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24. 母へのお誘い
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アールベック侯爵家が挨拶に来た日。
ロルフ様達が来たのでシェスティンは、部屋で静かにしようと本を窓際で読んでいると、なぜかフレドリカが、一緒に付いて行き暫く滞在する事になるからと自慢気に挨拶に来た。
シェスティンはそれについて理解が及ばないと思った。
(どういう事?今日は、結婚の打診というか、ご挨拶に来たのではなかったの?)
「私、これからアールベック侯爵家へ行くの。そして、これからはそこで侯爵家を守る事が出来るように学ぶのよ。勉強は苦手だけれど、ロルフ様の為だもの!私と一緒に居たいのですって!これだから愛される女は辛いわ!
あぁ、きっとシェスティンにもそう言ってくれる男性がいつか現れるから心配しないで?気長に待っていればきっと、もしかしたら、ね?
昨日はシェスティンにもお友達が出来たようだったけれど、三人で話すなんてあくまでお友達だったのでしょうし。」
「……今日行ってしまうの?急なのね。」
「あら!だってロルフ様が直々に言ってくれたのよ?それに、ロルフ様のお父様のベングト侯爵様も、今日来ていいって言ってくれたの!これはもう、行くしかないじゃない?こんなに求められているのだもの!」
「そうなの…淋しくなるわ。」
「そう?ごめんなさいね、シェスティン!
でもね、私はこれから侯爵夫人になる為の勉強に行くの。そして、ロルフ様が卒業したら結婚するの。
遊びに行くのではなくて幸せになりに行くのよ。止めたって無駄よ!」
「…止めないわ。フレドリカ、幸せにね。」
「もちろんよ!今でも充分幸せだけど、これからもっと幸せになるわ!
じゃあね、シェスティン。あんたも私のように幸せになれるといいわね!遠くから願っていてあげるわ!」
「ええ、フレドリカ、元気でね。」
そう挨拶したものの、シェスティンは突然の事であったので首を捻っていた。確かに昨日、ビルギッタからなんとなくは聞いたがこんなに早い展開となるなんて本当に大丈夫なのかしら、と。
ーーー
ーー
ー
☆★
次の日。
アロルドは、夕食の時にカイサへと声を掛けた。
「カイサ。アールベック侯爵家の方々が、カイサもこちらへ来るかと誘ってくれたぞ。どうだ?」
「え?あなた、どういう事?旅行?」
「まぁ、そんな所だ。気に入ったら、暫く滞在してもいいと言って下さったよ。アールベック家の北の領地は少々寒いが、光のカーテンが空に浮かび上がるらしい。」
「光のカーテン!?」
「あぁ。そこでしか見られないそうだ。珍しいみたいだぞ。」
「珍しいの!?行ってみたいわ!」
「そうか。とても良い景色の場所で、観光地にもなっているそうだよ。夏は、夜でも太陽が全部沈まないから少し空が明るいらしい。」
「まぁ!なんなのそれは!見てみたいわ!」
「そうか。では、明日、出発するか?」
「明日!?凄いわね!アロルドも一緒に行くの?」
「いや、私は今仕事が立て込んでいてね…ゆっくり楽しんで来るといい。」
「アロルド、ありがとう!フレドリカもそこにいるの?ついでに見て来ようかしら。」
「フレドリカは勉強しているはずだからね。会えるかは分からないが、会えた時は、よろしく頼むよ。」
カイサは、早くも旅行の事を考えてウキウキとしていた。
対してアロルドは、ふーっとため息をつき、昨日アールベック侯爵家から言われた事を思い返していた。
☆★
「なんですと?」
「ですから、大変不躾ではありますがもし、カイサ夫人が少々手に負えないようでしたら、うちで預かると言っているのですよ。」
(どういう意味だ…?
確かにカイサは、ちょっと常識知らずな所があるが、こちらが諫めれば私の言う事は聞いているし、金遣いもかなり荒いが、まぁうちの収入であれば賄えるほどだ。)
フレドリカには、家族に挨拶をしてきてはどうだい?ついでに、どうしても持っていきたい物があれば選んできてもいい。置いていく物があれば、その後どうするかを決めておいでとロルフが言い、体よくフレドリカを部屋から追い出した後、ベングトからカイサの事をいきなり言われたアロルドは面食らったのだ。
「これは極秘事項ではあるでしょうが、内々でアロルド殿にも話が来ているでしょうから、話します。
王家から、もう一人のお嬢さんへ話があるでしょう?もし万が一にでも、カイサ夫人がそのお嬢さんの事で何かししでかす事はないと誓えますかな?」
「!」
(確かに、国王陛下の印が入った手紙を受け取っている。それによれば、ランナル王子がシェスティンと結婚したいと言われていると。そして、それを認めたいのだがどうだろうか、と。意見を聞いて下さっているようであるが、王子の意見であれば、そちらを尊重するべきであると誰もが思うだろう。それに断れる話なのかも疑問だ。
…確かに、カイサもフレドリカに似て、いや逆か。フレドリカがカイサに似ているのだな。二人とも、突拍子もない事を考え、実行に移そうとするからな。その事を言われているのだろう。指摘されてしまえば、果たして…)
「ええと、それは具体的にはどのような…?」
「具体的には、とは?あぁ、滞在の事ですかな?それでしたら、我が領地の北部に、とても景色が素晴らしい場所があるのですよ。そこでしか見られない光のカーテンや、夜になっても太陽が沈まない、明るい夜が見られるのです。これは、見る価値があると思いますよ。」
「そうでございますか…」
「まぁ、明日にでもそのように言ってお誘い下さい。我らの領地まで来て頂ければ、ゆっくりと観光していただけますよ。」
「うむ…しかし、そこまでよろしいのですか?フレドリカを嫁にもらってくれた事でも感謝しておりますのに、カイサまで面倒を…」
「アロルド伯爵。…いえ、お義父上。フレドリカ嬢を僕の妻としていただけるのですからこれ位はさせていただきたいのです。それに、これは王家からも頼まれているのです。ですので、お義父上さえ良ければ、お任せ下さい。」
「アロルド伯爵。そうですぞ。遠慮せずとも、お任せ下さい。それとも、失礼を承知で申し上げますがご夫人を制御出来ますかな?愛情が有られるのであれば、離れるのはお辛いでしょうからね。」
「ありがたいお言葉、感謝申し上げます。
いや、お恥ずかしい事にカイサは、私では考えつかないような事を言ったり行ったりして驚く事はありましたが、それでも女性とはそういうもので致し方ないと思っておりました。
家族ですから情はありますが、手を焼いていたのも事実でございます。王家も関わってきますと私だけでは対処仕切れないと危惧も確かにあります。
では、そのようにさせていただきたい。」
「おお!ご英断をされた事、絶対に後悔させませんぞ。ご夫人の事は、こちらに一任して下さいますか?」
「その方がよろしいでしょうから、よろしくお願い致します。」
「なに。王家とのご結婚などが落ち着いたら、カイサ夫人に会いに来られたらよろしいですから。
そうそう!カイサ夫人へは明日お伝え下さい。ゆっくり来ていただけるとは思うが、こちらとしても準備などがありますから明後日以降に出発をお願いしますぞ。
それから、オールストレーム家の馬車で来ていただきたい。場所は…」
「ありがとうございます。では…」
フレドリカが部屋から居なくなったあとも、三人の密談はまだ続いたのだった。
ロルフ様達が来たのでシェスティンは、部屋で静かにしようと本を窓際で読んでいると、なぜかフレドリカが、一緒に付いて行き暫く滞在する事になるからと自慢気に挨拶に来た。
シェスティンはそれについて理解が及ばないと思った。
(どういう事?今日は、結婚の打診というか、ご挨拶に来たのではなかったの?)
「私、これからアールベック侯爵家へ行くの。そして、これからはそこで侯爵家を守る事が出来るように学ぶのよ。勉強は苦手だけれど、ロルフ様の為だもの!私と一緒に居たいのですって!これだから愛される女は辛いわ!
あぁ、きっとシェスティンにもそう言ってくれる男性がいつか現れるから心配しないで?気長に待っていればきっと、もしかしたら、ね?
昨日はシェスティンにもお友達が出来たようだったけれど、三人で話すなんてあくまでお友達だったのでしょうし。」
「……今日行ってしまうの?急なのね。」
「あら!だってロルフ様が直々に言ってくれたのよ?それに、ロルフ様のお父様のベングト侯爵様も、今日来ていいって言ってくれたの!これはもう、行くしかないじゃない?こんなに求められているのだもの!」
「そうなの…淋しくなるわ。」
「そう?ごめんなさいね、シェスティン!
でもね、私はこれから侯爵夫人になる為の勉強に行くの。そして、ロルフ様が卒業したら結婚するの。
遊びに行くのではなくて幸せになりに行くのよ。止めたって無駄よ!」
「…止めないわ。フレドリカ、幸せにね。」
「もちろんよ!今でも充分幸せだけど、これからもっと幸せになるわ!
じゃあね、シェスティン。あんたも私のように幸せになれるといいわね!遠くから願っていてあげるわ!」
「ええ、フレドリカ、元気でね。」
そう挨拶したものの、シェスティンは突然の事であったので首を捻っていた。確かに昨日、ビルギッタからなんとなくは聞いたがこんなに早い展開となるなんて本当に大丈夫なのかしら、と。
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次の日。
アロルドは、夕食の時にカイサへと声を掛けた。
「カイサ。アールベック侯爵家の方々が、カイサもこちらへ来るかと誘ってくれたぞ。どうだ?」
「え?あなた、どういう事?旅行?」
「まぁ、そんな所だ。気に入ったら、暫く滞在してもいいと言って下さったよ。アールベック家の北の領地は少々寒いが、光のカーテンが空に浮かび上がるらしい。」
「光のカーテン!?」
「あぁ。そこでしか見られないそうだ。珍しいみたいだぞ。」
「珍しいの!?行ってみたいわ!」
「そうか。とても良い景色の場所で、観光地にもなっているそうだよ。夏は、夜でも太陽が全部沈まないから少し空が明るいらしい。」
「まぁ!なんなのそれは!見てみたいわ!」
「そうか。では、明日、出発するか?」
「明日!?凄いわね!アロルドも一緒に行くの?」
「いや、私は今仕事が立て込んでいてね…ゆっくり楽しんで来るといい。」
「アロルド、ありがとう!フレドリカもそこにいるの?ついでに見て来ようかしら。」
「フレドリカは勉強しているはずだからね。会えるかは分からないが、会えた時は、よろしく頼むよ。」
カイサは、早くも旅行の事を考えてウキウキとしていた。
対してアロルドは、ふーっとため息をつき、昨日アールベック侯爵家から言われた事を思い返していた。
☆★
「なんですと?」
「ですから、大変不躾ではありますがもし、カイサ夫人が少々手に負えないようでしたら、うちで預かると言っているのですよ。」
(どういう意味だ…?
確かにカイサは、ちょっと常識知らずな所があるが、こちらが諫めれば私の言う事は聞いているし、金遣いもかなり荒いが、まぁうちの収入であれば賄えるほどだ。)
フレドリカには、家族に挨拶をしてきてはどうだい?ついでに、どうしても持っていきたい物があれば選んできてもいい。置いていく物があれば、その後どうするかを決めておいでとロルフが言い、体よくフレドリカを部屋から追い出した後、ベングトからカイサの事をいきなり言われたアロルドは面食らったのだ。
「これは極秘事項ではあるでしょうが、内々でアロルド殿にも話が来ているでしょうから、話します。
王家から、もう一人のお嬢さんへ話があるでしょう?もし万が一にでも、カイサ夫人がそのお嬢さんの事で何かししでかす事はないと誓えますかな?」
「!」
(確かに、国王陛下の印が入った手紙を受け取っている。それによれば、ランナル王子がシェスティンと結婚したいと言われていると。そして、それを認めたいのだがどうだろうか、と。意見を聞いて下さっているようであるが、王子の意見であれば、そちらを尊重するべきであると誰もが思うだろう。それに断れる話なのかも疑問だ。
…確かに、カイサもフレドリカに似て、いや逆か。フレドリカがカイサに似ているのだな。二人とも、突拍子もない事を考え、実行に移そうとするからな。その事を言われているのだろう。指摘されてしまえば、果たして…)
「ええと、それは具体的にはどのような…?」
「具体的には、とは?あぁ、滞在の事ですかな?それでしたら、我が領地の北部に、とても景色が素晴らしい場所があるのですよ。そこでしか見られない光のカーテンや、夜になっても太陽が沈まない、明るい夜が見られるのです。これは、見る価値があると思いますよ。」
「そうでございますか…」
「まぁ、明日にでもそのように言ってお誘い下さい。我らの領地まで来て頂ければ、ゆっくりと観光していただけますよ。」
「うむ…しかし、そこまでよろしいのですか?フレドリカを嫁にもらってくれた事でも感謝しておりますのに、カイサまで面倒を…」
「アロルド伯爵。…いえ、お義父上。フレドリカ嬢を僕の妻としていただけるのですからこれ位はさせていただきたいのです。それに、これは王家からも頼まれているのです。ですので、お義父上さえ良ければ、お任せ下さい。」
「アロルド伯爵。そうですぞ。遠慮せずとも、お任せ下さい。それとも、失礼を承知で申し上げますがご夫人を制御出来ますかな?愛情が有られるのであれば、離れるのはお辛いでしょうからね。」
「ありがたいお言葉、感謝申し上げます。
いや、お恥ずかしい事にカイサは、私では考えつかないような事を言ったり行ったりして驚く事はありましたが、それでも女性とはそういうもので致し方ないと思っておりました。
家族ですから情はありますが、手を焼いていたのも事実でございます。王家も関わってきますと私だけでは対処仕切れないと危惧も確かにあります。
では、そのようにさせていただきたい。」
「おお!ご英断をされた事、絶対に後悔させませんぞ。ご夫人の事は、こちらに一任して下さいますか?」
「その方がよろしいでしょうから、よろしくお願い致します。」
「なに。王家とのご結婚などが落ち着いたら、カイサ夫人に会いに来られたらよろしいですから。
そうそう!カイサ夫人へは明日お伝え下さい。ゆっくり来ていただけるとは思うが、こちらとしても準備などがありますから明後日以降に出発をお願いしますぞ。
それから、オールストレーム家の馬車で来ていただきたい。場所は…」
「ありがとうございます。では…」
フレドリカが部屋から居なくなったあとも、三人の密談はまだ続いたのだった。
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