【完結】クビだと言われ、実家に帰らないといけないの?と思っていたけれどどうにかなりそうです。

まりぃべる

文字の大きさ
上 下
9 / 33

9. 私の生活

しおりを挟む
 あの後、ロイス様は私を魔力省の先ほど行った部屋へ送り届けると『じゃあばあちゃん…じゃなかった!アグネス、皆、ステイシーをよろしく!』と言って出て行った。
ばあちゃんって呼ぶとアグネス様は睨んでいるから、呼ばせないようにしているのかしら。だって言われなきゃおばあ様だなんて分からないくらいの見た目よ。

 ロイス様の事ももう少し知りたかったけれど、仕方ないわ。きっととても偉い地位の人なのかもしれないもの。だって、第二王子を呼び捨てたり、騎士団の方達もご挨拶されていたもの。

 雇ってやろうか、と言ったから人事権もあるのかと思ったけれど、オスカー様から隔離する為だったと分かったので、それはないのかもしれないわ。

 ま、良く分からないものは考えても仕方ないわね!


 あ、それから私の今の状況を家族に話してはいけないと言われた。
どこでどうバレるか分からないからみたい。死にたくはないから仕方ないけれど、私嘘を付くのが苦手なのよね…家族と話す時にバレないかヒヤヒヤするわ。


 そして、アグネス様から一応その部屋で机に向かって魔力を流し込んでいる女性三人の紹介をしてもらった。

 黒い髪がとても艶やかで腰まで真っ直ぐ伸びたビビィ、三十八歳。少しミステリアスな感じ。
ここで魔力を石に注ぎ込む仕事もしているが、他の所でも仕事をしているらしくよく部屋を留守にするらしい。

 茶色の髪でくるくると内巻きに髪がカールしているサスィー、二十一歳。鼻筋が通っていて、とても落ち着いた雰囲気。
サスィーも、魔力を石に注ぎ込んでいる。よく部屋を留守にするらしい。

 黄色の髪で、長い髪を首の所で一括りに縛っているココット、十七歳。テキパキと動き、よく話して元気なイメージ。

 他に、部屋にあった魔力石をどこかへ持って行った女性と、どこかから魔力石を持ってきた女性もいた。

 どうやら、辞めさせられた侍女は全員魔力省に来ているが皆魔力があるわけではないみたいで、違う仕事をしている子もいるらしい。
魔力石を持ってきたり、持っていったりした女性がやってる雑用やなんかをしてるのかもしれない。



 そして、その後はアグネス様から魔力省の制服と言われた紺色のワンピースを渡され、私がこれから寝起きする部屋を案内された。
四階の、奥から三番目の部屋だ。扉を開けると、昨日までの使用人棟の部屋より一回り広い。
一人用のベッドと、机と椅子に衣装タンスがあるだけではあったが、素材が高級そうだ。奥には窓もあって明るくて景色がいい。
私は一目見て気に入った。

 この棟から出る時は充分気をつけなさいと言われた。でも、この棟から出なくても生活は充分出来そうだわ。
小さいけれど図書室もある。生活に必要な洗濯室や浴室も一階に揃っていた。

 ご飯は、一階の食堂で三食出るらしい。それは、使用人棟と同じだった。だけれど、あちらと違うのはここは無料なのだとか!
魔力を使う事は他の人がそうそう出来るものでもないみたいで、特別待遇らしい。お給料も手当てが少し上乗せされるみたいで、びっくりした。

 私は、連れて来られただけなのだけれど、好待遇でとても有り難いわ!

 オスカー様にクビって言われた時はどうしようかと思ったけれど、魔力が備わって、良かったわ!
しおりを挟む
感想 35

あなたにおすすめの小説

玉の輿を狙う妹から「邪魔しないで!」と言われているので学業に没頭していたら、王子から求婚されました

歌龍吟伶
恋愛
王立学園四年生のリーリャには、一学年下の妹アーシャがいる。 昔から王子様との結婚を夢見ていたアーシャは自分磨きに余念がない可愛いらしい娘で、六年生である第一王子リュカリウスを狙っているらしい。 入学当時から、「私が王子と結婚するんだからね!お姉ちゃんは邪魔しないで!」と言われていたリーリャは学業に専念していた。 その甲斐あってか学年首位となったある日。 「君のことが好きだから」…まさかの告白!

私は、忠告を致しましたよ?

柚木ゆず
ファンタジー
 ある日の、放課後のことでした。王立リザエンドワール学院に籍を置く私マリエスは、生徒会長を務められているジュリアルス侯爵令嬢ロマーヌ様に呼び出されました。 「生徒会の仲間である貴方様に、婚約祝いをお渡したくてこうしておりますの」  ロマーヌ様はそのように仰られていますが、そちらは嘘ですよね? 私は常に最愛の方に護っていただいているので、貴方様には悪意があると気付けるのですよ。  ロマーヌ様。まだ間に合います。  今なら、引き返せますよ?

婚約白紙?上等です!ローゼリアはみんなが思うほど弱くない!

志波 連
恋愛
伯爵令嬢として生まれたローゼリア・ワンドは婚約者であり同じ家で暮らしてきたひとつ年上のアランと隣国から留学してきた王女が恋をしていることを知る。信じ切っていたアランとの未来に決別したローゼリアは、友人たちの支えによって、自分の道をみつけて自立していくのだった。 親たちが子供のためを思い敷いた人生のレールは、子供の自由を奪い苦しめてしまうこともあります。自分を見つめ直し、悩み傷つきながらも自らの手で人生を切り開いていく少女の成長物語です。 本作は小説家になろう及びツギクルにも投稿しています。

目の前で始まった断罪イベントが理不尽すぎたので口出ししたら巻き込まれた結果、何故か王子から求婚されました

歌龍吟伶
恋愛
私、ティーリャ。王都学校の二年生。 卒業生を送る会が終わった瞬間に先輩が婚約破棄の断罪イベントを始めた。 理不尽すぎてイライラしたから口を挟んだら、お前も同罪だ!って謎のトバッチリ…マジないわー。 …と思ったら何故か王子様に気に入られちゃってプロポーズされたお話。 全二話で完結します、予約投稿済み

前世の記憶がある伯爵令嬢は、妹に籠絡される王太子からの婚約破棄追放を覚悟して体を鍛える。

克全
恋愛
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。

はじまりは初恋の終わりから~

秋吉美寿
ファンタジー
主人公イリューリアは、十二歳の誕生日に大好きだった初恋の人に「わたしに近づくな!おまえなんか、大嫌いだ!」と心無い事を言われ、すっかり自分に自信を無くしてしまう。 心に深い傷を負ったイリューリアはそれ以来、王子の顔もまともに見れなくなってしまった。 生まれながらに王家と公爵家のあいだ、内々に交わされていた婚約もその後のイリューリアの王子に怯える様子に心を痛めた王や公爵は、正式な婚約発表がなされる前に婚約をなかった事とした。 三年後、イリューリアは、見違えるほどに美しく成長し、本人の目立ちたくないという意思とは裏腹に、たちまち社交界の花として名を馳せてしまう。 そして、自分を振ったはずの王子や王弟の将軍がイリューリアを取りあい、イリューリアは戸惑いを隠せない。 「王子殿下は私の事が嫌いな筈なのに…」 「王弟殿下も、私のような冴えない娘にどうして?」 三年もの間、あらゆる努力で自分を磨いてきたにも関わらず自信を持てないイリューリアは自分の想いにすら自信をもてなくて…。

完】異端の治癒能力を持つ令嬢は婚約破棄をされ、王宮の侍女として静かに暮らす事を望んだ。なのに!王子、私は侍女ですよ!言い寄られたら困ります!

仰木 あん
恋愛
マリアはエネローワ王国のライオネル伯爵の長女である。 ある日、婚約者のハルト=リッチに呼び出され、婚約破棄を告げられる。 理由はマリアの義理の妹、ソフィアに心変わりしたからだそうだ。 ハルトとソフィアは互いに惹かれ、『真実の愛』に気付いたとのこと…。 マリアは色々な物を継母の連れ子である、ソフィアに奪われてきたが、今度は婚約者か…と、気落ちをして、実家に帰る。 自室にて、過去の母の言葉を思い出す。 マリアには、王国において、異端とされるドルイダスの異能があり、強力な治癒能力で、人を癒すことが出来る事を… しかしそれは、この国では迫害される恐れがあるため、内緒にするようにと強く言われていた。 そんな母が亡くなり、継母がソフィアを連れて屋敷に入ると、マリアの生活は一変した。 ハルトという婚約者を得て、家を折角出たのに、この始末……。 マリアは父親に願い出る。 家族に邪魔されず、一人で静かに王宮の侍女として働いて生きるため、再び家を出るのだが……… この話はフィクションです。 名前等は実際のものとなんら関係はありません。

お前など家族ではない!と叩き出されましたが、家族になってくれという奇特な騎士に拾われました

蒼衣翼
恋愛
アイメリアは今年十五歳になる少女だ。 家族に虐げられて召使いのように働かされて育ったアイメリアは、ある日突然、父親であった存在に「お前など家族ではない!」と追い出されてしまう。 アイメリアは養子であり、家族とは血の繋がりはなかったのだ。 閉じ込められたまま外を知らずに育ったアイメリアは窮地に陥るが、救ってくれた騎士の身の回りの世話をする仕事を得る。 養父母と義姉が自らの企みによって窮地に陥り、落ちぶれていく一方で、アイメリアはその秘められた才能を開花させ、救い主の騎士と心を通わせ、自らの居場所を作っていくのだった。 ※小説家になろうさま・カクヨムさまにも掲載しています。

処理中です...