18 / 40
18. 引っ越す?
しおりを挟む
入学してから十日が経ちました。
ヴァレリアは、帰りが遅くなるから、それに朝早くから出掛けるのが嫌だからと近くに住みたいと言い出し始めました。
「今でさえあまり会えないのに、もっと会えなくなってしまうわ。」
私はそうヴァレリアに声を掛けると、私にニッコリと笑いかけ、言いました。
「もう私達は子供じゃないのよ?たまに会えれば充分よ。また帰ってきたら話を聞かせてね!」
結局、お父様は入学式の日の、ひと悶着あった事を聞き、ヴァレリアに『王族区域には、無闇に人を入れない事。』と伝えました。
その代わりなのでしょうか、渋りながらも許可を出されました。
「ヴァレリア、どんどん遠くへ行ってしまうわ…。」
私は、自分の部屋でラドゥに向けてポツリと呟きました。
「…ヴェロニカ様?ヴェロニカ様はヴェロニカ様の出来る事をしていきましょうね。ヴァレリア様も、きっとヴァレリア様の出来る事をしているのでしょうからね。」
「そうよね…。いつからヴァレリアは行くのか聞いている?」
「ええ。慌ただしいみたいですよ。一週間は文句を言いながら通っていたみたいですが、とうとう週末にヴァレリア様が言い出されて、空き家を確認していたのですが、王女様なのでやはり警備体制がしっかり出来る場所がいいとの事で、新しく作ろうかと話していましたね。ヴァレリア様は初め、明日にでもと言われていましたが、屋敷を新しく建てる話をしたら、待ってくれるそうで。屋敷が出来上がったら行くみたいですよ。」
「あ、新しく建てる…?」
「はい…。どのような大きさとか、どこにまでは聞いておりませんが、王都でしかも、教会学校に近い場所でいい物件が無かったのでしょう。それはそうですよね、王族は宮廷に住んでいますから、すぐ近くの王都に別邸なんて建てておりませんから。」
「そうよね…。」
「空き家はあるにはあったらしいですが、所有者がいたり、警備がし辛いとかで却下になったみたいですよ。」
「でも、それ…税金じゃないの?」
「すみません…そこまでは…。」
「そう、そうよね。ごめんなさい。私がそこまで考えなくてもいいわよね。国王であるお父様が許可したのですもの。でも、ヴァレリアが教会学校に行くだけでも反発があったみたいだったので…。」
「そうですね。けれど国王陛下も、お考えがあって、許可を出されたのだと思いますから。」
「ええ…そうだといいのだけれど。」
貴族達から、反発なんてされないわよね?
結局、ヴァレリアは屋根や自分の部屋だけは粗方出来たからと三週間もすると、完成する前に移り住んでしまったの。
ヴァレリアは、帰りが遅くなるから、それに朝早くから出掛けるのが嫌だからと近くに住みたいと言い出し始めました。
「今でさえあまり会えないのに、もっと会えなくなってしまうわ。」
私はそうヴァレリアに声を掛けると、私にニッコリと笑いかけ、言いました。
「もう私達は子供じゃないのよ?たまに会えれば充分よ。また帰ってきたら話を聞かせてね!」
結局、お父様は入学式の日の、ひと悶着あった事を聞き、ヴァレリアに『王族区域には、無闇に人を入れない事。』と伝えました。
その代わりなのでしょうか、渋りながらも許可を出されました。
「ヴァレリア、どんどん遠くへ行ってしまうわ…。」
私は、自分の部屋でラドゥに向けてポツリと呟きました。
「…ヴェロニカ様?ヴェロニカ様はヴェロニカ様の出来る事をしていきましょうね。ヴァレリア様も、きっとヴァレリア様の出来る事をしているのでしょうからね。」
「そうよね…。いつからヴァレリアは行くのか聞いている?」
「ええ。慌ただしいみたいですよ。一週間は文句を言いながら通っていたみたいですが、とうとう週末にヴァレリア様が言い出されて、空き家を確認していたのですが、王女様なのでやはり警備体制がしっかり出来る場所がいいとの事で、新しく作ろうかと話していましたね。ヴァレリア様は初め、明日にでもと言われていましたが、屋敷を新しく建てる話をしたら、待ってくれるそうで。屋敷が出来上がったら行くみたいですよ。」
「あ、新しく建てる…?」
「はい…。どのような大きさとか、どこにまでは聞いておりませんが、王都でしかも、教会学校に近い場所でいい物件が無かったのでしょう。それはそうですよね、王族は宮廷に住んでいますから、すぐ近くの王都に別邸なんて建てておりませんから。」
「そうよね…。」
「空き家はあるにはあったらしいですが、所有者がいたり、警備がし辛いとかで却下になったみたいですよ。」
「でも、それ…税金じゃないの?」
「すみません…そこまでは…。」
「そう、そうよね。ごめんなさい。私がそこまで考えなくてもいいわよね。国王であるお父様が許可したのですもの。でも、ヴァレリアが教会学校に行くだけでも反発があったみたいだったので…。」
「そうですね。けれど国王陛下も、お考えがあって、許可を出されたのだと思いますから。」
「ええ…そうだといいのだけれど。」
貴族達から、反発なんてされないわよね?
結局、ヴァレリアは屋根や自分の部屋だけは粗方出来たからと三週間もすると、完成する前に移り住んでしまったの。
0
お気に入りに追加
268
あなたにおすすめの小説
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
子持ちの私は、夫に駆け落ちされました
月山 歩
恋愛
産まれたばかりの赤子を抱いた私は、砦に働きに行ったきり、帰って来ない夫を心配して、鍛錬場を訪れた。すると、夫の上司は夫が仕事中に駆け落ちしていなくなったことを教えてくれた。食べる物がなく、フラフラだった私は、その場で意識を失った。赤子を抱いた私を気の毒に思った公爵家でお世話になることに。

【完結】お荷物王女は婚約解消を願う
miniko
恋愛
王家の瞳と呼ばれる色を持たずに生まれて来た王女アンジェリーナは、一部の貴族から『お荷物王女』と蔑まれる存在だった。
それがエスカレートするのを危惧した国王は、アンジェリーナの後ろ楯を強くする為、彼女の従兄弟でもある筆頭公爵家次男との婚約を整える。
アンジェリーナは八歳年上の優しい婚約者が大好きだった。
今は妹扱いでも、自分が大人になれば年の差も気にならなくなり、少しづつ愛情が育つ事もあるだろうと思っていた。
だが、彼女はある日聞いてしまう。
「お役御免になる迄は、しっかりアンジーを守る」と言う彼の宣言を。
───そうか、彼は私を守る為に、一時的に婚約者になってくれただけなのね。
それなら出来るだけ早く、彼を解放してあげなくちゃ・・・・・・。
そして二人は盛大にすれ違って行くのだった。
※設定ユルユルですが、笑って許してくださると嬉しいです。
※感想欄、ネタバレ配慮しておりません。ご了承ください。


立派な王太子妃~妃の幸せは誰が考えるのか~
矢野りと
恋愛
ある日王太子妃は夫である王太子の不貞の現場を目撃してしまう。愛している夫の裏切りに傷つきながらも、やり直したいと周りに助言を求めるが‥‥。
隠れて不貞を続ける夫を見続けていくうちに壊れていく妻。
周りが気づいた時は何もかも手遅れだった…。
※設定はゆるいです。

【完結】旦那様、お飾りですか?
紫崎 藍華
恋愛
結婚し新たな生活に期待を抱いていた妻のコリーナに夫のレックスは告げた。
社交の場では立派な妻であるように、と。
そして家庭では大切にするつもりはないことも。
幸せな家庭を夢見ていたコリーナの希望は打ち砕かれた。
そしてお飾りの妻として立派に振る舞う生活が始まった。

「お前を妻だと思ったことはない」と言ってくる旦那様と離婚した私は、幼馴染の侯爵から溺愛されています。
木山楽斗
恋愛
第二王女のエリームは、かつて王家と敵対していたオルバディオン公爵家に嫁がされた。
因縁を解消するための結婚であったが、現当主であるジグールは彼女のことを冷遇した。長きに渡る因縁は、簡単に解消できるものではなかったのである。
そんな暮らしは、エリームにとって息苦しいものだった。それを重く見た彼女の兄アルベルドと幼馴染カルディアスは、二人の結婚を解消させることを決意する。
彼らの働きかけによって、エリームは苦しい生活から解放されるのだった。
晴れて自由の身になったエリームに、一人の男性が婚約を申し込んできた。
それは、彼女の幼馴染であるカルディアスである。彼は以前からエリームに好意を寄せていたようなのだ。
幼い頃から彼の人となりを知っているエリームは、喜んでその婚約を受け入れた。二人は、晴れて夫婦となったのである。
二度目の結婚を果たしたエリームは、以前とは異なる生活を送っていた。
カルディアスは以前の夫とは違い、彼女のことを愛して尊重してくれたのである。
こうして、エリームは幸せな生活を送るのだった。

【完結】100日後に処刑されるイグワーナ(悪役令嬢)は抜け毛スキルで無双する
みねバイヤーン
恋愛
せっかく悪役令嬢に転生したのに、もう断罪イベント終わって、牢屋にぶち込まれてるんですけどー。これは100日後に処刑されるイグワーナが、抜け毛操りスキルを使って無双し、自分を陥れた第一王子と聖女の妹をざまぁする、そんな物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる