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28. 接し方
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私達は食事を終えると、ロイス様は『午後は仕事があるんだ。』ととても残念そうに言った。
休みの日にまで仕事って大変、と思ったけれど、王太子様だものね。きっといろいろと忙しいのね。だから、『無理しないで、頑張って下さいね。』と伝えると、『ああ、そう言ってくれるととても嬉しい。またな。』と言って別れた。
帰りは、衛兵に送らせると言われたけれど、丁寧にお断りした。魔力省までは距離はあるけれど、オスカー様もノラも捕まったので大丈夫だと思ったから。それに、仕事を増やしてもいけないものね。
次の日。
朝、魔力省の仕事部屋に行くのを躊躇ってしまい、考えても答えは出なくて私は挙動不審になってしまう。
だって、アグネス様とビビィ様にどう接すればいいのか分からなかくなったから。
「おおおおはようございます。」
「おはよう、ステイシー。ロイスから聞いたわよ。ロイスがバレちゃった…って嘆いていたわ。ふふふ。今まで通りでいいからね、分かった?」
「は、はい…。」
部屋に入ると、アグネス様は笑いを堪えながら私に言ってくれた。
「ステイシー、ここにいる時は、私はただのビビィだからそこの所よろしくね!」
椅子に座っていたビビィも顔を私に向けて言った。
「は、はい、分かりました…。昨日は国王様とお出かけじゃなかったのですか?」
「んもう!全然分かってないじゃないの!私は、ここにいる時は王妃じゃないのよ!」
そう言ったビビィは、頬を膨らませてプリプリとしていたので慌てて、
「も、申し…じゃなくて、す、すみません…」
とたどたどしく言った。すると、サスィーが私を見て、
「ステイシー、気にしないのよ。ビビィったら、ここだと他人の目が少なくて伸び伸び出来るからってそうしたいのですって。だから、本人が言ってるんだからこっちが合わせてあげましょ?」
「ま!サスィーったら…。でもそうしてくれると嬉しいわ。でね、聞いてくれる?昨日ダーリンがね…」
「あら、私の婚約者の話も後で聞いてよ?それにステイシー、あなたもいつか役に立つかもしれないんだから、こういうのはちゃーんと聞きなさいね!」
「おはようございまーす。何話されてるんですかー?私も混ぜて下さい!」
ココットが部屋にやって来た。ココットは知っているのかな?後で聞いてみよう。
「そうそう、ココット。ステイシー、ロイスが王太子様だってやっと気づいたみたいだからよろしくね。」
「え?知らなかったんですか?あんなに仲良いのに?」
「ロイス、隠していたのよ?初めに隠したら、言い出し辛くなるのにねぇ。」
「ココットは知っていたの?」
「そりゃあね。私も一応は伯爵家の一員だもの。社交の場でも見掛けてたし。逆によく気づかなかったわね。ま、ステイシーはそこが良いのよ。」
「どういう意味?だって、ビッテンフェルトはここから遠いのだもの。両親も社交には出て無かったし。」
そこが良いって…?慰めかしら。
両親は、防衛軍に任せればいいのに『王宮の誘い?そんなの行くわけないじゃないの。』って言っていたものね。国王主催の催しを欠席するって大丈夫なのかとヒヤヒヤしたもの。
「いいのよ、ビッテンフェルトは特別な場所だもの。申し訳ないけれど、あの地を護ってもらわないとね。さ、じゃあそろそろ仕事をしましょうか。」
コンコンコン
「ロイスです。入ります。」
「あら。噂をすればね。どうしたの?」
ロイス様が、相変わらず返事も待たずに入って来ると、アグネス様が言った。
「ああ。ちょっと報告しようと思ってな。いいか?」
報告って、何かしら。オスカー様とノラの事かしら?
休みの日にまで仕事って大変、と思ったけれど、王太子様だものね。きっといろいろと忙しいのね。だから、『無理しないで、頑張って下さいね。』と伝えると、『ああ、そう言ってくれるととても嬉しい。またな。』と言って別れた。
帰りは、衛兵に送らせると言われたけれど、丁寧にお断りした。魔力省までは距離はあるけれど、オスカー様もノラも捕まったので大丈夫だと思ったから。それに、仕事を増やしてもいけないものね。
次の日。
朝、魔力省の仕事部屋に行くのを躊躇ってしまい、考えても答えは出なくて私は挙動不審になってしまう。
だって、アグネス様とビビィ様にどう接すればいいのか分からなかくなったから。
「おおおおはようございます。」
「おはよう、ステイシー。ロイスから聞いたわよ。ロイスがバレちゃった…って嘆いていたわ。ふふふ。今まで通りでいいからね、分かった?」
「は、はい…。」
部屋に入ると、アグネス様は笑いを堪えながら私に言ってくれた。
「ステイシー、ここにいる時は、私はただのビビィだからそこの所よろしくね!」
椅子に座っていたビビィも顔を私に向けて言った。
「は、はい、分かりました…。昨日は国王様とお出かけじゃなかったのですか?」
「んもう!全然分かってないじゃないの!私は、ここにいる時は王妃じゃないのよ!」
そう言ったビビィは、頬を膨らませてプリプリとしていたので慌てて、
「も、申し…じゃなくて、す、すみません…」
とたどたどしく言った。すると、サスィーが私を見て、
「ステイシー、気にしないのよ。ビビィったら、ここだと他人の目が少なくて伸び伸び出来るからってそうしたいのですって。だから、本人が言ってるんだからこっちが合わせてあげましょ?」
「ま!サスィーったら…。でもそうしてくれると嬉しいわ。でね、聞いてくれる?昨日ダーリンがね…」
「あら、私の婚約者の話も後で聞いてよ?それにステイシー、あなたもいつか役に立つかもしれないんだから、こういうのはちゃーんと聞きなさいね!」
「おはようございまーす。何話されてるんですかー?私も混ぜて下さい!」
ココットが部屋にやって来た。ココットは知っているのかな?後で聞いてみよう。
「そうそう、ココット。ステイシー、ロイスが王太子様だってやっと気づいたみたいだからよろしくね。」
「え?知らなかったんですか?あんなに仲良いのに?」
「ロイス、隠していたのよ?初めに隠したら、言い出し辛くなるのにねぇ。」
「ココットは知っていたの?」
「そりゃあね。私も一応は伯爵家の一員だもの。社交の場でも見掛けてたし。逆によく気づかなかったわね。ま、ステイシーはそこが良いのよ。」
「どういう意味?だって、ビッテンフェルトはここから遠いのだもの。両親も社交には出て無かったし。」
そこが良いって…?慰めかしら。
両親は、防衛軍に任せればいいのに『王宮の誘い?そんなの行くわけないじゃないの。』って言っていたものね。国王主催の催しを欠席するって大丈夫なのかとヒヤヒヤしたもの。
「いいのよ、ビッテンフェルトは特別な場所だもの。申し訳ないけれど、あの地を護ってもらわないとね。さ、じゃあそろそろ仕事をしましょうか。」
コンコンコン
「ロイスです。入ります。」
「あら。噂をすればね。どうしたの?」
ロイス様が、相変わらず返事も待たずに入って来ると、アグネス様が言った。
「ああ。ちょっと報告しようと思ってな。いいか?」
報告って、何かしら。オスカー様とノラの事かしら?
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