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20. 第二王子・ユリウス
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「きちんと謝罪した方が良いね。運良くというべきか運悪くというべきか、お神の戯れが起きてしまったからね。彼女はどうなるのか…。謝罪するなら、カイヴィンに手紙を書いてみるよ。まぁ…受けてくれるかは分からないけれど。」
「ユリウス兄様のせいよ!お神の戯れって、この国を創った神様が起こしているのでしょ?神様がユリウス兄様に怒ったのよ。ああ、その方、目を覚まさなかったらどうなるのかしら。」
「イザベラ、さすがに滅多な事は言うもんじゃないよ?けれど…そうだね。どうなるのかは分からないね。そして目覚めたとしても…どうなるのか。」
「文献では、良くも悪くも、でしたか?」
王族の俺らは、お神の戯れについては学んでいる。
イザベラが言うように神様が怒った時や、国の危機がある時に王族に関係する者が遭われる、と言い伝えられている。そして、遭った者は長い間意識を失い、目覚めると皆が『長い夢を見た』と言うのだそうだ。こことは違う文明の中で生きていたと。
しかし、その『長い夢』と、この国の文明とのギャップで心を壊したのか、戯言を言ったり、すぐに怒り出す者もいたとか。
最悪の結果は、自ら命を絶つものさえいたらしい。
ウェンディは一般的な知識のみ、知っているだろう。そして王妃になる者として、そのうちに学んでいくだろう。
「そうだね。どう転ぶかは分からないね。ツェルテッティン伯爵領は昨年不作だったから、彼女が…?いやでもそんな領地は幾らでもあるよな。」
「ユリウス兄様!男としてちゃんと責任は取って下さいませ!!」
「そうね、そうしなさいよ。」
「ん?イザベラにウェンディ。どういう事だい?」
「「お嫁にもらってあげて!!」」
「はぁ!?」
俺はずっと、三人の会話をアイネルの心配をしながら聞いていたが、兄上の声に思わず、三人に視線を向けた。
「責任は…取るさ。」
恥ずかしながら、呟いた。
そうだ!それを理由に、目覚めたら話し掛けて親睦を深めよう!
「それだけは止めろ。」
兄上が、すかさず言った。疑問に思ったので聞いてみる。
「なぜですか?イザベラが言うように、理由はどうあれ肩を押してしまいました。責任は取るべきてすよね?」
「それは、後々だよ。まずは謝罪だ。つけ込む事はするな。男として示しがつかない事は止めろ。それよりも、ユリウスはする事があるよ。もう少し、態度を改めないと向こうから願い下げられるよ。」
はぁ?どういう事だよ!!兄上!
「そうねぇ。ユリウス、あなた自分に靡かないからムカついたのでしょう?それで手を出すなんてサイテーよ。そう言う性格を直さないとダメ。あの子は、今までの貴族令嬢とは違うわ。きっと、上辺だけじゃなくて本心で接してくれるわ。だから、あの子に似合う男になりなさいって事よ。」
「ユリウス兄様、良かったですね!私達王族にとって、なかなかそういう人に巡り会えませんわよ!確かにユリウス兄様は不遜ですわね。王族としては合格でしょうけれど、男としては不合格ですわね。そのご令嬢も、相手が不遜な人だったら嫌でしょうね。」
な、なに…そういうものか…確かにそうか…まぁ、そうだな!よし、アイネルに相応しい男になってやる!
「分かった!俺は、相応しい男になる!」
「まぁ、まずは謝罪だ。それからだ。」
しかし…兄上が手紙を書いてくれたらしいが、カイヴィンは断ったらしい。
まぁ、人に頼むのもよくないよな、と自分でもカイヴィンに手紙を書いた。するとなんと一笑に付されたのだ。
仕方ないからツェルテッティン伯爵に謝罪をしたい旨の手紙を書いたがそこでも丁重にお断りをされた………。
俺は、どうすれば良い?と、無駄にお神の戯れの文献を読み漁った。
少しして、ツェルテッティン伯爵領が領地改革をして収入を上げていると知った。
きっとアイネルの知識の賜物だろう。俺もアイネルのように、兄上に役立つ事をしなければと思うようになった。
隣国で違う知識も学んでこようと、両親に志願し行かせてもらった。
そして、そろそろ俺も婚約者を…と言う頃になったから両親に『好きな人がいる』と伝えた。
両親は喜んだが同時に、心配もしてくれていた。お神の戯れに遭った人は稀に心が壊れる者もいるからだ。
だがその点は、兄上に協力してもらいアイネルの兄カイヴィンに近況を聞いていたから心配ない。
楽しそうに領地改革に臨んでいるらしいのだ。
両親は、『それなら反対はしない。王族の力を使って婚約を結ぶ事も出来るが、まずは自分の力で頑張りなさい。』と言ってくれたのだ。
アイネルとの未来を手に入れる為、これまでやってきたんだ!やってやるぜ!
「ユリウス兄様のせいよ!お神の戯れって、この国を創った神様が起こしているのでしょ?神様がユリウス兄様に怒ったのよ。ああ、その方、目を覚まさなかったらどうなるのかしら。」
「イザベラ、さすがに滅多な事は言うもんじゃないよ?けれど…そうだね。どうなるのかは分からないね。そして目覚めたとしても…どうなるのか。」
「文献では、良くも悪くも、でしたか?」
王族の俺らは、お神の戯れについては学んでいる。
イザベラが言うように神様が怒った時や、国の危機がある時に王族に関係する者が遭われる、と言い伝えられている。そして、遭った者は長い間意識を失い、目覚めると皆が『長い夢を見た』と言うのだそうだ。こことは違う文明の中で生きていたと。
しかし、その『長い夢』と、この国の文明とのギャップで心を壊したのか、戯言を言ったり、すぐに怒り出す者もいたとか。
最悪の結果は、自ら命を絶つものさえいたらしい。
ウェンディは一般的な知識のみ、知っているだろう。そして王妃になる者として、そのうちに学んでいくだろう。
「そうだね。どう転ぶかは分からないね。ツェルテッティン伯爵領は昨年不作だったから、彼女が…?いやでもそんな領地は幾らでもあるよな。」
「ユリウス兄様!男としてちゃんと責任は取って下さいませ!!」
「そうね、そうしなさいよ。」
「ん?イザベラにウェンディ。どういう事だい?」
「「お嫁にもらってあげて!!」」
「はぁ!?」
俺はずっと、三人の会話をアイネルの心配をしながら聞いていたが、兄上の声に思わず、三人に視線を向けた。
「責任は…取るさ。」
恥ずかしながら、呟いた。
そうだ!それを理由に、目覚めたら話し掛けて親睦を深めよう!
「それだけは止めろ。」
兄上が、すかさず言った。疑問に思ったので聞いてみる。
「なぜですか?イザベラが言うように、理由はどうあれ肩を押してしまいました。責任は取るべきてすよね?」
「それは、後々だよ。まずは謝罪だ。つけ込む事はするな。男として示しがつかない事は止めろ。それよりも、ユリウスはする事があるよ。もう少し、態度を改めないと向こうから願い下げられるよ。」
はぁ?どういう事だよ!!兄上!
「そうねぇ。ユリウス、あなた自分に靡かないからムカついたのでしょう?それで手を出すなんてサイテーよ。そう言う性格を直さないとダメ。あの子は、今までの貴族令嬢とは違うわ。きっと、上辺だけじゃなくて本心で接してくれるわ。だから、あの子に似合う男になりなさいって事よ。」
「ユリウス兄様、良かったですね!私達王族にとって、なかなかそういう人に巡り会えませんわよ!確かにユリウス兄様は不遜ですわね。王族としては合格でしょうけれど、男としては不合格ですわね。そのご令嬢も、相手が不遜な人だったら嫌でしょうね。」
な、なに…そういうものか…確かにそうか…まぁ、そうだな!よし、アイネルに相応しい男になってやる!
「分かった!俺は、相応しい男になる!」
「まぁ、まずは謝罪だ。それからだ。」
しかし…兄上が手紙を書いてくれたらしいが、カイヴィンは断ったらしい。
まぁ、人に頼むのもよくないよな、と自分でもカイヴィンに手紙を書いた。するとなんと一笑に付されたのだ。
仕方ないからツェルテッティン伯爵に謝罪をしたい旨の手紙を書いたがそこでも丁重にお断りをされた………。
俺は、どうすれば良い?と、無駄にお神の戯れの文献を読み漁った。
少しして、ツェルテッティン伯爵領が領地改革をして収入を上げていると知った。
きっとアイネルの知識の賜物だろう。俺もアイネルのように、兄上に役立つ事をしなければと思うようになった。
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そして、そろそろ俺も婚約者を…と言う頃になったから両親に『好きな人がいる』と伝えた。
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だがその点は、兄上に協力してもらいアイネルの兄カイヴィンに近況を聞いていたから心配ない。
楽しそうに領地改革に臨んでいるらしいのだ。
両親は、『それなら反対はしない。王族の力を使って婚約を結ぶ事も出来るが、まずは自分の力で頑張りなさい。』と言ってくれたのだ。
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