【完結】クビだと言われ、実家に帰らないといけないの?と思っていたけれどどうにかなりそうです。

まりぃべる

文字の大きさ
上 下
12 / 33

12. 何やっているの?

しおりを挟む
 ノラは、魔力省の裏手にある、騎士団が練習する広場の隅で腰をかがめては何かをやっていた。
今は騎士団は練習していないから、邪魔にならない。だけれど、侍女がここで何をしているのだろう。
今はもう少しで昼休憩の時間。少し早く休憩に入ったのかしら?

 近づいて行くと、何かを探しているようだった。

 広場は、林を切り開いたような場所で、休憩する際に木陰になるように所々木は隅に植わっている。その木の根元辺りをかがんではブツブツ言いながら歩いていた。

 もう少し近くに寄れないかしら?

 そう思った時にノラが立ち上がり、こちらを向いた。

「誰!?」

 ノラは、私を見ても初対面の人と会うような挨拶をしてきた。

「どちら様?ここへ何しに来たの?」

「え?あ、私、この前ここに来て、落とし物をしてしまったので…。」

 そう適当な事を言うと、ノラは安心した顔つきをして言った。

「そう、見つかるといいわね。私も探し物をしているのよ。」

「え?そうなの?じゃあ私も手伝うわ!」

 何をしているのか気になるし、弱味でも握れるかもしれないわ!そしたら、ちょっとは仕返しになるかも。そう思って私は手伝うと言った。

「…そう、ありがとう。時間も無いし、助かるわ。キノコを探しているの。とても小さくて珍しいもの。でも触ってはダメよ。」

 キノコ?なぁんだ。食べ…え?なんで?何に使うのかしら。ノラってそんなにキノコが好きだった?

「ふーん。キノコね。美味しい?」

「はぁ!?食べた事ないわよ!あ…私は食べないの。違う人が食べるのよ。」

 そうなんだ…ますますわからないわ。オスカー様がキノコ好きではなかった気がするもの。むしろ、残されていたような…。

「あ!これ?」

 木の根元にこぶのような小さくてぷっくりとしたものがあった。
咄嗟に、取ってあげようとした。

「触らないで!!!あ…ごめんなさい。大きな声をだして。ありがとう、それよ。助かったわ。私が取るわね。」

 そう言ってノラは、取ろうとしていた私を押しのけ、自らの手でブチッと引っこ抜いた。

「ありがとう。助かったわ。この事は内緒にしてね。相手に驚かせたいもの。時間が無いから行くわね。」

 そう言うと、立ち上がり王宮の方へ戻って行った。

 あんなに大事そうに持って…。
誰にあげるのかしら?
それにしても、私に触らないで!って言ったから、毒キノコかと思ったじゃないの。ノラは手で取ってたわ。
私が汚いみたいじゃないの!

 でも、なんとなく気になったのでアグネス様には報告しておこうと思って部屋に急いだ。
しおりを挟む
感想 35

あなたにおすすめの小説

玉の輿を狙う妹から「邪魔しないで!」と言われているので学業に没頭していたら、王子から求婚されました

歌龍吟伶
恋愛
王立学園四年生のリーリャには、一学年下の妹アーシャがいる。 昔から王子様との結婚を夢見ていたアーシャは自分磨きに余念がない可愛いらしい娘で、六年生である第一王子リュカリウスを狙っているらしい。 入学当時から、「私が王子と結婚するんだからね!お姉ちゃんは邪魔しないで!」と言われていたリーリャは学業に専念していた。 その甲斐あってか学年首位となったある日。 「君のことが好きだから」…まさかの告白!

私は、忠告を致しましたよ?

柚木ゆず
ファンタジー
 ある日の、放課後のことでした。王立リザエンドワール学院に籍を置く私マリエスは、生徒会長を務められているジュリアルス侯爵令嬢ロマーヌ様に呼び出されました。 「生徒会の仲間である貴方様に、婚約祝いをお渡したくてこうしておりますの」  ロマーヌ様はそのように仰られていますが、そちらは嘘ですよね? 私は常に最愛の方に護っていただいているので、貴方様には悪意があると気付けるのですよ。  ロマーヌ様。まだ間に合います。  今なら、引き返せますよ?

婚約白紙?上等です!ローゼリアはみんなが思うほど弱くない!

志波 連
恋愛
伯爵令嬢として生まれたローゼリア・ワンドは婚約者であり同じ家で暮らしてきたひとつ年上のアランと隣国から留学してきた王女が恋をしていることを知る。信じ切っていたアランとの未来に決別したローゼリアは、友人たちの支えによって、自分の道をみつけて自立していくのだった。 親たちが子供のためを思い敷いた人生のレールは、子供の自由を奪い苦しめてしまうこともあります。自分を見つめ直し、悩み傷つきながらも自らの手で人生を切り開いていく少女の成長物語です。 本作は小説家になろう及びツギクルにも投稿しています。

目の前で始まった断罪イベントが理不尽すぎたので口出ししたら巻き込まれた結果、何故か王子から求婚されました

歌龍吟伶
恋愛
私、ティーリャ。王都学校の二年生。 卒業生を送る会が終わった瞬間に先輩が婚約破棄の断罪イベントを始めた。 理不尽すぎてイライラしたから口を挟んだら、お前も同罪だ!って謎のトバッチリ…マジないわー。 …と思ったら何故か王子様に気に入られちゃってプロポーズされたお話。 全二話で完結します、予約投稿済み

前世の記憶がある伯爵令嬢は、妹に籠絡される王太子からの婚約破棄追放を覚悟して体を鍛える。

克全
恋愛
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。

はじまりは初恋の終わりから~

秋吉美寿
ファンタジー
主人公イリューリアは、十二歳の誕生日に大好きだった初恋の人に「わたしに近づくな!おまえなんか、大嫌いだ!」と心無い事を言われ、すっかり自分に自信を無くしてしまう。 心に深い傷を負ったイリューリアはそれ以来、王子の顔もまともに見れなくなってしまった。 生まれながらに王家と公爵家のあいだ、内々に交わされていた婚約もその後のイリューリアの王子に怯える様子に心を痛めた王や公爵は、正式な婚約発表がなされる前に婚約をなかった事とした。 三年後、イリューリアは、見違えるほどに美しく成長し、本人の目立ちたくないという意思とは裏腹に、たちまち社交界の花として名を馳せてしまう。 そして、自分を振ったはずの王子や王弟の将軍がイリューリアを取りあい、イリューリアは戸惑いを隠せない。 「王子殿下は私の事が嫌いな筈なのに…」 「王弟殿下も、私のような冴えない娘にどうして?」 三年もの間、あらゆる努力で自分を磨いてきたにも関わらず自信を持てないイリューリアは自分の想いにすら自信をもてなくて…。

完】異端の治癒能力を持つ令嬢は婚約破棄をされ、王宮の侍女として静かに暮らす事を望んだ。なのに!王子、私は侍女ですよ!言い寄られたら困ります!

仰木 あん
恋愛
マリアはエネローワ王国のライオネル伯爵の長女である。 ある日、婚約者のハルト=リッチに呼び出され、婚約破棄を告げられる。 理由はマリアの義理の妹、ソフィアに心変わりしたからだそうだ。 ハルトとソフィアは互いに惹かれ、『真実の愛』に気付いたとのこと…。 マリアは色々な物を継母の連れ子である、ソフィアに奪われてきたが、今度は婚約者か…と、気落ちをして、実家に帰る。 自室にて、過去の母の言葉を思い出す。 マリアには、王国において、異端とされるドルイダスの異能があり、強力な治癒能力で、人を癒すことが出来る事を… しかしそれは、この国では迫害される恐れがあるため、内緒にするようにと強く言われていた。 そんな母が亡くなり、継母がソフィアを連れて屋敷に入ると、マリアの生活は一変した。 ハルトという婚約者を得て、家を折角出たのに、この始末……。 マリアは父親に願い出る。 家族に邪魔されず、一人で静かに王宮の侍女として働いて生きるため、再び家を出るのだが……… この話はフィクションです。 名前等は実際のものとなんら関係はありません。

お前など家族ではない!と叩き出されましたが、家族になってくれという奇特な騎士に拾われました

蒼衣翼
恋愛
アイメリアは今年十五歳になる少女だ。 家族に虐げられて召使いのように働かされて育ったアイメリアは、ある日突然、父親であった存在に「お前など家族ではない!」と追い出されてしまう。 アイメリアは養子であり、家族とは血の繋がりはなかったのだ。 閉じ込められたまま外を知らずに育ったアイメリアは窮地に陥るが、救ってくれた騎士の身の回りの世話をする仕事を得る。 養父母と義姉が自らの企みによって窮地に陥り、落ちぶれていく一方で、アイメリアはその秘められた才能を開花させ、救い主の騎士と心を通わせ、自らの居場所を作っていくのだった。 ※小説家になろうさま・カクヨムさまにも掲載しています。

処理中です...