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6. おじい様とおばあ様と私

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「と言う事になりましたの。」

「まぁ!………そう、そうなの。あなた!聞いていらして?」

「あぁ…聞いていたよ。決まった日も、報告が上がったよ。だから、グリゴール現国王に聞いてみたし、進言もしてみた。だが、ヴァレリアの意思を尊重したい、の一点張りだったんだよ。私としても、宮廷学院に通った方が身のためだと思うのだけれどねぇ。」


 今日はまた、おじい様の邸で、おじい様とおばあ様と私の三人でお茶会をしております。
おじい様は、昔は国王陛下として立派なお仕事をなされていたらしいのですが、私には〝優しいおじいちゃん〟のイメージしかありません。いつも一緒にお茶を飲んでいる時も積極的に話に入ってくるわけではなく、うんうんと私の話を聞いてくれています。そしておばあ様に話を振られるとこのように、話を返してくれるのです。

 それで、先ほどはヴァレリアが宮廷学院ではなく、教会学校へと通う旨を話しておりました。


「でもあなた!ヴァレリアは将来、女王陛下としてやっていくのでしょう?であれば、信頼関係を今の内から築いていかなければ!学院で、将来部下となる人達もお出でになるのでしょうし。」

「そうだな。その為に王族は宮廷学院へ行き、貴族子息子女を付きしたがえるのだけれどなぁ。私もそうしてきたし、オクタヴィアンともいろいろな時間を過ごせたし。」

「まぁ、あなたったら…!」

「おじい様とおばあ様は、学院で愛を育まれたのですか?」

「ハハハ!ヴェロニカ…おばあ様が真っ赤になっているよ?まぁ、そうだね。学院で過ごす時間は長いからね。婚約者は私にはいなかったけれどね、候補は幾人かいたんだよ。その人達と話をしたりしてね、ほら、時間を共有すればするほど、相手がどんな思想の持ち主か分かるだろう?それで、最終的におばあ様のオクタヴィアンを選んだのだよ。」

「そういうものなのですね。おばあ様は選ばれたのですね!」

「ヴェロニカ…恥ずかしいわ…!私の事よりも、ヴァレリアですよ!そんな、庶民の考えを知りたいのであれば訪問に行けばよろしいのに!」

「訪問…?どちらへ?」

「孤児院や修道院などですよ。」

「それって、慰問っていうものですか?」

「そうだね。一般的には慰問というよね。でも、我々国を統べる側の人間が言うのは、なんだかおかしいよね。だって、不幸な境遇の人に会いに行く事が慰問って言うのだけれど、我々王族が、不幸な境遇の人々を幸せに出来ていないって自ら言っているようなものだろう?それに、そこに住んでいる人が、不幸なのかな?それは他人が決めるのでもないよね?だから、我々は敢えて訪問と言っているんだ。」

「そうなのですか!」

「そうだわ!もしヴェロニカが興味があるのなら、私と一緒に訪問するかしら?」

「ええ、行ってみたいです。」

「じゃあ来週にでも行きましょうね。」



 そのようにして、少しずつではあるけれど私は孤児院や修道院や病院へをするようになっていきました。


 こんな方法があるのなら、ヴァレリアも、学院へ通いながら訪問すれば良かったのに。そうすれば、道を外れなかったのかしら。
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