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見習い
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「じゃあ自己紹介といこうか。」
赤い瞳の人が言った。
そういえば、私もあなた達の名前を聞いてなかったわ。
「僕は、ニック。騎士団所属だ。」
と金髪で赤い瞳の人が言って、この国の騎士の挨拶をした。左手を握って胸の高さに持ってきてから天高く腕を上げる挨拶だ。
「俺はレクラス。騎士団所属だ。」
と金髪で青い瞳の人が言って、同じく騎士の挨拶をした。
「さぁ、次は君達の番だよ。」
そう、ニックさんが言って、3人の顔を順番に見た。
「俺はベス。よろしくお願いします。」
「僕はクルト。よろしくお願いします。」
「俺はモルク。よろしくお願いします。」
と挨拶した。3人とも、騎士団と聞いて姿勢を正し、言葉遣いも丁寧にしたのだろう。私は、親心丸出しで、うんうんと頷いた。
「では、今からテストをしたい。その前に、騎士団に入りたいか希望を聞こう。まず、ベスから。」
そうまたニックさんが言った。先程からの事を考えるとどうやら、ニックさんがよく話すようだわ。
「はい!俺は、入りたいです!」
「僕は…どちらでも良いです。」
「はぁ?何言ってんだよ!クルトも入りたいって言ってたじゃないか!俺も入りたいです!」
あら。いつも、3人戦いごっこをしているからてっきり3人共騎士団に入りたいのかと思ったわ。
「だってさ…」
クルトはぼそぼそと話しにくそうに呟いた。
「なんだよ!」
とベスが詰め寄る。
「だって…僕達3人もいなくなったら、孤児院の守りが弱くなるじゃんか!」
クルト…。そんな事思ってたの。優しいわね。でも、クルトの本当の気持ちはどうなのかしら。
「ねぇ、クルトはどうしたいの?クルトの好きにしていいのよ。あなた達がいなくなっても私がいるから大丈夫よ。」
私は思わず近寄って声を掛けた。
「フィリア姉ちゃんは黙っててよ。姉ちゃんも強いけど、一応女だし一人しか戦えないじゃんか!あとはまだチビ達だし。僕は気づいてるんだ!もうすぐここも、戦場になる。敵国に攻められたら一番近いのはここだもんな。」
「まぁ…そうだけどよ…。」
「うん…」
と、クルトの声に、ベスとモルクも声が小さくなった。
「あら!ここが戦場になるわけないじゃない!」
私が負けじと言う。
「フィリア姉ちゃんは女だから気づかないんだよ!僕は分かるんだ!以前より、演習に来ている騎士団の人数が、増えているんだ。回数だって、前よりも来る回数が増えているし。だから、開戦は近いんだよ!」
そ、そう言われたらそうかも…え!?そうなの!?
私は思わず、騎士団に所属しているニックさんとレクラスさんの方を見た。
しかしさすが騎士なのか、二人とも顔の表情を変えない。そしてニヤリと笑ってニックさんが言った。
「なるほど…君はそういう風に分析したわけか。良いねぇ。」
「じゃあ、ここを警護対象にしよう。そうすればお前達は心置きなく見習いに専念できるな?」
と、レクラスさんも言った。
「や、警護対象なんてそんな!必要ないです!」
私は慌てて言った。けれど、レクラスさんがこちらを見て、頷いてみせた。もしかしたら、3人を納得させる為の優しい嘘かもしれないから、黙っている事にした。
赤い瞳の人が言った。
そういえば、私もあなた達の名前を聞いてなかったわ。
「僕は、ニック。騎士団所属だ。」
と金髪で赤い瞳の人が言って、この国の騎士の挨拶をした。左手を握って胸の高さに持ってきてから天高く腕を上げる挨拶だ。
「俺はレクラス。騎士団所属だ。」
と金髪で青い瞳の人が言って、同じく騎士の挨拶をした。
「さぁ、次は君達の番だよ。」
そう、ニックさんが言って、3人の顔を順番に見た。
「俺はベス。よろしくお願いします。」
「僕はクルト。よろしくお願いします。」
「俺はモルク。よろしくお願いします。」
と挨拶した。3人とも、騎士団と聞いて姿勢を正し、言葉遣いも丁寧にしたのだろう。私は、親心丸出しで、うんうんと頷いた。
「では、今からテストをしたい。その前に、騎士団に入りたいか希望を聞こう。まず、ベスから。」
そうまたニックさんが言った。先程からの事を考えるとどうやら、ニックさんがよく話すようだわ。
「はい!俺は、入りたいです!」
「僕は…どちらでも良いです。」
「はぁ?何言ってんだよ!クルトも入りたいって言ってたじゃないか!俺も入りたいです!」
あら。いつも、3人戦いごっこをしているからてっきり3人共騎士団に入りたいのかと思ったわ。
「だってさ…」
クルトはぼそぼそと話しにくそうに呟いた。
「なんだよ!」
とベスが詰め寄る。
「だって…僕達3人もいなくなったら、孤児院の守りが弱くなるじゃんか!」
クルト…。そんな事思ってたの。優しいわね。でも、クルトの本当の気持ちはどうなのかしら。
「ねぇ、クルトはどうしたいの?クルトの好きにしていいのよ。あなた達がいなくなっても私がいるから大丈夫よ。」
私は思わず近寄って声を掛けた。
「フィリア姉ちゃんは黙っててよ。姉ちゃんも強いけど、一応女だし一人しか戦えないじゃんか!あとはまだチビ達だし。僕は気づいてるんだ!もうすぐここも、戦場になる。敵国に攻められたら一番近いのはここだもんな。」
「まぁ…そうだけどよ…。」
「うん…」
と、クルトの声に、ベスとモルクも声が小さくなった。
「あら!ここが戦場になるわけないじゃない!」
私が負けじと言う。
「フィリア姉ちゃんは女だから気づかないんだよ!僕は分かるんだ!以前より、演習に来ている騎士団の人数が、増えているんだ。回数だって、前よりも来る回数が増えているし。だから、開戦は近いんだよ!」
そ、そう言われたらそうかも…え!?そうなの!?
私は思わず、騎士団に所属しているニックさんとレクラスさんの方を見た。
しかしさすが騎士なのか、二人とも顔の表情を変えない。そしてニヤリと笑ってニックさんが言った。
「なるほど…君はそういう風に分析したわけか。良いねぇ。」
「じゃあ、ここを警護対象にしよう。そうすればお前達は心置きなく見習いに専念できるな?」
と、レクラスさんも言った。
「や、警護対象なんてそんな!必要ないです!」
私は慌てて言った。けれど、レクラスさんがこちらを見て、頷いてみせた。もしかしたら、3人を納得させる為の優しい嘘かもしれないから、黙っている事にした。
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