3 / 29
3. 王都の道端で
しおりを挟む
基礎学校に入学するとすぐは、学校生活に慣れるようにと登校して一時間もすれば帰る。
それが二週間ほど続き、徐々に授業の時間を増やしていくのだ。
フレドリカはとても楽しそうにその日の昼食で、その日あった事を事細かに話してくる。その返答は、同席している母カイサが楽しそうにしていた。
シェスティンといえば、口を挟まずにそれを聞いていた。
(基礎学校って、すぐに学習が始まるわけではないのね。準備学校でもそうだったけれど。これなら確かに、家に居た方が学びはあるわ。けれど、友人達と話せなくなるのは淋しいわね…。)
シェスティンは、特に親しい友人がいたわけではないが、話し掛けられたら会話もするし共に遊ぶ事もしていたのだ。
ただ、話し掛けられた友人の名前を特にしっかりと覚えてはいなかった為、もう少し会話をしたり遊んだりすれば良かったと今さらながら悔やんだ。
準備学校では、家名までは教えられていなかった。だから、自分が良く話していた子達はどの家柄だったのだろうと、いつか大きくなって再会する時の為に覚えておかなければと思った。
☆★
フレドリカが入学して四日目。
シェスティンは、父アロルドから許可をもらい王都の書籍店へ行く事となった。侍女のコーラと、侍従兼護衛兼御者のディックを連れて馬車に乗った。
オールストレーム家の領地から王都までは、馬車で一時間も揺られていれば着く距離で、朝フレドリカが登校してからすぐに向かう事とした。
オールストレーム家の紋章の入った馬車はフレドリカが学校へ乗って行った為、紋章の入っていない外見は簡素な馬車へとシェスティンは乗り込んだ。
学校は王都にあるから一緒に来ても良かったのだが、帰りの時間が分からない為に、別々にしたのだ。フレドリカの自慢にも聞こえるような話を聞くのが耐えられないと思ったのも理由の一つであった。
学校で、可愛いと言われただの、隣の席に座りたいと言われただのと言ってくるのだ。
(初めは良かったわね、って言えたけれど、だんだん聞いているのが面倒になるのよね。)
そのような自慢話は、フレドリカは準備学校の時にもシェスティンにしていたのだ。シェスティンはそんな事、言われた事がない。顔の造りはほとんど同じ。シェスティンの方が若干柔らかい表情に見えるのは、髪色がフレドリカよりも少し薄いからか。フレドリカは濃い金髪、シェスティンは銀色に近い金髪であった。
フレドリカは自分のが可愛いとシェスティンに言ってくるのが鬱陶しく感じるほど、何度も言ってきていた。
(可愛いとか可愛くないとかなんて、学びに行くのには関係ないのに。言われたら確かに嬉しいかもしれないけれど。)
シェスティンは、フレドリカに比べて書物から知識を得ていた分、考え方も大人びていたのだ。
「着いたぜ。」
「ありがとう。」
ディックが踏み台を準備して、コーラと共に馬車から降ろしてもらったシェスティンは初めて、一人で来る王都の空気を存分に感じていた。
ディックは、他の者がいない時にはシェスティンに対して口調はあまり畏まってはいなかった。
シェスティンが物心ついた頃はまだ真面目に丁寧な言葉遣いをしていたのだが、酷く哀しそうな顔をした為である。小さな少女にとって、厳つい男が近くにいると窮屈なのだろうと、敢えて口調を気安いものへと変えたのだ。
「すごいわ!人がたくさんいるのね!」
ディックが降ろした場所は、書籍店の直ぐ目の前である。王都のメイン通りは、馬車が通る車道はかなり広く取ってあり、店の前に止めてもいいようになっている。行き交う馬車は、中央を走っているのだ。
歩道もまた、それなりに幅は取られているが人も多く歩いている為に、幅広くは見えなかった。
「どのくらい時間が掛かるんだ?あまり長い間停車するのであれば、他の利用したい人達の邪魔になってしまうからよ。」
「あ、そうね…なるべく早く見てみるわ。」
ディックにそう言われ、体を動かしたシェスティンは、向かいの辻の店先で自分と同じくらいの年頃の子供が二人居るのが見えた。
そこは、扉が開かれて商品が外にも出ていた店。果物や野菜が置いてあり、男の子が林檎をじっと見ている。その隣の女の子が店員に話しかけているうちに男の子がその林檎を手に取り、ひょいひょいと持っている袋の中に入れたのをシェスティンは見た。
(私と同じくらいの子だわ。買い物に来ているのね。偉いわ。…え?)
