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1. この国の学校
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シェスティン=オールストレームは、双子の姉フレドリカがおり、その姉はしばしば、突拍子もなく無理難題を言った。そして、シェスティンはその無理難題に巻き込まれる事も多々あり、その度に本当に双子なのかと思うほど、彼女の事は理解不能なのであった。
☆★
このリュックセレ国は、貴族の子供達は大抵六歳になると、王立の学校に入る為の〝就学前準備学校〟に入学出来る。
そこで、〝人々は皆平等〟という精神の元、人との関わり合いや、集団で過ごす事の楽しさ、また基礎学校に入る為に必要な初歩的な学力を学ぶ。
そして、七歳になると〝基礎学校〟に十五歳まで通う事となる。
十六歳からは、さらに上の知識を学ぶ為に〝応用学校〟に進む者もいる。そこでは十八歳まで通え、無事に卒業すればそこで学んだ事を生かして王宮の重役などのエリートコースに進む事が出来る。
六歳になったシェスティンも、姉のフレドリカと同じく王立の準備学校へ通い始める事となった。
シェスティンは好奇心旺盛で、知らない事を知る事がとても楽しいと感じる勤勉な子供であった。その為、六歳になる前からオールストレーム家の書庫にある本をいくつも読んでいた。
オールストレーム家は伯爵の地位である為、国内外問わずそれなりに高価な書物も代々購入してこうして書庫に陳列してあるのだ。
(準備学校に入学出来るのね!一年そこで、簡単な事をいろいろと学べば、基礎学校へ通えるのだわ!どんな事が学べるのかしら。楽しみね!)
シェスティンは、今までは書庫の本でしか学べなかったが、これからは、学校で教師の元に学べるのだ。分からないところも直接聞く事が出来る。それに加えて友人も出来るかもしれないととても楽しみであった。
読み書きは、一般的にはその準備学校で学ぶ。だが、シェスティンは書庫にある本を読んでみたいと興味が沸き、早々に侍女のコーラから教わり、四歳位から簡単な書物を読み始めていったのだ。
☆★
「ねぇ、フレドリカ、明日からの準備学校、楽しみね!」
「え?うーんそうねぇ。確かに友人が出来るのは嬉しいけれど、勉強は嫌だわ!」
フレドリカは、自分のやりたくない事はどうにかしてやらないように仕向けてきていた。読み書きも、シェスティンがコーラから学び始めた時に侍女のロリから、教えましょうかと聞かれた時にきっぱりと断っていた。
「六歳になったら、準備学校で学ぶのでしょう?わざわざその前に学ぶ意味が分からないわ!それよりも、存分に遊ぶべきよね!」
ーーー
ーー
ー
入学して、シェスティンは本当に楽しい事の連続であった。学ぶものはシェスティンにとっては簡単なものばかりであったのだが、他の同級生達と椅子に座って学ぶという事がとても新鮮だったのだ。
シェスティンは友人と一緒にいるというより、一人で好きな事をしている方が楽しいと思う方であったが、それでも話し掛けられれば会話もするし、集団で遊ぶ時は一緒になっていろんな遊びをした。
学費が掛かる為にこの準備学校に来る子供が全て基礎学校にそのまま通うわけではないが、自分も通えるのだと信じて疑わなかった。
だが。
準備学校も一年で終わり、少しの休暇を挟んで明日から基礎学校に通えると思った矢先に恐れていた事が起こった。
それは、家族で夕食を囲んでいた時の事。
フレドリカが口を開いた。
「ねぇ、お父様!明日から通う、基礎学校の事ですが提案があるの!私達双子だから二人も通うと金銭的にも大変だと思うから、一人だけにしてはどう?」
「なに!?」
温野菜のサラダを口に運ぼうとしていた父アロルドは、手を止めて大きな声を出した。慌て過ぎて、手にしたフォークを落としそうになったほどだ。
「一体どうして?フレドリカは学校通いたくないの?」
母カイサも、驚きを隠せないでそうフレドリカへと聞いた。
「だってね、お母様。学校に通うのだってお金が掛かるのでしょう?私達双子だから見た目もそっくりで、どちらが学校へ行っても分からないと思うの。それでね、一人分のお金で学校へ通い、もう一人分払うはずだったのはこれから使う衣装代に充てればいいと思うのよ。お母様だって新しいドレスが欲しいと言っていたじゃない?」
「まぁ!それはいい考えね!
でも、それだとどちらか一人しか学校へ通えないわよ。いいの?」
「それはほら、普段は私が学校に通って、たまにシェスティンも私のふりをして行ってもいいのよ。そうすれば、平等じゃないかしら?だって、シェスティンはすでに家の書物から学びを得ているのですもの。学校に行ってもつまらない内容ばかりだわ。そう言っていたじゃない。」
「え!待って!私そんな事言ってないわよ!」
「いいわねぇ!たまにシェスティンもフレドリカのふりをして通ってもいいってフレドリカが言っているのだし。あなた、そうしましょう?」
「いや、しかし明日からだぞ?もう二人とも登録はしてあるのだから二人で通えばいいだろう。」
「あなた!お支払いはまだなのでしょう?シェスティンは体調が優れないとかで通う事は難しいとでも言っておけば、払わなくてもすむわよ!これから、フレドリカもシェスティンも大きくなってドレスも必要になるわ。少しでも貯めておいて損はないわよ。」
「ね!いい考えでしょう?
ねぇ、シェスティン!あなたも、基礎学校で学ぶ無駄な時間を過ごさないで書庫の難しい本でもゆっくり読んでいればいいじゃない?
何なら、欲しい本の一冊や二冊や三冊、買ってもらえばいいじゃないの!それくらいはお父様、いいわよね?」
「ううむ…シェスティンはどうなのだ?確かにシェスティンは優秀であるから物足りないかもしれんが。
最新の書物が欲しいのなら、王都の書籍店へ行く事も確かに出来るが…。」
「ほら!シェスティン前から興味がある本があるとか言っていたじゃない?それに、シェスティンが学びたいと思うような事はきっと基礎学校では学ばないわよ?だってあなた、難しい本ばかり読んでいるものね。」
(…私、そんな事フレドリカに話したかしら?確かに、準備学校は〝平等の精神〟の元、相手を思いやる気持ちを学んだり、本からは学べなかった大勢で体を動かす遊びなどを学んだ時は楽しかったわ!
でも読み書きの学びの時は、確かにすでに知っているから退屈ではあったけれど…。
基礎学校では、もっと進んだ内容をやると思うから楽しみにしていたけれど、確かに退屈な授業から始まるかもしれないわね。)
「…分かりました。」
「そうか?じゃあ、一人分でいいのだな?シェスティンは、代わりに王都で書籍店から好きな本を買ってくるといい。」
「やったわー!これで、ドレスもたくさん購入出来るようになるわね!まだ、夜会に参加出来るのは先だけれど、今から楽しみだわ!」
「そうね!さっそく今度の夜会に着ていくドレスも新調出来るわね!あなた、いいわよね?」
(私も通いたかったわ…でも確かに、私が学びたいと思う事は基礎学校よりも応用学校が当てはまるような気がするのよね。基礎学校で習うような読み書きや算術なんて、すでに書庫の本であらかた学んでいるもの。
しいて言えば外国語ね。読み書きは出来るけれど発音を教えてもらいたかったのだけれど…。まぁ、他国の人と話す機会なんて無いから必要ないといえばそれまでだけれど。)
シェスティンは、食事中ではあるけれど皆には気づかれないように小さくため息をついた。
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このリュックセレ国は、貴族の子供達は大抵六歳になると、王立の学校に入る為の〝就学前準備学校〟に入学出来る。
そこで、〝人々は皆平等〟という精神の元、人との関わり合いや、集団で過ごす事の楽しさ、また基礎学校に入る為に必要な初歩的な学力を学ぶ。
そして、七歳になると〝基礎学校〟に十五歳まで通う事となる。
十六歳からは、さらに上の知識を学ぶ為に〝応用学校〟に進む者もいる。そこでは十八歳まで通え、無事に卒業すればそこで学んだ事を生かして王宮の重役などのエリートコースに進む事が出来る。
六歳になったシェスティンも、姉のフレドリカと同じく王立の準備学校へ通い始める事となった。
シェスティンは好奇心旺盛で、知らない事を知る事がとても楽しいと感じる勤勉な子供であった。その為、六歳になる前からオールストレーム家の書庫にある本をいくつも読んでいた。
オールストレーム家は伯爵の地位である為、国内外問わずそれなりに高価な書物も代々購入してこうして書庫に陳列してあるのだ。
(準備学校に入学出来るのね!一年そこで、簡単な事をいろいろと学べば、基礎学校へ通えるのだわ!どんな事が学べるのかしら。楽しみね!)
シェスティンは、今までは書庫の本でしか学べなかったが、これからは、学校で教師の元に学べるのだ。分からないところも直接聞く事が出来る。それに加えて友人も出来るかもしれないととても楽しみであった。
読み書きは、一般的にはその準備学校で学ぶ。だが、シェスティンは書庫にある本を読んでみたいと興味が沸き、早々に侍女のコーラから教わり、四歳位から簡単な書物を読み始めていったのだ。
☆★
「ねぇ、フレドリカ、明日からの準備学校、楽しみね!」
「え?うーんそうねぇ。確かに友人が出来るのは嬉しいけれど、勉強は嫌だわ!」
フレドリカは、自分のやりたくない事はどうにかしてやらないように仕向けてきていた。読み書きも、シェスティンがコーラから学び始めた時に侍女のロリから、教えましょうかと聞かれた時にきっぱりと断っていた。
「六歳になったら、準備学校で学ぶのでしょう?わざわざその前に学ぶ意味が分からないわ!それよりも、存分に遊ぶべきよね!」
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入学して、シェスティンは本当に楽しい事の連続であった。学ぶものはシェスティンにとっては簡単なものばかりであったのだが、他の同級生達と椅子に座って学ぶという事がとても新鮮だったのだ。
シェスティンは友人と一緒にいるというより、一人で好きな事をしている方が楽しいと思う方であったが、それでも話し掛けられれば会話もするし、集団で遊ぶ時は一緒になっていろんな遊びをした。
学費が掛かる為にこの準備学校に来る子供が全て基礎学校にそのまま通うわけではないが、自分も通えるのだと信じて疑わなかった。
だが。
準備学校も一年で終わり、少しの休暇を挟んで明日から基礎学校に通えると思った矢先に恐れていた事が起こった。
それは、家族で夕食を囲んでいた時の事。
フレドリカが口を開いた。
「ねぇ、お父様!明日から通う、基礎学校の事ですが提案があるの!私達双子だから二人も通うと金銭的にも大変だと思うから、一人だけにしてはどう?」
「なに!?」
温野菜のサラダを口に運ぼうとしていた父アロルドは、手を止めて大きな声を出した。慌て過ぎて、手にしたフォークを落としそうになったほどだ。
「一体どうして?フレドリカは学校通いたくないの?」
母カイサも、驚きを隠せないでそうフレドリカへと聞いた。
「だってね、お母様。学校に通うのだってお金が掛かるのでしょう?私達双子だから見た目もそっくりで、どちらが学校へ行っても分からないと思うの。それでね、一人分のお金で学校へ通い、もう一人分払うはずだったのはこれから使う衣装代に充てればいいと思うのよ。お母様だって新しいドレスが欲しいと言っていたじゃない?」
「まぁ!それはいい考えね!
でも、それだとどちらか一人しか学校へ通えないわよ。いいの?」
「それはほら、普段は私が学校に通って、たまにシェスティンも私のふりをして行ってもいいのよ。そうすれば、平等じゃないかしら?だって、シェスティンはすでに家の書物から学びを得ているのですもの。学校に行ってもつまらない内容ばかりだわ。そう言っていたじゃない。」
「え!待って!私そんな事言ってないわよ!」
「いいわねぇ!たまにシェスティンもフレドリカのふりをして通ってもいいってフレドリカが言っているのだし。あなた、そうしましょう?」
「いや、しかし明日からだぞ?もう二人とも登録はしてあるのだから二人で通えばいいだろう。」
「あなた!お支払いはまだなのでしょう?シェスティンは体調が優れないとかで通う事は難しいとでも言っておけば、払わなくてもすむわよ!これから、フレドリカもシェスティンも大きくなってドレスも必要になるわ。少しでも貯めておいて損はないわよ。」
「ね!いい考えでしょう?
ねぇ、シェスティン!あなたも、基礎学校で学ぶ無駄な時間を過ごさないで書庫の難しい本でもゆっくり読んでいればいいじゃない?
何なら、欲しい本の一冊や二冊や三冊、買ってもらえばいいじゃないの!それくらいはお父様、いいわよね?」
「ううむ…シェスティンはどうなのだ?確かにシェスティンは優秀であるから物足りないかもしれんが。
最新の書物が欲しいのなら、王都の書籍店へ行く事も確かに出来るが…。」
「ほら!シェスティン前から興味がある本があるとか言っていたじゃない?それに、シェスティンが学びたいと思うような事はきっと基礎学校では学ばないわよ?だってあなた、難しい本ばかり読んでいるものね。」
(…私、そんな事フレドリカに話したかしら?確かに、準備学校は〝平等の精神〟の元、相手を思いやる気持ちを学んだり、本からは学べなかった大勢で体を動かす遊びなどを学んだ時は楽しかったわ!
でも読み書きの学びの時は、確かにすでに知っているから退屈ではあったけれど…。
基礎学校では、もっと進んだ内容をやると思うから楽しみにしていたけれど、確かに退屈な授業から始まるかもしれないわね。)
「…分かりました。」
「そうか?じゃあ、一人分でいいのだな?シェスティンは、代わりに王都で書籍店から好きな本を買ってくるといい。」
「やったわー!これで、ドレスもたくさん購入出来るようになるわね!まだ、夜会に参加出来るのは先だけれど、今から楽しみだわ!」
「そうね!さっそく今度の夜会に着ていくドレスも新調出来るわね!あなた、いいわよね?」
(私も通いたかったわ…でも確かに、私が学びたいと思う事は基礎学校よりも応用学校が当てはまるような気がするのよね。基礎学校で習うような読み書きや算術なんて、すでに書庫の本であらかた学んでいるもの。
しいて言えば外国語ね。読み書きは出来るけれど発音を教えてもらいたかったのだけれど…。まぁ、他国の人と話す機会なんて無いから必要ないといえばそれまでだけれど。)
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