【完結】クビだと言われ、実家に帰らないといけないの?と思っていたけれどどうにかなりそうです。

まりぃべる

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20. 連行

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 ロイス様はあの後『騒がせて悪かった。いつも上手い食事をありがとう。』と皆に言い、ノラが持って来た緑色の茎?野菜みたいなやつをトレイにのせ、ロイス様がそれをどこどこへ持って行ってと指示をされていた。それから、王宮の入り口に衛兵がいるから、衛兵を四人以上連れて来てとも指示をしていた。

 その間も、ノラは『ちょっと、腕痛いわよ!レディには優しくしなさいって習わなかったの!?放してよ!』と言っていた。
料理人と言っても、体が熊のように大きな人がたくさんいる。その大きめの人が、左腕と右腕をガッシリと片方ずつ二人掛かりで掴んでいた。

 ロイス様がその二人に『もう少しだけ付き合ってくれ。』と言って、ノラを連行するのにお願いしていた。

 私はその一部始終を廊下から見ていた。
ロイス様は、テキパキと淀みなく指示されていて格好いいとさえ思うほど。でも、何だか自分の親世代やそれ以上の年上の人にもしっかり指示をされているのを見て、どこか知らない人のようにも思えた。

「さ、行こう。お待たせ。」

 ロイス様は何事もなかったかのように私に近づいてきて言い、手を繋ぎ、歩き始めた。
ロイス様はその事をどう思っているのかしら?なぜ手を繋ぐの?
でも、繋いでくれて嬉しいと思ってしまう私は、ロイス様に止められても嫌なのでわざわざ口に出して聞く事もしないけれど。
だから、違う事を聞いた。


「どこへ行くのですか?」

「もちろん、話を聞く部屋だよ。」



 そう言って辿り着いた部屋は、小さな客間だった。

 木で出来た、クッションが敷いてある椅子に、ロイス様は私を座らせたあと、自分も座った。
ノラはその前に立たせて、相変わらず料理人の二人がノラをガッシリと掴んでいる。

「さぁ、とりあえず話を聞こう。先ほどのはなに?」

「何の事よ。っていうか、あなた誰よ。年下のあなたにそんな事を教える筋合いはないわ!」

 そう言ったノラは、横を思い切り向いた。そして、ノラは、ロイス様を再び見るとすごい形相で睨み、また口を開いた。

「オスカー様に言いつけてやるわ。あ、そうよ、オスカー様を今すぐここに呼んで!あなたの方こそ、私を侮辱したのよ。オスカー様に言いつけるから。裁きを受けてもらうわ!私を誰だと思っているの?オスカー様付きの侍女よ。オスカー様は私の言うことならなんでも聞いてくれるんだから!命乞いするなら今のうちよ!」

 と言って、口元をニヤリと歪ませ、あの嫌な笑いをした。

 あの笑い本当に何度見ても良い気分ではないわね。
というか、ロイス様大丈夫かしら…。オスカー様が来たらさすがに良くないのではないかしら。
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