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「これ、お願い!!」
フレイチェが食べ終えた使用済みの食器類を厨房に運ぼうとしていたヘリーは、廊下の清掃をしようとしていた侍女にワゴンを半ば押し付けるように渡すと、ランメルトを探しに行った。
「失礼致します!!」
扉を叩くのもそこそこに、侯爵当主の執務室の部屋を開けようとしたヘリーは、鍵が掛かっているのを見るやらしくもなく舌打ちをする。そして、今日のランメルトの予定は何だったかと考え、次に居そうな場所へと急いだ。
この屋敷は広い。中央に建つ本棟と、左右に回廊続きで繋がる東棟と西棟、それに少し離れた奥に別棟がある。
その中の西棟へと向かい、階段を上がった所でランメルトの声が聞こえた。
「…という感じで進めてくれ。」
「よろしいのですね?」
「あぁ、よろしく頼む。」
ここは、前侯爵…つまり、昨日突然亡くなったクラースの部屋へと続く廊下。そのクラースの寝室部屋から出ようとしていたランメルトが、部屋の中にいるクラース付きの侍従と話をしていた。そして、扉を閉めて廊下をヘリーの方へと歩いて来ていた。
「ランメルト様!!」
普段より、大きな声を出すヘリー。真面目な性格で、侯爵家の侍女という礼儀作法に厳しい職場での仕事ぶりはランメルトだけでなく他の使用人仲間も認めている。だが、今、礼儀を忘れたかのように廊下を走り、大声を出している為皆、ギョッとしてヘリーを見た。
「ヘリーか?どうした!?」
ヘリーはフレイチェ付きの侍女。そんな侍女がここに来るとは、フレイチェに何かあったのかとランメルトは気色ばむ。
「無作法をお許し下さい!ですが、一刻も早くお知らせした方がよろしいかと思いまして、ランメルト様を探しておりました。」
「どうした!フレイチェに何かあったのか!?」
「いえ…そうではありません。ですが…」
ヘリーは、こんな誰が聞いているかもしれない廊下で話すべき事ではないと今さらながら口ごもる。
それを見てランメルトは、フレイチェに何か危険な事があったわけではないならと声を落として伝える。
「では、父上の書斎へ行こう。」
「はい!!」
ヘリーは、落とさないように手にしているハンカチに包んだ万年筆を確認するように握り、ランメルトと共にすぐ傍の部屋の書斎に向かった。
☆★
クラースの書斎は、寝室の二つ隣の部屋となっており、そこに入ると、すぐにランメルトは話を促す。
「それで、何かあったかのか?」
「はい、それが…」
ヘリーは手にしていたハンカチをランメルトの目の前に差し出し、畳まれたハンカチを開いて中にある潰れた万年筆を見せた。
「これは?…!!」
じっと万年筆を見るやすぐに何やら気づき、ヘリーへと視線を向けるランメルト。
「はい。潰れてはいますが、これはクラース様のかと。」
クラースは、妻であるカトリーナから贈られたその万年筆を、肌身離さず持っていた。そしてそれはオルストールン家の誰もが知っていた。蓋の先端には宝石が付いており、胸ポケット等に引っ掛けられるようになっている蓋部分には名前も彫られている為、唯一無二のものだ。今は、踏まれて潰れている為、宝石は取れ掛かっており、名前も歪んではいるが読み取れなくはない。
「何処にあった?」
普段であればクラースは、胸ポケットに入れて持ち歩いているが、亡くなった時には持っていなかったのだ。
「それが…」
ヘリーは、先ほどフレイチェから聞いた話をそのままランメルトへと伝えた。
「…そうか。やはり、直接聞いてみるか。」
「直接、ですか?」
「あぁ。葬儀を明日執り行う。そこでこれを見せるとしよう。
だが、それには人の出入りもあるしフレイチェにも話さないといけないな。
だが、フレイチェより先にイサと、イェレを呼んでくれ。まだ父上の寝室にいるはずだ。二人にも話しておこう。」
「承知致しました。では。」
「ヘリー、良くやった。これで上手くいけば、父上を殺した犯人が分かるかもしれない。」
「勿体ないお言葉、心から感謝申し上げます。」
ランメルトに褒められたヘリーは、すでに表情を表に出さない完璧な侍女に戻っており、侯爵家の侍女として見本となるお辞儀をしてから、クラースの書斎を出た。
☆★
一方、フレイチェはやる事も無く外の景色を見ようと窓辺に立った。
庭園へと視線を向けると、また先ほどのつばの広い帽子を被りワンピースを着ているように見える霊を見つけた。
(ここは、霊が多いのね。…て、侯爵家の方が代々住んでいる場所だからかしら?)
フレイチェはそう思い、その人を見ている。と、その霊は屋敷を見ているのか、先ほどからずっとそこから動かずにいたのかベンチに座りじっとしていた。その霊は、昨夜見掛けた霊とは違い、足全体が透けている。
フレイチェは近づいてみたくなり、どうしようと考える。
(あの人も、きっと未練があるのね。もう少し近くで見る事は出来るかしら?)
とは言え、部屋から出ていいのか迷うフレイチェ。先ほど、ヘリーに刺繍の支度をしてくると言われたからだ。
(廊下にでもいるかしら?)
フレイチェは、ヘリーがいたら庭に出て良いか聞いてみようと、窓辺から離れて部屋を出、廊下を覗いた。
(…誰も居ないわ。)
シーンと静まり返った廊下は、湖の別邸を思い出す。が、あちらは森の中でもあり、鳥達の囀りや木々が葉を揺らす音、時折湖に降り立つ鳥達の水音など自然の音が賑やかだった。だが、今、廊下は誰も姿が無く、屋敷が広いからか音も聞こえない。
(うーん…下に行けば誰かいるかもしれないわね。)
そう思い、フレイチェは階段から下を覗くが、やはり静かであった。
(どうしよう…誰か居れば言づけようと思ったのだけれど。
でも、ここまで来てしまったし別に庭に出るくらい別にいいわよね?)
そう解釈し、下へと降り、階段の横から外に続く扉が空いていたためそちらから庭に視線を向けた。
(広い…!)
窓から見るよりも、ずっと広く感じたフレイチェは、キョロキョロと辺りを見回し、やはり誰も居ないのを確認すると、心の中で勝手に庭に踏み込む事に謝罪すると足を踏み入れた。
手入れされた芝生ではなく、石畳で舗装された道を進み、噴水の前のベンチに腰掛けた。隣には、先ほど窓から見た帽子を被った女性がいる。フレイチェは、視線をそちらに向け声を掛けた。
「こんにちは。素敵なお庭ですね。」
すると、その女性はフレイチェへと視線を向け、驚いた顔をする。
フレイチェは、思ったよりも若くてとても綺麗な顔だと思った。
《え?…あなた、私が見えるの?》
「はい。私は、フレイチェと申します。昨日から、こちらにお邪魔しております。」
《まぁ!そう、そうなのね…。ランメルトをよろしくね。》
ふわりと優しそうに、でも切なそうに微笑むその顔に、フレイチェも胸が締め付けられそうになりながら頷いた。
亡くなった人は、心残りがあると霊となってこの世に留まるのだ。だから、この女性はランメルトとどのような関係かは分からないが、ランメルトの事を大切に思っていて、でも自分では何も出来ないというもどかしさがあるのだろうと思ったのだ。
フレイチェは、霊と会話する時、切なくなるのが大半であったが、自分に出来る事があればと声を掛けているのだ。
「はい。私に出来る精一杯を、させていただきます。」
《ありがとう!ランメルトはきっと今、とても淋しいと思うのよ。
…でも、こんな人獣の巣窟なんかにお嫁に来てくれるなんて…なんていうか、ごめんなさいね。可愛らしいお嬢さんなのに。》
「え?じんじゅうのそうくつ、ですか?」
《そうよ、だってほら。人の皮を被った獣だらけだもの。
見て?お屋敷、広いのに使用人が少ないでしょう?雇う人が信用出来るか分からないから、なかなか人を増やせないのよ。》
「はぁ……」
(確かに、ここまで来るのに使用人に会ってないわ。でも…人の皮を被った獣って?そんなに恐ろしい人がたくさんいるのかしら?)
フレイチェはそう言われても、今まで住んでいた別邸では使用人がフェベとブレフトで、それが少ないのか多いのか今まで気にした事も無かった。本邸では確かに使用人はたくさんいたような気もするが、五歳までの記憶でありあまり覚えていなかった為、良く分からず、曖昧な返事をするしかなく、また〝人の皮を被った獣〟の意味がどういう事なのか考える。
《…あら。フレイチェさん、呼ばれてるわね。》
「え?…あ!」
遠くから、風に乗ってヘリーの声が聞こえてくる。フレイチェを探しているのだ。
《ふふ…お行きなさい?
久々に誰かとお話出来て楽しかったわ!ありがとう。》
「こちらこそ、ありがとうございます!またお話してもいいですか?」
《まぁ!嬉しいわ!!うふふ、またね!》
「はい。
…ヘリー!勝手に出て来てごめんなさい。」
フレイチェはそう隣の霊に言うと、立ち上がり屋敷の方から走ってくるヘリーに声を掛ける。
「フレイチェ様!!ああ!よう御座いました…いえ!ご無事ならいいのです!部屋に行ったらいらっしゃらないものですから驚きました。
戻りましょう、ランメルト様がお呼びです。」
焦ったように掛けてきたヘリーは、フレイチェの無事を確認すると、続いて周りを見回し誰もいない事を確認してそう言った。
「あら、それは急がないといけないわね。ヘリー、探させてごめんなさいね。」
ヘリーのその声に、フレイチェは素直に従ったのだった。
フレイチェが食べ終えた使用済みの食器類を厨房に運ぼうとしていたヘリーは、廊下の清掃をしようとしていた侍女にワゴンを半ば押し付けるように渡すと、ランメルトを探しに行った。
「失礼致します!!」
扉を叩くのもそこそこに、侯爵当主の執務室の部屋を開けようとしたヘリーは、鍵が掛かっているのを見るやらしくもなく舌打ちをする。そして、今日のランメルトの予定は何だったかと考え、次に居そうな場所へと急いだ。
この屋敷は広い。中央に建つ本棟と、左右に回廊続きで繋がる東棟と西棟、それに少し離れた奥に別棟がある。
その中の西棟へと向かい、階段を上がった所でランメルトの声が聞こえた。
「…という感じで進めてくれ。」
「よろしいのですね?」
「あぁ、よろしく頼む。」
ここは、前侯爵…つまり、昨日突然亡くなったクラースの部屋へと続く廊下。そのクラースの寝室部屋から出ようとしていたランメルトが、部屋の中にいるクラース付きの侍従と話をしていた。そして、扉を閉めて廊下をヘリーの方へと歩いて来ていた。
「ランメルト様!!」
普段より、大きな声を出すヘリー。真面目な性格で、侯爵家の侍女という礼儀作法に厳しい職場での仕事ぶりはランメルトだけでなく他の使用人仲間も認めている。だが、今、礼儀を忘れたかのように廊下を走り、大声を出している為皆、ギョッとしてヘリーを見た。
「ヘリーか?どうした!?」
ヘリーはフレイチェ付きの侍女。そんな侍女がここに来るとは、フレイチェに何かあったのかとランメルトは気色ばむ。
「無作法をお許し下さい!ですが、一刻も早くお知らせした方がよろしいかと思いまして、ランメルト様を探しておりました。」
「どうした!フレイチェに何かあったのか!?」
「いえ…そうではありません。ですが…」
ヘリーは、こんな誰が聞いているかもしれない廊下で話すべき事ではないと今さらながら口ごもる。
それを見てランメルトは、フレイチェに何か危険な事があったわけではないならと声を落として伝える。
「では、父上の書斎へ行こう。」
「はい!!」
