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そして
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ドラス王子は、国王陛下に怒鳴られて驚きで目を見開いている。そうよね。最近は国王陛下も諦めていたみたいで、何も言ってなかったみたいだものね。
「…済まない。では次に。キャルル。エドワードと結婚という事でよろしいか?」
「えっ!?」
私は、そうなったらいいなとは思っていたけれど…いざそう国王陛下に聞かれたら答えにくいわ。というか、何故私に聞くのかしら?
国王陛下を見ると、ニヤニヤとして、プライベートのいつも私に見せるイタズラが成功したような顔を見せているわ。
お父様を見ると、ニコニコとしながらうんうんと頷いているから、いいって事かしらね。
「ええと…許されるのであれば。」
口に出したら、恥ずかしくて顔が赤くなったきたわ。
「はぁー?なんでエドワードと結婚になるんだ!?オレの愛人になるんだろ!?」
「黙れと言っておろうが!!口を慎め!」
私が言った事に対して、ドラス王子は怒り心頭に食い気味に言ってきた。
近くの近衛兵がドラス王子を抑えてくれているわ。肩を押さえつけられて暴れている。
それをしてくれていなかったら、私、殴られていたかもしれないわ…良かった…。
「重ね重ね済まない…。では皆の者。エドワードとキャルルが結婚という事でよろしいな?」
そう言って、国王陛下が後ろにいらっしゃる貴族達を見て言った。
すると、拍手がパラパラとおこり、やがて大きなものとなった。
国王陛下が満足げに頷き、手を上げると拍手も鳴り止んだ。
「では、次期国王は、エドワードとする事でよろしいな?」
再び、鳴り止まんばかりの拍手が起こった所で、近衛兵に押さえつけられたはずのドラス王子が進み出して叫び出した。
「あり得ない!国王になるのはこの第一王子であるこのオレだ!なぜ、エドワードなんだ!オレが、コーリンとこの国を背負って立つんだ!!」
すでに近衛兵によって地面に押さえつけられたドラス王子は、それでも叫び続けている。
「そうよ!私が正妃になるのでしょ?そこの兵士!次期国王を足で踏んでいいと思っているの!?早く離しなさい!!」
と、コーリンも叫び押さえつけられたドラス王子の元へ近寄った。
「誰がそんな戯けた事を申した?」
地を這うような、国王陛下の声がした。
「え?誰って…。」
さすがに、コーリンは口を慎んだ。というか、誰が言い出したのか考え込んでいるのかもしれない。
「私は、次期国王にはドラスだと一言も言っておらん。次期正妃は、是非ともキャルルにとは言ったがな。キャルルに正妃教育をさせ、頃合いを見て結婚させようと思っていた。ドラスとエドワードどちらにもキャルルとの交流時間を作らせ、どう転ぶかは正直不安だったがな。まぁ、結果的にはうまくいったよのう、エドワード。」
国王陛下は、はじめの方は怒気を含んだ声で話し出したが、最後はエドワード様にウインクまでして話していた。
「はい。ドラスは、幼い頃より勉学にも全く励まないので国王陛下に『私が努力すれば次期国王になり得ますか?』と直談判すると、『当たり前だ。国を想う気持ちがある方が国王に相応しい。』と言って下さった。そのおかげでキャルルとの未来も描け、実現できる運びとなった。皆にも礼を言います。これからも私と、キャルルを支えて下さい。」
とエドワードは貴族達に向かって、頭を下げた。
「いやぁ、良かったな。」
「本当ね。努力家同士お似合いよ。」
「これでこのベルサヴィン国の将来も明るいな。」
と、貴族達は口々に拍手をしながら声を掛けてくれた。
「あり得ない!あり得ない…!!」
そうブツブツと呟きながら床を拳で殴りつけているドラス王子と、呆然と立ち尽くコーリンに、国王陛下は言い放った。
「ドラス。お前が努力すると言うのなら、公爵の爵位を与え、そこの娘と結婚する許可を与える。しかし、自分の行いを悔い改めない場合は王族の職務を全うしなかった罰として、極寒の地サーブルへ幽閉と処する!猶予は三日。自室で頭を冷やして良く考えておれ!近衛兵、見張りをしっかりとな。そこの娘も同罪だ。公爵夫人となりしっかり努力するのであれば、ドラスとの結婚は認めてやる。だが、今までを悔い改めない場合は、極寒のサーブル修道院へと送るものとする。そなたは、カドライン侯爵家に帰してもどう過ごしているか分からないからな。簡素な部屋を用意する。では連れていけ!」
「ああ、キャルル。やっと、俺のものだと言える。うまくいって本当に良かった!!俺、キャルルを手に入れる為に本当に努力したんだよ!!これからは夫婦としてよろしくね!幸せにするからね。」
そう言って、エドワード様は傍に来てギューッと抱きしめてくれた。
「ええ。エドワード様。こちらこそよろしくお願いしますわ。幸せになりましょう?」
☆★☆★☆★☆★
これにて短いですが、終わりです。もっとキツい断罪にしようかとも思いましたが…生ぬるいものになりました☆
お読みいただきまして、ありがとうございました!
「…済まない。では次に。キャルル。エドワードと結婚という事でよろしいか?」
「えっ!?」
私は、そうなったらいいなとは思っていたけれど…いざそう国王陛下に聞かれたら答えにくいわ。というか、何故私に聞くのかしら?
国王陛下を見ると、ニヤニヤとして、プライベートのいつも私に見せるイタズラが成功したような顔を見せているわ。
お父様を見ると、ニコニコとしながらうんうんと頷いているから、いいって事かしらね。
「ええと…許されるのであれば。」
口に出したら、恥ずかしくて顔が赤くなったきたわ。
「はぁー?なんでエドワードと結婚になるんだ!?オレの愛人になるんだろ!?」
「黙れと言っておろうが!!口を慎め!」
私が言った事に対して、ドラス王子は怒り心頭に食い気味に言ってきた。
近くの近衛兵がドラス王子を抑えてくれているわ。肩を押さえつけられて暴れている。
それをしてくれていなかったら、私、殴られていたかもしれないわ…良かった…。
「重ね重ね済まない…。では皆の者。エドワードとキャルルが結婚という事でよろしいな?」
そう言って、国王陛下が後ろにいらっしゃる貴族達を見て言った。
すると、拍手がパラパラとおこり、やがて大きなものとなった。
国王陛下が満足げに頷き、手を上げると拍手も鳴り止んだ。
「では、次期国王は、エドワードとする事でよろしいな?」
再び、鳴り止まんばかりの拍手が起こった所で、近衛兵に押さえつけられたはずのドラス王子が進み出して叫び出した。
「あり得ない!国王になるのはこの第一王子であるこのオレだ!なぜ、エドワードなんだ!オレが、コーリンとこの国を背負って立つんだ!!」
すでに近衛兵によって地面に押さえつけられたドラス王子は、それでも叫び続けている。
「そうよ!私が正妃になるのでしょ?そこの兵士!次期国王を足で踏んでいいと思っているの!?早く離しなさい!!」
と、コーリンも叫び押さえつけられたドラス王子の元へ近寄った。
「誰がそんな戯けた事を申した?」
地を這うような、国王陛下の声がした。
「え?誰って…。」
さすがに、コーリンは口を慎んだ。というか、誰が言い出したのか考え込んでいるのかもしれない。
「私は、次期国王にはドラスだと一言も言っておらん。次期正妃は、是非ともキャルルにとは言ったがな。キャルルに正妃教育をさせ、頃合いを見て結婚させようと思っていた。ドラスとエドワードどちらにもキャルルとの交流時間を作らせ、どう転ぶかは正直不安だったがな。まぁ、結果的にはうまくいったよのう、エドワード。」
国王陛下は、はじめの方は怒気を含んだ声で話し出したが、最後はエドワード様にウインクまでして話していた。
「はい。ドラスは、幼い頃より勉学にも全く励まないので国王陛下に『私が努力すれば次期国王になり得ますか?』と直談判すると、『当たり前だ。国を想う気持ちがある方が国王に相応しい。』と言って下さった。そのおかげでキャルルとの未来も描け、実現できる運びとなった。皆にも礼を言います。これからも私と、キャルルを支えて下さい。」
とエドワードは貴族達に向かって、頭を下げた。
「いやぁ、良かったな。」
「本当ね。努力家同士お似合いよ。」
「これでこのベルサヴィン国の将来も明るいな。」
と、貴族達は口々に拍手をしながら声を掛けてくれた。
「あり得ない!あり得ない…!!」
そうブツブツと呟きながら床を拳で殴りつけているドラス王子と、呆然と立ち尽くコーリンに、国王陛下は言い放った。
「ドラス。お前が努力すると言うのなら、公爵の爵位を与え、そこの娘と結婚する許可を与える。しかし、自分の行いを悔い改めない場合は王族の職務を全うしなかった罰として、極寒の地サーブルへ幽閉と処する!猶予は三日。自室で頭を冷やして良く考えておれ!近衛兵、見張りをしっかりとな。そこの娘も同罪だ。公爵夫人となりしっかり努力するのであれば、ドラスとの結婚は認めてやる。だが、今までを悔い改めない場合は、極寒のサーブル修道院へと送るものとする。そなたは、カドライン侯爵家に帰してもどう過ごしているか分からないからな。簡素な部屋を用意する。では連れていけ!」
「ああ、キャルル。やっと、俺のものだと言える。うまくいって本当に良かった!!俺、キャルルを手に入れる為に本当に努力したんだよ!!これからは夫婦としてよろしくね!幸せにするからね。」
そう言って、エドワード様は傍に来てギューッと抱きしめてくれた。
「ええ。エドワード様。こちらこそよろしくお願いしますわ。幸せになりましょう?」
☆★☆★☆★☆★
これにて短いですが、終わりです。もっとキツい断罪にしようかとも思いましたが…生ぬるいものになりました☆
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