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連れて行かれた先で
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「私はヤーバント=アロルドと申します。これから私の事を父であり師と思って下さい。いいですね、私の言葉は絶対ですから。」
そのように、馬車に乗る前に迎えに来た男性に言われたアルサイドであったが、浮かれていて話半分で聞いていた。その為、名前すら覚えていなかった。
(俺が、国の為に必要だって…!すげーじゃん!!
今までの生活とは比べ物にならないくらいイイ生活が出来る予感がするぜ!)
豪華絢爛な馬車に生まれて初めて乗ったアルサイドは、あまりの乗り心地の良さに初めは敷物を叩いたり背もたれにあるクッションに何度も背中を押し付けたりと興奮していたがだんだんとやる事が無くなり、目の前の男性に話しかける事にした。
「ねぇおっさん。俺、国王様に会うのか?」
「…まだ、今のままではお会いになれませんね。
そうですね…一ヶ月猶予を与えます。そこで、礼儀作法から教えますから、きちんと叩き込んで下さい。無礼を働きますと、ご自身の命に関わりますから。」
「うへー、なんだそれ?今からすぐに会うのかと思ったぜ。
命に関わる?そんな大げさな事言わないでくれよ、ま、俺はそんな事言われても怖くも何ともないけどな!」
「…アルサイド様、大袈裟ではありませんよ。国を治めて下さる偉大なお方にはおいそれとお会いになれません。礼儀がなっていなければ、その場で斬り殺されても文句は言えないのです。」
「そ、そうなんだ……でも、俺は奇跡の聖人なんだろ?だったら斬り殺したら国の為に働けないぜ?」
「ですから、そうならない為に一ヶ月でしっかりと諸々覚えていただき、なるべく早く国王様にお会いしていただきたいのです。
…さ、馬車が着くのはまだずいぶんと先ですから、それまではゆっくりと体を休めていて下さい。着きましたら早速、学んでいただきます。時間は無駄には出来ませんのでね。」
そういうと、目の前の男性はまた小窓へと視線を移し、口を閉ざしてしまった。
ーーー
ーー
ー
☆★
【○月×日
なんという事だ。数年前に耳にした噂を調べ、半信半疑で田舎へとやってきたが、これほどまでに教育が必要とは…!!
すぐに国王様に紹介しようとしていたのだが、あの様子ではだめだ。
奇跡の聖人を見つけたのであれば、昇格も約束されたはずであったのに、手筈を整えてからでなければ逆に降格、いやそれだけでは済まないかもしれぬ…。無礼を働けば最悪、家のとり潰しにならないとも限らない。いやはや、一ヶ月で取り繕う事が出来ればいいが……。】
☆★
【○月×△日
田舎の少年を我が屋敷で教育して二週間。やっと作法は身に付いて来たようだ。言葉遣いはまだ粗野な時もあるが、だいぶ改善されたであろう。謁見の時には、粗相が無いといいのだが。
それよりも心配なのは、本当に奇跡の聖人であるのか…?噂では、雷に当たってもケロリとしていたそうな。それに加え、後光が差していたとも聞いたぞ。
なのに、雷を出す事が出来ないとは…。まぁ、過疎な地域であったから、自身の力を引き出す鍛錬など、教える者も居らずやった事もないだろうから、これから鍛錬すればすぐに発揮されるであろうが…。しかし、礼儀作法やなんかは我が屋敷で何とか出来るが、魔力鍛錬は王宮内の機関で専門的に学ぶしかないからな……大丈夫であろうな……?そこで教えるとはいっても、実際に使える者はもうほとんどいないらしく、だから昔の文献を元に、魔力鍛錬を学ばせるらしいが………果たして…。
いや、大丈夫でなければ困る!国王様にはすでに話を通してあるのだから。さぞ期待されているであろう。この少年の話を聞いた時からすでに、私の、いや国の運命は動き出してしまっているのだから………!!】
ーーー
ーー
ー
☆★
そして、どうにか一ヶ月後、アルサイドは国王と対面し、無事に王宮内で奇跡の聖人として生活する事を許されたのである。
(やったぜ!こんな豪華な部屋が俺の部屋だなんてよー!
あのじぃさんの家もびっくりするほど大きかったが、王宮は比べ物にならないほどだぜ!迷子にならないようにしないとな。って、俺にはいつもお供がつくから大丈夫か!!
明日から、『雷の鍛錬をする』って言われたけど、何をするんだろ。前も、『雷を出して』と家庭教師の先生とじぃさんに言われたけど、雷って、空の稲光の事だろ?出せるわけねぇじゃん!
…あ、それを学ぶのか!学んだら、雷を簡単に出せるようになるんだな、きっと!なんてったって、俺は奇跡の聖人なんだからよ!)
アルサイドは、自分が奇跡の聖人であるから、国王から二言三言声を掛けられただけでいとも簡単に王宮へ住む事を許されたと思っている為、そのように楽観的に思うのであった。
そのように、馬車に乗る前に迎えに来た男性に言われたアルサイドであったが、浮かれていて話半分で聞いていた。その為、名前すら覚えていなかった。
(俺が、国の為に必要だって…!すげーじゃん!!
今までの生活とは比べ物にならないくらいイイ生活が出来る予感がするぜ!)
豪華絢爛な馬車に生まれて初めて乗ったアルサイドは、あまりの乗り心地の良さに初めは敷物を叩いたり背もたれにあるクッションに何度も背中を押し付けたりと興奮していたがだんだんとやる事が無くなり、目の前の男性に話しかける事にした。
「ねぇおっさん。俺、国王様に会うのか?」
「…まだ、今のままではお会いになれませんね。
そうですね…一ヶ月猶予を与えます。そこで、礼儀作法から教えますから、きちんと叩き込んで下さい。無礼を働きますと、ご自身の命に関わりますから。」
「うへー、なんだそれ?今からすぐに会うのかと思ったぜ。
命に関わる?そんな大げさな事言わないでくれよ、ま、俺はそんな事言われても怖くも何ともないけどな!」
「…アルサイド様、大袈裟ではありませんよ。国を治めて下さる偉大なお方にはおいそれとお会いになれません。礼儀がなっていなければ、その場で斬り殺されても文句は言えないのです。」
「そ、そうなんだ……でも、俺は奇跡の聖人なんだろ?だったら斬り殺したら国の為に働けないぜ?」
「ですから、そうならない為に一ヶ月でしっかりと諸々覚えていただき、なるべく早く国王様にお会いしていただきたいのです。
…さ、馬車が着くのはまだずいぶんと先ですから、それまではゆっくりと体を休めていて下さい。着きましたら早速、学んでいただきます。時間は無駄には出来ませんのでね。」
そういうと、目の前の男性はまた小窓へと視線を移し、口を閉ざしてしまった。
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【○月×日
なんという事だ。数年前に耳にした噂を調べ、半信半疑で田舎へとやってきたが、これほどまでに教育が必要とは…!!
すぐに国王様に紹介しようとしていたのだが、あの様子ではだめだ。
奇跡の聖人を見つけたのであれば、昇格も約束されたはずであったのに、手筈を整えてからでなければ逆に降格、いやそれだけでは済まないかもしれぬ…。無礼を働けば最悪、家のとり潰しにならないとも限らない。いやはや、一ヶ月で取り繕う事が出来ればいいが……。】
☆★
【○月×△日
田舎の少年を我が屋敷で教育して二週間。やっと作法は身に付いて来たようだ。言葉遣いはまだ粗野な時もあるが、だいぶ改善されたであろう。謁見の時には、粗相が無いといいのだが。
それよりも心配なのは、本当に奇跡の聖人であるのか…?噂では、雷に当たってもケロリとしていたそうな。それに加え、後光が差していたとも聞いたぞ。
なのに、雷を出す事が出来ないとは…。まぁ、過疎な地域であったから、自身の力を引き出す鍛錬など、教える者も居らずやった事もないだろうから、これから鍛錬すればすぐに発揮されるであろうが…。しかし、礼儀作法やなんかは我が屋敷で何とか出来るが、魔力鍛錬は王宮内の機関で専門的に学ぶしかないからな……大丈夫であろうな……?そこで教えるとはいっても、実際に使える者はもうほとんどいないらしく、だから昔の文献を元に、魔力鍛錬を学ばせるらしいが………果たして…。
いや、大丈夫でなければ困る!国王様にはすでに話を通してあるのだから。さぞ期待されているであろう。この少年の話を聞いた時からすでに、私の、いや国の運命は動き出してしまっているのだから………!!】
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そして、どうにか一ヶ月後、アルサイドは国王と対面し、無事に王宮内で奇跡の聖人として生活する事を許されたのである。
(やったぜ!こんな豪華な部屋が俺の部屋だなんてよー!
あのじぃさんの家もびっくりするほど大きかったが、王宮は比べ物にならないほどだぜ!迷子にならないようにしないとな。って、俺にはいつもお供がつくから大丈夫か!!
明日から、『雷の鍛錬をする』って言われたけど、何をするんだろ。前も、『雷を出して』と家庭教師の先生とじぃさんに言われたけど、雷って、空の稲光の事だろ?出せるわけねぇじゃん!
…あ、それを学ぶのか!学んだら、雷を簡単に出せるようになるんだな、きっと!なんてったって、俺は奇跡の聖人なんだからよ!)
アルサイドは、自分が奇跡の聖人であるから、国王から二言三言声を掛けられただけでいとも簡単に王宮へ住む事を許されたと思っている為、そのように楽観的に思うのであった。
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