11 / 27
夜の王都
しおりを挟む
「準備出来た?」
「はい。出来ましたけど…やっぱり止めましょうよ…。」
クロエがボソボソと呟いた。
「何言っているのよ!今日行けなかったら、もう行けないかもしれないのよ。タウンハウスにあまり長居はしないつもりだもの。さ。急いで!」
庭へと続く窓の鍵を開けておいて、そこから町へと繰り出した。
☆★☆★☆★
「わぁ~明るいのね!」
カントリーハウスでは、店は空が暗くなる前に閉まってしまう。だから、こんなに空が暗いのに、建物からそこかしこに灯りが漏れているのを見て、感動してしまった。
「キャロル様!それでどこに行くのですか?」
「教会の学校のお友達に聞いたのよ!とっても美味しいお店があるのですって。出会い亭って名前のお店なんだけど…どこにあるのかしら。」
「え?ご存知なわけではないのですか?」
「だって本当に行けるか分からなかったのですもの。お父様もお母様もいないなんて、これはもう行けって言ってるものでしょ?」
「またそんな…。」
「おい、姉ちゃん達。どうした?迷子かぁ~?」
「あ、はいそうなの。出会い亭ってお店なんだけどご存知?」
「キャロル様…!知らない人に話し掛けてはいけません!」
「あら、分からないなら聞かないと!なんだかこの辺りを熟知してそうだもの!」
「それでもです!」
「ははは。そっちの大きい姉ちゃん。大丈夫だよ。ここは王都だ。変な事をするやつはそうそういないさ。出会い亭はこっちだよ。ついておいで。」
「まぁ!ご親切に。ありがとう!ほら、クロエ行くわよ。」
「キャロル様…!」
きっと、なにかあったら精霊達が助けてくれるわ。今も…精霊達はその辺り散策しているみたいだけど。もう!物珍しいからって、皆で一斉に居なくならなくてもいいじゃないの。
でも、私の近くにいたいと言ってくれてるから、たまには出掛けたいというのも聞いてあげないとね。
「ほら、ここだよ。」
「ありがとう!助かりましたわ。」
「じゃあな。あまり遅くならないうちに帰るんだぞ。」
「はーい!ありがとう!さようなら!」
「おうよ!」
声を掛けてくれたおじさんは、すぐ違う方向へ行ってしまった。
「さぁ、入りましょ!ん~良い香り!!」
お肉が焼けるとても香ばしい匂いが、鼻をくすぐる。夜ご飯を軽く食べてきたのに、たくさん食べたいわ!
「いらっしゃい!2名様かな?」
「はい。この店が美味しいと聞いて、初めて来たのです。」
「そうかい。嬉しいね!じゃあそこへ座りな!」
そう言って、店主は入り口近くの二人掛けの席に案内してくれた。
「お薦めはなんですか?」
「鳥の串焼きだよ。あとはレモン水かな。」
「じゃあそれを2つ下さい!」
「はいよ。待ってな!」
ん~早く食べたいわ!