シェスティンは自分で商品を購入した事が無く、買い物をどのようにするのかを知らなかった。だから、袋へと入れるのもごく普通の事かと思ったのだ。しかし、次の瞬間、女の子と話していた店員が男の子へと視線を移して怒鳴り散らしていた。
「おい、金も払ってないのにその袋に入れたろ!金払いな!金が無いなら置いていきなよ!」
「逃げろ!」
「あ!おい、待ちな!ちょっと!こらー!」
それを聞いたシェスティンは咄嗟にその店員の元へと駆け寄って、声を掛けた。
「すみません!さっきの子達、お金払っていないのですか?」
「そうだよ!あーまたやられちまった!子供は逃げ足が早いから、私らの足じゃあ追いつけないよ!」
「またって、良くあるのですか?」
「そうさ。あの子達は孤児だろうよ。可哀想だとは思うけれど、こっちだって商売だからね。金が無けりゃ生活出来ないのさ。」
「…」
そう言って大きなため息を付いた後、店員はまた店番についた。
シェスティンは少し考えた後、後ろにいたコーラに声を掛ける。
「ねぇ、こじって?」
「孤児とは、親がいない子供の事です。」
「親が…。
ねぇ、林檎を買うお金、あるかしら?」
「シェスティン様?林檎が欲しいのですか?」
「いいえ。先ほどの子達の分よ。」
「え?まぁそうですねぇ。銅貨は持ってきておりませんから。」
「払えないの…」
「あ、いいえ!払えなくはないですが、お釣りを準備するのが、一般の店では大変だと思ったのです。今日持って来たのは、金貨と銀貨ですので。
林檎は、銅貨五枚前後です。」
シェスティンは、そういえばざっくりとではあるが、お金の単位を準備学校で聞いたなと思った。
「では銀貨ならあるのね?確か…銀貨一枚で銅貨百枚と同じ価値だったわよね?
では銀貨を一枚支払ってちょうだい。お釣りは、要らないわ。もしまた今度あの子達が来たら、仕事を与えるのはどうかしら。」
「そうです、よく勉強されておりますね。
…よろしいのですね?」
「ええ。いいかしら?」
そう言うと、コーラが出した銀貨一枚を、シェスティンは店員へと渡した。
「お嬢ちゃん、これで何を買うのかい?ちょっとお釣りがあるか…」
「いいえ、先ほど取られた林檎のお代です。多い分は以前までの分で、もしまたあの子達が来たら、今度は仕事を与えてみてはどうでしょうか?」
「…いいのかい?お嬢ちゃんには関係ないだろうに。」
「いえ、世間を学ばせてもらったお礼です。」
「?そうかい?じゃあ遠慮なくいただくよ。」
(学校に通っていたら知らなかった事だわ、きっと。)
シェスティンの家では、使用人がいて、食事もきちんと用意してくれる。
それが王都の子供の中には、親がおらず食事も自ら盗まないと手に入らないのかと。
王都というところは、自分が今まで過ごしてきた世界とは全く違うのだとシェスティンは思った。
それが二週間ほど続き、徐々に授業の時間を増やしていくのだ。
フレドリカはとても楽しそうにその日の昼食で、その日あった事を事細かに話してくる。その返答は、同席している母カイサが楽しそうにしていた。
シェスティンといえば、口を挟まずにそれを聞いていた。
(基礎学校って、すぐに学習が始まるわけではないのね。準備学校でもそうだったけれど。これなら確かに、家に居た方が学びはあるわ。けれど、友人達と話せなくなるのは淋しいわね…。)
シェスティンは、特に親しい友人がいたわけではないが、話し掛けられたら会話もするし共に遊ぶ事もしていたのだ。