ヘリーは、落とさないように手にしているハンカチに包んだ万年筆を確認するように握り、ランメルトと共にすぐ傍の部屋の書斎に向かった。
☆★
クラースの書斎は、寝室の二つ隣の部屋となっており、そこに入ると、すぐにランメルトは話を促す。
「それで、何かあったかのか?」
「はい、それが…」
ヘリーは手にしていたハンカチをランメルトの目の前に差し出し、畳まれたハンカチを開いて中にある潰れた万年筆を見せた。
「これは?…!!」
じっと万年筆を見るやすぐに何やら気づき、ヘリーへと視線を向けるランメルト。
「はい。潰れてはいますが、これはクラース様のかと。」
クラースは、妻であるカトリーナから贈られたその万年筆を、肌身離さず持っていた。そしてそれはオルストールン家の誰もが知っていた。蓋の先端には宝石が付いており、胸ポケット等に引っ掛けられるようになっている蓋部分には名前も彫られている為、唯一無二のものだ。今は、踏まれて潰れている為、宝石は取れ掛かっており、名前も歪んではいるが読み取れなくはない。
「何処にあった?」
普段であればクラースは、胸ポケットに入れて持ち歩いているが、亡くなった時には持っていなかったのだ。
「それが…」
ヘリーは、先ほどフレイチェから聞いた話をそのままランメルトへと伝えた。
「…そうか。やはり、直接聞いてみるか。」
「直接、ですか?」
「あぁ。葬儀を明日執り行う。そこでこれを見せるとしよう。
だが、それには人の出入りもあるしフレイチェにも話さないといけないな。
だが、フレイチェより先にイサと、イェレを呼んでくれ。まだ父上の寝室にいるはずだ。二人にも話しておこう。」
「承知致しました。では。」
「ヘリー、良くやった。これで上手くいけば、父上を殺した犯人が分かるかもしれない。」
「勿体ないお言葉、心から感謝申し上げます。」
ランメルトに褒められたヘリーは、すでに表情を表に出さない完璧な侍女に戻っており、侯爵家の侍女として見本となるお辞儀をしてから、クラースの書斎を出た。
☆★
一方、フレイチェはやる事も無く外の景色を見ようと窓辺に立った。
庭園へと視線を向けると、また先ほどのつばの広い帽子を被りワンピースを着ているように見える霊を見つけた。
(ここは、霊が多いのね。…て、侯爵家の方が代々住んでいる場所だからかしら?)
フレイチェはそう思い、その人を見ている。と、その霊は屋敷を見ているのか、先ほどからずっとそこから動かずにいたのかベンチに座りじっとしていた。その霊は、昨夜見掛けた霊とは違い、足全体が透けている。
フレイチェは近づいてみたくなり、どうしようと考える。
(あの人も、きっと未練があるのね。もう少し近くで見る事は出来るかしら?)
とは言え、部屋から出ていいのか迷うフレイチェ。先ほど、ヘリーに刺繍の支度をしてくると言われたからだ。
(廊下にでもいるかしら?)
フレイチェは、ヘリーがいたら庭に出て良いか聞いてみようと、窓辺から離れて部屋を出、廊下を覗いた。
(…誰も居ないわ。)
シーンと静まり返った廊下は、湖の別邸を思い出す。が、あちらは森の中でもあり、鳥達の囀りや木々が葉を揺らす音、時折湖に降り立つ鳥達の水音など自然の音が賑やかだった。だが、今、廊下は誰も姿が無く、屋敷が広いからか音も聞こえない。
(うーん…下に行けば誰かいるかもしれないわね。)
そう思い、フレイチェは階段から下を覗くが、やはり静かであった。
(どうしよう…誰か居れば言づけようと思ったのだけれど。
でも、ここまで来てしまったし別に庭に出るくらい別にいいわよね?)
