【完結】異世界からおかえりなさいって言われました。私は長い夢を見ていただけですけれど…でもそう言われるから得た知識で楽しく生きますわ。

まりぃべる

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14. デビュタント?

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 お父様が、私に聞いてきました。

「アイネル。世間ではそろそろ、アイネルの年頃の子達は夜の社交もデビュタントしておるが、どうする?」


 私は、あれからガーデンパーティーには一度も参加しておりませんでした。
お父様やお母様が行かれる時も、私は緊張するし、行かなくていいかと遠慮しておりました。

 けれど、さすがに十五歳にもなると、夜のダンスパーティーに参加出来るようになるので、そこでデビュタントとしてお披露目をし、さまざまな人と交流を深め、将来の伴侶を見つけるというのが、貴族社会の世間の流れだそうでございます。

 …結婚かぁ。まだまだ先ではございますが、避けては通れない道なのでしょうね。



「分かりました。お父様の良さそうな時に、お願いしますわ。」

「ふむ。よく決断した!もし、嫌だったら次からは理由を付けて欠席すればいいからな。では二週間後の王宮の夜会で、デビュタントとしよう。ダンスは大丈夫か?」

 そうでしたね…。ダンス、体を動かすのは楽しいのですけれど、あまりよく知らない男性と二人で踊るというのが嫌なのですよね…。
けれど、最近はきちんと貴族の娘ですもの。それなりのお勉強もしておりますものね。うまく踊れるかは不安ですけれど、練習は積んでおりますのよ。

「大丈夫かと問われれば不安しかありませんが、どうにか練習はしております。けれど、デビュタントの私に誘う方もいらっしゃらないでしょう。残念ながらお友達もおりませんもの。」

「うむ…まぁ、今までガーデンパーティーも行かなかったからな。知り合いを作る為にも行かせた方が良かったのか迷ったが…。」

「いいえ。お父様には申し訳ありませんけれど、ガーデンパーティーへ行くより領地改革に勤しんでいた方が私にとってはとても有意義な時間でしたもの。ただ、これからは結婚相手を見つける為にも、頑張りますわ。けれど、夜会が性に合わなければ、お父様申し訳ありませんけれど、不参加になるかもしれません。その時は、適当な結婚相手を見繕い下さいませ。あわよくばこのツェルテッティンにずっといたいですけれど、お兄様の奥様になられる人にご迷惑でしょうし、どこかに嫁ぎたいと思います。」

「おお、アイネルよ。もうそこまで考えておるのか。まだまだいいんだよ。行き遅れと言われようともな。まぁ、まだ先の話だ。今は、二週間後の夜会だな。カイヴィンにも、参加出来るか聞いておくからな。いた方がお前も安心であろうよ。」

お兄様…。そうね。お兄様は騎士団で忙しくされているので、なかなか帰って来られませんものね。
だけれど、王宮の初めての夜会にお兄様がいてくだされば、誰も知り合いはおりませんもの。安心ですわ。

「お兄様がいてくだされば、心強いですわ。けれど、騎士団のお仕事もお有りでしょうから無理なさらないでとお伝え下さい。」

「何を言う!アイネルのデビュタントだ。カイヴィンに火急の用だと言って休ませるさ。安心しなさい。」

 お仕事は大切ですわよ…。
けれど、私が言うのも何ですけれど、お父様もお兄様も私を大切にしてくださっておりますもの。
なんだか本当にそのようにされそうで怖いですわ。
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