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決めた

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アウトレットモールは、田舎に出来た割にとてもおしゃれだった。お弁当をばぁちゃんの分と合わせて買い、真っ赤ないちごのタルトケーキも購入。それから帰路へついた。



「ただいま-!」
源太が車で送ってくれ、そのまま昼ごはんを食べると言って家に上がり込む。ばぁちゃんは頭に布を巻いて畑で野菜をいじっていた。近くでは、ポチャタが横になって寝ている。

「おかえりー!楽しかったかぇ?」
ばぁちゃんはキュウリを手に持って家に帰ってきた。

「うん!ばぁちゃん、お昼ご飯食べた?まだだったら、お弁当買ってきたから一緒に食べよ!」
「おやま!おいしそうだねぇ。いただこうかね。そのハンバーグ弁当でもいいかい?」
「えっ和食弁当じゃないの?」
「いーよ。俺それにするから。」
「おやだめかい?」
「そんな事ないよ。意外だっただけ。私がそれ食べるよ。」
ばぁちゃんも、和食だけじゃなくて、いろいろと食べるんだな。年寄り扱いしてごめん…。
「ポチャタはこれね。」
と言って、ばぁちゃんはキュウリを半分、小さく切ってあげた。それをペロリと食べて、ポチャタは土間で丸くなって寝はじめた。


「ばぁちゃん、私、仕事復帰しようかと思うの。」
「そうかい。好きにしなさい。私はポチャタといるからね。」
「ばぁちゃんごめんね。私、ばぁちゃんが淋しいかなと思ってここにいたの。でも、そうじゃなかったよね。上から目線でそんな風に思っちゃいけなかったよね。私のが、ばぁちゃんに癒されてた。」
「そうかい。それでいいんだよ。香澄ちゃんには香澄ちゃんの生活があるんだもの。私も好きにここで暮らしているんだからね。気ままに過ごすよ。香澄ちゃんも好きにしなさいな。でも、ばぁちゃんに癒されてたなら嬉しいねぇ。なぁポチャタ。」
ばぁちゃんは、ポチャタに向けて言葉を掛けた。するとポチャタは目を開けこちらをじっと見て、また目を閉じた。ポチャタも、好きにすれば?って言ってくれてるように感じた。

「それでさ、リモートワークでいいって言ってくれたんだけど、ここにまだちょっといてもいい?」
まだちょっと、すぐには都会に帰ろうとは思えなかった。

「ん?りもー?そのなんちゃらで、仕事が続けられるのかい?」
「うん。パソコンとネット環境があれば。」
「そうかね。じゃあ好きにしなさいな。私も好きにするからね。ばぁちゃんだって寝坊したい日もあるし、昼寝したい日もあるからね。」
「うん!ありがとう!なるべく邪魔しないようにするね。」

「俺もたまに来るからな!デートもまた行こうぜ。」

ポチャタを見ると、半分目を開けて耳をぴくぴくさせていた。こちらの会話を聞いているのかな。もしかしたら本当にじぃちゃんかもね。じぃちゃんも、まだまだお世話になるけど、よろしくね!
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