そう解釈し、下へと降り、階段の横から外に続く扉が空いていたためそちらから庭に視線を向けた。
(広い…!)
窓から見るよりも、ずっと広く感じたフレイチェは、キョロキョロと辺りを見回し、やはり誰も居ないのを確認すると、心の中で勝手に庭に踏み込む事に謝罪すると足を踏み入れた。
手入れされた芝生ではなく、石畳で舗装された道を進み、噴水の前のベンチに腰掛けた。隣には、先ほど窓から見た帽子を被った女性がいる。フレイチェは、視線をそちらに向け声を掛けた。
「こんにちは。素敵なお庭ですね。」
すると、その女性はフレイチェへと視線を向け、驚いた顔をする。
フレイチェは、思ったよりも若くてとても綺麗な顔だと思った。
《え?…あなた、私が見えるの?》
「はい。私は、フレイチェと申します。昨日から、こちらにお邪魔しております。」
《まぁ!そう、そうなのね…。ランメルトをよろしくね。》
ふわりと優しそうに、でも切なそうに微笑むその顔に、フレイチェも胸が締め付けられそうになりながら頷いた。
亡くなった人は、心残りがあると霊となってこの世に留まるのだ。だから、この女性はランメルトとどのような関係かは分からないが、ランメルトの事を大切に思っていて、でも自分では何も出来ないというもどかしさがあるのだろうと思ったのだ。
フレイチェは、霊と会話する時、切なくなるのが大半であったが、自分に出来る事があればと声を掛けているのだ。
「はい。私に出来る精一杯を、させていただきます。」
《ありがとう!ランメルトはきっと今、とても淋しいと思うのよ。
…でも、こんな人獣の巣窟なんかにお嫁に来てくれるなんて…なんていうか、ごめんなさいね。可愛らしいお嬢さんなのに。》
「え?じんじゅうのそうくつ、ですか?」
《そうよ、だってほら。人の皮を被った獣だらけだもの。
見て?お屋敷、広いのに使用人が少ないでしょう?雇う人が信用出来るか分からないから、なかなか人を増やせないのよ。》
「はぁ……」
(確かに、ここまで来るのに使用人に会ってないわ。でも…人の皮を被った獣って?そんなに恐ろしい人がたくさんいるのかしら?)
フレイチェはそう言われても、今まで住んでいた別邸では使用人がフェベとブレフトで、それが少ないのか多いのか今まで気にした事も無かった。本邸では確かに使用人はたくさんいたような気もするが、五歳までの記憶でありあまり覚えていなかった為、良く分からず、曖昧な返事をするしかなく、また〝人の皮を被った獣〟の意味がどういう事なのか考える。
《…あら。フレイチェさん、呼ばれてるわね。》
「え?…あ!」
遠くから、風に乗ってヘリーの声が聞こえてくる。フレイチェを探しているのだ。
《ふふ…お行きなさい?
久々に誰かとお話出来て楽しかったわ!ありがとう。》
「こちらこそ、ありがとうございます!またお話してもいいですか?」
《まぁ!嬉しいわ!!うふふ、またね!》
「はい。
…ヘリー!勝手に出て来てごめんなさい。」
フレイチェはそう隣の霊に言うと、立ち上がり屋敷の方から走ってくるヘリーに声を掛ける。
「フレイチェ様!!ああ!よう御座いました…いえ!ご無事ならいいのです!部屋に行ったらいらっしゃらないものですから驚きました。
戻りましょう、ランメルト様がお呼びです。」
焦ったように掛けてきたヘリーは、フレイチェの無事を確認すると、続いて周りを見回し誰もいない事を確認してそう言った。
「あら、それは急がないといけないわね。ヘリー、探させてごめんなさいね。」
ヘリーのその声に、フレイチェは素直に従ったのだった。
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