【完結】フィリアの見聞録〜どんな時でも楽しまないとね！だって私にはペンダントがあるもの〜

3人の旅立ち

ベス、クルト、モルクが騎士団見習いに入団する日となった。

その日は3人共、そわそわしていた。

モルクが、メルサと裏口で2人で話しているのを見かけた。話し掛けようと思ったけれど、なんとなく近寄らない方がいい雰囲気だったので、そっとしておいた。


｢やぁ。準備は出来たかな？｣

庭で、洗濯物を干していると声を掛けてきた。先日来てくれた2人で、ニックが話し掛けてきた。

｢いらっしゃい！3人共、ものすごくそわそわしているわよ。みんなとても頑張り屋なの。よろしくお願いしますね。｣
と、私は言って、ペコリとお辞儀をした。

｢分かっているよ。忙しい所ごめんね。案内してもらってもいいかな？｣
｢はい。｣
私は、干しかけの洗濯物が入っている籠を手に持って、案内しようとした。
すると、
｢あ、待って。その籠の中のもの、干すの？｣
と、レクラスさんが聞いてきた。

｢ええ。あとで干すわ。今日はこんなに天気がいいもの！｣
｢じゃあ、手伝うよ。それから案内してくれる？｣
え！それは有難いわ。

｢いいの？ありがとう！お願いします！｣
と私はニッコリと笑って言って、あと半分ほどあった籠の中のものを一緒に干してくれ、中へと案内した。


｢ベス、クルト、モルク！準備は出来た－？お迎えに来てくれたわよ！｣
と、入り口で大きな声を出す。

すると、少ししてシスターが出て来て、｢フィリア、大きな声を出しませんよ！お迎え、ありがとうございます。3人をよろしくお願いします。｣
と言った。

｢モルク！早くしろよ！｣
｢先に行ってるよ。｣
｢待ってよー！じゃあな！また！｣
と言う声と共に、ベス、モルク、クルトが出てきた。

｢フィリア姉ちゃん、無理すんなよ！｣
｢そうだよ。後継者育てて早く出て行きなよ。｣
｢フィリア姉ちゃん、一人で抱え込むなよ。｣
と私に声を掛けながら。

｢もう！ベス、クルト、モルク。みんなこそ無理しないように頑張っておいでよ。たまには帰ってきてもいいからね。｣
と私は一人一人の顔を見ながら言った。

｢では、行きましょうか。｣
ニックさんが言うと、
｢あ！警備っていつからしてくれるんですか？｣
とベスが言った。
｢ああ…それなんだけど…｣
と、レクラスさんがニックさんと顔を見合わせながら口を詰まらせた。
どうしたのかしら。やっぱりここを特別に警備するなんて無理よね。別にそんな事してもらわなくても、私がいるから大丈夫なのに、本当心配性よね。

｢やー間に合ったのかな？｣
と森の方から大きな声が聞こえた。
あの声は、おじさまだわ！この前はもう3人に会うのは最後だとか言われてたけれど、見送りに来て下さったのね！

｢おじさま！｣
私が声を掛ける。
｢あ、フィリア。元気だったかな？あれから何もなかったかい？｣
おじさまはいつもこの教会の事を気にして下さるから、本当にお優しいのね！

｢ええ！お見送りに来て下さったのね。ありがとう！｣
｢なんの。どうかなと思ってな。そうじゃ、男手が減るじゃろ。これからは、私の知り合いに顔を出すように言っておくからね。不審な奴と間違えないように、銀色で三日月のピアスを付けさせておくから。それで判断できるじゃろ。｣
まぁ！さすがだわ！

｢おじさま！大丈夫なの？いいのかしら。そうねぇ、確かに助かるけど…。｣
｢畑作りも手伝うように言っておくから。だけど、基本は自分達で管理できるほどにしておくんだよ。｣
｢ええ！分かっているわ。やりすぎは身を滅ぼすものね。｣

｢そうなのか。なら心配いらないよな？｣
と、ベン達も頷いている。良かったわ。これで安心して入団できるわね。
あら？ニックさんとレクラスさんがぼそぼそと話しているわ。暇させちゃったわねきっと。

｢さぁ！待たせてもいけないわよね、行ってらっしゃい。みんな気をつけてね。｣