11 / 40
11. もう一人
しおりを挟む
アヴェレスク様が誘ってくれ、アンジェラは『このあと、どうする?』と聞いてくれました。
私は、その噂の話を聞いてみたいと思ったけれど、そう言えばラドゥが門の所で待っているなと思ったから正直にそれを伝える事にした。
「アヴェレスク様が、その噂の話とやらを教えてくれるなら聞きたいと思うのだけど、侍女が門の所で待っているの。お二人はそんな事ありませんの?」
「私も、門を入ってすぐの使用人棟に居るはずよ。時間になれば門の前で待っているの。」
「俺もだ。じゃあ一緒に、そこまで行って、彼らを連れてから食堂に戻って食事をするかい?」
「そうね、その方が心配されなくて済むわ。」
「そうですね。あ、でもそこまで行くなら、私の部屋に来ていただいても…」
「ヴェロニカ…。私もあなたの部屋へ行ってみたいわ!でもね、無闇に部屋へ人を入れてはダメよ。もし私達がおかしな輩だったら、大変でしょう?」
アンジェラが私の両手をギュッと掴んで、また片目を瞑ってニコリと笑って言いました。私はそんな事全く思わなかったけれど、そうなのね。
「そうだね。俺も、ヴェロニカ嬢の部屋に行ってみたいけれど…今日は食堂にしよう。今度から学食は使う事になるから見てみたくないかい?」
なるほど…あまり友人をお部屋に誘うのは良くないのね。勉強になるわ。まぁ、今日初めて友人となったわけだけれど。
そう言ってくれたアヴェレスク様と私達が歩き出そうとすると、黒髪に青みがかった男性が声を掛けてきました。
「やぁニコラエ。もうヴェロニカ様とご友人になられたのか?僕にも紹介してくれよ。」
「セルゲイ…。」
なんだか、ニコラエ様もアンジェラも、嫌そうな顔をしているのは気のせいかしら?
「僕は、セルゲイ=マリネスキュー。よろしくね、ヴェロニカ様!それから、アンジェラ嬢もよろしく。」
そう言った彼は…ええと、侯爵家のご令息でしたわね。
「よろしくお願いします。でも、マリネスキュー様。ここではどうぞ、ヴェロニカとお呼び下さいませ。」
「なるほどね。そう言ってもらえるなんて光栄だ。では、ヴェロニカ。僕の事はセルゲイと。なんせ、友人となるのだからね。」
「そうですね。これから十年、同じ学友としてよろしくお願いします。セルゲ…」
セルゲイ様、とそう話を繋げようとしたらアンジェラが私の腕を引っ張ったの。
「ヴェロニカ、まずはあまりお相手の事を知らないなら、家名で呼ぶのが良いのよ?男性なら尚更ね。」
「アンジェラ、そうなの?ではマリネスキュー様と呼びますね。」
友人となるなら、許可をされたし誰でも名前で呼んでいいのかと思ったけれど違うのね。
「うーん、これは手厳しい…。そうだね、まずはそれでよろしくね。ところで、三人で何処かへ行くんだったの?もしよければ、僕も混ぜてよ。」
「マリネスキュー様。あなたはダメよ。」
「おや、アンジェラ嬢、なぜか理由を聞いても?」
「だって、ヴェロニカの味方になりそうにないもの。」
「ん?ヴェロニカの味方?ちょっと良く分からないけれど、少なくともここに所属している間は忠実だと思うのだけどね。こう言われているんだけど、ヴェロニカ、僕は一緒に行ってはダメかい?」
「私!?私は…。」
「ほら。ヴェロニカが良いって言っているんだからいいだろう?さぁ。何処へ行くの?ついて行くよ。」
「ヴェロニカ嬢はそんな事言ってないだろ!」
「そうよ!ヴェロニカは心優しいから迷っていただけよ。付いてこないで!」
「そんな事言わないでさ。ヴェロニカ、僕も行って良いよね?嫌がらせなんてしないよね!?」
「え!?えと…ええ。」
こうして、四人で行く事になってしまった。なんだか、アヴェレスク様もアンジェラも、気持ちいらだっているようだわ。私、断った方がよかったのかしら。けれど、初めて友人と話したようなもので、断り方なんてしらないわ…なんて思いながら歩いて行きました。
私は、その噂の話を聞いてみたいと思ったけれど、そう言えばラドゥが門の所で待っているなと思ったから正直にそれを伝える事にした。
「アヴェレスク様が、その噂の話とやらを教えてくれるなら聞きたいと思うのだけど、侍女が門の所で待っているの。お二人はそんな事ありませんの?」
「私も、門を入ってすぐの使用人棟に居るはずよ。時間になれば門の前で待っているの。」
「俺もだ。じゃあ一緒に、そこまで行って、彼らを連れてから食堂に戻って食事をするかい?」
「そうね、その方が心配されなくて済むわ。」
「そうですね。あ、でもそこまで行くなら、私の部屋に来ていただいても…」
「ヴェロニカ…。私もあなたの部屋へ行ってみたいわ!でもね、無闇に部屋へ人を入れてはダメよ。もし私達がおかしな輩だったら、大変でしょう?」
アンジェラが私の両手をギュッと掴んで、また片目を瞑ってニコリと笑って言いました。私はそんな事全く思わなかったけれど、そうなのね。
「そうだね。俺も、ヴェロニカ嬢の部屋に行ってみたいけれど…今日は食堂にしよう。今度から学食は使う事になるから見てみたくないかい?」
なるほど…あまり友人をお部屋に誘うのは良くないのね。勉強になるわ。まぁ、今日初めて友人となったわけだけれど。
そう言ってくれたアヴェレスク様と私達が歩き出そうとすると、黒髪に青みがかった男性が声を掛けてきました。
「やぁニコラエ。もうヴェロニカ様とご友人になられたのか?僕にも紹介してくれよ。」
「セルゲイ…。」
なんだか、ニコラエ様もアンジェラも、嫌そうな顔をしているのは気のせいかしら?
「僕は、セルゲイ=マリネスキュー。よろしくね、ヴェロニカ様!それから、アンジェラ嬢もよろしく。」
そう言った彼は…ええと、侯爵家のご令息でしたわね。
「よろしくお願いします。でも、マリネスキュー様。ここではどうぞ、ヴェロニカとお呼び下さいませ。」
「なるほどね。そう言ってもらえるなんて光栄だ。では、ヴェロニカ。僕の事はセルゲイと。なんせ、友人となるのだからね。」
「そうですね。これから十年、同じ学友としてよろしくお願いします。セルゲ…」
セルゲイ様、とそう話を繋げようとしたらアンジェラが私の腕を引っ張ったの。
「ヴェロニカ、まずはあまりお相手の事を知らないなら、家名で呼ぶのが良いのよ?男性なら尚更ね。」
「アンジェラ、そうなの?ではマリネスキュー様と呼びますね。」
友人となるなら、許可をされたし誰でも名前で呼んでいいのかと思ったけれど違うのね。
「うーん、これは手厳しい…。そうだね、まずはそれでよろしくね。ところで、三人で何処かへ行くんだったの?もしよければ、僕も混ぜてよ。」
「マリネスキュー様。あなたはダメよ。」
「おや、アンジェラ嬢、なぜか理由を聞いても?」
「だって、ヴェロニカの味方になりそうにないもの。」
「ん?ヴェロニカの味方?ちょっと良く分からないけれど、少なくともここに所属している間は忠実だと思うのだけどね。こう言われているんだけど、ヴェロニカ、僕は一緒に行ってはダメかい?」
「私!?私は…。」
「ほら。ヴェロニカが良いって言っているんだからいいだろう?さぁ。何処へ行くの?ついて行くよ。」
「ヴェロニカ嬢はそんな事言ってないだろ!」
「そうよ!ヴェロニカは心優しいから迷っていただけよ。付いてこないで!」
「そんな事言わないでさ。ヴェロニカ、僕も行って良いよね?嫌がらせなんてしないよね!?」
「え!?えと…ええ。」
こうして、四人で行く事になってしまった。なんだか、アヴェレスク様もアンジェラも、気持ちいらだっているようだわ。私、断った方がよかったのかしら。けれど、初めて友人と話したようなもので、断り方なんてしらないわ…なんて思いながら歩いて行きました。
0
お気に入りに追加
268
あなたにおすすめの小説

「白い結婚の終幕:冷たい約束と偽りの愛」
ゆる
恋愛
「白い結婚――それは幸福ではなく、冷たく縛られた契約だった。」
美しい名門貴族リュミエール家の娘アスカは、公爵家の若き当主レイヴンと政略結婚することになる。しかし、それは夫婦の絆など存在しない“白い結婚”だった。
夫のレイヴンは冷たく、長く屋敷を不在にし、アスカは孤独の中で公爵家の実態を知る――それは、先代から続く莫大な負債と、怪しい商会との闇契約によって破綻寸前に追い込まれた家だったのだ。
さらに、公爵家には謎めいた愛人セシリアが入り込み、家中の権力を掌握しようと暗躍している。使用人たちの不安、アーヴィング商会の差し押さえ圧力、そして消えた夫レイヴンの意図……。次々と押し寄せる困難の中、アスカはただの「飾りの夫人」として終わる人生を拒絶し、自ら未来を切り拓こうと動き始める。
政略結婚の檻の中で、彼女は周囲の陰謀に立ち向かい、少しずつ真実を掴んでいく。そして冷たく突き放していた夫レイヴンとの関係も、思わぬ形で変化していき――。
「私はもう誰の人形にもならない。自分の意志で、この家も未来も守り抜いてみせる!」
果たしてアスカは“白い結婚”という名の冷たい鎖を断ち切り、全てをざまあと思わせる大逆転を成し遂げられるのか?

あなたの秘密を知ってしまったから私は消えます
おぜいくと
恋愛
「あなたの秘密を知ってしまったから私は消えます。さようなら」
そう書き残してエアリーはいなくなった……
緑豊かな高原地帯にあるデニスミール王国の王子ロイスは、来月にエアリーと結婚式を挙げる予定だった。エアリーは隣国アーランドの王女で、元々は政略結婚が目的で引き合わされたのだが、誰にでも平等に接するエアリーの姿勢や穢れを知らない澄んだ目に俺は惹かれた。俺はエアリーに素直な気持ちを伝え、王家に代々伝わる指輪を渡した。エアリーはとても喜んでくれた。俺は早めにエアリーを呼び寄せた。デニスミールでの暮らしに慣れてほしかったからだ。初めは人見知りを発揮していたエアリーだったが、次第に打ち解けていった。
そう思っていたのに。
エアリーは突然姿を消した。俺が渡した指輪を置いて……
※ストーリーは、ロイスとエアリーそれぞれの視点で交互に進みます。
僕は君を思うと吐き気がする
月山 歩
恋愛
貧乏侯爵家だった私は、お金持ちの夫が亡くなると、次はその弟をあてがわれた。私は、母の生活の支援もしてもらいたいから、拒否できない。今度こそ、新しい夫に愛されてみたいけど、彼は、私を思うと吐き気がするそうです。再び白い結婚が始まった。

愛されなかった公爵令嬢のやり直し
ましゅぺちーの
恋愛
オルレリアン王国の公爵令嬢セシリアは、誰からも愛されていなかった。
母は幼い頃に亡くなり、父である公爵には無視され、王宮の使用人達には憐れみの眼差しを向けられる。
婚約者であった王太子と結婚するが夫となった王太子には冷遇されていた。
そんなある日、セシリアは王太子が寵愛する愛妾を害したと疑われてしまう。
どうせ処刑されるならと、セシリアは王宮のバルコニーから身を投げる。
死ぬ寸前のセシリアは思う。
「一度でいいから誰かに愛されたかった。」と。
目が覚めた時、セシリアは12歳の頃に時間が巻き戻っていた。
セシリアは決意する。
「自分の幸せは自分でつかみ取る!」
幸せになるために奔走するセシリア。
だがそれと同時に父である公爵の、婚約者である王太子の、王太子の愛妾であった男爵令嬢の、驚くべき真実が次々と明らかになっていく。
小説家になろう様にも投稿しています。
タイトル変更しました!大幅改稿のため、一部非公開にしております。

妹に正妻の座を奪われた公爵令嬢
岡暁舟
恋愛
妹に正妻の座を奪われた公爵令嬢マリアは、それでも婚約者を憎むことはなかった。なぜか?
「すまない、マリア。ソフィアを正式な妻として迎え入れることにしたんだ」
「どうぞどうぞ。私は何も気にしませんから……」
マリアは妹のソフィアを祝福した。だが当然、不気味な未来の陰が少しずつ歩み寄っていた。
君は妾の子だから、次男がちょうどいい
月山 歩
恋愛
侯爵家のマリアは婚約中だが、彼は王都に住み、彼女は片田舎で遠いため会ったことはなかった。でもある時、マリアは妾の子であると知られる。そんな娘は大事な子息とは結婚させられないと、病気療養中の次男との婚約に一方的に変えさせられる。そして次の日には、迎えの馬車がやって来た。

婚約者の様子がおかしいので尾行したら、隠し妻と子供がいました
Kouei
恋愛
婚約者の様子がおかしい…
ご両親が事故で亡くなったばかりだと分かっているけれど…何かがおかしいわ。
忌明けを過ぎて…もう2か月近く会っていないし。
だから私は婚約者を尾行した。
するとそこで目にしたのは、婚約者そっくりの小さな男の子と美しい女性と一緒にいる彼の姿だった。
まさかっ 隠し妻と子供がいたなんて!!!
※誤字脱字報告ありがとうございます。
※この作品は、他サイトにも投稿しています。
お飾り王妃の愛と献身
石河 翠
恋愛
エスターは、お飾りの王妃だ。初夜どころか結婚式もない、王国存続の生贄のような結婚は、父親である宰相によって調えられた。国王は身分の低い平民に溺れ、公務を放棄している。
けれどエスターは白い結婚を隠しもせずに、王の代わりに執務を続けている。彼女にとって大切なものは国であり、夫の愛情など必要としていなかったのだ。
ところがある日、暗愚だが無害だった国王の独断により、隣国への侵攻が始まる。それをきっかけに国内では革命が起き……。
国のために恋を捨て、人生を捧げてきたヒロインと、王妃を密かに愛し、彼女を手に入れるために国を変えることを決意した一途なヒーローの恋物語。
ハッピーエンドです。
この作品は他サイトにも投稿しております。
表紙絵は写真ACよりチョコラテさまの作品(写真ID:24963620)をお借りしております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる