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1. 〝お神の戯れ〟に遭ったとは…

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「ほら…あの子が、に遭われたそうよ。」

「まぁ、お可哀想に…。でも、存外普通と変わらないわね。」

「いいえ、分からないですわよ!ドレス姿は確かに素晴らしいですけれど…違う世界の言葉を話し出すかもしれませんわ!」



 …それは、この国を創ったとされる神様が、稀に起こす奇跡。

 それは、何も無い所からいきなり何かが現れ、

 はたまた、今まで凪いでいたのにいきなり突風が吹き荒れ。

 いい奇跡ばかりなら良いのだが、そうで無い奇跡もある。
その後の人生がどうなるのかは、その人次第と言われている。




 私、アイネル=ツェルテッティンと申します。お父様は伯爵家の当主でございます。

 この国では、子供が十歳になると、王宮でのガーデンパーティーの参加が許され、お披露目となる。
そのまま幾度となく両親について社交に参加する子供もいるが、少し成長するまで参加しない子供もいる。

 
 私は、十歳になって初めて、ガーデンパーティーに参加しました。お父様とお母様と三歳上のお兄様と一緒に。

 初めての王宮。初めてのガーデンパーティーで、私はとても緊張しておりました。国中の選ばれた貴族のみが呼ばれたとはいえ、それなりの人数だったと思います。

 私は両親と離れ、お兄様と一緒に子供達が集まっているテーブルに連れて行かれました。
そこでしばらく話していると、一人の男の子が、理由は忘れてしまいましたが私を突き飛ばしたのです。

 その時にちょうど、強い風が吹き荒れました。
 
 ガーデンパーティーをしている場所は王宮の中庭です。
本殿へと続く庭で、右殿と左殿が囲んでいる為普段は風なんて強く吹く場所ではないのです。

 それなのに、突風が吹きテーブルクロスがはためき、テーブルの上の物が飛ばされたり、ティーカップが倒れて割れて大変だったそうです。

 その場は騒然となり、割れた食器もかなりあったためガーデンパーティーはお開きとなりました。

 私は覚えていないのですが風が収まった時、地面に倒れていたそうです。
男の子に突き飛ばされたからなのか、突風のせいなのか…。

 王宮であった事だったので、医務室に案内されたそうですが、両親は慌てていたのでしょう。私を抱えて家まで急いで帰ったそうです。

 それから私が目覚めたのは、十日経ってからだったそうです。

 …だけれど、私、その目覚めるまでの間に見ていたのよね、不思議なを…。
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