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22. 意識改革

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「きっとそれだよ!後で、ツェルテッティン伯爵にも話を聞かせてもらわないとな。もし、それが流行病の対策になるのだったら、素晴らしいよ!」

 そう言って満面の笑みを浮かべ、私を抱き締めてくれた。ここは、いろんな人がいるバラ園なのですけれど…私は恥ずかしくなって、

「ユリウス様、恥ずかしいです!皆が見ています!」

 と赤い顔になりながら言った。

「いいじゃないか!結婚が出来るかもしれない!あー…まぁ、まだアイネルの気持ちがついてきてくれないとダメだろうけど、でも兄上が結婚出来るかもしれない!アイネルは本当に素晴らしい知識を得たね!」

 そう言って、ゆっくりと離してくれた。
…あら?私、ユリウス様が離れてしまって、淋しく思ってしまったわ。もう少し抱き締めて欲しかっただなんて…!

「ん?どうした?」

「い、いいえ!なんでもありませんわ!」

 そう言って私は、そっぽを向いてしまった。照れてしまったのよ…顔も真っ赤だろうし。





 あれからまた、他愛もない話をしながらお弁当を食べ終え、バラ園を散策して屋敷へと帰ってきた。


「お父様とお話されたいみたいなの。お時間あるかしら?」

 執事のディランに伝えた。
すると、ディランは、

「分かりました。伺って来ますので応接室でお待ちください。」

 と言ってくれた。
私達は手を洗ってから応接室へ行った。どうやら、手を水で洗い流すって、贅沢だったみたいね。



「ユリウス殿下。ご挨拶が遅れまして。」

 そう言って挨拶もそこそこにお父様は慌てて入って来た。どうしたのかしら?

「いいえ、ヘンツ伯爵。今日は少し聞きたい事がありまして、お時間を頂きました。その前に…五年前、アイネルの肩を押した件は、大変申し訳ありませんでした。」

 と、いきなり頭を下げた。

「え!?いえいえ、謝罪は結構だとあの時申し上げました。アイネルもこの通り元気です。それでいいではありませんか。」

 と、お父様は席について落ち着いたと思ったのにまた、取り乱して言った。

「許していただきありがとうございます。わだかまりがありましてどうしても言いたかったのです。…では、聞きたかった事ですが、ツェルテッティン領では、流行病はどうでしょうか?」

「流行病?…そう言えば、五年以上前は、よく腹を壊したり、熱を出す領民がいて仕事が捗らないという訴えなどはあったが、ここ最近はそんなのは無いな。」

「やはり…。」

「どうされましたか?聞きたい事ってそれでしたか?」

 あら。お父様、何か拍子抜けって感じですわね。…でもそうだったのね。この領地では流行病が無かったのね。だから私は知らなかったのだわ。

「はい。…?ヘンツ伯爵こそどうされましたか?」

「い、いや…なんだ…わしはてっきり…。(結婚させて下さいと言いに来たかと思ったのだが違ったのか…。)と、ところで、まだ他の領地では流行病はあるのですか?」

「そうなのです。でも、このツェルテッティン領地ではこの五年で流行病が無いと聞いて、アイネルにこの五年で作った物を聞いてなんとなく理由が分かりました。きっと、水場が大切なのでしょう。」

「水場?」

「はい。アイネルは、手をたらいで洗うだけでは綺麗にならないと言った。汚れがそこにまだあるからと。水場で洗い流す方がいいと考え、水場をたくさん作ったと聞いた。」

「そう言えば…。そうでしたか。アイネル、そんな意図があったのか。アイネルが言うがまま、やらせておったが良い方に向かったという事か。見栄えがいいからとか綺麗だからかと思っておったわ。」

 ほう。とお父様は驚嘆して下さった。まぁ、私もクレンヴィス国の常識もよく分からずに言っていたものね。

「ありがとうございます!お義父上!」

「お、お義父上!?いや、まだ早い…いやでも…うーん…。」
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