ただ、話し掛けられた友人の名前を特にしっかりと覚えてはいなかった為、もう少し会話をしたり遊んだりすれば良かったと今さらながら悔やんだ。
準備学校では、家名までは教えられていなかった。だから、自分が良く話していた子達はどの家柄だったのだろうと、いつか大きくなって再会する時の為に覚えておかなければと思った。
☆★
フレドリカが入学して四日目。
シェスティンは、父アロルドから許可をもらい王都の書籍店へ行く事となった。侍女のコーラと、侍従兼護衛兼御者のディックを連れて馬車に乗った。
オールストレーム家の領地から王都までは、馬車で一時間も揺られていれば着く距離で、朝フレドリカが登校してからすぐに向かう事とした。
オールストレーム家の紋章の入った馬車はフレドリカが学校へ乗って行った為、紋章の入っていない外見は簡素な馬車へとシェスティンは乗り込んだ。
学校は王都にあるから一緒に来ても良かったのだが、帰りの時間が分からない為に、別々にしたのだ。フレドリカの自慢にも聞こえるような話を聞くのが耐えられないと思ったのも理由の一つであった。
学校で、可愛いと言われただの、隣の席に座りたいと言われただのと言ってくるのだ。
(初めは良かったわね、って言えたけれど、だんだん聞いているのが面倒になるのよね。)
そのような自慢話は、フレドリカは準備学校の時にもシェスティンにしていたのだ。シェスティンはそんな事、言われた事がない。顔の造りはほとんど同じ。シェスティンの方が若干柔らかい表情に見えるのは、髪色がフレドリカよりも少し薄いからか。フレドリカは濃い金髪、シェスティンは銀色に近い金髪であった。
フレドリカは自分のが可愛いとシェスティンに言ってくるのが鬱陶しく感じるほど、何度も言ってきていた。
(可愛いとか可愛くないとかなんて、学びに行くのには関係ないのに。言われたら確かに嬉しいかもしれないけれど。)
シェスティンは、フレドリカに比べて書物から知識を得ていた分、考え方も大人びていたのだ。
「着いたぜ。」
「ありがとう。」
ディックが踏み台を準備して、コーラと共に馬車から降ろしてもらったシェスティンは初めて、一人で来る王都の空気を存分に感じていた。
ディックは、他の者がいない時にはシェスティンに対して口調はあまり畏まってはいなかった。
シェスティンが物心ついた頃はまだ真面目に丁寧な言葉遣いをしていたのだが、酷く哀しそうな顔をした為である。小さな少女にとって、厳つい男が近くにいると窮屈なのだろうと、敢えて口調を気安いものへと変えたのだ。
「すごいわ!人がたくさんいるのね!」
ディックが降ろした場所は、書籍店の直ぐ目の前である。王都のメイン通りは、馬車が通る車道はかなり広く取ってあり、店の前に止めてもいいようになっている。行き交う馬車は、中央を走っているのだ。
歩道もまた、それなりに幅は取られているが人も多く歩いている為に、幅広くは見えなかった。
「どのくらい時間が掛かるんだ?あまり長い間停車するのであれば、他の利用したい人達の邪魔になってしまうからよ。」
「あ、そうね…なるべく早く見てみるわ。」
ディックにそう言われ、体を動かしたシェスティンは、向かいの辻の店先で自分と同じくらいの年頃の子供が二人居るのが見えた。
そこは、扉が開かれて商品が外にも出ていた店。果物や野菜が置いてあり、男の子が林檎をじっと見ている。その隣の女の子が店員に話しかけているうちに男の子がその林檎を手に取り、ひょいひょいと持っている袋の中に入れたのをシェスティンは見た。
(私と同じくらいの子だわ。買い物に来ているのね。偉いわ。…え?)
シェスティンは自分で商品を購入した事が無く、買い物をどのようにするのかを知らなかった。だから、袋へと入れるのもごく普通の事かと思ったのだ。しかし、次の瞬間、女の子と話していた店員が男の子へと視線を移して怒鳴り散らしていた。
「おい、金も払ってないのにその袋に入れたろ!金払いな!金が無いなら置いていきなよ!」
「逃げろ!」
「あ!おい、待ちな!ちょっと!こらー!」
それを聞いたシェスティンは咄嗟にその店員の元へと駆け寄って、声を掛けた。
「すみません!さっきの子達、お金払っていないのですか?」
「そうだよ!あーまたやられちまった!子供は逃げ足が早いから、私らの足じゃあ追いつけないよ!」
「またって、良くあるのですか?」
「そうさ。あの子達は孤児だろうよ。可哀想だとは思うけれど、こっちだって商売だからね。金が無けりゃ生活出来ないのさ。」
「…」
そう言って大きなため息を付いた後、店員はまた店番についた。
シェスティンは少し考えた後、後ろにいたコーラに声を掛ける。
「ねぇ、こじって?」
「孤児とは、親がいない子供の事です。」
「親が…。
ねぇ、林檎を買うお金、あるかしら?」
「シェスティン様?林檎が欲しいのですか?」
「いいえ。先ほどの子達の分よ。」
「え?まぁそうですねぇ。銅貨は持ってきておりませんから。」
「払えないの…」
「あ、いいえ!払えなくはないですが、お釣りを準備するのが、一般の店では大変だと思ったのです。今日持って来たのは、金貨と銀貨ですので。
林檎は、銅貨五枚前後です。」
シェスティンは、そういえばざっくりとではあるが、お金の単位を準備学校で聞いたなと思った。
「では銀貨ならあるのね?確か…銀貨一枚で銅貨百枚と同じ価値だったわよね?
では銀貨を一枚支払ってちょうだい。お釣りは、要らないわ。もしまた今度あの子達が来たら、仕事を与えるのはどうかしら。」
「そうです、よく勉強されておりますね。
…よろしいのですね?」
「ええ。いいかしら?」
そう言うと、コーラが出した銀貨一枚を、シェスティンは店員へと渡した。
「お嬢ちゃん、これで何を買うのかい?ちょっとお釣りがあるか…」
「いいえ、先ほど取られた林檎のお代です。多い分は以前までの分で、もしまたあの子達が来たら、今度は仕事を与えてみてはどうでしょうか?」
「…いいのかい?お嬢ちゃんには関係ないだろうに。」
「いえ、世間を学ばせてもらったお礼です。」
「?そうかい?じゃあ遠慮なくいただくよ。」
(学校に通っていたら知らなかった事だわ、きっと。)
シェスティンの家では、使用人がいて、食事もきちんと用意してくれる。
それが王都の子供の中には、親がおらず食事も自ら盗まないと手に入らないのかと。
王都というところは、自分が今まで過ごしてきた世界とは全く違うのだとシェスティンは思った。
4
お気に入りに追加
1,037
あなたにおすすめの小説
いつか彼女を手に入れる日まで
月山 歩
恋愛
伯爵令嬢の私は、婚約者の邸に馬車で向かっている途中で、馬車が転倒する事故に遭い、治療院に運ばれる。医師に良くなったとしても、足を引きずるようになると言われてしまい、傷物になったからと、格下の私は一方的に婚約破棄される。私はこの先誰かと結婚できるのだろうか?

前世の推しが婚約者になりました
編端みどり
恋愛
※番外編も完結しました※
誤字のご指摘ありがとうございます。気が付くのが遅くて、申し訳ありません。
〈あらすじ〉
アマンダは前世の記憶がある。アイドルが大好きで、推しが生きがい。辛い仕事も推しの為のお金を稼ぐと思えば頑張れる。仕事や親との関係に悩みながらも、推しに癒される日々を送っていた女性は、公爵令嬢に転生した。
推しが居ない世界なら誰と結婚しても良い。前世と違って大事にしてくれる家族の為なら、王子と婚約して構いません。そう思っていたのに婚約者は前世の推しにそっくりでした。
推しの魅力を発信するように婚約者自慢をするアマンダに惹かれる王子には秘密があって…
別サイトにも掲載中です。

【完結】冷徹公爵、婚約者の思い描く未来に自分がいないことに気づく
21時完結
恋愛
冷徹な公爵アルトゥールは、婚約者セシリアを深く愛していた。しかし、ある日、セシリアが描く未来に自分がいないことに気づき、彼女の心が別の人物に向かっていることを知る。動揺したアルトゥールは、彼女の愛を取り戻すために全力を尽くす決意を固める。

【完結】契約の花嫁だったはずなのに、無口な旦那様が逃がしてくれません
Rohdea
恋愛
──愛されない契約の花嫁だったはずなのに、何かがおかしい。
家の借金返済を肩代わりして貰った代わりに
“お飾りの妻が必要だ”
という謎の要求を受ける事になったロンディネ子爵家の姉妹。
ワガママな妹、シルヴィが泣いて嫌がった為、必然的に自分が嫁ぐ事に決まってしまった姉のミルフィ。
そんなミルフィの嫁ぎ先は、
社交界でも声を聞いた人が殆どいないと言うくらい無口と噂されるロイター侯爵家の嫡男、アドルフォ様。
……お飾りの妻という存在らしいので、愛される事は無い。
更には、用済みになったらポイ捨てされてしまうに違いない!
そんな覚悟で嫁いだのに、
旦那様となったアドルフォ様は確かに無口だったけど───……
一方、ミルフィのものを何でも欲しがる妹のシルヴィは……

【完結】婚約破棄されたので田舎に引きこもったら、冷酷宰相に執着されました
21時完結
恋愛
王太子の婚約者だった侯爵令嬢エリシアは、突然婚約破棄を言い渡された。
理由は「平凡すぎて、未来の王妃には相応しくない」から。
(……ええ、そうでしょうね。私もそう思います)
王太子は社交的な女性が好みで、私はひたすら目立たないように生きてきた。
当然、愛されるはずもなく――むしろ、やっと自由になれたとホッとするくらい。
「王都なんてもう嫌。田舎に引きこもります!」
貴族社会とも縁を切り、静かに暮らそうと田舎の領地へ向かった。
だけど――
「こんなところに隠れるとは、随分と手こずらせてくれたな」
突然、冷酷無慈悲と噂される宰相レオンハルト公爵が目の前に現れた!?
彼は王国の実質的な支配者とも言われる、権力者中の権力者。
そんな人が、なぜか私に執着し、どこまでも追いかけてくる。
「……あの、何かご用でしょうか?」
「決まっている。お前を迎えに来た」
――え? どういうこと?
「王太子は無能だな。手放すべきではないものを、手放した」
「……?」
「だから、その代わりに 私がもらう ことにした」
(いや、意味がわかりません!!)
婚約破棄されて平穏に暮らすはずが、
なぜか 冷酷宰相に執着されて逃げられません!?

【完】まさかの婚約破棄はあなたの心の声が聞こえたから
えとう蜜夏☆コミカライズ中
恋愛
伯爵令嬢のマーシャはある日不思議なネックレスを手に入れた。それは相手の心が聞こえるという品で、そんなことを信じるつもりは無かった。それに相手とは家同士の婚約だけどお互いに仲も良く、上手くいっていると思っていたつもりだったのに……。よくある婚約破棄のお話です。
※他サイトに自立も掲載しております
21.5.25ホットランキング入りありがとうございました( ´ ▽ ` )ノ
Unauthorized duplication is a violation of applicable laws.
ⓒえとう蜜夏(無断転載等はご遠慮ください)


どなたか私の旦那様、貰って下さいませんか?
秘密 (秘翠ミツキ)
恋愛
私の旦那様は毎夜、私の部屋の前で見知らぬ女性と情事に勤しんでいる、だらしなく恥ずかしい人です。わざとしているのは分かってます。私への嫌がらせです……。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
政略結婚で、離縁出来ないけど離縁したい。
無類の女好きの従兄の侯爵令息フェルナンドと伯爵令嬢のロゼッタは、結婚をした。毎晩の様に違う女性を屋敷に連れ込む彼。政略結婚故、愛妾を作るなとは思わないが、せめて本邸に連れ込むのはやめて欲しい……気分が悪い。
彼は所謂美青年で、若くして騎士団副長であり兎に角モテる。結婚してもそれは変わらず……。
ロゼッタが夜会に出れば見知らぬ女から「今直ぐフェルナンド様と別れて‼︎」とワインをかけられ、ただ立っているだけなのに女性達からは終始凄い形相で睨まれる。
居た堪れなくなり、広間の外へ逃げれば元凶の彼が見知らぬ女とお楽しみ中……。
こんな旦那様、いりません!
誰か、私の旦那様を貰って下さい……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる