12 / 40
12. 学食へ行く
しおりを挟む
あの後、宮廷学院の入り口の門の所まで行くと、それぞれの侍女や侍従が待っていました。どうやら、授業が終わるまでに一度帰る侍従や侍女もいるけれど、そうでない人はこの門を入ってすぐ左の建物の使用人棟で待つそうです。今日は入学式とあってすぐ終わるので、ほとんどの侍従や侍女は待っていたみたい。
「ヴェロニカ様!」
「ラドゥ、お待たせ。待たせて早々悪いのだけれど、今からこの三人で、学食へ行ってもいいかしら。」
「まぁ…!もうご友人が出来ましたのですか!?良かったですね!けれどまだ私もついていきますよ?よろしいですか。」
まだ?良く分からないけれど、だめだと言われなくて良かったわ。
「ヴェロニカの侍女のラドゥかな?済まないが、このまま学食へ行ってもいいだろうか。一緒に食事をしたい。宮廷に知らせをやったほうがいいのなら、俺のを一人遣うといい。君は心配だろうからね、ヴェロニカの傍に居た方がいいだろう。彼なら宮廷も何度も来ているから顔も利くし迷わない。」
「はい…!ありがとうございます、ええと…」
「あぁ、挨拶が遅れて済まない。俺はニコラエ=アヴェレスクだよ。怪しい者じゃないから安心して。」
「何から何まで…!ありがとうございます。」
そう素早くラドゥに伝えてくれると、ニコラエ様は自身の侍従を一人、宮廷へと行かせました。食事をこちらで取る事を伝えに行ってくれたのね。
これからは、こういう事態も予測して、ラドゥだけじゃなくて人数を増やして連れてきた方がいいのかしら。でも、ヴァレリアにも人がついているだろうし…そんなにたくさん人を私につけていいのかしら。
「ヴェロニカ?」
「あ!ごめんなさい…。ラドゥだけではなくて、これからは私も連れてくる侍女を増やした方がいいのか考えておりました。」
「ああ、気にしなくていいよ。俺の侍従を遣えばいいから。仕事を与えないと逆に暇過ぎて寝てしまうからね。ずっと立っているだけでは。」
「まぁ!」
寝てしまうなんて!気を遣ってそう言ってくれたのかしら。
私がそう話している間に、アンジェラもマリネスキュー様もそれぞれ侍女と侍従に話したらしくついてきた。家に連絡は特にしなくていいらしい。アンジェラなんて、『予定通りよ。一緒に食べられたらと、思っていたの。男二人いるのは予想外だけれどね。』と言っていた。
学食にも専属の侍従がいて、公爵以上が入れるという個室に案内された。マリネスキュー様は侯爵家だけれど、私達の連れ、という事で入れるらしい。
ラドゥ達侍従や侍女も、そこの部屋の隅で食べてもらう事となった。本来であれば、私達が食べる時は壁に立って私達に何かあればすぐ来られるように待機しているが、今日は長くなるかもしれないからとニコラエ様が言ってくれたのだ。
「あぁ美味しかった!こんなのが毎日食べられるんだね。」
「そうですわね。うちとはまた違った味付けでしたわ。」
「ヴェロニカは毎日これを食べているんだろう?羨ましいな。」
「え?…えと…なんというか…でも、ここは、宮廷学院の生徒の為の料理かと。気持ち、肉が多いような気がしました。私が食べている味付けとはまた少し違いましたし。」
「そうなんだね。まぁ確かに、学生用なのかもね。」
「ところで…食事も終わったから話すけれど、選択科目を受講しない人が多いのはね、ヴァレリア王女に関係しているんだよ。」
え?どういう意味かしら!?だってヴァレリアはここにはいないのに?
「ヴェロニカ様!」
「ラドゥ、お待たせ。待たせて早々悪いのだけれど、今からこの三人で、学食へ行ってもいいかしら。」
「まぁ…!もうご友人が出来ましたのですか!?良かったですね!けれどまだ私もついていきますよ?よろしいですか。」
まだ?良く分からないけれど、だめだと言われなくて良かったわ。
「ヴェロニカの侍女のラドゥかな?済まないが、このまま学食へ行ってもいいだろうか。一緒に食事をしたい。宮廷に知らせをやったほうがいいのなら、俺のを一人遣うといい。君は心配だろうからね、ヴェロニカの傍に居た方がいいだろう。彼なら宮廷も何度も来ているから顔も利くし迷わない。」
「はい…!ありがとうございます、ええと…」
「あぁ、挨拶が遅れて済まない。俺はニコラエ=アヴェレスクだよ。怪しい者じゃないから安心して。」
「何から何まで…!ありがとうございます。」
そう素早くラドゥに伝えてくれると、ニコラエ様は自身の侍従を一人、宮廷へと行かせました。食事をこちらで取る事を伝えに行ってくれたのね。
これからは、こういう事態も予測して、ラドゥだけじゃなくて人数を増やして連れてきた方がいいのかしら。でも、ヴァレリアにも人がついているだろうし…そんなにたくさん人を私につけていいのかしら。
「ヴェロニカ?」
「あ!ごめんなさい…。ラドゥだけではなくて、これからは私も連れてくる侍女を増やした方がいいのか考えておりました。」
「ああ、気にしなくていいよ。俺の侍従を遣えばいいから。仕事を与えないと逆に暇過ぎて寝てしまうからね。ずっと立っているだけでは。」
「まぁ!」
寝てしまうなんて!気を遣ってそう言ってくれたのかしら。
私がそう話している間に、アンジェラもマリネスキュー様もそれぞれ侍女と侍従に話したらしくついてきた。家に連絡は特にしなくていいらしい。アンジェラなんて、『予定通りよ。一緒に食べられたらと、思っていたの。男二人いるのは予想外だけれどね。』と言っていた。
学食にも専属の侍従がいて、公爵以上が入れるという個室に案内された。マリネスキュー様は侯爵家だけれど、私達の連れ、という事で入れるらしい。
ラドゥ達侍従や侍女も、そこの部屋の隅で食べてもらう事となった。本来であれば、私達が食べる時は壁に立って私達に何かあればすぐ来られるように待機しているが、今日は長くなるかもしれないからとニコラエ様が言ってくれたのだ。
「あぁ美味しかった!こんなのが毎日食べられるんだね。」
「そうですわね。うちとはまた違った味付けでしたわ。」
「ヴェロニカは毎日これを食べているんだろう?羨ましいな。」
「え?…えと…なんというか…でも、ここは、宮廷学院の生徒の為の料理かと。気持ち、肉が多いような気がしました。私が食べている味付けとはまた少し違いましたし。」
「そうなんだね。まぁ確かに、学生用なのかもね。」
「ところで…食事も終わったから話すけれど、選択科目を受講しない人が多いのはね、ヴァレリア王女に関係しているんだよ。」
え?どういう意味かしら!?だってヴァレリアはここにはいないのに?
0
お気に入りに追加
268
あなたにおすすめの小説
愛することをやめたら、怒る必要もなくなりました。今さら私を愛する振りなんて、していただかなくても大丈夫です。
石河 翠
恋愛
貴族令嬢でありながら、家族に虐げられて育ったアイビー。彼女は社交界でも人気者の恋多き侯爵エリックに望まれて、彼の妻となった。
ひとなみに愛される生活を夢見たものの、彼が欲していたのは、夫に従順で、家の中を取り仕切る女主人のみ。先妻の子どもと仲良くできない彼女をエリックは疎み、なじる。
それでもエリックを愛し、結婚生活にしがみついていたアイビーだが、彼の子どもに言われたたった一言で心が折れてしまう。ところが、愛することを止めてしまえばその生活は以前よりも穏やかで心地いいものになっていて……。
愛することをやめた途端に愛を囁くようになったヒーローと、その愛をやんわりと拒むヒロインのお話。
この作品は他サイトにも投稿しております。
扉絵は、写真ACよりチョコラテさまの作品(写真ID 179331)をお借りしております。
あなたには、この程度のこと、だったのかもしれませんが。
ふまさ
恋愛
楽しみにしていた、パーティー。けれどその場は、信じられないほどに凍り付いていた。
でも。
愉快そうに声を上げて笑う者が、一人、いた。
初恋の兄嫁を優先する私の旦那様へ。惨めな思いをあとどのくらい我慢したらいいですか。
梅雨の人
恋愛
ハーゲンシュタイン公爵の娘ローズは王命で第二王子サミュエルの婚約者となった。
王命でなければ誰もサミュエルの婚約者になろうとする高位貴族の令嬢が現れなかったからだ。
第一王子ウィリアムの婚約者となったブリアナに一目ぼれしてしまったサミュエルは、駄目だと分かっていても次第に互いの距離を近くしていったためだった。
常識のある周囲の冷ややかな視線にも気が付かない愚鈍なサミュエルと義姉ブリアナ。
ローズへの必要最低限の役目はかろうじて行っていたサミュエルだったが、常にその視線の先にはブリアナがいた。
みじめな婚約者時代を経てサミュエルと結婚し、さらに思いがけず王妃になってしまったローズはただひたすらその不遇の境遇を耐えた。
そんな中でもサミュエルが時折見せる優しさに、ローズは胸を高鳴らせてしまうのだった。
しかし、サミュエルとブリアナの愚かな言動がローズを深く傷つけ続け、遂にサミュエルは己の行動を深く後悔することになる―――。
妹に正妻の座を奪われた公爵令嬢
岡暁舟
恋愛
妹に正妻の座を奪われた公爵令嬢マリアは、それでも婚約者を憎むことはなかった。なぜか?
「すまない、マリア。ソフィアを正式な妻として迎え入れることにしたんだ」
「どうぞどうぞ。私は何も気にしませんから……」
マリアは妹のソフィアを祝福した。だが当然、不気味な未来の陰が少しずつ歩み寄っていた。
人生を共にしてほしい、そう言った最愛の人は不倫をしました。
松茸
恋愛
どうか僕と人生を共にしてほしい。
そう言われてのぼせ上った私は、侯爵令息の彼との結婚に踏み切る。
しかし結婚して一年、彼は私を愛さず、別の女性と不倫をした。
【完結】お飾りの妻からの挑戦状
おのまとぺ
恋愛
公爵家から王家へと嫁いできたデイジー・シャトワーズ。待ちに待った旦那様との顔合わせ、王太子セオドア・ハミルトンが放った言葉に立ち会った使用人たちの顔は強張った。
「君はお飾りの妻だ。装飾品として慎ましく生きろ」
しかし、当のデイジーは不躾な挨拶を笑顔で受け止める。二人のドタバタ生活は心配する周囲を巻き込んで、やがて誰も予想しなかった展開へ……
◇表紙はノーコピーライトガール様より拝借しています
◇全18話で完結予定
あなたの秘密を知ってしまったから私は消えます
おぜいくと
恋愛
「あなたの秘密を知ってしまったから私は消えます。さようなら」
そう書き残してエアリーはいなくなった……
緑豊かな高原地帯にあるデニスミール王国の王子ロイスは、来月にエアリーと結婚式を挙げる予定だった。エアリーは隣国アーランドの王女で、元々は政略結婚が目的で引き合わされたのだが、誰にでも平等に接するエアリーの姿勢や穢れを知らない澄んだ目に俺は惹かれた。俺はエアリーに素直な気持ちを伝え、王家に代々伝わる指輪を渡した。エアリーはとても喜んでくれた。俺は早めにエアリーを呼び寄せた。デニスミールでの暮らしに慣れてほしかったからだ。初めは人見知りを発揮していたエアリーだったが、次第に打ち解けていった。
そう思っていたのに。
エアリーは突然姿を消した。俺が渡した指輪を置いて……
※ストーリーは、ロイスとエアリーそれぞれの視点で交互に進みます。
私、女王にならなくてもいいの?
gacchi
恋愛
他国との戦争が続く中、女王になるために頑張っていたシルヴィア。16歳になる直前に父親である国王に告げられます。「お前の結婚相手が決まったよ。」「王配を決めたのですか?」「お前は女王にならないよ。」え?じゃあ、停戦のための政略結婚?え?どうしてあなたが結婚相手なの?5/9完結しました。ありがとうございました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる