【完結】双子の国の行く末〜妹ヴェロニカの見た景色〜

まりぃべる

文字の大きさ
上 下
13 / 40

13. 不信感…?

しおりを挟む
「ヴァレリア王女が宮廷学院に通わないというのは、俺は父から聞いた。議会に出席しているからね。」

「ええ。私も聞いたわ。」

「あぁ。僕の父からも聞いた。」

「うん。俺ら以外にも、言いふらす訳ではないが聞いている生徒もいたと思う。それで、将来の女王への不信感が芽生えつつあるんだ。」

「そんな!」

「それでね、騎士団っていうのは国を守る役目もあるけれど、王家を守る役目もあるだろう?『ヴァレリア様を守るのかぁ…俺ら貴族と親交を深めるより、庶民の学校へわざわざ通うと決めた方をかぁ。まさか、ヴァレリア様は女王とならないのではないか?』って、反抗心というか、寂しさというか…そんな所だと思う。噂というのは、そこだね。女王にならないんじゃないかって。」

「…!」

「だからさっき、王族である君に敢えてを生徒達にしてもらった。でもただ君が言うのではになってしまってはいけない。忠誠を誓うというのは、自分の意思で決めなければならないからだ。だからアンジェラ嬢が言ってくれたのは有り難かったよ。」

「学友としてのお願い、ね!」

「そうなの…私何も知らなくて…。二人とも、ありがとう。」

「いいのよ。私達はそのにいるの。あ、もちろん自分で決めたのよ?ヴェロニカが小さな頃から帝王学を学んでいるように私達も、貴方達王族をより良い方向へ導けるようにね。オクタヴィアン様前王妃様からヴェロニカの話を聞いて、友人にもなりたいと思ったのだけれどね!」

「そうだったの…。ありがとう。」

 おばあ様が、何を言ったのかしら。


「オクタヴィアン様は、ヴァレリア様が宮廷学院に通わないと聞いて、私達に会って下さったの。そして、ヴェロニカがどんな人か教えてくれて、『もし、力になれそうなら助けてあげてちょうだい。』って言われたの。ただそれだけよ。だけど、私はもっと仲の良い友人となりたいと思ったのよ?だから、ヴェロニカから『ヴェロニカと呼んで!』って言われた時はとても嬉しかったわ!私も公爵家の人間として、あまり友人と呼べる人は居なかったもの。だけど、学生の間だけよ?身分は、身分。あなたは王女なんだもの。こんな身分を鼻に掛けない王女も珍しいけれどね!」

 そう言ってくれたので、少し心が軽くなったわ。おばあさまから言われたからアンジェラは、自分の意思とは関係なしに私に声を掛けてくれたのかと思ったから。それでも、仲良くしてくれて嬉しかったのは変わりないのだけれど。

「俺も昔から王族を支える者として育てられているからね。公爵家ではあるけれど俺はまだ王位継承権があるから、帝王学もさわりだけ学んだりもしたからね。だから、王族として外れそうになったら、正させてもらうよ。」

 アヴェレスク様もニッコリと笑ってそう言って下さいました。
私は良く分からない事ばかりですから、教えてもらえるなら有り難いです。

「はい、ありがとうございます。よろしくお願いします。」

「だから、ちょっと見直したよ。」

「え?」

 見直したと、アヴェレスク様に言われたから、何の事かしらと思いました。

「さっき、この話をする前なのに、ヴァレリア様の事で皆に謝っただろう?別にヴェロニカ嬢のせいではないんだけど、謝ってくれたからきっと、『ああ、俺達貴族は見捨てられていないんだ』と感じたと思うよ。」

「そ、そうですか…?」

「あぁ、それは確かに思ったね。拙いながらも精一杯気持ちを伝えようとしていた。だから、気になって声を掛けてしまったよ。多分、『貴族よりも庶民と仲良くしたいのかよ』って思っていた僕のような奴は、あの言葉で少し救われたと思うよ。」

「ええ。心に響いたわ。ヴェロニカ。あなたが女王になればいいのに。」

「え?」
「おい!」
「さすがにそれは…!」

「あ、ごめんなさい!とにかく、変な噂が払拭されるよう、頑張りましょ!選択科目も、受講する人、増えるといいわね!」

 アンジェラの言葉には驚いたけれど、きっとまた軽い冗談よね。
そう、お互いの事を話しながら時間は過ぎて行った。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします

文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。 夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。 エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。 「ゲルハルトさま、愛しています」 ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。 「エレーヌ、俺はあなたが憎い」 エレーヌは凍り付いた。

子持ちの私は、夫に駆け落ちされました

月山 歩
恋愛
産まれたばかりの赤子を抱いた私は、砦に働きに行ったきり、帰って来ない夫を心配して、鍛錬場を訪れた。すると、夫の上司は夫が仕事中に駆け落ちしていなくなったことを教えてくれた。食べる物がなく、フラフラだった私は、その場で意識を失った。赤子を抱いた私を気の毒に思った公爵家でお世話になることに。

【完結】お荷物王女は婚約解消を願う

miniko
恋愛
王家の瞳と呼ばれる色を持たずに生まれて来た王女アンジェリーナは、一部の貴族から『お荷物王女』と蔑まれる存在だった。 それがエスカレートするのを危惧した国王は、アンジェリーナの後ろ楯を強くする為、彼女の従兄弟でもある筆頭公爵家次男との婚約を整える。 アンジェリーナは八歳年上の優しい婚約者が大好きだった。 今は妹扱いでも、自分が大人になれば年の差も気にならなくなり、少しづつ愛情が育つ事もあるだろうと思っていた。 だが、彼女はある日聞いてしまう。 「お役御免になる迄は、しっかりアンジーを守る」と言う彼の宣言を。 ───そうか、彼は私を守る為に、一時的に婚約者になってくれただけなのね。 それなら出来るだけ早く、彼を解放してあげなくちゃ・・・・・・。 そして二人は盛大にすれ違って行くのだった。 ※設定ユルユルですが、笑って許してくださると嬉しいです。 ※感想欄、ネタバレ配慮しておりません。ご了承ください。

あなたが残した世界で

天海月
恋愛
「ロザリア様、あなたは俺が生涯をかけてお守りすると誓いましょう」王女であるロザリアに、そう約束した初恋の騎士アーロンは、ある事件の後、彼女との誓いを破り突然その姿を消してしまう。 八年後、生贄に選ばれてしまったロザリアは、最期に彼に一目会いたいとアーロンを探し、彼と再会を果たすが・・・。

「お前を妻だと思ったことはない」と言ってくる旦那様と離婚した私は、幼馴染の侯爵から溺愛されています。

木山楽斗
恋愛
第二王女のエリームは、かつて王家と敵対していたオルバディオン公爵家に嫁がされた。 因縁を解消するための結婚であったが、現当主であるジグールは彼女のことを冷遇した。長きに渡る因縁は、簡単に解消できるものではなかったのである。 そんな暮らしは、エリームにとって息苦しいものだった。それを重く見た彼女の兄アルベルドと幼馴染カルディアスは、二人の結婚を解消させることを決意する。 彼らの働きかけによって、エリームは苦しい生活から解放されるのだった。 晴れて自由の身になったエリームに、一人の男性が婚約を申し込んできた。 それは、彼女の幼馴染であるカルディアスである。彼は以前からエリームに好意を寄せていたようなのだ。 幼い頃から彼の人となりを知っているエリームは、喜んでその婚約を受け入れた。二人は、晴れて夫婦となったのである。 二度目の結婚を果たしたエリームは、以前とは異なる生活を送っていた。 カルディアスは以前の夫とは違い、彼女のことを愛して尊重してくれたのである。 こうして、エリームは幸せな生活を送るのだった。

【完結】旦那様、お飾りですか?

紫崎 藍華
恋愛
結婚し新たな生活に期待を抱いていた妻のコリーナに夫のレックスは告げた。 社交の場では立派な妻であるように、と。 そして家庭では大切にするつもりはないことも。 幸せな家庭を夢見ていたコリーナの希望は打ち砕かれた。 そしてお飾りの妻として立派に振る舞う生活が始まった。

【完結】100日後に処刑されるイグワーナ(悪役令嬢)は抜け毛スキルで無双する

みねバイヤーン
恋愛
せっかく悪役令嬢に転生したのに、もう断罪イベント終わって、牢屋にぶち込まれてるんですけどー。これは100日後に処刑されるイグワーナが、抜け毛操りスキルを使って無双し、自分を陥れた第一王子と聖女の妹をざまぁする、そんな物語。

5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?

gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。 そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて 「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」 もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね? 3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。 4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。 1章が書籍になりました。

処理中です...