「美味しそうな香りですね。」
「ね~!」
「はい、どうぞ。熱いから気をつけてね。」
「ありがとう!」
「ありがとうございます。」
「ん~!!美味しい!」
「本当ですね。こんなにホロホロのお肉!ちょっと食べるのに抵抗ありますけど。」
「何を言ってるのよ、こうやって食べるから美味しいのよ!」
「お!良いこと言うね!ここのはどれも美味いんだぜ!!」
「?」
「はい。出来ましたけど…やっぱり止めましょうよ…。」
クロエがボソボソと呟いた。
「何言っているのよ!今日行けなかったら、もう行けないかもしれないのよ。タウンハウスにあまり長居はしないつもりだもの。さ。急いで!」
庭へと続く窓の鍵を開けておいて、そこから町へと繰り出した。
☆★☆★☆★
「わぁ~明るいのね!」
カントリーハウスでは、店は空が暗くなる前に閉まってしまう。だから、こんなに空が暗いのに、建物からそこかしこに灯りが漏れているのを見て、感動してしまった。
「キャロル様!それでどこに行くのですか?」
「教会の学校のお友達に聞いたのよ!とっても美味しいお店があるのですって。出会い亭って名前のお店なんだけど…どこにあるのかしら。」
「え?ご存知なわけではないのですか?」
「だって本当に行けるか分からなかったのですもの。お父様もお母様もいないなんて、これはもう行けって言ってるものでしょ?」
「またそんな…。」
「おい、姉ちゃん達。どうした?迷子かぁ~?」
「あ、はいそうなの。出会い亭ってお店なんだけどご存知?」
「キャロル様…!知らない人に話し掛けてはいけません!」
「あら、分からないなら聞かないと!なんだかこの辺りを熟知してそうだもの!」
「それでもです!」
「ははは。そっちの大きい姉ちゃん。大丈夫だよ。ここは王都だ。変な事をするやつはそうそういないさ。出会い亭はこっちだよ。ついておいで。」
「まぁ!ご親切に。ありがとう!ほら、クロエ行くわよ。」
「キャロル様…!」
きっと、なにかあったら精霊達が助けてくれるわ。今も…精霊達はその辺り散策しているみたいだけど。もう!物珍しいからって、皆で一斉に居なくならなくてもいいじゃないの。
でも、私の近くにいたいと言ってくれてるから、たまには出掛けたいというのも聞いてあげないとね。
「ほら、ここだよ。」
「ありがとう!助かりましたわ。」
「じゃあな。あまり遅くならないうちに帰るんだぞ。」
「はーい!ありがとう!さようなら!」
「おうよ!」
声を掛けてくれたおじさんは、すぐ違う方向へ行ってしまった。
「さぁ、入りましょ!ん~良い香り!!」
お肉が焼けるとても香ばしい匂いが、鼻をくすぐる。夜ご飯を軽く食べてきたのに、たくさん食べたいわ!
「いらっしゃい!2名様かな?」
「はい。この店が美味しいと聞いて、初めて来たのです。」
「そうかい。嬉しいね!じゃあそこへ座りな!」
そう言って、店主は入り口近くの二人掛けの席に案内してくれた。
「お薦めはなんですか?」
「鳥の串焼きだよ。あとはレモン水かな。」
「じゃあそれを2つ下さい!」
「はいよ。待ってな!」
ん~早く食べたいわ!
「美味しそうな香りですね。」
「ね~!」
「はい、どうぞ。熱いから気をつけてね。」
「ありがとう!」
「ありがとうございます。」
「ん~!!美味しい!」
「本当ですね。こんなにホロホロのお肉!ちょっと食べるのに抵抗ありますけど。」
「何を言ってるのよ、こうやって食べるから美味しいのよ!」
「お!良いこと言うね!ここのはどれも美味いんだぜ!!」
「?」
92
お気に入りに追加
1,207
あなたにおすすめの小説

【 完 結 】スキル無しで婚約破棄されたけれど、実は特殊スキル持ちですから!
しずもり
ファンタジー
この国オーガスタの国民は6歳になると女神様からスキルを授かる。
けれど、第一王子レオンハルト殿下の婚約者であるマリエッタ・ルーデンブルグ公爵令嬢は『スキル無し』判定を受けたと言われ、第一王子の婚約者という妬みや僻みもあり嘲笑されている。
そしてある理由で第一王子から蔑ろにされている事も令嬢たちから見下される原因にもなっていた。
そして王家主催の夜会で事は起こった。
第一王子が『スキル無し』を理由に婚約破棄を婚約者に言い渡したのだ。
そして彼は8歳の頃に出会い、学園で再会したという初恋の人ルナティアと婚約するのだと宣言した。
しかし『スキル無し』の筈のマリエッタは本当はスキル持ちであり、実は彼女のスキルは、、、、。
全12話
ご都合主義のゆるゆる設定です。
言葉遣いや言葉は現代風の部分もあります。
登場人物へのざまぁはほぼ無いです。
魔法、スキルの内容については独自設定になっています。
誤字脱字、言葉間違いなどあると思います。見つかり次第、修正していますがご容赦下さいませ。

奪われ系令嬢になるのはごめんなので逃げて幸せになるぞ!
