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16. 斡旋、という名の
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「さぁ、お腹が空きましたでしょう。そうすると、考えが暗くなりがちになります。たくさん食べて、元気になりましょう。」
そう言ってルドは、皆に食事を配ってくれる。ルドは本当に働き者だと思うわ。気配り上手だし。
食事は、いつもより多かった。具沢山のスープに、先ほどの集落でもらったといった大麦パンと、川魚に、山兎と山鳥の丸焼き。それから、果物もあった。
「怪我を早く治すには、栄養たっぷりの食事が一番ですから。」
ルドは、そう言ってニバルトにも配った。
ニバルトの隣には、レウが寄り添っているのだけど、少し体を起こす為にエリアンが手伝っていた。
「すみません…。」
ニバルトが隊員の皆にそう言うと、
「今は気にしないで下さい。ねぇ、アルヤン?」
「そうですね。…そうそう。お二人は帝都に付いたら教会へといかれるのですか?」
「教会?」
レウが、アルヤン副団長の方を見て聞いた。
「ええ。彼の事、医師に診てもらった方がいいでしょう。帝都では、教会に医師がいますからね。」
「そうなのですか。それは良い事を教わりました。早速そうします。」
レウは、ニバルトを見ながらそう言った。
「それなら、私の知り合いの医師に診てもらいましょう。それで、その後はどうされるのですか?」
ルドがそう言うと、レウは慌ててそう言った。
「え?いえ、そんな。わざわざいいです。あの、その後とは?」
「ですから、旅を続けるのですか?もし、あてがなければ、貴方達にぴったりの職、のようなものを紹介したいのです。」
ルドがそう言うと、レウが驚いているわ。
「職…ですか?」
「はい。これは、貴方の腕を見込んでというのもあります。どうでしょう。この帝国の最北東部に、修道院があるのですけれどね。そこの警備が募集されているのです。周りは自然豊かで、住民もあまりいないのでいい場所ですよ。その修道院は、女性が行くので警備する人は女性だといろいろと都合がいいのです。しかも少し素行が良くない人達なので、強く叱り飛ばせるようなしっかりとした方だと尚いいのですよ。」
「はぁ…。」
「ぜひともお願いしたいのです。」
と、ルドはレウににっこりと笑いかけているけれど、私に見せる笑顔とは少し違う様な気がするのは気のせいかしら。
「…それは、断れないのですか?」
「…破格の条件だと思いますよ?家も、近くに好きに建てられると聞きました。食料も、近くに畑を作って自給自足する事も出来ますし、届けてもらう事ももちろん出来ます。素晴らしいですよね!」
「レウ、すごいじゃないか。こうやって待遇のいい職まで斡旋してくれるんだ。もう、せっかくならお願いしようよ。」
「え!ニバルト!?私達二人でやっていくと言っていたでしょう?」
「そうだけど、でもやっぱり無理だよ。僕、これから仕事がみつけられるか不安だよ。ドルトムンボン国では皆が皆銀色の髪で赤い目でそれが普通だったけれど、このアーネムヘルム国は僕のような髪色って珍しいよね。仕事、従事できるのか不安だよ。レウを不幸にしたくはないし。」
「ニバルト…」
「その点、今の話だと、食事と住居は保証されているんじゃない?有難い話じゃないか。僕は、いいよ。だって、一緒に生活出来るんだよ。そりゃ、レウに働いてもらってしまうから悪いなとは思うけど、僕にも出来る事探すから。」
「ニバルト殿、そのようなご返答有難い。よろしければ、書類作成しすぐにでも取り掛かれるようにしますよ。生活出来るように支援しますから。ここで会ったのは何かの縁でしょうからね。いやなに、こちらとしても、警備をしてくれるのは本当に有難いし。お互いに良い条件だと思いますよ。ニバルト殿にも仕事があると思いますし。」
「………そうね。もう逃げられないのね。では、よろしくお願いします。」
レウ、なんだか項垂れているようすだわ。
実質、帝国軍かその辺りに雇われるようなものだからかしら?仕事がもらえるけれど、見張られているようなものだから嫌なのかもしれないわね。
「良かった。ではまた帝都に着いたら、説明出来る場所にご案内します。
それはそうと、エルヴィーラ。このまま荒野を突き進むと、明日の昼前には帝都に着きます。もしエルヴィーラさえ良かったら、少し帝都を見て歩いてみませんか?その後、夕方には宮廷に案内しますから。」
いきなり話を振られたけれど、もう帝都に着くのね。って事はこの隊員達とももうすぐお別れなのか…案外淋しいと思うけれど、仕方ないわよね。私は、皇帝と結婚する為に来たのだもの。
それに、皇后陛下になったら、おいそれと帝都を見て回れないのではないかしら?だったら、そのせっかくの申し出を受けてもいいわよね?
