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17. 友人とは
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「ではラドゥ、行ってくるわ。」
「大丈夫ですか?教室まで行きましょうか?」
「ありがとう。大丈夫よ、頑張るわ。」
今日も生徒達が私を見ている気がする。でも、昨日アンジェラが『手を振るくらいでなきゃ!慣れていきましょ!』
って明るく言ってくれたから、幾分私の心も軽くなったの。
たくさんの人が注目してくるのはやっぱり緊張してしまうけれど、確かに私は王族だもの。お父様の跡を継ぐ訳ではないけれど、これからは公式の場にも出る機会があるかもしれないわ。
お母様が生きていらしたら、宮廷でガーデンパーティーなどを開いて貴族と交流を持つ事を幼い頃からやっていたのでしょうけれど、私達にはお母様がいない為、そんな催し物も無く、まだ私達は公式の式典等にそんなに参加した事が無かった。
けれど、ヴァレリアの傍でヴァレリアの治世を支えるなら、人目に触れる事もあるでしょうからね。
試しに近くを歩いている、同じクラスの女の子達に手を振ってみた。すると、嬉しそうにしてくれ、『手、振ってくれたわ!どうしよう!』と隣の子と話していた。あの子達は、確か伯爵家の子たちだったわね。良かった。喜んでくれているわ。
勇気を振り絞って挨拶をしてみると、話し出してくれた。そして、その子達と教室まで話しながら行く事となった。
「おはよう、ヴェロニカ!」
教室を入って私は、好きな席に座っていい為、前の方の席に座っていると声を掛けてきたのはアンジェラだった。
「アンジェラ、おはようございます。」
隣へ座ってくれたアンジェラは、私を見て話し出した。
「そういえばヴェロニカはいつでも丁寧ね。でも、親しい仲では、話し方を崩してもいいのよ?公式の場では、言葉遣いも振る舞いもしっかり区別つけなければならないけれど。」
「そうなのですか?親しい間柄とは名前を呼び合うだけではないのですね?」
「そうよ。…ふふ。嬉しいわ。私がヴェロニカの先生になれるなんて!こういう実践的な内容は集団生活をする仲で学んでいくのが多いものね。だから敢えてヴェロニカに教えていた家庭教師の先生も、ヴェロニカに教えなかったのかもしれないわね。ヴェロニカ、これからいろいろと教えていくわね!」
「ええ、アンジェラ。ありがとう。私本当に何も知らないのね。ごめんなさい、きっと教え甲斐があり過ぎるわ。呆れたり…されてしまうのが怖いわ。」
「まぁ!何言っているの?私、ヴェロニカと友人になれてとても楽しいのよ?ヴェロニカこそ、うるさいって思わないでいてくれると嬉しいわ。」
「思わないわ!この前も、私が部屋へ誘ったときそれとなく止めた方がいいと教えてくれたでしょう?ヴァレリアもご友人を連れて来たらしくて衛兵に止められていたみたいなの。私も、連れて行っていたらきっと二人を嫌な気持ちにさせていたわ。」
「え!?…そう。ヴァレリア様のご友人って、教会学校の…?」
「多分そうだと思うわ。」
「そんな人達を宮廷に…私達公爵家だったらまだしも、そう…。」
「やぁ。何の話をしているんだい?」
「なんだかアンジェラ、浮かない顔をしているみたいだよ?大丈夫かい?」
アヴェレスク様と、マリネスキュー様は一緒に来たのか二人揃って私達のすぐ後ろの席へ座って、言った。
「それがね、入学式の日ヴァレリア様が宮廷にご友人をお連れになったのですって。」
「え?」
「ほぉ。」
「あ、でも衛兵が止めたらしいのです。だから、アヴェレスク様も学食にと言って下さってありがとうございます。私も嫌な気持ちにさせていた所でしたわ。」
「ん?というのは?」
「ああ、セルゲイはその日会話途中から入ってきたのだったね。初め、学食ではなくてヴェロニカが部屋に誘ってくれたんだ。」
「お恥ずかしいですわ。いけないなんて知らず、声を掛けてしまって。」
「そうなんだ。でも、その為の僕等だからいいんじゃないかい?初めから完璧な人なんていないさ。少しずつ学んでいけばいいんだよ。」
「そうだね。ヴェロニカ、気にしなくていいんだよ。少しずつ知っていけばいい。さぁ、授業も今日から始まるね。楽しんで学んでいこう!」
そう三人が言って下さったので、少し心が軽くなったわ。だから、ありがとうのきもを込めて微笑みを返した。
「大丈夫ですか?教室まで行きましょうか?」
「ありがとう。大丈夫よ、頑張るわ。」
今日も生徒達が私を見ている気がする。でも、昨日アンジェラが『手を振るくらいでなきゃ!慣れていきましょ!』
って明るく言ってくれたから、幾分私の心も軽くなったの。
たくさんの人が注目してくるのはやっぱり緊張してしまうけれど、確かに私は王族だもの。お父様の跡を継ぐ訳ではないけれど、これからは公式の場にも出る機会があるかもしれないわ。
お母様が生きていらしたら、宮廷でガーデンパーティーなどを開いて貴族と交流を持つ事を幼い頃からやっていたのでしょうけれど、私達にはお母様がいない為、そんな催し物も無く、まだ私達は公式の式典等にそんなに参加した事が無かった。
けれど、ヴァレリアの傍でヴァレリアの治世を支えるなら、人目に触れる事もあるでしょうからね。
試しに近くを歩いている、同じクラスの女の子達に手を振ってみた。すると、嬉しそうにしてくれ、『手、振ってくれたわ!どうしよう!』と隣の子と話していた。あの子達は、確か伯爵家の子たちだったわね。良かった。喜んでくれているわ。
勇気を振り絞って挨拶をしてみると、話し出してくれた。そして、その子達と教室まで話しながら行く事となった。
「おはよう、ヴェロニカ!」
教室を入って私は、好きな席に座っていい為、前の方の席に座っていると声を掛けてきたのはアンジェラだった。
「アンジェラ、おはようございます。」
隣へ座ってくれたアンジェラは、私を見て話し出した。
「そういえばヴェロニカはいつでも丁寧ね。でも、親しい仲では、話し方を崩してもいいのよ?公式の場では、言葉遣いも振る舞いもしっかり区別つけなければならないけれど。」
「そうなのですか?親しい間柄とは名前を呼び合うだけではないのですね?」
「そうよ。…ふふ。嬉しいわ。私がヴェロニカの先生になれるなんて!こういう実践的な内容は集団生活をする仲で学んでいくのが多いものね。だから敢えてヴェロニカに教えていた家庭教師の先生も、ヴェロニカに教えなかったのかもしれないわね。ヴェロニカ、これからいろいろと教えていくわね!」
「ええ、アンジェラ。ありがとう。私本当に何も知らないのね。ごめんなさい、きっと教え甲斐があり過ぎるわ。呆れたり…されてしまうのが怖いわ。」
「まぁ!何言っているの?私、ヴェロニカと友人になれてとても楽しいのよ?ヴェロニカこそ、うるさいって思わないでいてくれると嬉しいわ。」
「思わないわ!この前も、私が部屋へ誘ったときそれとなく止めた方がいいと教えてくれたでしょう?ヴァレリアもご友人を連れて来たらしくて衛兵に止められていたみたいなの。私も、連れて行っていたらきっと二人を嫌な気持ちにさせていたわ。」
「え!?…そう。ヴァレリア様のご友人って、教会学校の…?」
「多分そうだと思うわ。」
「そんな人達を宮廷に…私達公爵家だったらまだしも、そう…。」
「やぁ。何の話をしているんだい?」
「なんだかアンジェラ、浮かない顔をしているみたいだよ?大丈夫かい?」
アヴェレスク様と、マリネスキュー様は一緒に来たのか二人揃って私達のすぐ後ろの席へ座って、言った。
「それがね、入学式の日ヴァレリア様が宮廷にご友人をお連れになったのですって。」
「え?」
「ほぉ。」
「あ、でも衛兵が止めたらしいのです。だから、アヴェレスク様も学食にと言って下さってありがとうございます。私も嫌な気持ちにさせていた所でしたわ。」
「ん?というのは?」
「ああ、セルゲイはその日会話途中から入ってきたのだったね。初め、学食ではなくてヴェロニカが部屋に誘ってくれたんだ。」
「お恥ずかしいですわ。いけないなんて知らず、声を掛けてしまって。」
「そうなんだ。でも、その為の僕等だからいいんじゃないかい?初めから完璧な人なんていないさ。少しずつ学んでいけばいいんだよ。」
「そうだね。ヴェロニカ、気にしなくていいんだよ。少しずつ知っていけばいい。さぁ、授業も今日から始まるね。楽しんで学んでいこう!」
そう三人が言って下さったので、少し心が軽くなったわ。だから、ありがとうのきもを込めて微笑みを返した。
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