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23. ランナルの嫉妬 ー閑話ー
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「へー、今日のフレドリカ嬢、ちょっといつもと雰囲気が違ったよね。」
後ろから声を掛けられた俺は、かなり苛ついた。
ロルフだ。ロルフは髪を肩まで無造作に伸ばしたアールベック侯爵家の奴だ。
今日は、最終学年になって初めての校外学習の日。
いつもは制服で学校へ通うのだが、文化交流の為だとかで、私服で会場へ行くのだ。その為、いつもよりお洒落をして出掛ける者も少なくはなかった。
「…ロルフ、何が言いたい?」
「おっと!そんなに睨むなって!別に意味はないよ。ただ、ちょっと違うなと思っただけさ。」
そう言って、手をヒラヒラと振ってから、先に行ってるぞと言って進んで行った。
気の合った友人達が、この後昼食に行こうと誘ってくれたのだ。
せっかくだからと、俺はフレドリカを誘ったのだ。結果は、断られてしまったが。
普段のフレドリカ嬢とは、雰囲気が全く違った。教師に対する言葉遣いも丁寧であったし、授業に参加する態度がまるで違った。
まぁ、俺も普段からフレドリカ嬢をじっくりと観察しているわけではないから、気のせいだと言えばそうかもしれない。だが、俺の勘が、それだけではないと言っていたのだ。
あれは、フレドリカではないと。
見た目はフレドリカに似ている。だが、髪色が違った。だからなのか、顔つきも優しそうな雰囲気が滲み出ていたのだ。
お洒落をして、この授業に参加する者はたくさんいる。現に、鬘を付けたり、髪色を染めて来ている者もいた。いつもは華美にならない程度の化粧しかしていない女性達も、この校外学習の日であればしっかりした化粧も許された。
だから、髪色を染めたと言われればそうかもしれない。
でも俺は、違うと思った。違っていてほしい、と願った、と言うべきかもしれない。
なぜってーーー
就学前準備学校に入学した俺は、人一倍学習に意欲を燃やしていたシェスティンの事が気になっていた。
友人達が遊んでいる中、一人で本を読んだり、一人で調べものをしたり、絵を描いている彼女の横顔は、とても凛々しく見えたのだ。
俺は王子であるから、準備学校へ通う前から少しずつ勉強をやらされていた。だが、彼女は自分から学ぶのを楽しんでいるように思えたのだ。それがすごく眩しくてーーー。
基礎学校に入れば、もっと一緒に学べるのだろうと思っていたのだが、彼女は入学式の日にいなかった。
俺は、ガックリと肩を落とし、数日はまっすぐ王宮へ帰る事も出来ず王都をぶらついた。
書籍店へ寄ってみるかと思ったのは、ほんの思いつきだった。彼女を見習って自分から学びを得ようと思ったのだ。
すると、彼女らしき子がいた。俺は驚いて声を掛けたのだが、彼女は気づいてくれなかった。
よっぽど本を買うのが嬉しかったのか、遅れて店内に入って来た侍女に屈託の無い笑顔を向けていた。本は、どうやら外国語の本を購入していた。本当に勤勉なのだと改めて気づかされる。
俺も、もっとしっかりとしなければ。
そう思って、あの時から何事にも進んで学びに行ったと思う。
また、会えないだろうか。
そう思い、あの書籍店へも何度も通った。
ーーーそれが、もしかしたら、彼女かもしれないと。
俺だけが気づいたのだと思ったのに、ロルフまで勘づいたとは。まさか、ロルフもシェスティンの事が気になるのか?
まずい。ダメだ、俺は準備学校の時から気になっていたのだぞ、譲らないからな!
☆★
「なぁ、やっぱりフレドリカ嬢、違うよな?」
別の校外学習の日。
またもロルフはこっそりと俺に話しかけてきた。
だから…俺は争いたくないんだって!
そんな思いを込めてロルフを睨むと、ロルフは大袈裟に手を横にバタバタと振りつつ首も横へ振った。
「違う違う!ランナル、勘違いしないでくれよ、僕はフレドリカ嬢じゃないのが淋しいんだよ。」
「は?」
淋しい!?俺の聞き間違いじゃないよな!?
「僕は、あの気が強いフレドリカ嬢がいいんだよ。そうじゃないフレドリカ嬢には興味ないから安心して?」
「…そうなのか?」
「あぁ。だって世間では性格も悪くて気が強い女性が、僕と二人の時には僕の言う事を従ってくれるなんて事、想像するだけでゾクゾクしないか?普段は威嚇している猫のようでさ。
だから、僕はフレドリカ嬢がいいな。領地に閉じ込めて、僕だけを見て欲しいんだよ。」
「お前…そんな奴だったのか!?」
……引いた。俺はロルフの考えに引いた。褒めているのか、けなしているのか良く分からなかったし、嘘じゃないだろうなと疑うような眼差しでロルフを見てしまったが、仕方のない事だと思う。
「なんだよ、ランナルなら僕の気持ち分かってくれるかと思ったんだけどなぁ。
自分にだけ、っていうのがまた、いいだろう?閉じ込めて自分の傍で可愛がってやりたいとか思わないか?」
「いや…俺は閉じ込めてまではしたくないな。
というか、アレが好みなのか…」
俺は再度、確認してしまった。
「そうなんだ、残念!ま、ランナルは王子だから、閉じ込めて、は無理か。
僕の領地は寒い土地柄だからかな。家で引きこもる期間があるから、そんな時に一緒にいられたらなって思うんだよ。だから、絶対にフレドリカがいいね。」
「なるほどね…って納得しづらいな!」
「まぁ、いいよ。別に僕の愛の形を知って欲しかった訳じゃないから。
ランナルと争いたいわけじゃないって事を伝えたかっただけさ。だからわざわざ僕が好きな人を教えたのだよ。」
「そうか…まぁ、俺もロルフと争いたくはないな。」
「だろう?良かった!
あ、じゃあ僕がさっさとフレドリカ嬢をもらってしまおうか?」
「なんだって!?」
「ランナルが好きな人って事は、くっつけば王太子妃になるって事じゃないの?
フレドリカは気が強いから、ランナルが君の想い人に想いを告げたら、何か手出ししてくるかもしれない。
そんな事をされたら、僕も困るからね。罪人になられてもして、フレドリカと一緒に居られなくなってしまうのは嫌だよ。」
「…まぁ、そうだな。」
「じゃあ協定を結ぶとしようよ。」
「いいだろう。」
「その代わり、アールベック家には毎年今よりも少し多めに燃料費などを上乗せしてくれると有り難いんだけどな。寒い領地で引き篭もるには必要経費だと思うんだ。」
「ははは、やるなぁロルフ。まぁ、その辺りは許容範囲だ。
…ついでに母親も引き受けたりしないか?」
「は!?
あー…母親か。フレドリカがあんな性格なのは、母親譲りか?」
「あぁ。シェスティンが悲しまないようにどうにかしたい。なぜって、シェスティンが基礎学校に通えていれば、共に学校生活が送れたのに、その機会を奪われたからだ。
俺はその事を根に持っている。シェスティンだってきっと通いたかったに違いない。だが、心優しい彼女はきっと無理やり承諾したのだろう。」
「なるほどね…まぁ、父上に相談してみるよ。」
「あぁ。しかしここだけの話にしてくれよ?」
「当たり前だ。僕だってアールベック侯爵家の跡継ぎなのだからね、その辺りは心得ているさ。」
二人の密談はまだ続いていた。
後ろから声を掛けられた俺は、かなり苛ついた。
ロルフだ。ロルフは髪を肩まで無造作に伸ばしたアールベック侯爵家の奴だ。
今日は、最終学年になって初めての校外学習の日。
いつもは制服で学校へ通うのだが、文化交流の為だとかで、私服で会場へ行くのだ。その為、いつもよりお洒落をして出掛ける者も少なくはなかった。
「…ロルフ、何が言いたい?」
「おっと!そんなに睨むなって!別に意味はないよ。ただ、ちょっと違うなと思っただけさ。」
そう言って、手をヒラヒラと振ってから、先に行ってるぞと言って進んで行った。
気の合った友人達が、この後昼食に行こうと誘ってくれたのだ。
せっかくだからと、俺はフレドリカを誘ったのだ。結果は、断られてしまったが。
普段のフレドリカ嬢とは、雰囲気が全く違った。教師に対する言葉遣いも丁寧であったし、授業に参加する態度がまるで違った。
まぁ、俺も普段からフレドリカ嬢をじっくりと観察しているわけではないから、気のせいだと言えばそうかもしれない。だが、俺の勘が、それだけではないと言っていたのだ。
あれは、フレドリカではないと。
見た目はフレドリカに似ている。だが、髪色が違った。だからなのか、顔つきも優しそうな雰囲気が滲み出ていたのだ。
お洒落をして、この授業に参加する者はたくさんいる。現に、鬘を付けたり、髪色を染めて来ている者もいた。いつもは華美にならない程度の化粧しかしていない女性達も、この校外学習の日であればしっかりした化粧も許された。
だから、髪色を染めたと言われればそうかもしれない。
でも俺は、違うと思った。違っていてほしい、と願った、と言うべきかもしれない。
なぜってーーー
就学前準備学校に入学した俺は、人一倍学習に意欲を燃やしていたシェスティンの事が気になっていた。
友人達が遊んでいる中、一人で本を読んだり、一人で調べものをしたり、絵を描いている彼女の横顔は、とても凛々しく見えたのだ。
俺は王子であるから、準備学校へ通う前から少しずつ勉強をやらされていた。だが、彼女は自分から学ぶのを楽しんでいるように思えたのだ。それがすごく眩しくてーーー。
基礎学校に入れば、もっと一緒に学べるのだろうと思っていたのだが、彼女は入学式の日にいなかった。
俺は、ガックリと肩を落とし、数日はまっすぐ王宮へ帰る事も出来ず王都をぶらついた。
書籍店へ寄ってみるかと思ったのは、ほんの思いつきだった。彼女を見習って自分から学びを得ようと思ったのだ。
すると、彼女らしき子がいた。俺は驚いて声を掛けたのだが、彼女は気づいてくれなかった。
よっぽど本を買うのが嬉しかったのか、遅れて店内に入って来た侍女に屈託の無い笑顔を向けていた。本は、どうやら外国語の本を購入していた。本当に勤勉なのだと改めて気づかされる。
俺も、もっとしっかりとしなければ。
そう思って、あの時から何事にも進んで学びに行ったと思う。
また、会えないだろうか。
そう思い、あの書籍店へも何度も通った。
ーーーそれが、もしかしたら、彼女かもしれないと。
俺だけが気づいたのだと思ったのに、ロルフまで勘づいたとは。まさか、ロルフもシェスティンの事が気になるのか?
まずい。ダメだ、俺は準備学校の時から気になっていたのだぞ、譲らないからな!
☆★
「なぁ、やっぱりフレドリカ嬢、違うよな?」
別の校外学習の日。
またもロルフはこっそりと俺に話しかけてきた。
だから…俺は争いたくないんだって!
そんな思いを込めてロルフを睨むと、ロルフは大袈裟に手を横にバタバタと振りつつ首も横へ振った。
「違う違う!ランナル、勘違いしないでくれよ、僕はフレドリカ嬢じゃないのが淋しいんだよ。」
「は?」
淋しい!?俺の聞き間違いじゃないよな!?
「僕は、あの気が強いフレドリカ嬢がいいんだよ。そうじゃないフレドリカ嬢には興味ないから安心して?」
「…そうなのか?」
「あぁ。だって世間では性格も悪くて気が強い女性が、僕と二人の時には僕の言う事を従ってくれるなんて事、想像するだけでゾクゾクしないか?普段は威嚇している猫のようでさ。
だから、僕はフレドリカ嬢がいいな。領地に閉じ込めて、僕だけを見て欲しいんだよ。」
「お前…そんな奴だったのか!?」
……引いた。俺はロルフの考えに引いた。褒めているのか、けなしているのか良く分からなかったし、嘘じゃないだろうなと疑うような眼差しでロルフを見てしまったが、仕方のない事だと思う。
「なんだよ、ランナルなら僕の気持ち分かってくれるかと思ったんだけどなぁ。
自分にだけ、っていうのがまた、いいだろう?閉じ込めて自分の傍で可愛がってやりたいとか思わないか?」
「いや…俺は閉じ込めてまではしたくないな。
というか、アレが好みなのか…」
俺は再度、確認してしまった。
「そうなんだ、残念!ま、ランナルは王子だから、閉じ込めて、は無理か。
僕の領地は寒い土地柄だからかな。家で引きこもる期間があるから、そんな時に一緒にいられたらなって思うんだよ。だから、絶対にフレドリカがいいね。」
「なるほどね…って納得しづらいな!」
「まぁ、いいよ。別に僕の愛の形を知って欲しかった訳じゃないから。
ランナルと争いたいわけじゃないって事を伝えたかっただけさ。だからわざわざ僕が好きな人を教えたのだよ。」
「そうか…まぁ、俺もロルフと争いたくはないな。」
「だろう?良かった!
あ、じゃあ僕がさっさとフレドリカ嬢をもらってしまおうか?」
「なんだって!?」
「ランナルが好きな人って事は、くっつけば王太子妃になるって事じゃないの?
フレドリカは気が強いから、ランナルが君の想い人に想いを告げたら、何か手出ししてくるかもしれない。
そんな事をされたら、僕も困るからね。罪人になられてもして、フレドリカと一緒に居られなくなってしまうのは嫌だよ。」
「…まぁ、そうだな。」
「じゃあ協定を結ぶとしようよ。」
「いいだろう。」
「その代わり、アールベック家には毎年今よりも少し多めに燃料費などを上乗せしてくれると有り難いんだけどな。寒い領地で引き篭もるには必要経費だと思うんだ。」
「ははは、やるなぁロルフ。まぁ、その辺りは許容範囲だ。
…ついでに母親も引き受けたりしないか?」
「は!?
あー…母親か。フレドリカがあんな性格なのは、母親譲りか?」
「あぁ。シェスティンが悲しまないようにどうにかしたい。なぜって、シェスティンが基礎学校に通えていれば、共に学校生活が送れたのに、その機会を奪われたからだ。
俺はその事を根に持っている。シェスティンだってきっと通いたかったに違いない。だが、心優しい彼女はきっと無理やり承諾したのだろう。」
「なるほどね…まぁ、父上に相談してみるよ。」
「あぁ。しかしここだけの話にしてくれよ?」
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