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11. もう一人
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アヴェレスク様が誘ってくれ、アンジェラは『このあと、どうする?』と聞いてくれました。
私は、その噂の話を聞いてみたいと思ったけれど、そう言えばラドゥが門の所で待っているなと思ったから正直にそれを伝える事にした。
「アヴェレスク様が、その噂の話とやらを教えてくれるなら聞きたいと思うのだけど、侍女が門の所で待っているの。お二人はそんな事ありませんの?」
「私も、門を入ってすぐの使用人棟に居るはずよ。時間になれば門の前で待っているの。」
「俺もだ。じゃあ一緒に、そこまで行って、彼らを連れてから食堂に戻って食事をするかい?」
「そうね、その方が心配されなくて済むわ。」
「そうですね。あ、でもそこまで行くなら、私の部屋に来ていただいても…」
「ヴェロニカ…。私もあなたの部屋へ行ってみたいわ!でもね、無闇に部屋へ人を入れてはダメよ。もし私達がおかしな輩だったら、大変でしょう?」
アンジェラが私の両手をギュッと掴んで、また片目を瞑ってニコリと笑って言いました。私はそんな事全く思わなかったけれど、そうなのね。
「そうだね。俺も、ヴェロニカ嬢の部屋に行ってみたいけれど…今日は食堂にしよう。今度から学食は使う事になるから見てみたくないかい?」
なるほど…あまり友人をお部屋に誘うのは良くないのね。勉強になるわ。まぁ、今日初めて友人となったわけだけれど。
そう言ってくれたアヴェレスク様と私達が歩き出そうとすると、黒髪に青みがかった男性が声を掛けてきました。
「やぁニコラエ。もうヴェロニカ様とご友人になられたのか?僕にも紹介してくれよ。」
「セルゲイ…。」
なんだか、ニコラエ様もアンジェラも、嫌そうな顔をしているのは気のせいかしら?
「僕は、セルゲイ=マリネスキュー。よろしくね、ヴェロニカ様!それから、アンジェラ嬢もよろしく。」
そう言った彼は…ええと、侯爵家のご令息でしたわね。
「よろしくお願いします。でも、マリネスキュー様。ここではどうぞ、ヴェロニカとお呼び下さいませ。」
「なるほどね。そう言ってもらえるなんて光栄だ。では、ヴェロニカ。僕の事はセルゲイと。なんせ、友人となるのだからね。」
「そうですね。これから十年、同じ学友としてよろしくお願いします。セルゲ…」
セルゲイ様、とそう話を繋げようとしたらアンジェラが私の腕を引っ張ったの。
「ヴェロニカ、まずはあまりお相手の事を知らないなら、家名で呼ぶのが良いのよ?男性なら尚更ね。」
「アンジェラ、そうなの?ではマリネスキュー様と呼びますね。」
友人となるなら、許可をされたし誰でも名前で呼んでいいのかと思ったけれど違うのね。
「うーん、これは手厳しい…。そうだね、まずはそれでよろしくね。ところで、三人で何処かへ行くんだったの?もしよければ、僕も混ぜてよ。」
「マリネスキュー様。あなたはダメよ。」
「おや、アンジェラ嬢、なぜか理由を聞いても?」
「だって、ヴェロニカの味方になりそうにないもの。」
「ん?ヴェロニカの味方?ちょっと良く分からないけれど、少なくともここに所属している間は忠実だと思うのだけどね。こう言われているんだけど、ヴェロニカ、僕は一緒に行ってはダメかい?」
「私!?私は…。」
「ほら。ヴェロニカが良いって言っているんだからいいだろう?さぁ。何処へ行くの?ついて行くよ。」
「ヴェロニカ嬢はそんな事言ってないだろ!」
「そうよ!ヴェロニカは心優しいから迷っていただけよ。付いてこないで!」
「そんな事言わないでさ。ヴェロニカ、僕も行って良いよね?嫌がらせなんてしないよね!?」
「え!?えと…ええ。」
こうして、四人で行く事になってしまった。なんだか、アヴェレスク様もアンジェラも、気持ちいらだっているようだわ。私、断った方がよかったのかしら。けれど、初めて友人と話したようなもので、断り方なんてしらないわ…なんて思いながら歩いて行きました。
私は、その噂の話を聞いてみたいと思ったけれど、そう言えばラドゥが門の所で待っているなと思ったから正直にそれを伝える事にした。
「アヴェレスク様が、その噂の話とやらを教えてくれるなら聞きたいと思うのだけど、侍女が門の所で待っているの。お二人はそんな事ありませんの?」
「私も、門を入ってすぐの使用人棟に居るはずよ。時間になれば門の前で待っているの。」
「俺もだ。じゃあ一緒に、そこまで行って、彼らを連れてから食堂に戻って食事をするかい?」
「そうね、その方が心配されなくて済むわ。」
「そうですね。あ、でもそこまで行くなら、私の部屋に来ていただいても…」
「ヴェロニカ…。私もあなたの部屋へ行ってみたいわ!でもね、無闇に部屋へ人を入れてはダメよ。もし私達がおかしな輩だったら、大変でしょう?」
アンジェラが私の両手をギュッと掴んで、また片目を瞑ってニコリと笑って言いました。私はそんな事全く思わなかったけれど、そうなのね。
「そうだね。俺も、ヴェロニカ嬢の部屋に行ってみたいけれど…今日は食堂にしよう。今度から学食は使う事になるから見てみたくないかい?」
なるほど…あまり友人をお部屋に誘うのは良くないのね。勉強になるわ。まぁ、今日初めて友人となったわけだけれど。
そう言ってくれたアヴェレスク様と私達が歩き出そうとすると、黒髪に青みがかった男性が声を掛けてきました。
「やぁニコラエ。もうヴェロニカ様とご友人になられたのか?僕にも紹介してくれよ。」
「セルゲイ…。」
なんだか、ニコラエ様もアンジェラも、嫌そうな顔をしているのは気のせいかしら?
「僕は、セルゲイ=マリネスキュー。よろしくね、ヴェロニカ様!それから、アンジェラ嬢もよろしく。」
そう言った彼は…ええと、侯爵家のご令息でしたわね。
「よろしくお願いします。でも、マリネスキュー様。ここではどうぞ、ヴェロニカとお呼び下さいませ。」
「なるほどね。そう言ってもらえるなんて光栄だ。では、ヴェロニカ。僕の事はセルゲイと。なんせ、友人となるのだからね。」
「そうですね。これから十年、同じ学友としてよろしくお願いします。セルゲ…」
セルゲイ様、とそう話を繋げようとしたらアンジェラが私の腕を引っ張ったの。
「ヴェロニカ、まずはあまりお相手の事を知らないなら、家名で呼ぶのが良いのよ?男性なら尚更ね。」
「アンジェラ、そうなの?ではマリネスキュー様と呼びますね。」
友人となるなら、許可をされたし誰でも名前で呼んでいいのかと思ったけれど違うのね。
「うーん、これは手厳しい…。そうだね、まずはそれでよろしくね。ところで、三人で何処かへ行くんだったの?もしよければ、僕も混ぜてよ。」
「マリネスキュー様。あなたはダメよ。」
「おや、アンジェラ嬢、なぜか理由を聞いても?」
「だって、ヴェロニカの味方になりそうにないもの。」
「ん?ヴェロニカの味方?ちょっと良く分からないけれど、少なくともここに所属している間は忠実だと思うのだけどね。こう言われているんだけど、ヴェロニカ、僕は一緒に行ってはダメかい?」
「私!?私は…。」
「ほら。ヴェロニカが良いって言っているんだからいいだろう?さぁ。何処へ行くの?ついて行くよ。」
「ヴェロニカ嬢はそんな事言ってないだろ!」
「そうよ!ヴェロニカは心優しいから迷っていただけよ。付いてこないで!」
「そんな事言わないでさ。ヴェロニカ、僕も行って良いよね?嫌がらせなんてしないよね!?」
「え!?えと…ええ。」
こうして、四人で行く事になってしまった。なんだか、アヴェレスク様もアンジェラも、気持ちいらだっているようだわ。私、断った方がよかったのかしら。けれど、初めて友人と話したようなもので、断り方なんてしらないわ…なんて思いながら歩いて行きました。
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