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10. 嫌がらせとは? ーフォルラートとカスパルの会話ー

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「そういえば、が出て来たせいで聞くのをすっかり忘れてしまった。カスパル、嫌がらせとはどう言う意味だ?お前は何をした?」


 夕食も無事に終わり、フォルラートは自室へ戻る途中に思い出したので、部屋について二人になるとカスパルへ言葉を向けた。

「そうだったね、ちょっと確認してみるよ。でもこっちこそ思ったよ、フォルラートは嫌がらせしたのか?って。てか、何だよあの物言いは!結婚に反対だったって結婚したくないみたいだったぞ?」

「そりゃあそうだろう!?なんでプロポーズもしてないのに勝手に結婚を決められなきゃいけないんだよ、しかも相手は可愛かったオティーリエだぞ!…昔は。」

「その、昔は、って付けるのやめなよ。」

 カスパルがため息を付きながら言った。

「だってよ…幼い頃、グロッケンタイル山脈の屋敷で遊んでいた時は良く笑って良く泣いて、表情がコロコロ変わる本当に可愛い奴だったんだ!それが、会わない間になんだか慇懃無礼な奴に変わったと噂で聞いて。ディートリッヒオティーリエの兄みたいにいけ好かない奴になったと思ったらなんだか俺の初恋が……。」

「はいはい。何度も聞いたよ。てかさー、表情がコロコロ変わるって子供だったら当たり前なんじゃない?」

「いや!それが俺の魚釣りに付いてきて、釣れる度に手を叩いて喜んでくれるんだぜ?あー、そうそう幼い年齢にしちゃぁオルガンもかなりうまく弾いてたなぁ。また聴きたいな…。」


 フォルラートは、自分が小さい頃に行っていたグロッケンタイル山脈の屋敷で、よくテューロビンゲン国の王家とも一緒になったのだ。
 その屋敷は、テューロビンゲン国の王家や公爵家、バンニュルンベルク国の王家や公爵家などの限られた者だけが泊まれるようになっていて、幼い頃は休暇になるとよく行っていたのだ。


「はいはい。つまりフォルラートは昔の無邪気なオティーリエ様が好きだったと。」

「…。」

「でも今は、それこそ良くも悪くも王太子妃にぴったりな子になったんだろ?噂だけど。」

「知らん!」

「だからさー、互いに話をしてどう変わったのか知ろうと思ったんでしょ?噂なだけなのか、噂通りなのか確かめようって。名案だと思うよ。」

「…イメージが崩れたら…」

「でもさっきは楽しそうだったじゃん?」

「そりゃぁ、久し振りに話せたんだ!少しはね!はぁ…。体調崩したりしないといいな。昔はよく熱を出していたし……。」

「だからこの一月はゆっくりここの気候に慣れてもらう為に、何もさせない予定にしたんだよね?でも交流の時間を少しずつ増やせばお互いをわかり合えていいんじゃない?…じゃなくて!嫌だったと、君が初恋の人だったと言えば良かったのに。」

「言えるか!」

「じゃあせめて、一ヶ月一緒に過ごして本当の夫婦になろうって言えよ!」

「はぁ!?偽物じゃねぇよ!夫婦になるじゃねぇか!」

「書類上だけの話じゃないよ。もう…オティーリエ様、誤解してると思うんだよなぁ…。」

「何のだよ?誤解なんて……。はー…それよりもここ数ヶ月、山脈で獣が出過ぎ!その処理が毎日のようにあったから出迎えにも間に合わなかったし!」

「見れなくて残念だったねー。格好よかったよ-、自国の騎士達に対する掛け声、正に王女って感じだったね。」

「うるせえ!…本当の夫婦、かぁ……。」

「ま、とにかく!嫌がらせとかなんとか言われちゃったからね。調べとくよ。元々使用人が少ないのもいけないんだと思うんだけどなぁ。」

「仕方ないだろ!?勝手に人員増やして配置されると、ああゆう女ザーラがわんさか来て気が休まらないんだ!あの女も、絶対に入れたく無かったのによ!」

ベンヤミン伯爵ザーラの父にねじ込まれたからね。でも仕方ないよ、側妃にして欲しいっていうのを諦めさせるにはそれしかなかったんだから。」

「だからって、今日みたいに突入してくるか!?」

「あれには笑ったね!そのお陰でオティーリエ様が怒ってしまったけど。」

「そうだよ!あの女!いつか必ず…!!」

「はいはい。じゃあそろそろ行くよ。調べないといけないし。また明日。」

 そう言ったカスパルは自分に怒りが来る前にそそくさとフォルラートの部屋を出た。

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