【完結】精霊に選ばれなかった私は…

まりぃべる

文字の大きさ
上 下
27 / 27

婚約披露パーティー

しおりを挟む
「クロエ!?」
そう、長年侍女を勤めてくれていたクロエが、先ほど私の支度をしてくれた侍女と同じ服装で入って来た。

「ご立派になられまして…。」
クロエがハンカチを手にして、目を押さえている。泣いているんだわ。
でも、

「どうしてここにいるの?」

「まぁ!いてはいけませんか?これまで、王族付きの女官になる為学んで参りましたのに。」
え!?そうだったの??じゃあこれからクロエはここで働くの?

「クロエ、王宮で働くの?」
「はい。王太子妃になられますキャロル様に、付かせていただきます。」
!?…あ、そうか。王太子妃…わぁ、なんかそう言われると…私やっぱりなれるかしら?でも今さらライル様と離れたくないし…。って、

「私付き!?」

「はい!また、よろしくお願いいたしますね。」
嬉しい!!

「よかった-!キャロル喜んでくれたね。クロエを勧誘して本当によかったよ。」
ライル様が私の顔を覗き込んで言ってくれた。

「ええ。本当にありがとうございます。また、キャロル様の元で働かせていただけるなんて光栄でございます。」
クロエも、出会い亭で会った時はあんなにライル様に食ってかかっていたのに、恭しく礼をとった。
 
「ありがとうございます!ライル様!」
私も、ライル様の目を見つめて言った。

「そうだ!今日婚約披露パーティーなんだよ。これから、婚約者になるわけじゃん?だから、そろそろ名前で呼んでほしいな-。」
え?呼んでおりますわよ?

「ライルって呼んでね。」
「まぁ…!…善処いたしますわ。」
恥ずかしいわ…!私は、俯いて顔を隠した。

「さぁ、そろそろですよ。」
キャスターさんが言われました。すると、

「では、お手をこちらへ。」
と、ライルさ…ライルが言って、私の手を自らの腕に通してくれた。やっぱりちょっと恥ずかしい。けれど、嬉しいわ!

「よし、じゃあ最高のキャロルを見せびらかせに行こう!」





ライルと一緒に向かったそこは、王宮の3階のバルコニーだった。
そこから、下に向かって挨拶をするみたい。私、事前に何も説明受けてないから良く分からないんですけどね!

国王陛下と、王妃様がいらした。二人共とても豪華で素敵な正装をされている。
「こちらが、私の息子であるライルだ。そして、その隣にいるのはキャロル=マフェソン辺境伯令嬢だ。私の息子であるライルと婚約する運びとなった。皆の者、よろしく頼む。」
と、国王陛下がバルコニーの下にいる国民へと仰った。

「私はライル=ダロックフェイ。彼女を妃とする。」
と言ってまた、頬にキスをくれた。
そして耳元で、
「キャロルも一言言える?」
と言った。

一言!?言えないって言えないのよねきっと。

うん、と一つ頷いて、バルコニーから下を見た。そこは、王宮の入り口がある所。庭園に国民がたくさんいた。王宮に近いほど貴族なのかもしれない。そして、王宮の外にもその人の波は連なっている。私は、そんなたくさんの人を見てめまいがしそうだったけれど、一つ呼吸をしてから言った。

「キャロル=マフェソンと申します。未熟者ではございますが、ライル様と共に生きたいと思います。」
すると、精霊達の声が聞こえてきた。

『サプライズしてあげようか。』
『キャロル、喜ぶよね。』
『そうそう。晴れやかな気分にしてあげる-!』
『見て見て!私達のダンス!』
『キャロル、大好き-!』
精霊達がそう言うと、空に瞬く間に虹がかかり、キラキラとあたり一面光り輝いた。

「わあ、きれい!」
「キャロルの精霊達のおかげかい?素晴らしい。キャロルのが素敵だけどね!祝福してもらえてるのかな。これからもずっと一緒にいようね。愛しているよ、キャロル!」





精霊に選ばれなかったけれど…精霊達と一緒にいられて楽しいわ。そして、好きな人も出来て、一緒にいようって言われてとても嬉しいわ。
婚約出来たし、これで堂々と傍に居られるのね。
精霊にけれど、私はとても、幸せです!








☆★☆★☆★☆★
これにて完結とさせていただきます。
読んでくれた方、お気に入りをしてくれた方、しおりを挟んでくれた方、感想を下さった方本当にありがとうございました!!


しおりを挟む
感想 15

この作品の感想を投稿する

みんなの感想(15件)

蓮華
2022.03.04 蓮華
ネタバレ含む
2022.03.06 まりぃべる

蓮華様は、返信遅くなりすみません。感想ありがとうございます。

はい、そのようなイメージで書きました(●^ー^●)読み取っていただけてとてもとても、嬉しいです(≧ヮ≦)

読んでくださいまして、ありがとうございました(*´︶`*)

解除
アドル
2021.08.21 アドル
ネタバレ含む
2021.08.21 まりぃべる

アドル様、感想ありがとうございます。

アドル様はそう思われたのですね。作品なので、十人十色、感想が違うと思います。
が、上手く伝わらなかったのは私の文章力の無さかもしれませんね。

アドル様は、ご両親には隠し事は一つもない関係なのでしょうか?とても素敵な関係ですね!(^^)!


けれど、説明つかない事、それが恋だと思っています。
ただ、そこを伝えきれなかったのは、私の力不足ですね(^_^;)


数ある作品の中からお読みいただきまして、意見までいただきありがとうございます。
次回に生かさせていただきますね。

解除
月華
2021.08.19 月華
ネタバレ含む
2021.08.19 まりぃべる

月華様。感想ありがとうごさいます。
はい、緩い世界観です☆
作品を書くときは毎回いろいろと調べてはいますが、地域の設定などがあり今回はそうしました。

いろいろと想像して下さりありがとうごさいます。

その辺りはほんの少し触れてはいますが、もう少し大胆に書けば良かったですかね。ご期待に添えずすみません。

応援もありがとうごさいます。はい、続編も考えてみますね。励みになります。

解除

あなたにおすすめの小説

【 完 結 】スキル無しで婚約破棄されたけれど、実は特殊スキル持ちですから!

しずもり
ファンタジー
この国オーガスタの国民は6歳になると女神様からスキルを授かる。 けれど、第一王子レオンハルト殿下の婚約者であるマリエッタ・ルーデンブルグ公爵令嬢は『スキル無し』判定を受けたと言われ、第一王子の婚約者という妬みや僻みもあり嘲笑されている。 そしてある理由で第一王子から蔑ろにされている事も令嬢たちから見下される原因にもなっていた。 そして王家主催の夜会で事は起こった。 第一王子が『スキル無し』を理由に婚約破棄を婚約者に言い渡したのだ。 そして彼は8歳の頃に出会い、学園で再会したという初恋の人ルナティアと婚約するのだと宣言した。 しかし『スキル無し』の筈のマリエッタは本当はスキル持ちであり、実は彼女のスキルは、、、、。 全12話 ご都合主義のゆるゆる設定です。 言葉遣いや言葉は現代風の部分もあります。 登場人物へのざまぁはほぼ無いです。 魔法、スキルの内容については独自設定になっています。 誤字脱字、言葉間違いなどあると思います。見つかり次第、修正していますがご容赦下さいませ。

何かと「ひどいわ」とうるさい伯爵令嬢は

だましだまし
ファンタジー
何でもかんでも「ひどいわ」とうるさい伯爵令嬢にその取り巻きの侯爵令息。 私、男爵令嬢ライラの従妹で親友の子爵令嬢ルフィナはそんな二人にしょうちゅう絡まれ楽しい学園生活は段々とつまらなくなっていった。 そのまま卒業と思いきや…? 「ひどいわ」ばっかり言ってるからよ(笑) 全10話+エピローグとなります。

私は、忠告を致しましたよ?

