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22. 有名なお店で
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「まぁ!これが王都…?」
私は、王都は馬車から眺める景色としては見ていたけれど、実際に歩いたりはした事が無かった。
馬車が通る道は石段で、広く伸びている。でも今日はそこでは無くて歩道を行く。歩道も、石段だけれどたまに馬が歩道にまで来てしまう事もあるとかで、馬車が通る側をアヴェレスク様が、私が店側を歩く事になった。後ろでは、同じようにマリネスキュー様が馬車が通る側、アンジェラが店側を歩いていた。
護衛は、少し離れた場所からついてくるらしい。
「結構、奥まった店なのですって。」
大きな通りから二本ほと奥に入った道は、石段で整備はされていなくて剥き出しの地面のままだった。
「ここか…。」
「ええ。そうみたいね。看板が出ているわ。」
建物の外に、色とりどりの丸い石?のような形が描かれた看板が掛かっていた。
カランカラン
「いらっしゃいませー。」
店はそんなに広くなく、私達四人が入ると少し狭く感じた。
けれど、壁伝いに目の高さにある棚にはいろいろな色の、掌に包めるほどの大きさや、指先ほどの小さい大きさの石にしては真ん丸な物が置いてあった。
「まぁ…!」
「素敵ね…!」
「いらっしゃいませ。こちらの商品は全て〝玉〟です。どうです?綺麗でしょう?」
「たま?ええ、とても綺麗ね!ツルツルとして光っているわ!これ、石なの?」
「材料は残念ながら企業秘密です。でもだからこそ、安価でご提供できるのですよ。」
「なるほどね。確かにそうね。ねぇ、見てるだけでも素敵ね!どう?私一つ購入しようかしら。」
カランカラン
「ねぇ、ここ?」
「あぁ、そうだよ。」
「え!ヴァレリア!?」
扉を開け入って来たのは、四人。一人はヴァレリアだった。後の三人は皆緑色の髪の男女。
もっと店が狭く感じ、ぎゅうぎゅう詰めな感じだった。
「?あらヴェロニカ?久し振りね。どうしているの?」
「私は…この店、最近出来て有名だって聞いて友人と来てみたの。」
「へーそうなの。有名だって。良かったわね!」
そう言ってヴァレリアは、一緒に来た男の子に肩を叩いて話を振っていた。
「でも、なんだかこれ皆軽そうね。安っぽいっていうか…。」
ヴァレリアは、私から視線を移し〝たま〟を見ながら言うと、男の子が返事を返した。
「そりゃ仕方ないよ。泥だもん。だから材料費安くて儲かるんだけどさ。」
「泥ぉ!?」
アンジェラが驚いている。私も、アヴェレスク様もマリネスキュー様も耳を疑っているわ。
「へーこんな色とりどりの色なのに泥なの?ツルツルとして光ってるわよ。あ、色を付けてあるのね。見違えるわー。」
そうマジマジと〝たま〟を見つめているヴァレリア。
「ねぇ、ヴェロニカ、帰りましょ。」
小声で、アンジェラが囁いた。
「いいの?」
先ほどまで、どれを買おうか迷っていたので私が聞くとアンジェラは頷いて、腕を引っ張って出入り口へと進んだ。
「また来てねー。」
「あ、ヴェロニカ、またねー。」
「うん、ヴァレリア。またね。」
店員さんが言うと、ヴァレリアが気付いて私へと手を振ったので、私も振り返した。
「あれ、泥って言ってたわね。」
店を出て大通りへと進んだ私達はそれまで無言だったけれど、アンジェラが不意に言った。
「そうだったね。確かにあれは企業秘密って言わなきゃね。泥を売ってますなんて、誰も買わないんじゃないか?」
「でも、色もいろんな色があってとても綺麗なだったわ。泥なんて思えないくらいツルツルに光っていたわ。」
私が言うと、アヴェレスク様も口を開いた。
「…そうだね。綺麗だったから、ヴェロニカに贈ろうかと思ったけれど、違うものにしようか。もう少し行った先にも小物が置いてある店があるそうだよ。行ってみようか?」
「ふふふ。確かに他の店も見てみたいわ。ね、アンジェラ。あの店のたまも綺麗だったけれど、他の店も行きましょう?」
「ごめんね、ヴェロニカ…。せっかく来たのに。」
「何言ってるの?言ったでしょう?アンジェラとならどんなお店でも嬉しいって!ほら!お願い、行きましょ!」
アンジェラがいつになくしょげているわ。お勧めの店だと思ったのが泥を売っていたのだものね。言われなければ分からないくらいとてもツルツルでピカピカと光っていて綺麗だったもの。
でも、アンジェラが元気を出してくれるといいなと思って私は、アンジェラの腕を思い切って絡めた。
私は、王都は馬車から眺める景色としては見ていたけれど、実際に歩いたりはした事が無かった。
馬車が通る道は石段で、広く伸びている。でも今日はそこでは無くて歩道を行く。歩道も、石段だけれどたまに馬が歩道にまで来てしまう事もあるとかで、馬車が通る側をアヴェレスク様が、私が店側を歩く事になった。後ろでは、同じようにマリネスキュー様が馬車が通る側、アンジェラが店側を歩いていた。
護衛は、少し離れた場所からついてくるらしい。
「結構、奥まった店なのですって。」
大きな通りから二本ほと奥に入った道は、石段で整備はされていなくて剥き出しの地面のままだった。
「ここか…。」
「ええ。そうみたいね。看板が出ているわ。」
建物の外に、色とりどりの丸い石?のような形が描かれた看板が掛かっていた。
カランカラン
「いらっしゃいませー。」
店はそんなに広くなく、私達四人が入ると少し狭く感じた。
けれど、壁伝いに目の高さにある棚にはいろいろな色の、掌に包めるほどの大きさや、指先ほどの小さい大きさの石にしては真ん丸な物が置いてあった。
「まぁ…!」
「素敵ね…!」
「いらっしゃいませ。こちらの商品は全て〝玉〟です。どうです?綺麗でしょう?」
「たま?ええ、とても綺麗ね!ツルツルとして光っているわ!これ、石なの?」
「材料は残念ながら企業秘密です。でもだからこそ、安価でご提供できるのですよ。」
「なるほどね。確かにそうね。ねぇ、見てるだけでも素敵ね!どう?私一つ購入しようかしら。」
カランカラン
「ねぇ、ここ?」
「あぁ、そうだよ。」
「え!ヴァレリア!?」
扉を開け入って来たのは、四人。一人はヴァレリアだった。後の三人は皆緑色の髪の男女。
もっと店が狭く感じ、ぎゅうぎゅう詰めな感じだった。
「?あらヴェロニカ?久し振りね。どうしているの?」
「私は…この店、最近出来て有名だって聞いて友人と来てみたの。」
「へーそうなの。有名だって。良かったわね!」
そう言ってヴァレリアは、一緒に来た男の子に肩を叩いて話を振っていた。
「でも、なんだかこれ皆軽そうね。安っぽいっていうか…。」
ヴァレリアは、私から視線を移し〝たま〟を見ながら言うと、男の子が返事を返した。
「そりゃ仕方ないよ。泥だもん。だから材料費安くて儲かるんだけどさ。」
「泥ぉ!?」
アンジェラが驚いている。私も、アヴェレスク様もマリネスキュー様も耳を疑っているわ。
「へーこんな色とりどりの色なのに泥なの?ツルツルとして光ってるわよ。あ、色を付けてあるのね。見違えるわー。」
そうマジマジと〝たま〟を見つめているヴァレリア。
「ねぇ、ヴェロニカ、帰りましょ。」
小声で、アンジェラが囁いた。
「いいの?」
先ほどまで、どれを買おうか迷っていたので私が聞くとアンジェラは頷いて、腕を引っ張って出入り口へと進んだ。
「また来てねー。」
「あ、ヴェロニカ、またねー。」
「うん、ヴァレリア。またね。」
店員さんが言うと、ヴァレリアが気付いて私へと手を振ったので、私も振り返した。
「あれ、泥って言ってたわね。」
店を出て大通りへと進んだ私達はそれまで無言だったけれど、アンジェラが不意に言った。
「そうだったね。確かにあれは企業秘密って言わなきゃね。泥を売ってますなんて、誰も買わないんじゃないか?」
「でも、色もいろんな色があってとても綺麗なだったわ。泥なんて思えないくらいツルツルに光っていたわ。」
私が言うと、アヴェレスク様も口を開いた。
「…そうだね。綺麗だったから、ヴェロニカに贈ろうかと思ったけれど、違うものにしようか。もう少し行った先にも小物が置いてある店があるそうだよ。行ってみようか?」
「ふふふ。確かに他の店も見てみたいわ。ね、アンジェラ。あの店のたまも綺麗だったけれど、他の店も行きましょう?」
「ごめんね、ヴェロニカ…。せっかく来たのに。」
「何言ってるの?言ったでしょう?アンジェラとならどんなお店でも嬉しいって!ほら!お願い、行きましょ!」
アンジェラがいつになくしょげているわ。お勧めの店だと思ったのが泥を売っていたのだものね。言われなければ分からないくらいとてもツルツルでピカピカと光っていて綺麗だったもの。
でも、アンジェラが元気を出してくれるといいなと思って私は、アンジェラの腕を思い切って絡めた。
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