【完結】クビだと言われ、実家に帰らないといけないの?と思っていたけれどどうにかなりそうです。

まりぃべる

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29. ノラの言い訳

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「昨日の午後に、ノラがしゃべった。その内容を話す。」

「あの、私、席外しましょうか。」

 ロイス様が言うと、ココットがそう言って手を挙げた。

「別にいい。だが、分かっているな?」

「はい。ここで聞いた事は、よそで話しません。」

 ココットがそう言うと、ロイス様は首を縦に一度動かすと話し出した。


ーーーーー

『オスカー様の侍女になった時から、少しずつオスカー様に〝陶酔のキノコ〟を使った料理を食べさせていたわ。私の言う事を聞くようになると思ったもの。初めは父が送ってきたものを使ってね。商会の知り合いに特性や見た目、どういう場所に自生しているかは聞いていたから、王宮にも自生していないか探したのよね。案の定、私にメロメロよね。けれどオスカー様も男だもの、ちょっと大きくなったら体も求めてくるようになって困っていたからもう潮時とは思っていたわ。え?そりゃあ求められたら悪い気はしないもの。私だってイイ年齢の女よ。でもちゃんと、避妊薬は飲んでいたわ。だって相手は第二王子だもの。公爵夫人なんて、裕福に暮らすだけは出来ないでしょう?公務があったりするでしょうし。贅沢はしたいけれど貴族は大変そうだから嫌。』

『結婚するなんて思ってなかったわ。オスカー様とは、十歳も離れているのよ。だから頃合いを見て、仕事を辞めるか、キノコを使って毒殺してもいいかと思っていたわね。実家に婿養子?ないない!口車に簡単に乗ってくれたわ。そのおかげでほいほい金目のものをくれるから、我ながらよく言ったものよね。ゴゴンラ商会の後継は既に、凄腕の奴に継がせようと父は動いているし。私が帰ったところで、また金づるになるような所へ嫁がされるでしょうね。』

『結婚後の生活資金の為と偽り、搾取した衣装や宝飾品は全て実家に送ったわ。それを父は売りさばいたはずよ。その金は実家の資産となっているんじゃないかしら。数年前から新規事業にも手を出したと喜々として言っていたもの。でも、顧客がだんだんと離れているとも嘆いていたわね。汚いやり方で事業を展開しようとしたから報いがきたんじゃないのかしらね。』

『オスカー様の部屋でキノコ栽培を始めたのよ。あそこは滅多に人の出入りが無いでしょ?やり方は商会の知り合いに聞いていたし、分からない事は聞いたりね。王妃様の食事にキノコを削った粉を振りかけて不調にさせていたわ。でも、ゴゴンラ商会の薬を買ってくれないのでしょ?キノコだってそんなにたくさん無いから、もう面倒になってきてたのよね。父の売り方が下手なんじゃないかしら?』

『使用人達の食事にもキノコを寄付したりしてたわ。頭痛や腹痛、倦怠感に襲われるようなキノコをね。足りなくなって、庭園で咲いてたのを思い出して取ってやったんだけど、やっぱり滅多な事はするもんじゃないわね。だってロイスファー様に見つかったんだもの。料理人や他の人達は全く気付かなかったのに、残念だわ。』

『あぁ、侍女ね。食べたら死ぬというキノコをお茶やお菓子に混ぜてね。でも、即効性じゃないやつ。数時間後に効果が現れるやつだから私も疑われなかったでしょ?』

『私の罪?何言ってるの?私被害者よ。父の奴隷だったのよ。父の頭の中は、ゴゴンラ商会が儲かる事しか考えてないわ。騎士団棟の前で販売しようとしたんですって?王宮御用達にはしてもらえなかったからって、笑えるわね。許可が下りてもいないのに販売出来るわけがないじゃないの。』

『父からは月に一度は手紙が来てたわ。でも、【薬が欲しいと思わせているか?たくさんの人々を頭痛や腹痛にさせているか?】としか書いてない手紙よ。もしくは、【キノコが必要になったらいいなさい。】とかね。』

『この生活にも飽きてきたから、ちょうどいいわ。でも、斬首とかは止めてよね。私、やりたくてやったわけじゃないわ。父の奴隷だったのよ。』
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