柚木ゆず
ファンタジー
 ある日の、放課後のことでした。王立リザエンドワール学院に籍を置く私マリエスは、生徒会長を務められているジュリアルス侯爵令嬢ロマーヌ様に呼び出されました。 「生徒会の仲間である貴方様に、婚約祝いをお渡したくてこうしておりますの」  ロマーヌ様はそのように仰られていますが、そちらは嘘ですよね? 私は常に最愛の方に護っていただいているので、貴方様には悪意があると気付けるのですよ。  ロマーヌ様。まだ間に合います。  今なら、引き返せますよ?

お前など家族ではない!と叩き出されましたが、家族になってくれという奇特な騎士に拾われました

蒼衣翼
恋愛
アイメリアは今年十五歳になる少女だ。 家族に虐げられて召使いのように働かされて育ったアイメリアは、ある日突然、父親であった存在に「お前など家族ではない!」と追い出されてしまう。 アイメリアは養子であり、家族とは血の繋がりはなかったのだ。 閉じ込められたまま外を知らずに育ったアイメリアは窮地に陥るが、救ってくれた騎士の身の回りの世話をする仕事を得る。 養父母と義姉が自らの企みによって窮地に陥り、落ちぶれていく一方で、アイメリアはその秘められた才能を開花させ、救い主の騎士と心を通わせ、自らの居場所を作っていくのだった。 ※小説家になろうさま・カクヨムさまにも掲載しています。

虐げられた令嬢、ペネロペの場合

キムラましゅろう
ファンタジー
ペネロペは世に言う虐げられた令嬢だ。 幼い頃に母を亡くし、突然やってきた継母とその後生まれた異母妹にこき使われる毎日。 父は無関心。洋服は使用人と同じくお仕着せしか持っていない。 まぁ元々婚約者はいないから異母妹に横取りされる事はないけれど。 可哀想なペネロペ。でもきっといつか、彼女にもここから救い出してくれる運命の王子様が……なんて現れるわけないし、現れなくてもいいとペネロペは思っていた。何故なら彼女はちっとも困っていなかったから。 1話完結のショートショートです。 虐げられた令嬢達も裏でちゃっかり仕返しをしていて欲しい…… という願望から生まれたお話です。 ゆるゆる設定なのでゆるゆるとお読みいただければ幸いです。 R15は念のため。

【完結】それはダメなやつと笑われましたが、どうやら最高級だったみたいです。

まりぃべる
ファンタジー
「あなたの石、屑石じゃないの!?魔力、入ってらっしゃるの?」 ええよく言われますわ…。 でもこんな見た目でも、よく働いてくれるのですわよ。 この国では、13歳になると学校へ入学する。 そして1年生は聖なる山へ登り、石場で自分にだけ煌めいたように見える石を一つ選ぶ。その石に魔力を使ってもらって生活に役立てるのだ。 ☆この国での世界観です。

【完結】婚約を解消して進路変更を希望いたします

宇水涼麻
ファンタジー
三ヶ月後に卒業を迎える学園の食堂では卒業後の進路についての話題がそここで繰り広げられている。 しかし、一つのテーブルそんなものは関係ないとばかりに四人の生徒が戯れていた。 そこへ美しく気品ある三人の女子生徒が近付いた。 彼女たちの卒業後の進路はどうなるのだろうか? 中世ヨーロッパ風のお話です。 HOTにランクインしました。ありがとうございます! ファンタジーの週間人気部門で1位になりました。みなさまのおかげです! ありがとうございます!

嘘つきと呼ばれた精霊使いの私

ゆるぽ
ファンタジー
私の村には精霊の愛し子がいた、私にも精霊使いとしての才能があったのに誰も信じてくれなかった。愛し子についている精霊王さえも。真実を述べたのに信じてもらえず嘘つきと呼ばれた少女が幸せになるまでの物語。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。