「いいの?」
「はい。では一緒に回りましょう。楽しみです。」
と、ルドは優しく微笑みながら言ってくれた。
あぁ、ルドの柔らかい微笑みって見てると和むなぁ、と漠然と思いながら、まだ見ぬ帝都に思いを馳せた。
そう言ってルドは、皆に食事を配ってくれる。ルドは本当に働き者だと思うわ。気配り上手だし。
食事は、いつもより多かった。具沢山のスープに、先ほどの集落でもらったといった大麦パンと、川魚に、山兎と山鳥の丸焼き。それから、果物もあった。
「怪我を早く治すには、栄養たっぷりの食事が一番ですから。」
ルドは、そう言ってニバルトにも配った。
ニバルトの隣には、レウが寄り添っているのだけど、少し体を起こす為にエリアンが手伝っていた。
「すみません…。」
ニバルトが隊員の皆にそう言うと、
「今は気にしないで下さい。ねぇ、アルヤン?」
「そうですね。…そうそう。お二人は帝都に付いたら教会へといかれるのですか?」
「教会?」
レウが、アルヤン副団長の方を見て聞いた。
「ええ。彼の事、医師に診てもらった方がいいでしょう。帝都では、教会に医師がいますからね。」
「そうなのですか。それは良い事を教わりました。早速そうします。」
レウは、ニバルトを見ながらそう言った。
「それなら、私の知り合いの医師に診てもらいましょう。それで、その後はどうされるのですか?」
ルドがそう言うと、レウは慌ててそう言った。
「え?いえ、そんな。わざわざいいです。あの、その後とは?」
「ですから、旅を続けるのですか?もし、あてがなければ、貴方達にぴったりの職、のようなものを紹介したいのです。」
ルドがそう言うと、レウが驚いているわ。
「職…ですか?」
「はい。これは、貴方の腕を見込んでというのもあります。どうでしょう。この帝国の最北東部に、修道院があるのですけれどね。そこの警備が募集されているのです。周りは自然豊かで、住民もあまりいないのでいい場所ですよ。その修道院は、女性が行くので警備する人は女性だといろいろと都合がいいのです。しかも少し素行が良くない人達なので、強く叱り飛ばせるようなしっかりとした方だと尚いいのですよ。」
「はぁ…。」
「ぜひともお願いしたいのです。」
と、ルドはレウににっこりと笑いかけているけれど、私に見せる笑顔とは少し違う様な気がするのは気のせいかしら。
「…それは、断れないのですか?」
「…破格の条件だと思いますよ?家も、近くに好きに建てられると聞きました。食料も、近くに畑を作って自給自足する事も出来ますし、届けてもらう事ももちろん出来ます。素晴らしいですよね!」
「レウ、すごいじゃないか。こうやって待遇のいい職まで斡旋してくれるんだ。もう、せっかくならお願いしようよ。」
「え!ニバルト!?私達二人でやっていくと言っていたでしょう?」
「そうだけど、でもやっぱり無理だよ。僕、これから仕事がみつけられるか不安だよ。ドルトムンボン国では皆が皆銀色の髪で赤い目でそれが普通だったけれど、このアーネムヘルム国は僕のような髪色って珍しいよね。仕事、従事できるのか不安だよ。レウを不幸にしたくはないし。」
「ニバルト…」
「その点、今の話だと、食事と住居は保証されているんじゃない?有難い話じゃないか。僕は、いいよ。だって、一緒に生活出来るんだよ。そりゃ、レウに働いてもらってしまうから悪いなとは思うけど、僕にも出来る事探すから。」
「ニバルト殿、そのようなご返答有難い。よろしければ、書類作成しすぐにでも取り掛かれるようにしますよ。生活出来るように支援しますから。ここで会ったのは何かの縁でしょうからね。いやなに、こちらとしても、警備をしてくれるのは本当に有難いし。お互いに良い条件だと思いますよ。ニバルト殿にも仕事があると思いますし。」
「………そうね。もう逃げられないのね。では、よろしくお願いします。」
レウ、なんだか項垂れているようすだわ。
実質、帝国軍かその辺りに雇われるようなものだからかしら?仕事がもらえるけれど、見張られているようなものだから嫌なのかもしれないわね。
「良かった。ではまた帝都に着いたら、説明出来る場所にご案内します。
それはそうと、エルヴィーラ。このまま荒野を突き進むと、明日の昼前には帝都に着きます。もしエルヴィーラさえ良かったら、少し帝都を見て歩いてみませんか?その後、夕方には宮廷に案内しますから。」
いきなり話を振られたけれど、もう帝都に着くのね。って事はこの隊員達とももうすぐお別れなのか…案外淋しいと思うけれど、仕方ないわよね。私は、皇帝と結婚する為に来たのだもの。
それに、皇后陛下になったら、おいそれと帝都を見て回れないのではないかしら?だったら、そのせっかくの申し出を受けてもいいわよね?
「いいの?」
「はい。では一緒に回りましょう。楽しみです。」
と、ルドは優しく微笑みながら言ってくれた。
あぁ、ルドの柔らかい微笑みって見てると和むなぁ、と漠然と思いながら、まだ見ぬ帝都に思いを馳せた。
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