【完結】クビだと言われ、実家に帰らないといけないの?と思っていたけれどどうにかなりそうです。

まりぃべる

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25. 衣装の行方

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 オスカー様の部屋から出ると、先に退出した残りの衛兵が廊下に数人残って立っていた。ロイス様が指示を出そうとしたところでオスカー様が廊下を歩いてきた。

「誰だオレの部屋に勝手に…ん?ステイシー?なんだ!辞めろと言ったのにまだいたのか?だから早く殺しておくべきだったんだ。」

「なに!?おい、今何て言った!!」

 私を見るとそう言ったオスカー様に、いきなりロイス様は襟元を両手で掴み詰め寄った。

「だ、誰だ!お前、オレにそんな手出ししていいと思っているのか!…ってえ?兄上?なんだよ、また髪を違う色にして…王族とは金髪だろ。神々しく、かっこいい色じゃないか!ま、貴族にも金髪はいるけどさ、そんな茶色、一般市民と同じようなくすんだ髪色にしてまた町にでも行っていたのか?」

 (オスカー様が、何やら物騒な言葉を言ったと思ったら、今度は兄上って言った!?え?兄上って事は、第一王子だったの?だからあんなに…。
髪色も、違う色にしてって、本来は国王様やオスカー様と同じ金髪って事?)

 私は、オスカー様が言った言葉にいろいろと驚いてしまって二人を凝視してしまった。

「ばっ…!あ、いや、それどころじゃない!今、ステイシーを殺しておくべきだったと言ったな、どういう意味だ!」

 ロイス様は、少し赤い顔をして慌てたような気がしたけれど、気のせいのようで再度詰め寄った。

「どういう意味って…そのままだろ?ノラがさ、良いことを考えてくれたんだからな。オレが使った衣装でもう必要ないものは、売り払って金にしようって。それを使って将来、ノラとオレは結婚して、ノラの実家を継ぐんだ!」

 ええ!?でも、第二王子なのだから公爵の地位を得なくてもいいのかしら?

「…それは父上は知っているのか?」

「いや?ノラがさ、まだ言うなって。オレも早く言った方が、いいかなとは思ったけど、兄上が即位してからでもいいんじゃないかって。公爵って、領地の経営しないといけないだろ?オレ、そんな面倒な事したくないし。ノラがさ、『それならうちに婿養子にくれば?経営は、経営陣が勝手にやってくれるから』って言ったからね。オレは何もしなくてもいいってさ。でも、商会は何かと金が掛かるらしいから、じゃあ今から生活資金を貯めようって事になってさ。堅実だろ?それでオレの使わない物をノラの実家で売りさばいてもらってたんだ。金は、ノラが『実家で管理してもらっている』って言っていたからね。ノラと好きな事をずっとしていても生活出来るって、公爵領を治めるより有意義だろ?王太子である兄上には悪いけどね。」

 なんとまぁ…すごい理由!
売りさばいてって、本当に貯金してくれているのかしら?

「でもさ、万が一、誰かが衣装部屋に来るといけないからって、ノラが衣装部屋担当にしてさ。慣れてくると勝手に衣装部屋に入って来られても困るじゃん?衣装が無いって騒ぎ立てられると、結婚後の生活資金が打ち切りに豪華な衣装を準備されなくなっても困るからね。それにその侍女が誰に何言うかわかんないじゃん?だから適当な理由を付けて辞めさせたってわけ。そいつが持ち逃げしたって報告は幾つかは出したろ?ノラはその辺り優秀だよね、全部計画してくれてさ。辞めさせたあとに殺しておくって言ったからね。口封じ?でも、いつの間にか辞めさせた侍女はすぐ居なくなるみたいで探せないって嘆いてたなぁ。ま、オレは、侍女の戯言なんて、父上が聞くはずもないだろうと思ったけど、ノラがやってくれるって言うから、任せておいたけどね。」

 オスカー様は、お兄様という気安い相手だからなのか警戒もせずにペラペラと話してくれているわ。
ロイス様も、初めはものすごく怒っていたけれどだんだん呆れたのか襟元を握っていた手を放し、その場に留まってくれていた衛兵に何か小声で声を掛け、再び大きなため息を付いた。
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