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18. 引っ越す?
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入学してから十日が経ちました。
ヴァレリアは、帰りが遅くなるから、それに朝早くから出掛けるのが嫌だからと近くに住みたいと言い出し始めました。
「今でさえあまり会えないのに、もっと会えなくなってしまうわ。」
私はそうヴァレリアに声を掛けると、私にニッコリと笑いかけ、言いました。
「もう私達は子供じゃないのよ?たまに会えれば充分よ。また帰ってきたら話を聞かせてね!」
結局、お父様は入学式の日の、ひと悶着あった事を聞き、ヴァレリアに『王族区域には、無闇に人を入れない事。』と伝えました。
その代わりなのでしょうか、渋りながらも許可を出されました。
「ヴァレリア、どんどん遠くへ行ってしまうわ…。」
私は、自分の部屋でラドゥに向けてポツリと呟きました。
「…ヴェロニカ様?ヴェロニカ様はヴェロニカ様の出来る事をしていきましょうね。ヴァレリア様も、きっとヴァレリア様の出来る事をしているのでしょうからね。」
「そうよね…。いつからヴァレリアは行くのか聞いている?」
「ええ。慌ただしいみたいですよ。一週間は文句を言いながら通っていたみたいですが、とうとう週末にヴァレリア様が言い出されて、空き家を確認していたのですが、王女様なのでやはり警備体制がしっかり出来る場所がいいとの事で、新しく作ろうかと話していましたね。ヴァレリア様は初め、明日にでもと言われていましたが、屋敷を新しく建てる話をしたら、待ってくれるそうで。屋敷が出来上がったら行くみたいですよ。」
「あ、新しく建てる…?」
「はい…。どのような大きさとか、どこにまでは聞いておりませんが、王都でしかも、教会学校に近い場所でいい物件が無かったのでしょう。それはそうですよね、王族は宮廷に住んでいますから、すぐ近くの王都に別邸なんて建てておりませんから。」
「そうよね…。」
「空き家はあるにはあったらしいですが、所有者がいたり、警備がし辛いとかで却下になったみたいですよ。」
「でも、それ…税金じゃないの?」
「すみません…そこまでは…。」
「そう、そうよね。ごめんなさい。私がそこまで考えなくてもいいわよね。国王であるお父様が許可したのですもの。でも、ヴァレリアが教会学校に行くだけでも反発があったみたいだったので…。」
「そうですね。けれど国王陛下も、お考えがあって、許可を出されたのだと思いますから。」
「ええ…そうだといいのだけれど。」
貴族達から、反発なんてされないわよね?
結局、ヴァレリアは屋根や自分の部屋だけは粗方出来たからと三週間もすると、完成する前に移り住んでしまったの。
ヴァレリアは、帰りが遅くなるから、それに朝早くから出掛けるのが嫌だからと近くに住みたいと言い出し始めました。
「今でさえあまり会えないのに、もっと会えなくなってしまうわ。」
私はそうヴァレリアに声を掛けると、私にニッコリと笑いかけ、言いました。
「もう私達は子供じゃないのよ?たまに会えれば充分よ。また帰ってきたら話を聞かせてね!」
結局、お父様は入学式の日の、ひと悶着あった事を聞き、ヴァレリアに『王族区域には、無闇に人を入れない事。』と伝えました。
その代わりなのでしょうか、渋りながらも許可を出されました。
「ヴァレリア、どんどん遠くへ行ってしまうわ…。」
私は、自分の部屋でラドゥに向けてポツリと呟きました。
「…ヴェロニカ様?ヴェロニカ様はヴェロニカ様の出来る事をしていきましょうね。ヴァレリア様も、きっとヴァレリア様の出来る事をしているのでしょうからね。」
「そうよね…。いつからヴァレリアは行くのか聞いている?」
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「あ、新しく建てる…?」
「はい…。どのような大きさとか、どこにまでは聞いておりませんが、王都でしかも、教会学校に近い場所でいい物件が無かったのでしょう。それはそうですよね、王族は宮廷に住んでいますから、すぐ近くの王都に別邸なんて建てておりませんから。」
「そうよね…。」
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「でも、それ…税金じゃないの?」
「すみません…そこまでは…。」
「そう、そうよね。ごめんなさい。私がそこまで考えなくてもいいわよね。国王であるお父様が許可したのですもの。でも、ヴァレリアが教会学校に行くだけでも反発があったみたいだったので…。」
「そうですね。けれど国王陛下も、お考えがあって、許可を出されたのだと思いますから。」
「ええ…そうだといいのだけれど。」
貴族達から、反発なんてされないわよね?
結局、ヴァレリアは屋根や自分の部屋だけは粗方出来たからと三週間もすると、完成する前に移り住んでしまったの。
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