11 / 25
11. イモ掘り
しおりを挟む
一週間後、執事のディランの監修の元、近くの領民が大人子供合わせて五十人ほど集まってくれた。
事前にどうやら、ディランが領民に声を掛けてくれたらしい。
お昼過ぎ。ディランが使用人と一緒に、お屋敷の前で領民の受付をしてくれ、ゾロゾロと中庭を通ってサツマイモが植わっている最奥まで引き連れて来た。
私も、お母様と近くで見ていた。
「では、掘り方を説明いたします。蔓の下の地面にイモが埋まっています。なのでその周りを丁寧に掘りましょう。スコップやシャベルは持ってきましたか?あまり勢いよくやるとイモが傷つき食べられなくなるので、ゆっくりとやって下さい。分からなければ、聞いて下さい。掘れたイモは、こちらに置いて下さい。後で少し振る舞いますからね。それから、後から一本ずつ選べますからね。ちゃんと置いて下さいね。残りは備蓄用に取って置きます。では、少し感覚を開けて、掘って下さい。」
ディランが説明をすると、領民はそれぞれ間隔を開けて蔓の場所に散けて掘ってくれる。
元々、うちの農地はワインを作るブドウ農家や、トウモロコシを育てている農家がほとんどだから扱いは手慣れているみたいですぐに掘ってくれる。子供も、土遊び感覚でものすごく楽しそうにやってくれている。
これなら、本当に早く掘ってくれそうね!
「みてみてー!取れたよ!」
「わたしのが大きいわ!」
「オレのがでかいよ!」
「ボクのが太いよ-!」
子供達も競うように、掘ってくれている。
どんどん籠にイモが入って山になってきた。
「ねぇ、イモがもう入らないよ-!」
「あふれちゃうわー!」
まぁ!もうそんなに!?私とサイモンとだったら、一本抜くのにものすごく時間が掛かったのに。
「持って来ました!」
サイモンが籠をもう一つ持ってきてくれた。サイモンも、自分だけでこの量を片付けなくて良くなったから、率先して動いてくれているわ。
料理長が、籠に入っている半分ほどを持って行った。厨房で、振る舞う料理を作って来てくれるためだ。
事前に料理長とは話し、試食もして、簡単で、たくさんの人に食べてもらえる料理をどうしょうか考えたあげく、ふかしイモにした。
もっと凝った料理にしようかとも思ったが、家に帰って作れる料理で、なおかつ味も分かりやすいし、すぐ出来るからだ。
日が暮れるまでにはどうにかほとんど掘ってもらえた。結局、二つあった籠からはみ出て、地面に更に山のように置いてある。
「わ-!!」
「すごー!!」
子供達は、食べ物が並んだ、外に出した簡易のテーブルを見て歓声を上げ、駆け寄ってきた。
「食べていいの!?」
「どんな味かなー!」
けれど、手を洗ってからよね。そう思うと、ディランが使用人に言ったのか、いつの間にかたらいに汲まれた水が二つあった。
え!?でも領民達土まみれなのにこれだけ?
私は慌てて、ディランに伝えて領民達を外にある一番近くの井戸で手を洗ってもらった。土をしっかり落としてもらうのを忘れずに。
そして、戻ってきた領民達に料理長が持ってきてくれたふかしイモを皆に配った。
「美味しい!」
「甘ーい!」
「なにこれ-!」
「うまっ!!」
子供達も、大人達も。疲れた体に甘いものが体に入って、とても笑顔で言ってくれた。
「皆さん、今日は本当にありがとうございました!!これは、サツマイモと言います。このイモは、今日は鍋でふかしただけです。家でも簡単に出来るでしょう。そして、これはどんな料理にも合います。お菓子にも合います。ふかしイモを裏ごしして、小麦粉と混ぜればイモケーキにもなりますよ。今日は、たくさん取れたので一人二本持って帰って下さいね。今から配ります。」
と、私は皆に向かって言った。すると、領民は歓声を上げてくれた。
「作り方も教えてくれるなんてね。本当ありがたいよ。今日は、アイネル様本当にありがとうございました!また何かあったら、手伝うからね!」
そう、帰り際に言ってくれた人もいた。
「ありがとうございます!他でも、お世話になると思いますからその時はお願いします!このイモも、非常用に備蓄倉庫へ取って置きますからね!」
この調子で、領地も潤ってくれれば、領民も喜んでくれるしいい事尽くめね!
事前にどうやら、ディランが領民に声を掛けてくれたらしい。
お昼過ぎ。ディランが使用人と一緒に、お屋敷の前で領民の受付をしてくれ、ゾロゾロと中庭を通ってサツマイモが植わっている最奥まで引き連れて来た。
私も、お母様と近くで見ていた。
「では、掘り方を説明いたします。蔓の下の地面にイモが埋まっています。なのでその周りを丁寧に掘りましょう。スコップやシャベルは持ってきましたか?あまり勢いよくやるとイモが傷つき食べられなくなるので、ゆっくりとやって下さい。分からなければ、聞いて下さい。掘れたイモは、こちらに置いて下さい。後で少し振る舞いますからね。それから、後から一本ずつ選べますからね。ちゃんと置いて下さいね。残りは備蓄用に取って置きます。では、少し感覚を開けて、掘って下さい。」
ディランが説明をすると、領民はそれぞれ間隔を開けて蔓の場所に散けて掘ってくれる。
元々、うちの農地はワインを作るブドウ農家や、トウモロコシを育てている農家がほとんどだから扱いは手慣れているみたいですぐに掘ってくれる。子供も、土遊び感覚でものすごく楽しそうにやってくれている。
これなら、本当に早く掘ってくれそうね!
「みてみてー!取れたよ!」
「わたしのが大きいわ!」
「オレのがでかいよ!」
「ボクのが太いよ-!」
子供達も競うように、掘ってくれている。
どんどん籠にイモが入って山になってきた。
「ねぇ、イモがもう入らないよ-!」
「あふれちゃうわー!」
まぁ!もうそんなに!?私とサイモンとだったら、一本抜くのにものすごく時間が掛かったのに。
「持って来ました!」
サイモンが籠をもう一つ持ってきてくれた。サイモンも、自分だけでこの量を片付けなくて良くなったから、率先して動いてくれているわ。
料理長が、籠に入っている半分ほどを持って行った。厨房で、振る舞う料理を作って来てくれるためだ。
事前に料理長とは話し、試食もして、簡単で、たくさんの人に食べてもらえる料理をどうしょうか考えたあげく、ふかしイモにした。
もっと凝った料理にしようかとも思ったが、家に帰って作れる料理で、なおかつ味も分かりやすいし、すぐ出来るからだ。
日が暮れるまでにはどうにかほとんど掘ってもらえた。結局、二つあった籠からはみ出て、地面に更に山のように置いてある。
「わ-!!」
「すごー!!」
子供達は、食べ物が並んだ、外に出した簡易のテーブルを見て歓声を上げ、駆け寄ってきた。
「食べていいの!?」
「どんな味かなー!」
けれど、手を洗ってからよね。そう思うと、ディランが使用人に言ったのか、いつの間にかたらいに汲まれた水が二つあった。
え!?でも領民達土まみれなのにこれだけ?
私は慌てて、ディランに伝えて領民達を外にある一番近くの井戸で手を洗ってもらった。土をしっかり落としてもらうのを忘れずに。
そして、戻ってきた領民達に料理長が持ってきてくれたふかしイモを皆に配った。
「美味しい!」
「甘ーい!」
「なにこれ-!」
「うまっ!!」
子供達も、大人達も。疲れた体に甘いものが体に入って、とても笑顔で言ってくれた。
「皆さん、今日は本当にありがとうございました!!これは、サツマイモと言います。このイモは、今日は鍋でふかしただけです。家でも簡単に出来るでしょう。そして、これはどんな料理にも合います。お菓子にも合います。ふかしイモを裏ごしして、小麦粉と混ぜればイモケーキにもなりますよ。今日は、たくさん取れたので一人二本持って帰って下さいね。今から配ります。」
と、私は皆に向かって言った。すると、領民は歓声を上げてくれた。
「作り方も教えてくれるなんてね。本当ありがたいよ。今日は、アイネル様本当にありがとうございました!また何かあったら、手伝うからね!」
そう、帰り際に言ってくれた人もいた。
「ありがとうございます!他でも、お世話になると思いますからその時はお願いします!このイモも、非常用に備蓄倉庫へ取って置きますからね!」
この調子で、領地も潤ってくれれば、領民も喜んでくれるしいい事尽くめね!
11
お気に入りに追加
1,177
あなたにおすすめの小説
若奥様は緑の手 ~ お世話した花壇が聖域化してました。嫁入り先でめいっぱい役立てます!
古森真朝
恋愛
意地悪な遠縁のおばの邸で暮らすユーフェミアは、ある日いきなり『明後日に輿入れが決まったから荷物をまとめろ』と言い渡される。いろいろ思うところはありつつ、これは邸から出て自立するチャンス!と大急ぎで支度して出立することに。嫁入り道具兼手土産として、唯一の財産でもある裏庭の花壇(四畳サイズ)を『持参』したのだが――実はこのプチ庭園、長年手塩にかけた彼女の魔力によって、神域霊域レベルのレア植物生息地となっていた。
そうとは知らないまま、輿入れ初日にボロボロになって帰ってきた結婚相手・クライヴを救ったのを皮切りに、彼の実家エヴァンス邸、勤め先である王城、さらにお世話になっている賢者様が司る大神殿と、次々に起こる事件を『あ、それならありますよ!』とプチ庭園でしれっと解決していくユーフェミア。果たして嫁ぎ先で平穏を手に入れられるのか。そして根っから世話好きで、何くれとなく構ってくれるクライヴVS自立したい甘えベタの若奥様の勝負の行方は?
*カクヨム様で先行掲載しております
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
巻き戻される運命 ~私は王太子妃になり誰かに突き落とされ死んだ、そうしたら何故か三歳の子どもに戻っていた~
アキナヌカ
恋愛
私(わたくし)レティ・アマンド・アルメニアはこの国の第一王子と結婚した、でも彼は私のことを愛さずに仕事だけを押しつけた。そうして私は形だけの王太子妃になり、やがて側室の誰かにバルコニーから突き落とされて死んだ。でも、気がついたら私は三歳の子どもに戻っていた。
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
【完結】6人目の娘として生まれました。目立たない伯爵令嬢なのに、なぜかイケメン公爵が離れない
朝日みらい
恋愛
エリーナは、伯爵家の6人目の娘として生まれましたが、幸せではありませんでした。彼女は両親からも兄姉からも無視されていました。それに才能も兄姉と比べると特に特別なところがなかったのです。そんな孤独な彼女の前に現れたのが、公爵家のヴィクトールでした。彼女のそばに支えて励ましてくれるのです。エリーナはヴィクトールに何かとほめられながら、自分の力を信じて幸せをつかむ物語です。
覚悟は良いですか、お父様? ―虐げられた娘はお家乗っ取りを企んだ婿の父とその愛人の娘である異母妹をまとめて追い出す―
Erin
恋愛
【完結済・全3話】伯爵令嬢のカメリアは母が死んだ直後に、父が屋敷に連れ込んだ愛人とその子に虐げられていた。その挙句、カメリアが十六歳の成人後に継ぐ予定の伯爵家から追い出し、伯爵家の血を一滴も引かない異母妹に継がせると言い出す。後を継がないカメリアには嗜虐趣味のある男に嫁がられることになった。絶対に父たちの言いなりになりたくないカメリアは家を出て復讐することにした。7/6に最終話投稿予定。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
【完結】婚約者とのお茶の時に交換条件。「 飲んでみて?」
BBやっこ
恋愛
婚約者との交流といえば、お茶の時間。客間であっていたけど「飽きた」という言葉で、しょうがなくテラスにいる。毒物にできる植物もあるのに危機感がないのか、護衛を信用しているのかわからない婚約者。
王位継承権を持つ、一応王子だ。継承一位でもなければこの平和な国で、王になる事もない。はっきり言って微妙。その男とお茶の時間は妙な沈黙が続く。そして事件は起きた。
「起こしたの間違いでしょう?お嬢様。」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる