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結婚への…

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あれから、私は厨房へ行ってベディズとボーティーンで一息つく事にした。
事態があまりにも変わる事になったので、落ち着きたかったからだ。

サラは、お母様の荷造りに一応、向かった。男爵様が連れて来て下さった侍女二人がいるから必要ないかもしれないけれど。

そして、いくらも経たないうちに、二階からドタドタと音がし、お父様とお母様達が降りてきた。

私も二階へ続く階段がある、玄関ホールへ行った。
「あ、マーガレット。あとはよろしくお願いね。」
とお母様が言い、両手を広げてくれた。私は、少し恥ずかしいけれど、お母様の胸に抱きついた。

「あぁ。マーガレット。今までありがとう。ごめんなさいね、あなたにばかり無理をさせて。今まで楽しかったわね。刺繍も好きだったもの。たくさん売れたかしら?これからは、男爵様と幸せになりなさい。」

そう言って私の背中に手を回し、頭を撫でてくれた。
私とお母様の背はいつの間にか同じほどになっていた。

「お母様…。」
刺繍を売っていた事、気づいていたのね。

「背が伸びたわね。…もう、こんなに大きくなったのね。」
そう言って、お母様はもう一度強く抱きしめてから、私から離れた。

「マーガレット。勤めに出てくれてありがとう。悪かったな。」
お父様も、私の頭をひと撫でしてくれた。

「さぁ。そろそろ行きましょう。」
と、チャーリーさんが促した。

外には、豪華な馬車が止まっていた。うちにはずいぶん前から馬車なんて売ってしまってなかったから、きっとこれも男爵様が準備して下さったのね。

「お元気で!」
私が馬車に乗ろうとする二人に声を掛けた。
なんだか遠くに行ってしまって淋しくなるけれど、結婚するのだし仕方ないわよね。それに、お父様とお母様が行かれる所は侯爵家の別荘だと言っていたからきっと素敵な場所よね。

二人とも、こちらを向いて手を振ってくれた。
荷物は、トランクが二つだけだった。
チャーリーが馬車の中から出て来た人に渡している。

思ったより少ないわね。お母様なんて、よっぽど厳選したのね。



私が去って行くお父様とお母様の乗った馬車を見ていると、後ろから声が掛かった。

「では、マーガレット様。私はサロメと申します。こちらはソーニャ。荷物の確認をお願いしてもよろしいですか?」

「は、はい!」

なんだか、背筋が伸びる感じね。

「そんなに緊張なさらなくてよろしいですよ。きっと夜にはカーティス様がお戻りになりますから、急ぎましょうね。」
と、サロメが言った。
サロメはお母様と同じ位の年齢層、ソーニャはお母様より少し若い位の年齢。

それにしても、男爵様が夜には帰られるのね。 

「男爵様、思ったよりお早いのですね。もっと時間が掛かるのかと。」

「急がせるからではないですか?前々から各窓口に問い合わせなどしていましたからね。急がせるのは、マーガレット様の元へ早く帰って来たいからですよ。ささ。」
と、二階へ促してきた。

えっ…そ、そうなの?



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