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18. 国王軍の働き
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日が落ちるまでイェフダとアイザックを筆頭に領民総出で復興に力を注ぎ、どうにか復興への第一歩を歩み始める事が出来た。
温かい炊き出しをこれまた領民総出で火を囲みながら食べ、さながらお祭りのようにワイワイと過ごした。心の中は皆暗い影を落としていたとはしても。
そして、家が無事な者は家に帰り疲れた体を休めた。家が壊れたり、心細く皆と一緒にいたい者はここに残り、外で野営し体を休めたり遅くまで話をしている者もいた。
また、家が無事な者が誘い合い、我が子ではなくても子どもやその親ごと連れて行き、自らの家に泊まらせる者もいた。
火は一晩中焚いて寝る事とした。
☆★
まだ夜の帳がしっかりと降りている夜半。
イェフダとジョンも外で寝ていたが、遠くから聞こえる複数の蹄の音に目が覚めた。だが、寝ぼけた頭をしっかりさせるように頬を一度ペチンと叩いて体を起こした。
「誰でしょう。」
「分からん。だが国境からではなく、うちの領地の方角から聞こえるようだな。」
「そうですね、国王軍でしょうか。」
「だといいな。念のため皆を起こそう。」
周りを見渡すと、同じように警戒しながら近くの者と話しながら体を起こした者がちらほらといた。
ここで寝ている者は幸いにも男だけだ。だからイェフダは声を掛けると、横になって目を瞑っていた者もすぐに起きた。きっと、目は覚めていたのだろう。
アイザックも、ここで一緒に寝ていた。屋敷に帰った方が怪我にはいいのだが、いかんせん足が骨折していて移動が困難な為だ。
「イェフダ…。どうなるんだろうか。」
「大丈夫だ、アイザック。そんな顔をするな。」
アイザックは体を起こすと、イェフダの近くへ移動した。
イェフダも、国王陛下へ手紙を出しているから国王軍だとは思うが万が一という事もあるから、一抹の不安を抱えていた。しかし、それを見せては領民はもっと不安に思うため、気丈に振る舞い、アイザックにもそう努めるよう声を掛けた。
「ここに、イェフダ=スヒルトラーゼ侯爵はおられるか!!!?」
馬に乗ってきた先頭の者の顔がある程度確認出来る位近寄ってくると、一度馬から下りて、大声でそう言った。
馬に乗ってきた彼らは皆一様に国王軍だけが使用を許されている、漆黒に金の縁取りがされた軍服を着ていた。
「如何にも。イェフダ=スヒルトラーゼは私だ!」
そう言って一歩前へと進み出たイェフダ。
「今回は大義であった!!我ら国王軍が来たからにはこれより我ら主導で復興にあたる!!今までご苦労であった!!」
「は!承知致しました!ここにおられるは、アイザック=ハルヴァシ子爵である。彼が尽力してくれたからこそ、これだけの被害で抑えられた!」
イェフダは斜め後方に立つアイザックを指し、国王軍へとそのように返事をした。
「なるほど!アイザック=ハルヴァシ子爵、大義であった!!国王陛下へも報告しておく!!見た所怪我も負った模様、大層尽力したとみえる!あとは我らに任せよ!!」
そう国王軍は言ったので、イェフダも概ね満足した。
国王軍が国境から撤退しなければこんな事にはならなかった、誰もが一瞬でも心に思っただろう。が、それはいわば結果論である。撤退してから実際二年は何もなかったのだ。
これから、国王軍はきちんと復興してくれるのだろうか。領民は一様に不安には思ったが、皆、疲れてもいた為、それに従った。
今はまだ夜ではあるがあと少しもすれば、空が明るくなってくる。その為起きて、国王軍が拠点を立てる為テントを張ったりする事を眺めている者も少なくなかった。
イェフダも、国境近くに何の為にかは分からないがテントらしきものがあったという報告をするべく、指揮官の元へ歩みを進めた。
温かい炊き出しをこれまた領民総出で火を囲みながら食べ、さながらお祭りのようにワイワイと過ごした。心の中は皆暗い影を落としていたとはしても。
そして、家が無事な者は家に帰り疲れた体を休めた。家が壊れたり、心細く皆と一緒にいたい者はここに残り、外で野営し体を休めたり遅くまで話をしている者もいた。
また、家が無事な者が誘い合い、我が子ではなくても子どもやその親ごと連れて行き、自らの家に泊まらせる者もいた。
火は一晩中焚いて寝る事とした。
☆★
まだ夜の帳がしっかりと降りている夜半。
イェフダとジョンも外で寝ていたが、遠くから聞こえる複数の蹄の音に目が覚めた。だが、寝ぼけた頭をしっかりさせるように頬を一度ペチンと叩いて体を起こした。
「誰でしょう。」
「分からん。だが国境からではなく、うちの領地の方角から聞こえるようだな。」
「そうですね、国王軍でしょうか。」
「だといいな。念のため皆を起こそう。」
周りを見渡すと、同じように警戒しながら近くの者と話しながら体を起こした者がちらほらといた。
ここで寝ている者は幸いにも男だけだ。だからイェフダは声を掛けると、横になって目を瞑っていた者もすぐに起きた。きっと、目は覚めていたのだろう。
アイザックも、ここで一緒に寝ていた。屋敷に帰った方が怪我にはいいのだが、いかんせん足が骨折していて移動が困難な為だ。
「イェフダ…。どうなるんだろうか。」
「大丈夫だ、アイザック。そんな顔をするな。」
アイザックは体を起こすと、イェフダの近くへ移動した。
イェフダも、国王陛下へ手紙を出しているから国王軍だとは思うが万が一という事もあるから、一抹の不安を抱えていた。しかし、それを見せては領民はもっと不安に思うため、気丈に振る舞い、アイザックにもそう努めるよう声を掛けた。
「ここに、イェフダ=スヒルトラーゼ侯爵はおられるか!!!?」
馬に乗ってきた先頭の者の顔がある程度確認出来る位近寄ってくると、一度馬から下りて、大声でそう言った。
馬に乗ってきた彼らは皆一様に国王軍だけが使用を許されている、漆黒に金の縁取りがされた軍服を着ていた。
「如何にも。イェフダ=スヒルトラーゼは私だ!」
そう言って一歩前へと進み出たイェフダ。
「今回は大義であった!!我ら国王軍が来たからにはこれより我ら主導で復興にあたる!!今までご苦労であった!!」
「は!承知致しました!ここにおられるは、アイザック=ハルヴァシ子爵である。彼が尽力してくれたからこそ、これだけの被害で抑えられた!」
イェフダは斜め後方に立つアイザックを指し、国王軍へとそのように返事をした。
「なるほど!アイザック=ハルヴァシ子爵、大義であった!!国王陛下へも報告しておく!!見た所怪我も負った模様、大層尽力したとみえる!あとは我らに任せよ!!」
そう国王軍は言ったので、イェフダも概ね満足した。
国王軍が国境から撤退しなければこんな事にはならなかった、誰もが一瞬でも心に思っただろう。が、それはいわば結果論である。撤退してから実際二年は何もなかったのだ。
これから、国王軍はきちんと復興してくれるのだろうか。領民は一様に不安には思ったが、皆、疲れてもいた為、それに従った。
今はまだ夜ではあるがあと少しもすれば、空が明るくなってくる。その為起きて、国王軍が拠点を立てる為テントを張ったりする事を眺めている者も少なくなかった。
イェフダも、国境近くに何の為にかは分からないがテントらしきものがあったという報告をするべく、指揮官の元へ歩みを進めた。
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