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17. お知り合い?
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ダミアン兄様は外へ出て行き、暫く経ってから先程の男性を伴って屋敷へと戻って来た。
その時、私は自室で昼食までの間寛いでいたのだけれど、玄関ホールでざわざわと声が聞こえたので下りて行く事にした。
「分かっている。充分分かっているからお願いしたいのだ。せっかく来たのだから。」
「何を言っている。いきなり来たくせに。」
「いや、何度も手紙は送ったではないか。」
「ダミアン兄様?」
階段を下りる時に、何やら言い争うような声が聞こえたから、慌ててダミアン兄様に声を掛けた。
「ナタリア!?そのまま部屋にいてよかったんだよ。」
「やぁナタリア。先程はありがとう。ダミアンに伝えてくれたんだね、助かったよ。」
「ナタリアだって!?なぜ妹にそんな…!おま…!!」
「騒がしいな。どうした?」
お父様も声が聞こえたのかしら。執務室から出て来て、下りて来られたわ。
「どうも。ご無沙汰しております。」
「君は…?まさか!」
お父様もお知り合いなのね。ウカーシュ様を見てとても驚いているわ。
「オッホン!…ナタリア。今日は昼食は部屋でお願いできるか。それから、午後の予定はどうだった?」
「分かりました。予定ですか?午前行った領地とは別の場所へ行こうと思っておりました。」
お父様にそう聞かれたので、そう答えました。予定と言っても、必ずではないのですけれど。
「そうか、分かった。ゆっくり出発してくれ。もしかしたら、変更してもらうかもしれん。」
「はい、分かりました。その時は仰って下さいね。では、失礼致します。」
「ナタリア。またね。」
「おい!だから…!」
「まぁまぁ。ダミアン、そう目くじらを立てるな。」
私は、ウカーシュ様にそう言われたので、頭を下げてお辞儀をしてからまた自分の部屋へと戻り、食事をした。
ーーー
ーー
ー
昼食が終わり、紅茶を飲んでいるとお父様が部屋に来た。
「ナタリア。入ってもいいかい?」
「ええお父様。もちろんですわ。」
お父様は、私が座っていた窓際の椅子まで来たので、座ってもらった。
「ナタリア、確認したくて来たよ。ナタリアは、ウカーシュ様を覚えているかな?」
やはり、私も会った事あるのね?見覚えがあるような気がしたのよ。えっと…でもいつだったかしら。
私が領民以外の人と会うのは数えるほどしかないから…あ!
「随分前の、西湖で落馬した方?」
「ハハハ。彼にそう言ってやってごらん?ウカーシュ様はきっと恥ずかしそうにするから。」
そうお父様が笑ったので、私は言い方に気をつけないとと思ったわ。
でも、そうだったのね。あの落馬した時は本当に心配したけれど、元気で良かったわ。でも、あれから十年も経っているわ。何をしに来たのかしら。
「えと…それで?」
「アハハハ!ウカーシュ様は、ナタリアにお礼が言いたかったんだよ。ナタリアは、ウカーシュ様にお会いしてどうだった?」
お父様は、部屋に入って来られた時とは違ってとても嬉しそうに笑っているわ。どうされたのかしら。
「えと…どうと言われましても…元気そうで良かったなと。」
「そうかそうか!ナタリアは本当にいい子だ!見た目なんかには騙されない本質を見極められる素晴らしい子だ!」
うんうん、と一人頷いているわ。大丈夫かしら…?
「それでだ。ナタリア、ウカーシュ様がナタリアと一緒に出掛けたいと言うんだがどうする?」
「え!?私とですか?ダミアン兄様とではなく?」
ダミアン兄様に用があるとかで来られたのではなかったの?私と出掛けたいってなぜなのかしら。
「ナタリア。私はお前の意思を尊重したい。ウカーシュ様と二人で出掛けたくないのなら、行かなくていい。」
「…?お父様。私、申し訳ないですが意味が良く分かりませんの。なぜウカーシュ様は私と出掛けたいのかしら?ダミアン兄様とではないのですか?領地を見たいのでしょうか。」
「ふふふ。そうだよね。じゃあ一緒に下へ行こう。本人に直接、聞いてごらん。」
そう言うと、お父様は立ち上がり、私を促した。
その時、私は自室で昼食までの間寛いでいたのだけれど、玄関ホールでざわざわと声が聞こえたので下りて行く事にした。
「分かっている。充分分かっているからお願いしたいのだ。せっかく来たのだから。」
「何を言っている。いきなり来たくせに。」
「いや、何度も手紙は送ったではないか。」
「ダミアン兄様?」
階段を下りる時に、何やら言い争うような声が聞こえたから、慌ててダミアン兄様に声を掛けた。
「ナタリア!?そのまま部屋にいてよかったんだよ。」
「やぁナタリア。先程はありがとう。ダミアンに伝えてくれたんだね、助かったよ。」
「ナタリアだって!?なぜ妹にそんな…!おま…!!」
「騒がしいな。どうした?」
お父様も声が聞こえたのかしら。執務室から出て来て、下りて来られたわ。
「どうも。ご無沙汰しております。」
「君は…?まさか!」
お父様もお知り合いなのね。ウカーシュ様を見てとても驚いているわ。
「オッホン!…ナタリア。今日は昼食は部屋でお願いできるか。それから、午後の予定はどうだった?」
「分かりました。予定ですか?午前行った領地とは別の場所へ行こうと思っておりました。」
お父様にそう聞かれたので、そう答えました。予定と言っても、必ずではないのですけれど。
「そうか、分かった。ゆっくり出発してくれ。もしかしたら、変更してもらうかもしれん。」
「はい、分かりました。その時は仰って下さいね。では、失礼致します。」
「ナタリア。またね。」
「おい!だから…!」
「まぁまぁ。ダミアン、そう目くじらを立てるな。」
私は、ウカーシュ様にそう言われたので、頭を下げてお辞儀をしてからまた自分の部屋へと戻り、食事をした。
ーーー
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昼食が終わり、紅茶を飲んでいるとお父様が部屋に来た。
「ナタリア。入ってもいいかい?」
「ええお父様。もちろんですわ。」
お父様は、私が座っていた窓際の椅子まで来たので、座ってもらった。
「ナタリア、確認したくて来たよ。ナタリアは、ウカーシュ様を覚えているかな?」
やはり、私も会った事あるのね?見覚えがあるような気がしたのよ。えっと…でもいつだったかしら。
私が領民以外の人と会うのは数えるほどしかないから…あ!
「随分前の、西湖で落馬した方?」
「ハハハ。彼にそう言ってやってごらん?ウカーシュ様はきっと恥ずかしそうにするから。」
そうお父様が笑ったので、私は言い方に気をつけないとと思ったわ。
でも、そうだったのね。あの落馬した時は本当に心配したけれど、元気で良かったわ。でも、あれから十年も経っているわ。何をしに来たのかしら。
「えと…それで?」
「アハハハ!ウカーシュ様は、ナタリアにお礼が言いたかったんだよ。ナタリアは、ウカーシュ様にお会いしてどうだった?」
お父様は、部屋に入って来られた時とは違ってとても嬉しそうに笑っているわ。どうされたのかしら。
「えと…どうと言われましても…元気そうで良かったなと。」
「そうかそうか!ナタリアは本当にいい子だ!見た目なんかには騙されない本質を見極められる素晴らしい子だ!」
うんうん、と一人頷いているわ。大丈夫かしら…?
「それでだ。ナタリア、ウカーシュ様がナタリアと一緒に出掛けたいと言うんだがどうする?」
「え!?私とですか?ダミアン兄様とではなく?」
ダミアン兄様に用があるとかで来られたのではなかったの?私と出掛けたいってなぜなのかしら。
「ナタリア。私はお前の意思を尊重したい。ウカーシュ様と二人で出掛けたくないのなら、行かなくていい。」
「…?お父様。私、申し訳ないですが意味が良く分かりませんの。なぜウカーシュ様は私と出掛けたいのかしら?ダミアン兄様とではないのですか?領地を見たいのでしょうか。」
「ふふふ。そうだよね。じゃあ一緒に下へ行こう。本人に直接、聞いてごらん。」
そう言うと、お父様は立ち上がり、私を促した。
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