よもぎ
ファンタジー
とある伯爵家の令嬢アリサは転生者である。薄々察していたヤバい未来が現実になる前に逃げおおせ、好き勝手生きる決意をキメていた彼女は家を追放されても想定通りという顔で旅立つのだった。
婚約破棄されましたが、帝国皇女なので元婚約者は投獄します
けんゆう
ファンタジー
「お前のような下級貴族の養女など、もう不要だ!」
五年間、婚約者として尽くしてきたフィリップに、冷たく告げられたソフィア。
他の貴族たちからも嘲笑と罵倒を浴び、社交界から追放されかける。
だが、彼らは知らなかった――。
ソフィアは、ただの下級貴族の養女ではない。
そんな彼女の元に届いたのは、隣国からお兄様が、貿易利権を手土産にやってくる知らせ。
「フィリップ様、あなたが何を捨てたのかーー思い知らせて差し上げますわ!」
逆襲を決意し、華麗に着飾ってパーティーに乗り込んだソフィア。
「妹を侮辱しただと? 極刑にすべきはお前たちだ!」
ブチギレるお兄様。
貴族たちは青ざめ、王国は崩壊寸前!?
「ざまぁ」どころか 国家存亡の危機 に!?
果たしてソフィアはお兄様の暴走を止め、自由な未来を手に入れられるか?
「私の未来は、私が決めます!」
皇女の誇りをかけた逆転劇、ここに開幕!
お前など家族ではない!と叩き出されましたが、家族になってくれという奇特な騎士に拾われました
蒼衣翼
恋愛
アイメリアは今年十五歳になる少女だ。
家族に虐げられて召使いのように働かされて育ったアイメリアは、ある日突然、父親であった存在に「お前など家族ではない!」と追い出されてしまう。
アイメリアは養子であり、家族とは血の繋がりはなかったのだ。
閉じ込められたまま外を知らずに育ったアイメリアは窮地に陥るが、救ってくれた騎士の身の回りの世話をする仕事を得る。
養父母と義姉が自らの企みによって窮地に陥り、落ちぶれていく一方で、アイメリアはその秘められた才能を開花させ、救い主の騎士と心を通わせ、自らの居場所を作っていくのだった。
※小説家になろうさま・カクヨムさまにも掲載しています。

何かと「ひどいわ」とうるさい伯爵令嬢は
だましだまし
ファンタジー
何でもかんでも「ひどいわ」とうるさい伯爵令嬢にその取り巻きの侯爵令息。
私、男爵令嬢ライラの従妹で親友の子爵令嬢ルフィナはそんな二人にしょうちゅう絡まれ楽しい学園生活は段々とつまらなくなっていった。
そのまま卒業と思いきや…?
「ひどいわ」ばっかり言ってるからよ(笑)
全10話+エピローグとなります。
転生悪役令嬢に仕立て上げられた幸運の女神様は家門から勘当されたので、自由に生きるため、もう、ほっといてください。今更戻ってこいは遅いです
青の雀
ファンタジー
公爵令嬢ステファニー・エストロゲンは、学園の卒業パーティで第2王子のマリオットから突然、婚約破棄を告げられる
それも事実ではない男爵令嬢のリリアーヌ嬢を苛めたという冤罪を掛けられ、問答無用でマリオットから殴り飛ばされ意識を失ってしまう
そのショックで、ステファニーは前世社畜OL だった記憶を思い出し、日本料理を提供するファミリーレストランを開業することを思いつく
公爵令嬢として、持ち出せる宝石をなぜか物心ついたときには、すでに貯めていて、それを原資として開業するつもりでいる
この国では婚約破棄された令嬢は、キズモノとして扱われることから、なんとか自立しようと修道院回避のために幼いときから貯金していたみたいだった
足取り重く公爵邸に帰ったステファニーに待ち構えていたのが、父からの勘当宣告で……
エストロゲン家では、昔から異能をもって生まれてくるということを当然としている家柄で、異能を持たないステファニーは、前から肩身の狭い思いをしていた
修道院へ行くか、勘当を甘んじて受け入れるか、二者択一を迫られたステファニーは翌早朝にこっそり、家を出た
ステファニー自身は忘れているが、実は女神の化身で何代前の過去に人間との恋でいさかいがあり、無念が残っていたので、神界に帰らず、人間界の中で転生を繰り返すうちに、自分自身が女神であるということを忘れている
エストロゲン家の人々は、ステファニーの恩恵を受け異能を覚醒したということを知らない
ステファニーを追い出したことにより、次々に異能が消えていく……
4/20ようやく誤字チェックが完了しました
もしまだ、何かお気づきの点がありましたら、ご報告お待ち申し上げておりますm(_)m
いったん終了します
思いがけずに長くなってしまいましたので、各単元ごとはショートショートなのですが(笑)
平民女性に転生して、下剋上をするという話も面白いかなぁと
気が向いたら書きますね

精霊の愛し子が濡れ衣を着せられ、婚約破棄された結果
あーもんど
恋愛
「アリス!私は真実の愛に目覚めたんだ!君との婚約を白紙に戻して欲しい!」
ある日の朝、突然家に押し掛けてきた婚約者───ノア・アレクサンダー公爵令息に婚約解消を申し込まれたアリス・ベネット伯爵令嬢。
婚約解消に同意したアリスだったが、ノアに『解消理由をそちらに非があるように偽装して欲しい』と頼まれる。
当然ながら、アリスはそれを拒否。
他に女を作って、婚約解消を申し込まれただけでも屈辱なのに、そのうえ解消理由を偽装するなど有り得ない。
『そこをなんとか······』と食い下がるノアをアリスは叱咤し、屋敷から追い出した。
その数日後、アカデミーの卒業パーティーへ出席したアリスはノアと再会する。
彼の隣には想い人と思われる女性の姿が·····。
『まだ正式に婚約解消した訳でもないのに、他の女とパーティーに出席するだなんて·····』と呆れ返るアリスに、ノアは大声で叫んだ。
「アリス・ベネット伯爵令嬢!君との婚約を破棄させてもらう!婚約者が居ながら、他の男と寝た君とは結婚出来ない!」
濡れ衣を着せられたアリスはノアを冷めた目で見つめる。
······もう我慢の限界です。この男にはほとほと愛想が尽きました。
復讐を誓ったアリスは────精霊王の名を呼んだ。
※本作を読んでご気分を害される可能性がありますので、閲覧注意です(詳しくは感想欄の方をご参照してください)
※息抜き作品です。クオリティはそこまで高くありません。
※本作のざまぁは物理です。社会的制裁などは特にありません。
※hotランキング一位ありがとうございます(2020/12/01)
義妹の嫌がらせで、子持ち男性と結婚する羽目になりました。義理の娘に嫌われることも覚悟していましたが、本当の家族を手に入れることができました。
石河 翠
ファンタジー
義母と義妹の嫌がらせにより、子持ち男性の元に嫁ぐことになった主人公。夫になる男性は、前妻が残した一人娘を可愛がっており、新しい子どもはいらないのだという。
実家を出ても、自分は家族を持つことなどできない。そう思っていた主人公だが、娘思いの男性と素直になれないわがままな義理の娘に好感を持ち、少しずつ距離を縮めていく。
そんなある日、死んだはずの前妻が屋敷に現れ、主人公を追い出そうとしてきた。前妻いわく、血の繋がった母親の方が、継母よりも価値があるのだという。主人公が言葉に詰まったその時……。
血の繋がらない母と娘が家族になるまでのお話。
この作品は、小説家になろうおよびエブリスタにも投稿しております。
扉絵は、管澤捻さまに描いていただきました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる