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27. フレドリカの結婚生活 ー閑話ー
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フレドリカは、思っていたよりも長く馬車に乗るのだと驚いていた。
馬車が進むにつれ、だんだんと寒くなってくると思いながら、やる事もなく隣に座るロルフと向かいに座るロルフの父ベングトを覗き見た。
オールストレーム家に挨拶に来たアールベック侯爵家の二人は、フレドリカを一緒に連れて行くと言った。フレドリカはそんなにも自分を求めてくれているロルフに舞い上がっていた。馬車に乗るのも、ロルフが隣へおいでと声かけしてくれた為にやはり自分は見初められたのだと改めて自分を誇りに思っていた。
だが。
長く進むにつれ、だんだんとお尻や体が痛くなってきた。フレドリカは王都にある学校へ通う馬車には毎日乗っていたが、それ以上長い時間馬車に乗って出掛けた事もほとんど無かった。
馬車に乗るとこんなにも体が痛くなるのかと苦痛に感じてきていた。
けれど、ロルフもベングトも表情は全く変わらない。時折何かを話しているが、フレドリカには分からない難しい話をしていた。
(二人は体が痛くないの?
それよりもいつになったら着くのかしら。もう限界だわ…!)
フレドリカが何度目かの体をモソモソと動かした時に、ロルフは今気づいたかのように声を掛けた。
「フレドリカ、気付かなくてごめんよ。体が痛い?もうすぐ着くから。…あぁ、そろそろかな。」
ロルフがそういうと、ガタンと馬車が止まった。御者が降ろす為の準備だろうガチャガチャドタドタと音がして、扉が開いた。
「さぁ降りよう。」
ベングトが先に降り、ロルフが次に降りるとフレドリカへ手を差し伸べエスコートした。
(まぁ!ウフフフ。ロルフ様ったら!さまになっているわ!これから、こうやってエスコートされるのね!)
フレドリカは胸がドキドキとしながら、馬車を降りて見渡すと、馬車が後ろにも何台か止まっていて人もいて賑やかてあった。そこは大きく立派な高級宿屋であった。
(え!?ロルフ様の家に着いたのでは無かったの?)
フレドリカはまだ明日も馬車での旅が、続くのかと驚いた。
「じゃあロルフ。まだ過ちは犯してはいけないよ、あとはゆっくりしてくれ。私は先に行く。」
「分かりました、父上。では。」
そう言ったベングトはさっさと先に行ってしまった。
「じゃあフレドリカ。今日はこの宿屋で一泊しよう。」
(え!やだ!!ロルフ様とお泊まり!?過ちって、そういう事?疲れたけれど、もう一仕事あるって事!?
嫌だわ、もう!お義父様ったら!)
フレドリカは一人、顔を赤くしながら照れていたけれども、ロルフは受付でチェックインを済ますと鍵を二つ持って来た。
「ここはね、貴族の限られた者しか泊まれない宿屋だから宿屋の使用人が各部屋に何人かついているよ。だから、着替えなどもやらせればいい。風呂や食事も部屋で出来るから、明日の朝落ち合おう。」
「え?ロルフ様、同じ部屋ではないの?」
「まさか!まだ結婚していないからね、さすがに婚前交渉は不味いし、お互いの為に変な噂が立たないように別室で過ごすんだ。
いい?焦らなくても、領地へ行けばこれからいくらでもたっぷりと時間はあるのだからね。」
「そ、そうですわね。」
(なぁんだ。期待したのに残念だわ…。でも、そうね!ウフフフ。その時が楽しみだわ!)
フレドリカはいつか訪れる日の事を考えてまた、ニマニマと顔を赤くしながら自分の与えられた部屋へと入った。
ーーー
ーー
ー
☆★
それから。
フレドリカはどうにか次の日の夕暮れ時にやっとオールストレーム家のカントリーハウスへと辿り着いた。
(なんて遠いの…!?これじゃあなかなか帰る事が出来ないじゃない!アンヤやベッテに自慢しようとしたのに、またあの馬車での長い時間に耐えないといけないなんて無理だわ!)
フレドリカはげっそりとした顔つきでそのように思った。
ー ー ー ー ー
それからのフレドリカは、敷地内の離れに自室を与えられ、少しずつ侯爵夫人としての学びをしていく事となる。
今まで、学校の勉強なんてまるでしなかったフレドリカは、苦痛でしかなかった。けれども、週末に帰ってくるロルフはとても優しい言葉をくれる。その為だけにフレドリカは頑張っていた。
(ロルフ様もずっとこの家にいるのだと勘違いしていたわ…。学校へは、王都にあるタウンハウスから通っていたなんて知らなかったもの。
でも、週末には帰って来てくれるものね。私に会いに来ていると言ってくれるもの!ロルフ様ってば、私無しでは生きられないのねきっと!)
「やぁフレドリカ。君に会いたくて馬を飛ばして帰ってきたよ。さぁ、おいで。ちゃんと頑張っていたかい?大変だとは思うけれど、フレドリカと一緒にいつまでもいる為に頑張ってくれるかい?」
「私の為に早く帰ってきてくれたのね?ええ、頑張っていたわ!ロルフ様と夫婦になる為だもの!」
「そうか、偉いよ。さぁ頭を撫でてあげよう。
…あぁ、あまり可愛い顔をこちらへ向けないでおくれ。理性を保つのに苦労しているのだからね。」
「そんな…!ロルフ様、少しくらい、いいのよ?」
「何を言っているんだい?そんな事を言ったら、部屋から閉じ込めてしまうよ?
あと少しの辛抱だからね。それまでは多少のスキンシップだけに留めておくよ。」
(まぁ!そんなにまで私の事を!?んもう!ロルフ様ってば、独占欲の塊なのね!真面目なんだから!
でも、ウフフフ。早く結婚出来るように頑張らないと!
身についていないなら、結婚を延ばすって言われちゃったものね。そんな事はさせないわ!)
フレドリカはその為だけに苦痛な作法やしきたりなどの学びを懸命に身につけようとしていた。
フレドリカは、それから甘やかされていると言っていいのか、はたまたロルフの焦らしというかいたぶりにも似た、変わった愛情に包まれ、生涯をほとんど領地から出る事もなく過ごした。
馬車が進むにつれ、だんだんと寒くなってくると思いながら、やる事もなく隣に座るロルフと向かいに座るロルフの父ベングトを覗き見た。
オールストレーム家に挨拶に来たアールベック侯爵家の二人は、フレドリカを一緒に連れて行くと言った。フレドリカはそんなにも自分を求めてくれているロルフに舞い上がっていた。馬車に乗るのも、ロルフが隣へおいでと声かけしてくれた為にやはり自分は見初められたのだと改めて自分を誇りに思っていた。
だが。
長く進むにつれ、だんだんとお尻や体が痛くなってきた。フレドリカは王都にある学校へ通う馬車には毎日乗っていたが、それ以上長い時間馬車に乗って出掛けた事もほとんど無かった。
馬車に乗るとこんなにも体が痛くなるのかと苦痛に感じてきていた。
けれど、ロルフもベングトも表情は全く変わらない。時折何かを話しているが、フレドリカには分からない難しい話をしていた。
(二人は体が痛くないの?
それよりもいつになったら着くのかしら。もう限界だわ…!)
フレドリカが何度目かの体をモソモソと動かした時に、ロルフは今気づいたかのように声を掛けた。
「フレドリカ、気付かなくてごめんよ。体が痛い?もうすぐ着くから。…あぁ、そろそろかな。」
ロルフがそういうと、ガタンと馬車が止まった。御者が降ろす為の準備だろうガチャガチャドタドタと音がして、扉が開いた。
「さぁ降りよう。」
ベングトが先に降り、ロルフが次に降りるとフレドリカへ手を差し伸べエスコートした。
(まぁ!ウフフフ。ロルフ様ったら!さまになっているわ!これから、こうやってエスコートされるのね!)
フレドリカは胸がドキドキとしながら、馬車を降りて見渡すと、馬車が後ろにも何台か止まっていて人もいて賑やかてあった。そこは大きく立派な高級宿屋であった。
(え!?ロルフ様の家に着いたのでは無かったの?)
フレドリカはまだ明日も馬車での旅が、続くのかと驚いた。
「じゃあロルフ。まだ過ちは犯してはいけないよ、あとはゆっくりしてくれ。私は先に行く。」
「分かりました、父上。では。」
そう言ったベングトはさっさと先に行ってしまった。
「じゃあフレドリカ。今日はこの宿屋で一泊しよう。」
(え!やだ!!ロルフ様とお泊まり!?過ちって、そういう事?疲れたけれど、もう一仕事あるって事!?
嫌だわ、もう!お義父様ったら!)
フレドリカは一人、顔を赤くしながら照れていたけれども、ロルフは受付でチェックインを済ますと鍵を二つ持って来た。
「ここはね、貴族の限られた者しか泊まれない宿屋だから宿屋の使用人が各部屋に何人かついているよ。だから、着替えなどもやらせればいい。風呂や食事も部屋で出来るから、明日の朝落ち合おう。」
「え?ロルフ様、同じ部屋ではないの?」
「まさか!まだ結婚していないからね、さすがに婚前交渉は不味いし、お互いの為に変な噂が立たないように別室で過ごすんだ。
いい?焦らなくても、領地へ行けばこれからいくらでもたっぷりと時間はあるのだからね。」
「そ、そうですわね。」
(なぁんだ。期待したのに残念だわ…。でも、そうね!ウフフフ。その時が楽しみだわ!)
フレドリカはいつか訪れる日の事を考えてまた、ニマニマと顔を赤くしながら自分の与えられた部屋へと入った。
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それから。
フレドリカはどうにか次の日の夕暮れ時にやっとオールストレーム家のカントリーハウスへと辿り着いた。
(なんて遠いの…!?これじゃあなかなか帰る事が出来ないじゃない!アンヤやベッテに自慢しようとしたのに、またあの馬車での長い時間に耐えないといけないなんて無理だわ!)
フレドリカはげっそりとした顔つきでそのように思った。
ー ー ー ー ー
それからのフレドリカは、敷地内の離れに自室を与えられ、少しずつ侯爵夫人としての学びをしていく事となる。
今まで、学校の勉強なんてまるでしなかったフレドリカは、苦痛でしかなかった。けれども、週末に帰ってくるロルフはとても優しい言葉をくれる。その為だけにフレドリカは頑張っていた。
(ロルフ様もずっとこの家にいるのだと勘違いしていたわ…。学校へは、王都にあるタウンハウスから通っていたなんて知らなかったもの。
でも、週末には帰って来てくれるものね。私に会いに来ていると言ってくれるもの!ロルフ様ってば、私無しでは生きられないのねきっと!)
「やぁフレドリカ。君に会いたくて馬を飛ばして帰ってきたよ。さぁ、おいで。ちゃんと頑張っていたかい?大変だとは思うけれど、フレドリカと一緒にいつまでもいる為に頑張ってくれるかい?」
「私の為に早く帰ってきてくれたのね?ええ、頑張っていたわ!ロルフ様と夫婦になる為だもの!」
「そうか、偉いよ。さぁ頭を撫でてあげよう。
…あぁ、あまり可愛い顔をこちらへ向けないでおくれ。理性を保つのに苦労しているのだからね。」
「そんな…!ロルフ様、少しくらい、いいのよ?」
「何を言っているんだい?そんな事を言ったら、部屋から閉じ込めてしまうよ?
あと少しの辛抱だからね。それまでは多少のスキンシップだけに留めておくよ。」
(まぁ!そんなにまで私の事を!?んもう!ロルフ様ってば、独占欲の塊なのね!真面目なんだから!
でも、ウフフフ。早く結婚出来るように頑張らないと!
身についていないなら、結婚を延ばすって言われちゃったものね。そんな事はさせないわ!)
フレドリカはその為だけに苦痛な作法やしきたりなどの学びを懸命に身につけようとしていた。
フレドリカは、それから甘やかされていると言っていいのか、はたまたロルフの焦らしというかいたぶりにも似た、変わった愛情に包まれ、生涯をほとんど領地から出る事もなく過ごした。
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