
ある時、耳に付けているピアスが熱を持った。これは、忠誠を誓っているという証でもあるが同時に彼らに危険が及ぶと耳が引きちぎれる位に熱くなる。
国を出る時、国王陛下と王妃様のピアスは外されたので、王女様のだけをつけていた。だから慌てて教会へ行った。熱を持ったと言っても、ジンワリだったので大丈夫だとは思ったが念のため。
ピアスは、忠誠を誓うお方の瞳と髪の色の宝石で作られている。その方が手を触れて初めて、危険が察知できる効力が発揮される。王女様がお生まれになった時に、私達側近にもこのピアスが配られた。まだ幼かったため、寝ている時にピアスを触れさせてから手渡して下さった。
教会へ行くと、王女様が倒れたと聞いた。王女様、と言っても、今はフィリアと呼ばないといけない。本人にも周りにも、まだ悟られないようにしなければ。
フィリアの部屋に行くと、見慣れない男が2人、いた。聞けば騎士団所属だという。今日が騎士団見習いの審査日だったのか?こんな若造が。
いや…しかしうまくいけば使えるかもしれないな。少し、様子を見るか。調べてもみよう。
教会の男手が減るな。そろそろ顔合わせをさせていくか。旧国民で森で生活している奴らを、教会に行かせるか。
そろそろ、バルグェン国が戦争を仕掛けるというから、ごたつくだろう。あと少しで、機は熟すだろう。
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