【完結】精霊に選ばれなかった私は…

まりぃべる

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お父様とお母様

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「来られましたので、行きましょう。」
クロエが言った。
私は緊張しながら応接室に入った。

「キャロルです。失礼致します。」

「おお、来たか。早くこちらへ座りなさい。して、どういう事か、説明してもらってもよろしいですかな?」
お父様は、そう言って私を座るよう促し、ライルさんに言った。

部屋には、正装のお父様とお母様。それから、ライルさんと、壁伝いに立っている人が一人いた。
ライルさんも正装で、なかなかの格好いいお姿だわ。昨日とは違って、金色の髪をオールバックにされて…見惚れちゃうわ!

「はい。僕は、ライル=ダロックフェイと申します。僕が、つい最近まで留学していたのはご存知ですか?」
と、お父様とお母様を見て言われた。
…あら?ちょっと!!ダロックフェイって、この国の名前じゃなかった!?

「はい、王太子殿下。」
とお父様が答えた。王宮でお仕事されたりしているから、お父様はご存知だったのね…。

お母様は、ポカンと口を開けたまま動かないわ。大丈夫かしら?
まぁ、そういう私も、王太子殿下と聞いてものすごく驚いているけれど。
お母様と同じ様子じゃない事だけは救いだわ、と私は口を閉めた。

「その時に喧嘩を吹っかけられたんだ。僕が気に入らなかったんだろうね。大勢に囲まれて。さすがに逃げたんだけど、肋骨を折ったり、大怪我で動けなくなって不覚にも気絶しちゃったんだ。そこはいつの間にかマフェソン辺境伯領だったみたいで、キャロル嬢が介抱してくれたんだ。」
あ、ライル様私が精霊達に頼んで治してもらった事は言わないでくれたのね。約束、守ってくれて嬉しいわ。

「それから、僕は彼女の事が忘れられなくて。当時は、お互い名前も言わなくて別れたんだ。だから、捜す為にお妃試験を開いてしまった。…でもそれには、キャロル嬢は参加していなかった。」
そこで、ライルさん、あ、王太子殿下だったわね。ライル様は、一息ついて、出された紅茶を一口飲んだ。

「ふむ。しかしなぜ、王立学院だけに試験をさせたのです?しかも、精霊を使って治癒の力を試させるとは。キャロルは精霊には選ばれなかったのです。キャロルが参加していたとしても、あの内容では不合格だったでしょう。」
お父様は不思議そうな顔をしている。ヤバいわ…どうしましょ…。

「そこの所は、まぁ僕の思い違いだったな。キャロル嬢、どうだろう、話してはダメかな?」
そう、話を振られたわ。王太子殿下にいわれて、断っていい、のかしら?ダメなやつよねきっと…。

「はい…。仰せのままに。」
下を向いて言うと、ライル様は、苦笑しながら、
「キャロル嬢が嫌がる事をしたいわけじゃないよ。約束を、反故にしちゃうわけだから確認したんだ。悪いようにはしないから、話してみないかい?」
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