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洞窟内で
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駆けだして洞窟に入ると、私兵団が数人いた。別の部隊が待機しているのかもしれない。
「危ないよ!早く出て行きなさい!」
大きな声で言われ、少しビクビクするが、怯えてなんていられない。
「大丈夫です。お疲れさま!」
「おい!」
一人が慌ててついてくるが、仕方ないので、声を掛ける。
「ごめんなさい。大丈夫よ。兄も来ているわよね。」
「兄…?」
うーん、やだわ。私の事分からないのね。まぁ、面倒だからいいわ。
「本当に大丈夫よ。自分の職務を全うして下さい!」
「何を言っている!君みたいなか弱い女性が、危ないじゃないか!!」
ついに追いつかれ、腕をつかまれた。すると、ウー!!と、狐達が威嚇の声を上げてくれる。
「なんだ?狐?どっかいけ!」
「止めて!お願い。あなた、私を通してくれないと大変な事になるわ。今の地位から降格してもいいの?」
私は、自分の地位を振りかざすのは良くないと思っている。お兄様やお父様が私兵団を率いているからって私は、何の力も無いのだから。だけとこんな所で時間を無駄にするわけにはいかない。
「何をしている!!」
振り向くと、エルがいた。
あ、やばいかも。怒られるかしら。
「ティア、なんでここに?それよりも、その手を離してくれ。知り合いだ。力強い者が握ると手が赤くなってしまう。」
「あ?あ、ああ。エルの知り合いか?兄とはエルの事か?ここは危険だ。早く出て行けと言うのに聞かないのだ。」
ウー!!と、まだ狐達が威嚇してくれてるわ。
「済まない。あとは俺が引き継ぐ。持ち場に戻ってくれ。」
「あ、ああ…。」
なんだか、納得されてない感じではあったが、渋々エルに私を預けてくれた。
「それで、どうして?」
「えと…」
話そうとすると、コーン!と狐達が教えてくれる。
「あ、説明は後で。ちょっと行かないと。」
「どこに?」
と言って、叱りもしないでついてきてくれた。
少し行くと、私兵団が10人ほど、前衛と後衛、な感じで戦っていた。
対する相手は…グリフォン!?顔が鷲で、胴はライオン。大きさは人間よりかなり大きい。荒ぶっている感じからきっと〝闇の獣〟だろう。ここは洞窟のちょうど広い空間だからいいけれど、それでも、天井に頭や翼がつきそうだ。
「待って!」
戦っている人達に聞こえるか分からないけれど、叫んだ。すると、
「ティア!?」
「どうした?なんで!?」
と、お兄様とお父様が気付いてくれた。
「お願い!一旦止めて下さい!」
私は、出来るだけ声を張り上げた。すると、
ギャーオー!!
とグリフォン叫んだ。多分、私の声に反対の声を上げているんだろう。
「ごめんなさい!あなたはだあれ?怪我を負わせてごめんなさい!!痛いわよね?そっちへ行っていい?」
ギャー!ギャー!
私と、そのグリフォンが話しているからか成り行きを見守ってくれている。もしかしたら、お父様かお兄様が指示を出してくれたのかもしれない。
私は、グリフォンの元へ近づいていこうとする。と、後ろに引っ張られた。振り向くと、エルが私の腕を少し引いていた。
「ティア、大丈夫?俺もついて行っていい?」
エルがそう声をかけてくれて、心配してくれたと分かって嬉しかった。けれど、うまくいくのか分からないから、
「ううん、分からない。でも、怯えちゃうといけないから、傍でみていて。」
と言うに留めた。
グリフォンは、翼を広げて天井近くで羽ばたいていたけれど、私が近づいていったからか、地面に降り立った。そして私を見下ろしていた。
「ごめんなさい。私達人間があなたを起こしちゃったの?あなたが人間を襲ったの?」
ギャー!
「うーん、良く分からないけど、戦いを止めてもらってもいい?」
ギャー!ギャー!
「お願いします。」
そう言って、目を瞑って闇の魔力が消えますようにと祈った。
「「「ティア!!!」」」
お父様とお兄様とエルの声がした。
少しすると、グエーと言う声と私のあたまに風が来た。目を開けると、グリフォンの顔が突かれそうなほどどアップで、風は鳴いた息だとわかって驚いた。
「わっ!」
と私が一歩後ろへ下がると、
グエーーー
と、今度は私にまた近寄って鳴いた。すごく近くて驚いたけど、グリフォンの目を見ると、赤く光ってはいない。
「もう大丈夫?」
ギャ!
「そう。聞いてくれてありがとう。痛い所ある?」
ギャ!
うーん、私がお願いして治るのだろうか?目を瞑って、治りますようにと願うと少しして、
ギャーオー!
と、グリフォンが鳴いた。ん?と目を開けると確認する間もなく、
「ティア!すごいぞ!!」
と言う声がした。お父様?
「ティア!お前がこの、戦いを終わらせたんだ!すごいぞ!!さすが私の娘だ!アレも、目がいつの間にか赤くないな。見た所〝闇の獣〟じゃなくなったよな。そんな事出来たのか?」
「ティア。グリフォンの怪我もなおっているよ。それもティアが?」
お兄様…あのグリフォンの怪我治ったのね、よかった!
お父様もお兄様も、私兵団に近寄るなと言っていたし、私も特にこの事に関して話していなかったから知らないわよね。
やばいわ、怒られたりしないかしら。
「危ないよ!早く出て行きなさい!」
大きな声で言われ、少しビクビクするが、怯えてなんていられない。
「大丈夫です。お疲れさま!」
「おい!」
一人が慌ててついてくるが、仕方ないので、声を掛ける。
「ごめんなさい。大丈夫よ。兄も来ているわよね。」
「兄…?」
うーん、やだわ。私の事分からないのね。まぁ、面倒だからいいわ。
「本当に大丈夫よ。自分の職務を全うして下さい!」
「何を言っている!君みたいなか弱い女性が、危ないじゃないか!!」
ついに追いつかれ、腕をつかまれた。すると、ウー!!と、狐達が威嚇の声を上げてくれる。
「なんだ?狐?どっかいけ!」
「止めて!お願い。あなた、私を通してくれないと大変な事になるわ。今の地位から降格してもいいの?」
私は、自分の地位を振りかざすのは良くないと思っている。お兄様やお父様が私兵団を率いているからって私は、何の力も無いのだから。だけとこんな所で時間を無駄にするわけにはいかない。
「何をしている!!」
振り向くと、エルがいた。
あ、やばいかも。怒られるかしら。
「ティア、なんでここに?それよりも、その手を離してくれ。知り合いだ。力強い者が握ると手が赤くなってしまう。」
「あ?あ、ああ。エルの知り合いか?兄とはエルの事か?ここは危険だ。早く出て行けと言うのに聞かないのだ。」
ウー!!と、まだ狐達が威嚇してくれてるわ。
「済まない。あとは俺が引き継ぐ。持ち場に戻ってくれ。」
「あ、ああ…。」
なんだか、納得されてない感じではあったが、渋々エルに私を預けてくれた。
「それで、どうして?」
「えと…」
話そうとすると、コーン!と狐達が教えてくれる。
「あ、説明は後で。ちょっと行かないと。」
「どこに?」
と言って、叱りもしないでついてきてくれた。
少し行くと、私兵団が10人ほど、前衛と後衛、な感じで戦っていた。
対する相手は…グリフォン!?顔が鷲で、胴はライオン。大きさは人間よりかなり大きい。荒ぶっている感じからきっと〝闇の獣〟だろう。ここは洞窟のちょうど広い空間だからいいけれど、それでも、天井に頭や翼がつきそうだ。
「待って!」
戦っている人達に聞こえるか分からないけれど、叫んだ。すると、
「ティア!?」
「どうした?なんで!?」
と、お兄様とお父様が気付いてくれた。
「お願い!一旦止めて下さい!」
私は、出来るだけ声を張り上げた。すると、
ギャーオー!!
とグリフォン叫んだ。多分、私の声に反対の声を上げているんだろう。
「ごめんなさい!あなたはだあれ?怪我を負わせてごめんなさい!!痛いわよね?そっちへ行っていい?」
ギャー!ギャー!
私と、そのグリフォンが話しているからか成り行きを見守ってくれている。もしかしたら、お父様かお兄様が指示を出してくれたのかもしれない。
私は、グリフォンの元へ近づいていこうとする。と、後ろに引っ張られた。振り向くと、エルが私の腕を少し引いていた。
「ティア、大丈夫?俺もついて行っていい?」
エルがそう声をかけてくれて、心配してくれたと分かって嬉しかった。けれど、うまくいくのか分からないから、
「ううん、分からない。でも、怯えちゃうといけないから、傍でみていて。」
と言うに留めた。
グリフォンは、翼を広げて天井近くで羽ばたいていたけれど、私が近づいていったからか、地面に降り立った。そして私を見下ろしていた。
「ごめんなさい。私達人間があなたを起こしちゃったの?あなたが人間を襲ったの?」
ギャー!
「うーん、良く分からないけど、戦いを止めてもらってもいい?」
ギャー!ギャー!
「お願いします。」
そう言って、目を瞑って闇の魔力が消えますようにと祈った。
「「「ティア!!!」」」
お父様とお兄様とエルの声がした。
少しすると、グエーと言う声と私のあたまに風が来た。目を開けると、グリフォンの顔が突かれそうなほどどアップで、風は鳴いた息だとわかって驚いた。
「わっ!」
と私が一歩後ろへ下がると、
グエーーー
と、今度は私にまた近寄って鳴いた。すごく近くて驚いたけど、グリフォンの目を見ると、赤く光ってはいない。
「もう大丈夫?」
ギャ!
「そう。聞いてくれてありがとう。痛い所ある?」
ギャ!
うーん、私がお願いして治るのだろうか?目を瞑って、治りますようにと願うと少しして、
ギャーオー!
と、グリフォンが鳴いた。ん?と目を開けると確認する間もなく、
「ティア!すごいぞ!!」
と言う声がした。お父様?
「ティア!お前がこの、戦いを終わらせたんだ!すごいぞ!!さすが私の娘だ!アレも、目がいつの間にか赤くないな。見た所〝闇の獣〟じゃなくなったよな。そんな事出来たのか?」
「ティア。グリフォンの怪我もなおっているよ。それもティアが?」
お兄様…あのグリフォンの怪我治ったのね、よかった!
お父様もお兄様も、私兵団に近寄るなと言っていたし、私も特にこの事に関して話していなかったから知らないわよね。
やばいわ、怒られたりしないかしら。
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