7 / 27
7. ガーデンパーティー
しおりを挟む
ああそうそう、十一歳頃のガーデンパーティーへ行く時でしたわね。
お姉様と一緒に出掛ける時はいつも、このような感じです。
会場に着きますと、お父様が出迎えて下さいました。
お父様は、この時期は王都のタウンハウスに住んでいて王宮に勤めています。
そして、今日は王宮でお茶会でしたからお父様はカントリーハウスには帰って来ず、タウンハウスから直接王宮に来る形を取りました。
「さぁ、おいで。」
お父様がエスコートして、馬車から順番に降ろして下さいました。お母様、お姉様の順で私は最後です。
「じゃあ行くわね。」
お母様とお姉様は、私が降りる前にさっさと会場である庭園に向かいました。
お姉様は、少し柄の悪い…いえ少し品性を欠くようなお友達の所に、お母様もお友達のご婦人達の所へ行くのでしょう。
お父様は、それには何も答えず、私に『さぁ今日も一緒に挨拶をしよう』と言って下さいました。
そして、私の耳を見てイヤリングが無いのを気づくと、少し顔を顰めました。
「また、ダリアか?」
「ええ。初めはドレスだったのですけれど、さすがに…。なのでイヤリングをお貸ししました。落とされないかが、心配ですけれど。」
少し困った顔をして私はいつものように返答をしました。
「………困ったやつだ。アイネも一緒になってか?」
アイネとはお母様です。
「はい。いつものように…。」
「はぁー…。シンシア。済まないな。また買ってやる。さぁ、行こう。」
そう言ったお父様は、私をエスコートしながら、お父様が懇意にしている高位貴族の方々がいるテーブルへと連れて行ってくれました。
そこは、お父様と同年代の公爵様や侯爵様や伯爵様方と、後継者候補である令息や令嬢もいらっしゃって、挨拶が終わった後はいつもその人達と話します。子供は子供同士、交流を深めるのです。
私は王立学院に通う予定もありませんから、他にお友達もおらずここでの知り合いとしか、話をしておりません。
挨拶をして、子供同士、となった時にいつものようにキャロリーナ=ソグラン侯爵令嬢様が話しかけてくれました。この方はお姉様と同じ歳ですが、少ない後継者候補の令嬢という事でよく気に掛けて話してくれるのです。
「あら。今日もイヤリング付けてないの?」
「はい…ええと、忘れました。」
「まぁ!忘れたって…どうせダリアでしょう?せっかくの姉妹なのに!けれど、シンシアはアクセサリーが無くても内面からの輝きがあるから充分よ。必要ないわ。」
「ありがとうございます。」
「そうだね。シンシアは、宝石が無くても光り輝いているよ。素敵な物だからといって多めに付けても、価値が分からない奴には意味が無いね。」
アドルフ=スタンリー次期侯爵様もキャロリーナ様と共によく私にお声掛けして下さいます。
学院でも、お姉様は少し変わり者として有名だそうです。
病弱を理由に遅刻したり早退したり。
けれど、殿方数人とよく一緒にいたりするみたいです。
学院の様子は、この皆様がいろいろと教えて下さいます。
後継者候補は、私より年上の方が多いのです。
だからか、仲良くして下さる方々は、私を妹のように優しく接して下さるのです。
お姉様がいても居ないような私にとって、それはありがたい事ですわ。
お姉様と一緒に出掛ける時はいつも、このような感じです。
会場に着きますと、お父様が出迎えて下さいました。
お父様は、この時期は王都のタウンハウスに住んでいて王宮に勤めています。
そして、今日は王宮でお茶会でしたからお父様はカントリーハウスには帰って来ず、タウンハウスから直接王宮に来る形を取りました。
「さぁ、おいで。」
お父様がエスコートして、馬車から順番に降ろして下さいました。お母様、お姉様の順で私は最後です。
「じゃあ行くわね。」
お母様とお姉様は、私が降りる前にさっさと会場である庭園に向かいました。
お姉様は、少し柄の悪い…いえ少し品性を欠くようなお友達の所に、お母様もお友達のご婦人達の所へ行くのでしょう。
お父様は、それには何も答えず、私に『さぁ今日も一緒に挨拶をしよう』と言って下さいました。
そして、私の耳を見てイヤリングが無いのを気づくと、少し顔を顰めました。
「また、ダリアか?」
「ええ。初めはドレスだったのですけれど、さすがに…。なのでイヤリングをお貸ししました。落とされないかが、心配ですけれど。」
少し困った顔をして私はいつものように返答をしました。
「………困ったやつだ。アイネも一緒になってか?」
アイネとはお母様です。
「はい。いつものように…。」
「はぁー…。シンシア。済まないな。また買ってやる。さぁ、行こう。」
そう言ったお父様は、私をエスコートしながら、お父様が懇意にしている高位貴族の方々がいるテーブルへと連れて行ってくれました。
そこは、お父様と同年代の公爵様や侯爵様や伯爵様方と、後継者候補である令息や令嬢もいらっしゃって、挨拶が終わった後はいつもその人達と話します。子供は子供同士、交流を深めるのです。
私は王立学院に通う予定もありませんから、他にお友達もおらずここでの知り合いとしか、話をしておりません。
挨拶をして、子供同士、となった時にいつものようにキャロリーナ=ソグラン侯爵令嬢様が話しかけてくれました。この方はお姉様と同じ歳ですが、少ない後継者候補の令嬢という事でよく気に掛けて話してくれるのです。
「あら。今日もイヤリング付けてないの?」
「はい…ええと、忘れました。」
「まぁ!忘れたって…どうせダリアでしょう?せっかくの姉妹なのに!けれど、シンシアはアクセサリーが無くても内面からの輝きがあるから充分よ。必要ないわ。」
「ありがとうございます。」
「そうだね。シンシアは、宝石が無くても光り輝いているよ。素敵な物だからといって多めに付けても、価値が分からない奴には意味が無いね。」
アドルフ=スタンリー次期侯爵様もキャロリーナ様と共によく私にお声掛けして下さいます。
学院でも、お姉様は少し変わり者として有名だそうです。
病弱を理由に遅刻したり早退したり。
けれど、殿方数人とよく一緒にいたりするみたいです。
学院の様子は、この皆様がいろいろと教えて下さいます。
後継者候補は、私より年上の方が多いのです。
だからか、仲良くして下さる方々は、私を妹のように優しく接して下さるのです。
お姉様がいても居ないような私にとって、それはありがたい事ですわ。
58
お気に入りに追加
3,451
あなたにおすすめの小説
婚約破棄宣言は別の場所で改めてお願いします
結城芙由奈
恋愛
【どうやら私は婚約者に相当嫌われているらしい】
「おい!もうお前のような女はうんざりだ!今日こそ婚約破棄させて貰うぞ!」
私は今日も婚約者の王子様から婚約破棄宣言をされる。受け入れてもいいですが…どうせなら、然るべき場所で宣言して頂けますか?
※ 他サイトでも掲載しています
(完)婚約解消からの愛は永遠に
青空一夏
恋愛
エリザベスは、火事で頬に火傷をおった。その為に、王太子から婚約解消をされる。
両親からも疎まれ妹からも蔑まれたエリザベスだが・・・・・・
5話プラスおまけで完結予定。
【完結】婚約者なんて眼中にありません
らんか
恋愛
あー、気が抜ける。
婚約者とのお茶会なのにときめかない……
私は若いお子様には興味ないんだってば。
やだ、あの騎士団長様、素敵! 確か、お子さんはもう成人してるし、奥様が亡くなってからずっと、独り身だったような?
大人の哀愁が滲み出ているわぁ。
それに強くて守ってもらえそう。
男はやっぱり包容力よね!
私も守ってもらいたいわぁ!
これは、そんな事を考えているおじ様好きの婚約者と、その婚約者を何とか振り向かせたい王子が奮闘する物語……
短めのお話です。
サクッと、読み終えてしまえます。
(完)婚約破棄と白い子犬
青空一夏
恋愛
私は筆頭公爵の嫡男で、まだ婚約者はいなかった。
学園の裏庭で子犬に優しく話しかけるマリーアン候爵令嬢が好きになって婚約した。ところが・・・・・・
もふもふ子犬と麗しい公爵子息と氷のような美貌の候爵令嬢の恋物語。
危ない愛人を持つあなたが王太子でいられるのは、私のおかげです。裏切るのなら容赦しません。
Hibah
恋愛
エリザベスは王妃教育を経て、正式に王太子妃となった。夫である第一王子クリフォードと初めて対面したとき「僕には好きな人がいる。君を王太子妃として迎えるが、僕の生活には極力関わらないでくれ」と告げられる。しかしクリフォードが好きな人というのは、平民だった。もしこの事実が公になれば、クリフォードは廃太子となり、エリザベスは王太子妃でいられなくなってしまう。エリザベスは自分の立場を守るため、平民の愛人を持つ夫の密会を見守るようになる……。
そう言うと思ってた
mios
恋愛
公爵令息のアランは馬鹿ではない。ちゃんとわかっていた。自分が夢中になっているアナスタシアが自分をそれほど好きでないことも、自分の婚約者であるカリナが自分を愛していることも。
※いつものように視点がバラバラします。
婚約解消と婚約破棄から始まって~義兄候補が婚約者に?!~
琴葉悠
恋愛
ディラック伯爵家の令嬢アイリーンは、ある日父から婚約が相手の不義理で解消になったと告げられる。
婚約者の行動からなんとなく理解していたアイリーンはそれに納得する。
アイリーンは、婚約解消を聞きつけた友人から夜会に誘われ参加すると、義兄となるはずだったウィルコックス侯爵家の嫡男レックスが、婚約者に対し不倫が原因の婚約破棄を言い渡している場面に出くわす。
そして夜会から数日後、アイリーンは父からレックスが新しい婚約者になったと告げられる──
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる