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2 出会い
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長女アルビーナが王立学院に入学して半年が経ち、ルジェナは少し寂しくはあったが自身は特に変わらぬ日々を過ごしていた。
今日も、朝食の後にブドウ畑の真ん中まで来るとバイオリンの練習をするルジェナ。
両親や領民は早朝に畑で作業をする。そして朝食を食べてからはブドウの加工をする作業場である工房に行く為、今のこの時間なら人はいないと普段から練習の場となっているのだ。
ギーギー ギーコーギーコー
(なかなか、いい音にならないなぁ…。)
バイオリンを買ってもらってから、すでに7ヵ月が経っている。それなのに思うような音が出ずルジェナは燻っていた。
「ねぇ、何とかならないの?その音。」
「!!!だれ!?」
不意に、ブドウの樹と樹の間から声が聞こえ、ルジェナは肩をビクリと振るわせて声を上げてそちらを見る。
顔を出したのはルジェナより少し背の高い、艶やかな黒い髪を顔の輪郭に合わせて短く切り揃えられた男の子だった。
「はぁ?俺の事知らねぇの?」
自分達が話すよりも口調が荒々しいと思ったルジェナだったが、それよりもここに居るのなら領民なのだろうか、でも領民だったら普段今まで見掛けても向こうから特に話しかけてくる事は無かったから、誰なのかと不思議に思ったのだ。
「え?あなたそんなに有名な人なの?ごめんなさい、知らなくて。」
畑に作業をしに来る領民はいつもルジェナ達が着るような服ではなく、綿や麻など柄も刺繍も施されていない簡素な服を着ているし、作業の合間についたのか汚れてもいた。
しかし彼は、皺一つない生成りのシャツを着ていて作業をする服装とは違うものを着ているようだと見たルジェナ。畑仕事をするには動きにくそうな、汚れも付いていない綺麗な服だと思ったのだ。
両親はいつも畑へ出かけるか、作ったものを加工する工房に出ている為、その仕事上の連れかとも思ったが、それにしては口調が丁寧ではないので、ルジェナには検討も付かず、きっとどちらであっても男の子とはそういうものなのだろうと思った。
ルジェナは畑に手伝いに来ている領民に挨拶くらいは話し掛けたりはするが、世間話をするほど仲良くしてはいなかった。家族以外とはほとんど交流も無かった為、世間一般の子がどのように話すのかなんて知らなかったのだ。
「はぁ!?」
「それよりも、初対面なのに失礼よ?
私は今練習しているの、見れば分かるでしょう?」
そう言って、バイオリンを少し上に持ち上げ少し得意そうにバイオリンがしっかりと見えるようにした。
「失礼なのはどっちだよ!そんな鈍い音たててよ!
そもそもなんでこんなところでやってんだよ!」
「仕方ないじゃない、難しいのよ?バイオリンって。
あ、これねバイオリンっていうのよ、楽器なの。」
「知ってるよ、それくらい!てか…練習してたのか、それ…。」
少年は目を大きくして少し驚いたような顔をしていた。
「そうよ。…なかなか綺麗な音が出ないけど。どれだけ練習すれば出るのかしら?
…やっぱり有名な楽師などにちゃんと教えてもらわないと音なんて出ないのかしらね。」
「楽師って…それ、見せてみろよ。」
「え?いいけど、大切な物だから大事に扱ってね?」
ルジェナは少し戸惑ったが、バイオリンが珍しいのかと思い目の前の少年へと手渡す。
「ああ。
…ふーん。ちょっと、それも貸せよ。」
バイオリンを角度を変えてじっくりと見ると、そう言ってから顎あてに顎をあてがい肩に挟み、弓をルジェナから借りて曲を弾きはじめた。
(凄い…)
強弱をつけた弦の響きは、ルジェナが今まで練習していた同じバイオリンから奏でられたとは思えない程、素敵な音色だった。それは、今まで荒々しい口調をしていたとは思えないほどに優しい音色で、ルジェナの心が震えるほど響いた。
「…どうだ?」
「凄い…あなた上手なのね!」
「まあね。
楽師に教えてもらわずとも、俺みたいに弾けるようになる。…構えてみろよ。」
そう言って、ルジェナに再びバイオリンと弓を渡す。
ルジェナは、いつも自分が弾く時の構えをし、弓で弾こうとするとすぐに言われた。
「やっぱり。下がり過ぎてる。
ここん所をもっと上げて。そう、そんな感じで弾いてみろよ。」
バイオリンが下に下がっていると指摘され、それを直して弾いてみると今まで出ていた重たい音よりも微かに優しい響きを出す事に成功する。
「え!ちょっと!やった!ねぇ、聞いた?」
「ああ。
…ずっと練習してたんなら、すぐにうまくなるさ。」
そう言って、笑顔を見せてくれた彼を見たルジェナは自分の胸がドキドキ速く脈打っているのに気づいた。それは、バイオリンを弾いて自分が初めてましな音色を出せたからなのか、それとも違う感情なのか、よく分からなかった。
「それより、一人でずっと練習してたのか?楽師でないにしろ、バイオリンを誰かに習ったりはしなかったのか?」
「え?え、えぇ…私ね、飽き性なの。」
「飽き性?」
「知りたいって思ったり、やってみたいって思うと暫くは続けるんだけど、いつの間にか熱が冷めちゃうの。それに、自分が弾きたいと思った時にやりたいのよ。
だから、バイオリンが欲しいってお父様には言ったけれど、習いたいとは言わなかったの。」
それにルジェナは、習い事、として決めてしまうとそれはそれですぐに辞めたくなるだろうと思った。だから毎日、自分なりにやっているのだ。
バイオリンに興味を惹かれたのはたまたまこのカフリーク領に来た楽師団を見たからで、あの綺麗な音色を自分でも出したいと思ったからだった。しかし、習い事にしてまでそれをしたいかと言われたらそんな風には思っていなかった。
バーラに『なにそれ!?そんな高いもの買ってもらったの?習うのにもお金掛かるじゃない!私も学院に通えなくなったらルジェナのせいね!』と言われたからでもあった。バーラはいつも思った事をすぐ口に出してしまう傾向があるだけだったのだが、確かにそうなる可能性も無くはないとルジェナは習う事まではしなかった。
「ふーん…じゃあバイオリンもいつかは飽きるのか。」
なんだかとても落ち込んだように聞こえた声だったが、ルジェナはなぜ目の前の少年がそのように言うのかわからなかった。
「分からないわ。でも、みて?これ。ここの所、綺麗に彫って装飾されてるでしょ?」
そう言ってルジェナはバイオリンを再び見せた。そこは、バイオリンの表板のところで、細かな花びらのようなものが彫られていた。
「ああ…それが?」
「この装飾、きっととても丁寧にやられたのだわ。
お父様が言っていたの、『この楽器はそこらの楽器よりイイモノだ』って。職人さん、とてもいい腕をしているのね!
だから、飽きて弾かなくなっても大切にするわ。」
「そうか……」
ルジェナを見つめた彼は、心なしか表情は明るく見えた。
「ねぇ、それよりもそれ、なぁに?」
ルジェナは、彼のサイドポケットから少しだけ顔を出している筒のような物を指差して言った。
「ん?あぁ…横笛だよ。」
「横笛?」
彼はポケットから木で作られたような横笛を取り出し、ルジェナへと見せる。装飾もなにもなく、一見すると木の枝のようにも見える小さなそれは、両手で抱えるとちょうど隠れるほどの大きさだ。しかし、表面にはしっかりと口と指で塞ぐ穴が開けられており、中も空気が通るように作られている。
「簡易なやつだけどな!ちゃんと音は出るぜ。」
そう言って、口元に持っていき一番上の穴に息を吹きかけると、高音でとても滑らかな音色を奏で出した。
「綺麗な音色…!」
ルジェナの呟きに気をよくした彼は、指を器用に動かして簡単な曲を二つほど吹くとやっと横笛を持つ手を下ろした。
「どうだ?これもなかなかだろ?」
「すごいわ!小鳥が囀ってるようで、でもそれよりも力強くて!!」
ルジェナが目を輝かせてそう言うものだから、目の前の彼は顔を赤くさせて言った。
「そう?へへっ…やるよ。」
「え?」
その横笛を袖口で軽く拭いてから、ルジェナへと差し出す。
「これ、やる。バイオリンが飽きたら、これを吹けよ。始めは音が出にくいだろうが、息を出す口の形に気をつければバイオリンよりもすぐにいい音が出るから。」
「でも…」
「いいから!
バイオリンの音がマシになったご褒美だ!
今度会ったら、なんでもいいから一曲聞かせろよな!」
そう言って、横笛をルジェナの手に無理矢理握らせると、ぶどうの樹の間を縫って去って行った。
「あ…ありがとう!頑張る!」
それを呆気に取られて見ていたルジェナだったが、姿が見えなくなってすぐにそう声を張り上げる。
「おう!」
どこからかそう声が聞こえ、辺りは再び静けさを取り戻した。
今日も、朝食の後にブドウ畑の真ん中まで来るとバイオリンの練習をするルジェナ。
両親や領民は早朝に畑で作業をする。そして朝食を食べてからはブドウの加工をする作業場である工房に行く為、今のこの時間なら人はいないと普段から練習の場となっているのだ。
ギーギー ギーコーギーコー
(なかなか、いい音にならないなぁ…。)
バイオリンを買ってもらってから、すでに7ヵ月が経っている。それなのに思うような音が出ずルジェナは燻っていた。
「ねぇ、何とかならないの?その音。」
「!!!だれ!?」
不意に、ブドウの樹と樹の間から声が聞こえ、ルジェナは肩をビクリと振るわせて声を上げてそちらを見る。
顔を出したのはルジェナより少し背の高い、艶やかな黒い髪を顔の輪郭に合わせて短く切り揃えられた男の子だった。
「はぁ?俺の事知らねぇの?」
自分達が話すよりも口調が荒々しいと思ったルジェナだったが、それよりもここに居るのなら領民なのだろうか、でも領民だったら普段今まで見掛けても向こうから特に話しかけてくる事は無かったから、誰なのかと不思議に思ったのだ。
「え?あなたそんなに有名な人なの?ごめんなさい、知らなくて。」
畑に作業をしに来る領民はいつもルジェナ達が着るような服ではなく、綿や麻など柄も刺繍も施されていない簡素な服を着ているし、作業の合間についたのか汚れてもいた。
しかし彼は、皺一つない生成りのシャツを着ていて作業をする服装とは違うものを着ているようだと見たルジェナ。畑仕事をするには動きにくそうな、汚れも付いていない綺麗な服だと思ったのだ。
両親はいつも畑へ出かけるか、作ったものを加工する工房に出ている為、その仕事上の連れかとも思ったが、それにしては口調が丁寧ではないので、ルジェナには検討も付かず、きっとどちらであっても男の子とはそういうものなのだろうと思った。
ルジェナは畑に手伝いに来ている領民に挨拶くらいは話し掛けたりはするが、世間話をするほど仲良くしてはいなかった。家族以外とはほとんど交流も無かった為、世間一般の子がどのように話すのかなんて知らなかったのだ。
「はぁ!?」
「それよりも、初対面なのに失礼よ?
私は今練習しているの、見れば分かるでしょう?」
そう言って、バイオリンを少し上に持ち上げ少し得意そうにバイオリンがしっかりと見えるようにした。
「失礼なのはどっちだよ!そんな鈍い音たててよ!
そもそもなんでこんなところでやってんだよ!」
「仕方ないじゃない、難しいのよ?バイオリンって。
あ、これねバイオリンっていうのよ、楽器なの。」
「知ってるよ、それくらい!てか…練習してたのか、それ…。」
少年は目を大きくして少し驚いたような顔をしていた。
「そうよ。…なかなか綺麗な音が出ないけど。どれだけ練習すれば出るのかしら?
…やっぱり有名な楽師などにちゃんと教えてもらわないと音なんて出ないのかしらね。」
「楽師って…それ、見せてみろよ。」
「え?いいけど、大切な物だから大事に扱ってね?」
ルジェナは少し戸惑ったが、バイオリンが珍しいのかと思い目の前の少年へと手渡す。
「ああ。
…ふーん。ちょっと、それも貸せよ。」
バイオリンを角度を変えてじっくりと見ると、そう言ってから顎あてに顎をあてがい肩に挟み、弓をルジェナから借りて曲を弾きはじめた。
(凄い…)
強弱をつけた弦の響きは、ルジェナが今まで練習していた同じバイオリンから奏でられたとは思えない程、素敵な音色だった。それは、今まで荒々しい口調をしていたとは思えないほどに優しい音色で、ルジェナの心が震えるほど響いた。
「…どうだ?」
「凄い…あなた上手なのね!」
「まあね。
楽師に教えてもらわずとも、俺みたいに弾けるようになる。…構えてみろよ。」
そう言って、ルジェナに再びバイオリンと弓を渡す。
ルジェナは、いつも自分が弾く時の構えをし、弓で弾こうとするとすぐに言われた。
「やっぱり。下がり過ぎてる。
ここん所をもっと上げて。そう、そんな感じで弾いてみろよ。」
バイオリンが下に下がっていると指摘され、それを直して弾いてみると今まで出ていた重たい音よりも微かに優しい響きを出す事に成功する。
「え!ちょっと!やった!ねぇ、聞いた?」
「ああ。
…ずっと練習してたんなら、すぐにうまくなるさ。」
そう言って、笑顔を見せてくれた彼を見たルジェナは自分の胸がドキドキ速く脈打っているのに気づいた。それは、バイオリンを弾いて自分が初めてましな音色を出せたからなのか、それとも違う感情なのか、よく分からなかった。
「それより、一人でずっと練習してたのか?楽師でないにしろ、バイオリンを誰かに習ったりはしなかったのか?」
「え?え、えぇ…私ね、飽き性なの。」
「飽き性?」
「知りたいって思ったり、やってみたいって思うと暫くは続けるんだけど、いつの間にか熱が冷めちゃうの。それに、自分が弾きたいと思った時にやりたいのよ。
だから、バイオリンが欲しいってお父様には言ったけれど、習いたいとは言わなかったの。」
それにルジェナは、習い事、として決めてしまうとそれはそれですぐに辞めたくなるだろうと思った。だから毎日、自分なりにやっているのだ。
バイオリンに興味を惹かれたのはたまたまこのカフリーク領に来た楽師団を見たからで、あの綺麗な音色を自分でも出したいと思ったからだった。しかし、習い事にしてまでそれをしたいかと言われたらそんな風には思っていなかった。
バーラに『なにそれ!?そんな高いもの買ってもらったの?習うのにもお金掛かるじゃない!私も学院に通えなくなったらルジェナのせいね!』と言われたからでもあった。バーラはいつも思った事をすぐ口に出してしまう傾向があるだけだったのだが、確かにそうなる可能性も無くはないとルジェナは習う事まではしなかった。
「ふーん…じゃあバイオリンもいつかは飽きるのか。」
なんだかとても落ち込んだように聞こえた声だったが、ルジェナはなぜ目の前の少年がそのように言うのかわからなかった。
「分からないわ。でも、みて?これ。ここの所、綺麗に彫って装飾されてるでしょ?」
そう言ってルジェナはバイオリンを再び見せた。そこは、バイオリンの表板のところで、細かな花びらのようなものが彫られていた。
「ああ…それが?」
「この装飾、きっととても丁寧にやられたのだわ。
お父様が言っていたの、『この楽器はそこらの楽器よりイイモノだ』って。職人さん、とてもいい腕をしているのね!
だから、飽きて弾かなくなっても大切にするわ。」
「そうか……」
ルジェナを見つめた彼は、心なしか表情は明るく見えた。
「ねぇ、それよりもそれ、なぁに?」
ルジェナは、彼のサイドポケットから少しだけ顔を出している筒のような物を指差して言った。
「ん?あぁ…横笛だよ。」
「横笛?」
彼はポケットから木で作られたような横笛を取り出し、ルジェナへと見せる。装飾もなにもなく、一見すると木の枝のようにも見える小さなそれは、両手で抱えるとちょうど隠れるほどの大きさだ。しかし、表面にはしっかりと口と指で塞ぐ穴が開けられており、中も空気が通るように作られている。
「簡易なやつだけどな!ちゃんと音は出るぜ。」
そう言って、口元に持っていき一番上の穴に息を吹きかけると、高音でとても滑らかな音色を奏で出した。
「綺麗な音色…!」
ルジェナの呟きに気をよくした彼は、指を器用に動かして簡単な曲を二つほど吹くとやっと横笛を持つ手を下ろした。
「どうだ?これもなかなかだろ?」
「すごいわ!小鳥が囀ってるようで、でもそれよりも力強くて!!」
ルジェナが目を輝かせてそう言うものだから、目の前の彼は顔を赤くさせて言った。
「そう?へへっ…やるよ。」
「え?」
その横笛を袖口で軽く拭いてから、ルジェナへと差し出す。
「これ、やる。バイオリンが飽きたら、これを吹けよ。始めは音が出にくいだろうが、息を出す口の形に気をつければバイオリンよりもすぐにいい音が出るから。」
「でも…」
「いいから!
バイオリンの音がマシになったご褒美だ!
今度会ったら、なんでもいいから一曲聞かせろよな!」
そう言って、横笛をルジェナの手に無理矢理握らせると、ぶどうの樹の間を縫って去って行った。
「あ…ありがとう!頑張る!」
それを呆気に取られて見ていたルジェナだったが、姿が見えなくなってすぐにそう声を張り上げる。
「おう!」
どこからかそう声が聞こえ、辺りは再び静けさを取り戻した。
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