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莉菜は、振られたんだって。

でも、清々しい顔をしていた。

「クリスマスの日は、目が腫れるほど泣いたわ。でも、伝えられたのはよかったと思う。部活はまだまだあるから顔を合わせるけれど、いいの!」

そう言って笑った莉菜は、前を向いていた。


「私も、頑張っちゃおうかなぁ…。」

ポツリ。呟くと、花歩が、私の小さな声を拾って言った。

「本当!?じゃあバレンタイン、渡そうよ!!私も渡す!莉菜に影響されちゃったわ。ね、そうしよ?」

「えー、二人がするなら私も渡そうかなぁ…。気づいてもらいたいし。」

そう聡実も言った。

気づいてもらいたい、そうね。こうやって想っていて、毎日元気をもらっていますって気づいてもらいたい。

だって、見られているはずはないのに、部活でもなんでも、良いところ見せたいって張り切っちゃうんだもの。







バレンタイン当日。

学校にはチョコレートを持って来れないから、授業が終わったら一度家に帰り、四人で集合して渡しに行く事にした。莉菜は、付いて来てくれるらしい。

「私関係ないのにドキドキするー!」
「やばいね!」
「どうする?呼び出す?」


私達はあれから、どう渡すかを話し合い、結局家を調べて届ける事にした。

好きな人と校区が同じ友達に、それとなく話して家を教えてもらったのだ。

学校で渡せたらそんな事しなくてもいいのにと思ったけれど、学校で渡すのも誰かに見られたら恥ずかしいし、やっぱり帰ってからのがいいかと思い直した。




花歩は、呼び鈴を押して呼び出して渡していた。
その間、私達は影から見守っていた。

「やったよ!もらってくれた!」

「それで?付き合うの?」

莉菜がワクワクした顔で聞いた。

「え?…うーん、分からない。もらってくれただけで…。」

なんと、『受け取って下さい!』って渡しただけで帰って来たみたい。

「そっか!でもよかったじゃん!もらってくれたならきっと!ホワイトデーを楽しみにしてたら?」
「そうだよ!」
「お疲れ!よかったね!」



聡実は、手紙を書いて家の郵便受けへ。呼び出す事はやはり出来なかったみたい。

私も、呼び鈴鳴らそうかとも思ったけれど、十分程悩んで結局、手紙を書いて家の郵便受けに入れた。


「お疲れ!渡すのが出来たんだもん、みんな偉い!頑張った!!」

そう、莉菜が言ってくれた。なんだか涙が出て来た。
花歩みたいに、好きな人と何度も話したり遊んだりはしていない。でも、気持ちを伝える事が出来た、それだけでなんだか大人になった気分がした。

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