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11. 公務で アリツィア王女視点
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「あなた…何様のつもり!?言葉遣いもきちんと出来ないわけ!!!?他の人達はちゃんと言葉遣い出来るわよ!?」
私は、アリツィア=ザルーツ。この国の王女よ。八歳で一人前に公務を任されたのよ、誉れでしょう?それなのに、なんなの!?あの男!
今回の公務は、簡単にいえば挨拶ね。
西隣のコンガレン国の第二王女であるカリッツァ王女は、このザルーツ国を通って東隣の嫁ぎ先であるスバトゥース国へ向かうの。
このザルーツ国を通る際に、私達王族が挨拶をする。それが公務の内容だった。
私は東のスバトゥース国との国境で、中立国である我がザルーツ国を通って自国へと帰るコンガレン国の一行に対し、私が『我が国へようこそ。お気を付けてお帰り下さい。』と挨拶するという公務に出掛ける事になった。
コンガレン国の一行が行きに来たときは、フランチシェク兄様が『我が国へようこそ。お気を付けて行ってらっしゃい。』と挨拶しに行ったのよ。
(面倒だわ。通るなら、勝手に通ればいいのに。)
そう思うけれど、我がザルーツ国は中立国であり、イノリコがいて国を守ってくれているから何も心配はないと思うのだけれど、昔からのしきたりらしい。
コンガレン国は、敬意を表して我が国を通る。
ザルーツ国も、敬意を表してコンガレン国の通行を許可する。
(本当、バカバカしいわ。)
でも、この公務の為に、新しい衣装を着て馬車に乗り、景色を楽しむのは嫌いではないからやるしかないわね。ま、王族の勤めだもの。
今回も、王立騎士団とイノリコが伴って行くらしいわ。
私が乗る馬車を挟んで、前に王立騎士団の第一騎馬部隊。後ろにイノリコ五人を乗せた馬車、歩きの騎士団、その後ろに第二騎馬部隊と並んで行くの。
フランチシェク兄様が行った時にお見送りしたけれど、その長い一行は惚れ惚れするくらいとても格好いいのよね。
今回はその中に、私も一員として名を連ねているのよ!もう、一人前ね!!
なのに!この私に向かって、敬意を表さない言葉遣いをしたイノリコがいたの!!イノリバでどういう教育を受けてきたのかしら!?
私が注意をしたら、さすがに謝ってくると思ったのにまさかの反論をしてきたわ!しかも…悪気、なさそうよね…毒気が抜かれたわ。
「…あなた、名前は?」
「オレ?オレはピオトル!よろしくな!アリツィア王女、もしかして、こんな気軽に話しかけてくる奴なんていないんじゃないか?それじゃ淋しいだろ?オレが話し相手になってやるからよ。気安い相手が誰もいないと、人生つまらないだろ?」
そんな風に返してきたのよ!!
…でも、確かにそうかもしれない。
私は、敬われるべき王族だもの。今まで私に気安く話しかけてくる人なんていなかったし、言い合いが出来る相手なんていなかったわ。
気安い仲なんて、フランチシェク兄様位だけれど、お兄様も最近は公務だとかでスバトゥース国へよく行ったりしていてそんなに会えるわけでもないものね。
気安く話し掛け合う間柄の友人なんて、高貴なる王族は必要ないと思っていたけれど…いたら確かに楽しいのかもしれないわ。
「…ではピオトル。私の馬車に一緒に乗りなさい。光栄に思うのよ?」
「ホントか?ラッキー!ホント光栄だぜ!だって馬車に五人詰め込まれるって、狭いと思ってたんだよ!ありがとな!アリツィア王女!いやー、優しいぜ!」
はぁー!?そういう意味じゃないのよ!私と乗れて光栄でしょ?そうでしょ?
私は、アリツィア=ザルーツ。この国の王女よ。八歳で一人前に公務を任されたのよ、誉れでしょう?それなのに、なんなの!?あの男!
今回の公務は、簡単にいえば挨拶ね。
西隣のコンガレン国の第二王女であるカリッツァ王女は、このザルーツ国を通って東隣の嫁ぎ先であるスバトゥース国へ向かうの。
このザルーツ国を通る際に、私達王族が挨拶をする。それが公務の内容だった。
私は東のスバトゥース国との国境で、中立国である我がザルーツ国を通って自国へと帰るコンガレン国の一行に対し、私が『我が国へようこそ。お気を付けてお帰り下さい。』と挨拶するという公務に出掛ける事になった。
コンガレン国の一行が行きに来たときは、フランチシェク兄様が『我が国へようこそ。お気を付けて行ってらっしゃい。』と挨拶しに行ったのよ。
(面倒だわ。通るなら、勝手に通ればいいのに。)
そう思うけれど、我がザルーツ国は中立国であり、イノリコがいて国を守ってくれているから何も心配はないと思うのだけれど、昔からのしきたりらしい。
コンガレン国は、敬意を表して我が国を通る。
ザルーツ国も、敬意を表してコンガレン国の通行を許可する。
(本当、バカバカしいわ。)
でも、この公務の為に、新しい衣装を着て馬車に乗り、景色を楽しむのは嫌いではないからやるしかないわね。ま、王族の勤めだもの。
今回も、王立騎士団とイノリコが伴って行くらしいわ。
私が乗る馬車を挟んで、前に王立騎士団の第一騎馬部隊。後ろにイノリコ五人を乗せた馬車、歩きの騎士団、その後ろに第二騎馬部隊と並んで行くの。
フランチシェク兄様が行った時にお見送りしたけれど、その長い一行は惚れ惚れするくらいとても格好いいのよね。
今回はその中に、私も一員として名を連ねているのよ!もう、一人前ね!!
なのに!この私に向かって、敬意を表さない言葉遣いをしたイノリコがいたの!!イノリバでどういう教育を受けてきたのかしら!?
私が注意をしたら、さすがに謝ってくると思ったのにまさかの反論をしてきたわ!しかも…悪気、なさそうよね…毒気が抜かれたわ。
「…あなた、名前は?」
「オレ?オレはピオトル!よろしくな!アリツィア王女、もしかして、こんな気軽に話しかけてくる奴なんていないんじゃないか?それじゃ淋しいだろ?オレが話し相手になってやるからよ。気安い相手が誰もいないと、人生つまらないだろ?」
そんな風に返してきたのよ!!
…でも、確かにそうかもしれない。
私は、敬われるべき王族だもの。今まで私に気安く話しかけてくる人なんていなかったし、言い合いが出来る相手なんていなかったわ。
気安い仲なんて、フランチシェク兄様位だけれど、お兄様も最近は公務だとかでスバトゥース国へよく行ったりしていてそんなに会えるわけでもないものね。
気安く話し掛け合う間柄の友人なんて、高貴なる王族は必要ないと思っていたけれど…いたら確かに楽しいのかもしれないわ。
「…ではピオトル。私の馬車に一緒に乗りなさい。光栄に思うのよ?」
「ホントか?ラッキー!ホント光栄だぜ!だって馬車に五人詰め込まれるって、狭いと思ってたんだよ!ありがとな!アリツィア王女!いやー、優しいぜ!」
はぁー!?そういう意味じゃないのよ!私と乗れて光栄でしょ?そうでしょ?
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