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16. 捜索
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アイザック子爵やその使用人はどうにか見つかった。
しばらく山へと上った先の谷になったような窪みに、アイザックが倒れていた。その先にも使用人と思われる人が倒れていた。
「アイザック!!」
イェフダ侯爵が声を掛けると僅かに体が動いた。近づいて上半身を揺さぶると、呻き声を出して目を開いた。
「痛い痛い…ん?あ!そ、そうだ!奴らは?どうなった!?」
どうやらアイザックは、襲撃してきた奴らを追ってここまで来たが足を滑らせてこの窪みに滑り落ち、その衝撃で骨折もし、今まで気絶していたらしい。
使用人と思われる人は、窪みには落ちていなかったが少し上の斜面で、肩から腹辺りへ斜めに切られていて事切れていた。
アイザックをその使用人の元まで連れて行くと、膝を地面につき、涙を拭う事もせず唇を噛んだ。
「リックよ…!私が不甲斐ないばかりにすまん…!どうか安らかに眠っておくれ。」
アイザックは一層声を上げて涙を流し、同じような年齢のそのリックと言う名の使用人に声を掛けた。どうやら、長年仕えた執事のようだ。
アイザック以外の四人は、頭を下げ哀悼の意を表した。
しばらくしてアイザックが涙を拭うと、イェフダに指示をされたカウシヴィリが、折れた足に応急処置として添え木をした。そしてそのままでは歩きにくい為体躯の大きなカウシヴィリに、アイザック子爵を背負わせて炊き出しをしている広場まで連れて行かせた。その際動ける人達にもこちらへ来て貰うよう伝言を頼んだ。
「見つかって良かったですね。」
ジョンが、父親のイェフダに向かって声を掛ける。イェフダは、隣の領地のいわば隣人でもあり友人でもあるアイザックに会え、ホッとした顔をした。
「あぁ…。あとは、事後処理だ。亡くなった人達を集めて埋葬しなければ。場所などはアイザックと決めるとして、亡くなった人達を一カ所には集めておきたい。お別れを言いたい人もいるだろう。ロンシヴィリ、人手が増えたらリックを街まで連れて行ってやってくれ。まだ、近くに同じような人が倒れているかもしれん。捜してくれ。それから…山向こうの国境も確かめておきたい。ジョン、一緒に来てくれるか。」
「そうですね。分かりました。」
イェフダは軽く指示をし、ジョンを連れ山の頂上へと向かった。
途中、子爵家の使用人だろうか。リックの服に似た、もう少し若い使用人と思われる人が4人、頂上へと向かう道すがら先ほどのリック同様倒れていた。
「彼らも、後で連れて行ってやろう。」
「はい。」
イェフダとジョンは命果てるまでこの地を守った彼らに、リックの時と同じように頭を下げて哀悼の意を表し、国境が見える頂上へと向かう。
「なんだあれは…?」
「テント…?」
頂上に上り、国境を見やる。
頂上からなだらかな斜面を下ると平原が広がっている。その平原に今までは無かった物が数点あった。遠くて分かりずらいが、なんとなくだがテントのようだ。そのテントは数張りずつが固まり、少し離れた所にも同じようにそれがある。
「あれは、拠点か!?」
「かもしれません。いつからあったのでしょうか。」
「分からん。昨日からか、随分前からか…。これも、国王陛下へ報告しなければな。」
「そうですね。今は動き出している人は見当たりませんね。」
イェフダとジョンがそれを見て言った。
そこが拠点であれば火を焚いているだろうに煙も、今は上がっているように見えなかった。
以前は、そんなテントは無かった。だから、なぜ、いつからあるのか。この地に居座るつもりなのか。しかしそこは我々の国の領土。許可無く入っていいわけではない。面倒な事になるなと思いながらイェフダは街へ一度戻る事にした。
しばらく山へと上った先の谷になったような窪みに、アイザックが倒れていた。その先にも使用人と思われる人が倒れていた。
「アイザック!!」
イェフダ侯爵が声を掛けると僅かに体が動いた。近づいて上半身を揺さぶると、呻き声を出して目を開いた。
「痛い痛い…ん?あ!そ、そうだ!奴らは?どうなった!?」
どうやらアイザックは、襲撃してきた奴らを追ってここまで来たが足を滑らせてこの窪みに滑り落ち、その衝撃で骨折もし、今まで気絶していたらしい。
使用人と思われる人は、窪みには落ちていなかったが少し上の斜面で、肩から腹辺りへ斜めに切られていて事切れていた。
アイザックをその使用人の元まで連れて行くと、膝を地面につき、涙を拭う事もせず唇を噛んだ。
「リックよ…!私が不甲斐ないばかりにすまん…!どうか安らかに眠っておくれ。」
アイザックは一層声を上げて涙を流し、同じような年齢のそのリックと言う名の使用人に声を掛けた。どうやら、長年仕えた執事のようだ。
アイザック以外の四人は、頭を下げ哀悼の意を表した。
しばらくしてアイザックが涙を拭うと、イェフダに指示をされたカウシヴィリが、折れた足に応急処置として添え木をした。そしてそのままでは歩きにくい為体躯の大きなカウシヴィリに、アイザック子爵を背負わせて炊き出しをしている広場まで連れて行かせた。その際動ける人達にもこちらへ来て貰うよう伝言を頼んだ。
「見つかって良かったですね。」
ジョンが、父親のイェフダに向かって声を掛ける。イェフダは、隣の領地のいわば隣人でもあり友人でもあるアイザックに会え、ホッとした顔をした。
「あぁ…。あとは、事後処理だ。亡くなった人達を集めて埋葬しなければ。場所などはアイザックと決めるとして、亡くなった人達を一カ所には集めておきたい。お別れを言いたい人もいるだろう。ロンシヴィリ、人手が増えたらリックを街まで連れて行ってやってくれ。まだ、近くに同じような人が倒れているかもしれん。捜してくれ。それから…山向こうの国境も確かめておきたい。ジョン、一緒に来てくれるか。」
「そうですね。分かりました。」
イェフダは軽く指示をし、ジョンを連れ山の頂上へと向かった。
途中、子爵家の使用人だろうか。リックの服に似た、もう少し若い使用人と思われる人が4人、頂上へと向かう道すがら先ほどのリック同様倒れていた。
「彼らも、後で連れて行ってやろう。」
「はい。」
イェフダとジョンは命果てるまでこの地を守った彼らに、リックの時と同じように頭を下げて哀悼の意を表し、国境が見える頂上へと向かう。
「なんだあれは…?」
「テント…?」
頂上に上り、国境を見やる。
頂上からなだらかな斜面を下ると平原が広がっている。その平原に今までは無かった物が数点あった。遠くて分かりずらいが、なんとなくだがテントのようだ。そのテントは数張りずつが固まり、少し離れた所にも同じようにそれがある。
「あれは、拠点か!?」
「かもしれません。いつからあったのでしょうか。」
「分からん。昨日からか、随分前からか…。これも、国王陛下へ報告しなければな。」
「そうですね。今は動き出している人は見当たりませんね。」
イェフダとジョンがそれを見て言った。
そこが拠点であれば火を焚いているだろうに煙も、今は上がっているように見えなかった。
以前は、そんなテントは無かった。だから、なぜ、いつからあるのか。この地に居座るつもりなのか。しかしそこは我々の国の領土。許可無く入っていいわけではない。面倒な事になるなと思いながらイェフダは街へ一度戻る事にした。
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